派遣エンジニアという働き方|第二新卒がSESとの違いを契約から見る【2026年版】
〜「客先で働く」という点は同じでも、契約が違えば立場が変わります〜
エンジニアの求人を見ていると、「客先常駐」「派遣」「SES」といった言葉が並びます。どれも他社で働く形ですが、契約の性質が違います。
そして、この違いは言葉の問題ではありません。誰から指示を受けるか、どのくらいの期間その現場にいられるか、経験がどう積み上がるかが変わります。
第二新卒にとって重要なのは、どちらが良いかではなく、自分が今どちらの求人を見ているのかを判別できることです。求人票の書き方だけでは分かりにくい場合があります。
この記事では、契約の違いから整理して、選ぶときの確認項目をまとめます。
1. 結論:押さえるべきは3点
派遣とSESを考えるときの3つの前提
① 指示を出す相手が違う(派遣は派遣先、SESは自社)
② 派遣には期間の制限に関する定めがある
③ どちらも「経験が積み上がるか」は配属先次第
③が実務上は最も重要です。契約の形より、実際に何を担当するかで数年後が決まります。
なお、労働者派遣に関する事項には法令上の定めがあり、内容が改正されることがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関や所管の窓口に確認してください。
2. 契約の違い
| 派遣 | SES(準委任などの形) | |
|---|---|---|
| 雇用元 | 派遣会社 | 所属会社 |
| 働く場所 | 派遣先 | 顧客先または自社 |
| 指示を出す人 | 派遣先の担当者 | 所属会社の責任者 |
| 期間 | 制限に関する定めがある | 契約による |
| 成果の考え方 | 労働時間の提供 | 業務の遂行 |
最大の違いは「誰から指示を受けるか」です。
派遣では、派遣先の担当者から直接指示を受けます。SESの形では、本来は所属会社の責任者を通すことになっています。
実務では、この線が曖昧になっている現場が存在します。それが問題になる場合もあるため、入る前に体制を確認しておく意味があります。
雇用形態全体の違いは正社員・契約社員・派遣の違い|第二新卒が雇用形態を選ぶ基準、SES・受託・自社開発の違いはSES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準にまとめています。
3. 求人票での見分け方
| 手がかり | 派遣の可能性 | SESの可能性 |
|---|---|---|
| 雇用形態の欄 | 「派遣社員」と明記 | 「正社員」「契約社員」 |
| 会社の許可番号の記載 | 派遣事業の番号がある | 記載がないことがある |
| 勤務地の書き方 | 「派遣先による」 | 「顧客先」「プロジェクトによる」 |
| 期間の記載 | 契約期間の記載がある | 記載がないことがある |
雇用形態の欄が「正社員」でありながら、勤務地が「顧客先」となっている求人は、SESの形である可能性が高くなります。
一方で、雇用形態が「派遣社員」と明記されていれば、派遣です。ここを混同したまま応募すると、条件の理解がずれます。
求人票の読み方の全体像は求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さないを参照してください。
4. 身につく経験の差
契約の形よりも、配属先で何を担当するかのほうが影響が大きくなります。
| 配属先の性質 | 積み上がるもの |
|---|---|
| 設計から関わる案件 | 幅広い経験、次への材料 |
| 実装の一部を担当 | 技術の深さ |
| 監視・オペレーション中心 | 現場の知識、ただし材料は作りにくい |
| 事務作業寄り | 技術の経験が積みにくい |
最後の行が、この働き方で最も避けたい状態です。
「エンジニア」として採用されながら、実際にはデータの入力や書類の作成が中心になる現場が存在します。1年続けても、書類に書ける技術の経験が残りません。
これは派遣かSESかで決まるものではなく、配属先の案件の性質で決まります。だからこそ、配属先が事前に分かるかどうかが重要になります。
5. 話を聞いた例:配属で判断を変えた人
知人に、未経験からIT業界に入る際、2社の内定を比べた人がいます。
その人が比較したのは、次の点でした。
実際に比べたこと
・A社:正社員だが、配属先は入社後に決定
・B社:派遣だが、配属先と担当業務が事前に確定
・A社は「未経験でも幅広く」という説明のみ
・B社は担当する製品名と、チームの人数まで説明があった
その人はB社を選びました。
理由は、「1年後に何を経験しているかが読めるほうが安全だと考えたから」です。雇用形態は不安定に見えても、経験が積み上がる確度が高いほうを取りました。
その後、その現場で構築の作業を任されるようになり、その実績を持って正社員の求人へ移ったそうです。
雇用形態は入口の形であって、数年後を決めるものではありません。決めるのは、その間に何を経験したかです。
6. 選ぶ場合の確認項目
応募前・面接で確認する8項目
