エンジニアの職務経歴書|書く順番と3つの必須欄【2026年版】
エンジニアの職務経歴書は、他の職種と型が違います。プロジェクト単位で書くのが基本で、技術要素の欄が独立して存在します。
一方で、よくある失敗も決まっています。使った技術の名前を並べただけで終わることです。言語とフレームワークが10個並んでいても、その人が何をしたのかが分からなければ判断できません。
この記事では、経験1〜3年のエンジニアと、未経験からエンジニア職を目指す人の両方について、書く順番を整理します。
1. 結論:3つの欄を必ず作る
欄1、技術要素。言語、フレームワーク、データベース、クラウド、ツール。経験年数とレベルを添えます。
欄2、プロジェクト経歴。プロジェクトごとに、期間・規模・自分の担当範囲・使用技術・工夫した点。
欄3、担当した工程。要件定義、設計、実装、テスト、運用のうち、どこを担当したか。
この3つが揃うと、読み手が判断できます。技術要素だけだと「何ができるか」が分からず、プロジェクト経歴だけだと「何を使えるか」が分かりません。
未経験の場合は、欄2と欄3の代わりに「学習歴」と「制作物」を置きます。構造は同じです。
2. 技術要素欄の書き方
悪い例
【技術】
Java, JavaScript, Python, SQL, HTML, CSS, Git, Linux, AWS
何が問題か
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| レベルが分からない | 業務で使ったのか、触っただけか |
| 期間が分からない | 3年使ったのか、1か月か |
| 用途が分からない | 何を作るのに使ったか |
良い例
| 分類 | 技術 | 経験 | レベル |
|---|---|---|---|
| 言語 | Java | 2年 | 業務で実装・改修 |
| 言語 | JavaScript | 1年 | 画面の改修 |
| 言語 | Python | 6か月 | 学習・個人制作 |
| DB | PostgreSQL | 2年 | テーブル設計・クエリ作成 |
| ツール | Git | 2年 | 業務で日常的に使用 |
| クラウド | AWS | 6か月 | EC2・S3の設定を担当 |
レベルの表現は3段階で足ります。
- 業務で設計から担当した
- 業務で実装・改修した
- 学習・個人制作で使用した
3段階目を正直に書いてください。「触ったことがある」レベルの技術を業務経験のように並べると、面接で必ず分かります。
3. 編集長が相談を受けた話:技術名だけ並べて落ち続けた
未経験からエンジニアになって2年目の方から、相談を受けたことがあります。
相談者「書類が全然通らなくて」
私「職務経歴書、見せてもらえますか」
相談者「これです」
(技術名が15個並び、その下に「システムの改修を担当」と1行)
私「どのシステムの、どこを直したんですか」
相談者「在庫管理システムです。画面の表示とか、集計のロジックとか」
私「それ、書いてないですよね」
書き直したのは、プロジェクト経歴の欄でした。
ビフォー 「在庫管理システムの改修を担当。」
アフター 「小売業向け在庫管理システム(利用店舗約80店)の保守・改修を2年担当。月次の在庫集計処理が5分以上かかっており、担当者から改善の依頼があったため、クエリの見直しとインデックスの追加を実施し、40秒程度まで短縮しました。チームは5名で、私は集計処理と画面表示部分の改修を担当しています。」
次の10社で、書類通過は4社でした。
技術名は1つも増やしていません。「何を、どうして、どう直したか」を書いただけです。
4. プロジェクト経歴の書き方
プロジェクトごとに、次の6項目を書きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 「2024年4月〜2026年3月(2年)」 |
| プロジェクト名・概要 | 「小売業向け在庫管理システムの保守・改修」 |
| 規模 | 「利用店舗約80店」「チーム5名」 |
| 担当工程 | 「詳細設計・実装・テスト」 |
| 使用技術 | 「Java、PostgreSQL、Git」 |
| 担当内容と工夫 | 3〜5行。何を、なぜ、どう直したか |
最後の項目が本体です。ここを1行で済ませると、第3章のケースになります。
「担当内容と工夫」の書き方の型
- どういう状態だったか(課題)
- なぜそれが問題だったか
- 何をしたか
- どうなったか(数字)
例
「月次の在庫集計処理に5分以上かかっており(1)、月初の締め日に業務が滞る状態でした(2)。実行計画を確認したところ全件走査になっていたため、クエリの見直しとインデックスの追加を行いました(3)。処理時間は40秒程度まで短縮しています(4)。」
4つの要素が揃うと、判断材料になります。
5. 担当工程の書き方
エンジニアの選考では、「どの工程を経験したか」が明確な判断材料になります。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 要件定義 | 顧客や社内から要望を聞き、仕様に落とす |
| 基本設計 | 画面・機能・データの構成を決める |
| 詳細設計 | 実装できる粒度まで落とす |
| 実装 | コードを書く |
| テスト | 単体・結合・総合 |
| 運用・保守 | 稼働後の対応、障害対応 |
経験1〜3年なら、実装とテストが中心になるのが普通です。それで問題ありません。
ただし、部分的にでも上流に関わった経験があれば必ず書いてください。「詳細設計の一部を担当」「要件のヒアリングに同席」でも、書く価値があります。上流工程の経験は、次のステップの判断材料になるためです。
書き方の例
「担当工程:詳細設計(一部)、実装、単体テスト、結合テスト。要件定義は上位のメンバーが担当し、顧客との定例には同席していました。」
「同席していました」も経験です。顧客とどういうやり取りが行われるかを見ていた、という材料になります。
6. 未経験の場合の書き方
実務経験がない場合、欄2と欄3を「学習歴」と「制作物」に置き換えます。
