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IT企業を選ぶ4つの軸|規模とフェーズで働き方が変わる【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
IT企業を選ぶ4つの軸|規模とフェーズで働き方が変わる【2026年版】

IT企業の選び方というと、SES・受託・自社開発という商流の話が中心になります。これは重要な軸ですが、それだけでは決まりません。

同じ「自社開発」でも、社員10名のスタートアップと、社員1000名の企業では働き方がまったく違います。商流が同じでも、規模と事業フェーズで日々の仕事が変わるためです。

この記事では、商流以外の4つの軸を整理して、それぞれで何が変わるかをまとめます。

1. 結論:4つの軸で見る

軸1、会社の規模。エンジニアが何名いるか。担当範囲と教えてもらえる度合いが変わります。

軸2、事業のフェーズ。立ち上げ期か、拡大期か、安定期か。求められる動き方が変わります。

軸3、顧客。法人向けか個人向けか。作るものの性質が変わります。

軸4、開発体制。レビューやテストの仕組みがあるか。成長の速度が変わります。

商流(SES・受託・自社開発)と合わせて5つで見ると、入社後の想像がつきます。

第二新卒で最も重要なのは、軸1と軸4です。教えてもらえる環境かどうかが、最初の2年を決めます。

2. 軸1:会社の規模

エンジニアの人数特徴第二新卒への向き
1〜5名全部を1人でやる。教える余裕が少ない
6〜20名役割が分かれ始める。距離が近い
21〜100名チームが分かれる。指導の仕組みがある
100名以上分業が進む。担当範囲が狭い

3行目が最も向いています。チームが複数あり、教える人がいて、かつ担当範囲がある程度広い。

1行目は注意が必要です。幅広く経験できる利点はありますが、詰まったときに聞ける相手がいません。未経験や経験1年程度では、成長が止まるリスクがあります。

4行目は、担当範囲が狭くなる点に注意してください。分業が進んでいると、システムの一部しか触りません。3年経っても全体像が見えない、ということが起こります。

確認の仕方

「エンジニアは全体で何名いらっしゃいますか。また、配属予定のチームは何名でしょうか。」

全体とチームの両方を聞いてください。全体100名でも、配属先が3名なら、日々の環境は3名の会社と同じです。

3. 軸2:事業のフェーズ

フェーズ特徴求められること
立ち上げ期作るものが頻繁に変わる速さ、自走
拡大期人が増え、仕組みを作る時期幅広い対応、柔軟さ
安定期既存システムの改善が中心正確さ、既存コードの理解

第二新卒には、2行目の拡大期が最も向いています。

理由は2つあります。人が増える時期なので採用に積極的で、育成の仕組みも整い始めている。そして、仕組みを作る段階なので、若手にも役割が回ってきます。

1行目の立ち上げ期は、自走できる人向けです。「これをやってください」という指示がなく、自分で何をするか決める必要があります。未経験には厳しい環境です。

3行目の安定期は、既存コードを読む力がつきます。新規開発の経験は積みにくいですが、大規模なシステムの読み方を学べるのは大きな利点です。

フェーズの見分け方

手がかり読み取れること
従業員数の推移急増していれば拡大期
募集人数複数名なら拡大期
サービスの提供開始時期1〜2年なら立ち上げ期
ニュースリリースの頻度多ければ動きがある

4. 軸3:顧客

顧客作るものの性質
法人向け(BtoB)業務システム。要件が複雑。変更が慎重
個人向け(BtoC)一般ユーザー向け。変更が速い。数が多い
社内向け自社の業務システム。利用者が近い

1行目は、業務知識が身につきます。金融、医療、物流、人事。その業界の業務を理解しながら作ることになるため、業務知識が資産になります。

2行目は、ユーザーの反応が早く返ってきます。作ったものがすぐ使われ、数字で結果が見えます。

3行目は、利用者が社内にいるため、要望を直接聞けます。第二新卒には分かりやすい環境です。

どれが良いという話ではありません。ただし、3年後にどの領域の経験を持っているかが変わります。

前職の業界と接続させると強いのは、1行目です。前職が物流なら物流向けのシステム、医療なら医療系。業務を知っていることが、そのまま価値になります。

5. 軸4:開発体制

第二新卒にとって最も重要な軸です。

確認事項良い状態
コードレビュー全員のコードにレビューが入る
テストテストコードを書く文化がある
バージョン管理使われている(当然だが確認する)
ドキュメント設計や手順が文書化されている
定例のミーティング進捗と課題を共有する場がある

1行目が最も影響します。自分が書いたコードに他人の目が入らない環境だと、上達の速度が大きく落ちます。

確認の仕方

「コードレビューはどのような運用でしょうか。全員のコードにレビューが入る形ですか。」

「特に決まっていません」という答えが返る会社は、第二新卒には向きません。

4行目も重要です。ドキュメントがない会社では、業務の理解が人に依存します。誰かに聞かないと何も分からない状態が続きます。

6. 4つの軸を組み合わせる

第二新卒(未経験〜経験2年)に向いている組み合わせ

望ましい状態
規模エンジニア20〜100名、配属チーム4〜8名
フェーズ拡大期
顧客どれでも可(前職と接続すると強い)
開発体制レビューあり、ドキュメントあり
商流自社開発または受託