① 配属先は事前に決まるか
② 担当する業務の中身
③ 契約期間と更新の考え方
④ 指示を受ける相手
⑤ 案件が終わったときの扱い
⑥ 待機期間中の給与の扱い
⑦ 技術研修や資格支援の有無
⑧ 正社員への登用や、直接雇用の実績
⑤と⑥は、必ず確認してください。
案件が終わった後にどうなるか、次の案件が決まるまでの間の扱いがどうなるかは、生活に直結します。求人票に書かれていないことが多いため、面接で聞く必要があります。
参画面談の準備は客先の参画面談を通す|第二新卒エンジニアが準備する5点と答え方にまとめています。
7. 正社員へ移るための準備
この働き方を入口として使う場合、移るための材料を作っておきます。
在籍中に作る材料
① 担当した案件の内容を、技術名と規模で記録する
② 自分が担当した範囲を明確にする(チームの成果と分ける)
③ 改善した点を1つ以上作る
④ 資格を取る(この働き方では時間を作りやすいことがある)
②が最も重要です。「大規模なシステムに携わりました」だけでは、自分が何をしたか伝わりません。
守秘義務がある場合でも、規模と性質だけで書く方法があります。書き方は守秘義務がある仕事の書き方|性質と量だけで伝える、案件を経歴に変える手順はSESから抜けるための準備|案件を経歴に変える3ステップを参照してください。
正社員への移り方は派遣から正社員へ|第二新卒が3つのルートを比べて最短で決める方法にまとめています。
8. 収入の考え方
| 項目 | 押さえること |
|---|---|
| 時給か月給か | 派遣は時給制のことがある |
| 単価と給与の関係 | 契約単価がそのまま給与ではない |
| 待機中の扱い | 給与が出るか、出るならいくらか |
| 昇給 | 契約更新のタイミングで見直される場合がある |
| 交通費 | 支給の有無を確認する |
単価と自分の給与の関係を理解しておくと、交渉や次の判断に使えます。
考え方はSESの単価と年収の関係|自分の市場価格を知る計算にまとめています。
なお、賃金や労働時間に関する事項には法令上の定めがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関に確認してください。
9. よくある質問
派遣とSESはどちらがいいですか
一概には言えません。配属先で何を担当するかのほうが、数年後への影響が大きくなります。形式より中身で判断してください。
未経験でも派遣エンジニアになれますか
なれる求人があります。ただし、担当業務が技術的なものかどうかを確認してください。事務作業中心の案件では経験が積みにくくなります。
期間の制限とは何ですか
労働者派遣には、同じ組織で働ける期間に関する定めがあります。制度の詳細は改正されることがあるため、所管の窓口や専門機関で最新の内容を確認してください。
待機期間はどうなりますか
会社によって扱いが違います。給与の支払いの有無と金額は、必ず入社前に確認してください。
正社員になれますか
ルートは複数あります。派遣先での直接雇用、所属会社での正社員登用、他社への転職です。詳しくは派遣から正社員へ|第二新卒が3つのルートを比べて最短で決める方法を参照してください。
経歴書に書きにくいのですが
書けます。案件ごとに、期間・技術・自分の担当範囲を分けて書く形が一般的です。書き方はエンジニアの職務経歴書|書く順番と3つの必須欄にまとめています。
配属先が決まらない求人は避けるべきですか
避ける必要はありませんが、「どんな案件が多いか」を面接で確認してください。実績のある案件の傾向で、ある程度は読めます。
資格は取ったほうがいいですか
この働き方では、案件によって学習時間を作りやすいことがあります。次に移るための材料として、資格を取るのは合理的です。選び方はIT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番を参照してください。
10. まとめ:今週やる3つのこと
派遣とSESは契約が違いますが、数年後を決めるのは配属先で何を担当したかです。
今週やる3つのこと
① 手元の求人が派遣かSESか、雇用形態の欄で判別する
② 配属先が事前に決まるかを確認する
③ 待機期間の扱いを、面接で聞く準備をする
②が最も将来を左右します。「入社後に決定」の求人では、どんな案件が多いかを必ず聞いてください。
この先、読むべき記事
- SES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準(会社の型の見分け方)
- 派遣から正社員へ|第二新卒が3つのルートを比べて最短で決める方法(正社員への移り方)
- SESから抜けるための準備|案件を経歴に変える3ステップ(経験を材料にする)
- 客先の参画面談を通す|第二新卒エンジニアが準備する5点と答え方(参画面談の準備)
- 正社員・契約社員・派遣の違い|第二新卒が雇用形態を選ぶ基準(雇用形態の全体像)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。