学習歴欄
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 「2025年11月〜」月まで書く |
| 使った教材 | 教材名と、どこまで進んだか |
| 学習時間 | 「平日1時間・休日3時間、週11時間程度」 |
| 直近の取り組み | 「現在は〇〇を制作中」 |
制作物欄
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 何を作ったか | 1行で用途 |
| なぜ作ったか | 前職の業務での困りごとと結びつける |
| 使った技術 | 言語・ライブラリ・ツール |
| つまずいた点と解決 | ここが最も読まれる |
| 公開先 | リポジトリのURLがあれば |
「つまずいた点と解決」を必ず書いてください。未経験の選考では、完成度より問題に当たったときの動き方が見られます。
例
「CSVを読み込む際に文字化けが発生しました。エラーメッセージを検索して文字コードの指定が必要と分かり、encodingを指定して解決しています。以降、外部ファイルを扱う際は文字コードを最初に確認するようにしました。」
前職の経験欄も削らないでください。未経験でIT職に応募するとき、前職の記載を1行に縮めてしまう人がいますが、逆効果です。仕事の進め方は、そこからしか判断できません。
7. 面接で掘られる3か所
書類に書いた内容のうち、必ず掘られる場所があります。
Q1「この改修について、なぜその方法を選んだのですか」
処理速度の改善などを書いた場合、必ず来ます。
回答例:「最初はアプリケーション側でループを減らす案を考えましたが、実行計画を見たところデータベース側の全件走査が原因だと分かりました。インデックスの追加のほうが影響範囲が小さく、既存の処理を変えずに済むと判断しています。」
「なぜ他の方法ではなくこれか」まで答えられると、判断できる人だと伝わります。
Q2「チーム5名の中で、あなたの役割は何でしたか」
回答例:「実装と単体テストを担当していました。担当は機能単位で分かれており、私は集計処理と在庫一覧の画面を担当しています。設計は上位のメンバーが行い、詳細設計の一部は自分で書いていました。」
担当の範囲を正確に言うこと。チームの成果を自分の成果のように話すと、掘られたときに崩れます。
Q3「使ったことのない技術について、どう学びますか」
回答例:「公式のドキュメントを最初に読みます。前職でPostgreSQLの実行計画を調べたときも、ブログ記事より公式のドキュメントのほうが早く解決しました。そのうえで、小さいコードを書いて動作を確認する順で進めます。」
8. 作る手順と時間配分
| 手順 | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 技術要素を分類して、経験年数とレベルを付ける | 40分 |
| 2 | プロジェクトを時系列で並べる | 20分 |
| 3 | プロジェクトごとに6項目を埋める | 1件40分 |
| 4 | 「担当内容と工夫」を4段構成で書き直す | 1件30分 |
| 5 | 担当工程を明記する | 15分 |
| 6 | 各プロジェクトについて5分話せるか確認 | 30分 |
プロジェクトが2〜3件なら、合計4〜5時間です。
手順4が最も時間をかける価値のある部分です。ここが1行のままだと、技術名がいくら並んでいても判断されません。
手順6も飛ばさないでください。書けたが話せない項目は、面接で弱点になります。
9. よくある質問
何枚が適切ですか
2〜3枚です。プロジェクトが多い場合でも、直近3件程度に絞ってください。
守秘義務でプロジェクト名が書けません
「小売業向け在庫管理システム」のように、業種と用途で書けば問題ありません。顧客名や固有のシステム名は書かないでください。
SESで複数の現場を経験した場合は
現場ごとにプロジェクトとして書きます。ただし数が多い場合、直近3件と、それ以前を1つにまとめる形にしてください。
技術要素は全部書きますか
業務で使ったものは書きます。触っただけのものは「学習・個人制作で使用」と明記して書くか、書かないかを選んでください。
GitHubのURLは載せますか
公開しているものがあれば載せます。ただし中身が空だったり、教材のコードをそのまま置いているだけの場合は逆効果です。
資格は書きますか
書きます。基本情報技術者、クラウドの認定資格などは、学習の証拠として評価されます。
保守・運用しか経験がありません
保守・運用も立派な経験です。既存のコードを読む力、障害時の対応、影響範囲の判断。これらは新規開発では得られない経験です。
個人開発しか経験がありません
制作物欄を厚く書いてください。第6章の「つまずいた点と解決」が最も重要な部分です。
10. まとめ:今日やる3つのこと
エンジニアの職務経歴書は、技術名の一覧ではなく、何をどう解決したかの記録です。
1つめ、技術要素に経験年数とレベルを付ける。「業務で設計から」「業務で実装・改修」「学習・個人制作」の3段階です。所要40分。
2つめ、プロジェクトごとの「担当内容」を4段構成で書き直す。どういう状態だったか、なぜ問題か、何をしたか、どうなったか。1行になっている箇所を探して、この4つに展開してください。所要1件30分。
3つめ、担当工程を明記する。実装とテストだけでも構いません。部分的に上流に関わった経験があれば、それも書いてください。所要15分。
2つ目が、書類の通過率を最も動かします。
この先、読むべき記事
- 未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではない(制作物の作り方)
- 技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む(応募先の技術の読み方)
- エンジニアの発信の使い方|書類に書ける形にする(技術ブログの載せ方)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。