すべてを満たす会社は多くありません。優先順位をつけてください。

優先順位の目安

1位、開発体制(レビューの有無)。ここが欠けると、最初の2年で差がつきます。

2位、配属チームの人数。教えてもらえる相手がいるかどうか。

3位、フェーズ。拡大期が理想ですが、他が良ければ安定期でも構いません。

4位、顧客。前職と接続すると有利ですが、必須ではありません。

この順で見ると、判断が速くなります。

内定後の条件面談で確認すること

技術面・体制面の確認は面接で、条件面は内定後の条件面談で行います。

確認事項聞き方
配属先の確定「配属先の部署は確定していますか」
担当する業務「入社直後に担当する業務を教えてください」
評価の仕組み「評価は年に何回、どのような基準で行われますか」
研修の内容「入社後1か月の予定を教えてください」
使用する機材「開発に使うPCは支給されますか。スペックはどの程度ですか」

1行目が最も重要です。「配属は入社後に決まります」という回答の場合、面接で聞いた内容と違う環境になる可能性があります。

5行目も、意外に効きます。開発用のPCのスペックは、日々の作業効率に直結します。また、機材への投資を惜しまない会社は、開発環境全般に投資している傾向があります。

SES企業の場合は追加で確認

  • 配属先の決まり方
  • 直近で多い案件の技術
  • 配属先が変わる頻度
  • 待機期間が発生した場合の扱い

この4つは、入社後の環境を大きく左右します。内定後に必ず確認してください。

7. 面接で聞く5つの質問

Q1「エンジニアは全体で何名で、配属予定のチームは何名ですか」

軸1の確認です。全体とチームの両方を聞いてください。

Q2「従業員数はこの3年でどう推移していますか」

軸2の確認です。拡大しているかどうかが分かります。

Q3「コードレビューはどのような運用ですか」

軸4の確認です。この1問が最も重要です。

Q4「入社後、最初に担当するのはどの部分になりますか」

担当範囲の確認です。「全部です」と返る場合、体制を詳しく確認してください。

Q5「直近で未経験入社された方は、どのくらいで独り立ちされましたか」

育成の実績の確認です。事例が具体的に出てくれば、受け入れに慣れています。

5問とも、技術の知識がなくても聞けます。そして、答えの内容から、その会社の環境がかなり分かります。

8. 求人票からの読み取りと時間配分

手順やること目安時間
1会社概要から従業員数・設立年を確認5分
2求人票の「開発環境」欄を読む5分
3「テスト」「レビュー」「CI」の記載を探す3分
4採用ページで従業員数の推移を確認15分
5面接で第7章の5問を聞く面接内で5分

手順3で1つも記載がない場合、面接で必ず確認してください。記載がないこと自体は珍しくありませんが、確認せずに入社するのは避けてください。

手順4は、企業の採用ページの「数字で見る〇〇」のようなページに載っていることがあります。ない場合は面接で聞いてください。

1社あたり30分程度です。志望度の高い会社だけこの手順を踏み、他は手順1〜3で構いません。

9. よくある質問

未経験だと会社を選べる立場ではありません

選べる求人は限られます。ただし、複数の候補がある場合、第6章の優先順位で比べる価値はあります。

スタートアップは避けるべきですか

一概には言えません。自走できる人には向いています。ただし、未経験や経験1年程度では、教えてもらえる環境かどうかを確認してください。

大手は担当範囲が狭いと聞きます

分業が進んでいる会社ではそうなります。ただし、教育の仕組みは整っていることが多く、最初の1年は大手のほうが学びやすい面もあります。

SESは避けたほうがいいですか

配属先次第です。応募前に「配属先はどう決まりますか」「どのような案件が多いですか」を確認してください。

開発体制を質問すると生意気に見えませんか

見えません。むしろ、開発の進め方に関心がある人だと受け取られます。

事業フェーズはどう調べますか

サービスの提供開始時期、従業員数の推移、ニュースリリースの頻度から推測できます。面接で聞くのが最も確実です。

前職の業界と同じ領域を選ぶべきですか

必須ではありませんが、有利になります。業務を知っていることが、技術の不足を一部補います。

転職後に「思っていたのと違う」を防ぐには

第7章の5問を必ず聞いてください。特にQ3とQ4です。この2問で、入社後の日々がかなり見えます。

10. まとめ:次の応募でやる3つのこと

IT企業選びは、商流だけでなく4つの軸で見てください。

1つめ、求人票で「レビュー」「テスト」の記載を探す。1つもなければ、面接で必ず確認してください。所要3分。

2つめ、面接で「配属予定のチームは何名ですか」を聞く。全体の人数ではなく、実際に一緒に働く人数です。面接内で1分。

3つめ、「コードレビューはどのような運用ですか」を聞く。この1問が、最初の2年の成長速度を左右します。面接内で1分。

商流が同じでも、この3つで働き方はまったく変わります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。