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エンジニアの発信の使い方|書類に書ける形にする【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
エンジニアの発信の使い方|書類に書ける形にする【2026年版】

エンジニアの転職で「技術ブログを書いたほうがいい」「コードを公開したほうがいい」とよく言われます。ただ、何を書けば評価されるのかは、あまり具体的に語られません。

結論から言うと、評価されるのは「自分が詰まって、調べて、解決した記録」です。技術の解説記事ではありません。解説はすでに大量にあり、そこで差はつきません。

この記事では、書く内容の型と、それを職務経歴書にどう載せるかを整理します。

1. 結論:書くのは「詰まって解決した記録」

評価される記事の型

  1. 何をしようとしたか
  2. どこで詰まったか(エラーメッセージ、想定と違う挙動)
  3. 何を調べたか(検索した語、読んだドキュメント)
  4. どう解決したか
  5. なぜそれで解決したのか

この5つが揃っている記事は、書いた人の仕事の進め方が分かります。

評価されにくい記事の型

  • 技術の一般的な解説(公式ドキュメントの要約)
  • 教材の内容をなぞったもの
  • 環境構築の手順だけ

これらが悪いわけではありません。自分の学習の記録としては有効です。ただ、選考の材料としては弱くなります。

差が出るのは3番目の「何を調べたか」です。ここが書いてある記事は、他の人の記事と明確に違います。

2. 発信の種類と使い分け

種類向いている内容選考での使われ方
技術ブログ詰まって解決した記録、設計の判断書類に載せる。面接の話題になる
コードの公開制作物、業務外で作ったツール実際に見られることがある
技術系SNS学習の記録、日々の気づき継続の証拠になる
勉強会での発表まとめた内容の共有継続と対外的な活動の証拠

第二新卒の段階では、1行目と2行目を優先してください。3行目と4行目は、あれば加点ですが、なくても問題ありません。

すべてをやる必要はありません。ブログを月1本、または制作物を1つ。どちらかで十分です。

数より、1つあたりの中身です。10本の薄い記事より、1本の詳しい記事のほうが評価されます。

3. 編集長が相談を受けた話:ブログ1本で話が続いた

未経験からエンジニアに転職した方から、選考の話を聞きました。

相談者「ブログを3本しか書いてなかったんですが、面接で1本だけ深く聞かれました」

私「どの記事ですか」

相談者「文字コードでハマった話です。CSVを読み込むと文字化けして、原因が分かるまで2時間かかったという」

私「なぜその記事だったんでしょう」

相談者「面接官が『この記事、調べた過程が書いてあるのが良かった』と。他の2本は技術の解説だったので」

3本のうち、評価されたのは1本だけでした。

その1本には、第1章の5要素が入っていました。何をしようとして、どう詰まって、何を検索して、どう解決して、なぜそれで直ったか。

技術の解説記事は、書いた人が理解しているかどうかしか分かりません。一方、詰まった記録は、その人が問題に当たったときにどう動くかが分かります。

採用側が知りたいのは後者です。入社後に必ず詰まるからです。

4. 書く内容の見つけ方

「書くネタがない」という人が多いですが、探す場所は決まっています。

探す場所出てくるネタ
直近1週間で検索したこと検索履歴を見れば出てくる
エラーで止まった場面エラーメッセージをメモしておく
公式ドキュメントを読んだ箇所なぜそこを読んだかが記事になる
思った通りに動かなかった場面期待と実際の差が記事になる
人に聞いて解決したこと聞く前に何を試したかを書く

1行目が最も簡単です。ブラウザの検索履歴を1週間分見れば、詰まった箇所が全部出てきます。

書くタイミングは、解決した直後です。時間が経つと、何に詰まっていたかを忘れます。「あんなに悩んだのに、今見ると当たり前」と感じるようになるためです。

その「当たり前になる前」の記録に価値があります。

メモの取り方

解決した時点で、次の3行だけメモします。

・やろうとしたこと:
・詰まった点:
・解決方法:

3行あれば、後から記事に展開できます。

5. 職務経歴書への載せ方

書いたものを、書類に載せる形にします。

載せる場所

職務経歴書の末尾に「その他の活動」または「技術的な取り組み」という欄を作ります。

書き方の例

【技術的な取り組み】

■ 技術ブログ(2025年11月〜、12本)
学習および業務の中で詰まった内容を記録しています。
直近では、CSVの文字コードの扱い、非同期処理の
エラーハンドリングについて書きました。
URL: (リンク)

■ 個人制作
前職の書店業務で手作業だった発注リストの集計を
自動化するスクリプトを制作。CSVを読み込み、
店舗別・分野別に集計してファイル出力します。
使用技術:Python、pandas
URL: (リポジトリのリンク)

書くべき3点

項目内容
期間と本数「2025年11月〜、12本」
内容の傾向何について書いているか
直近の内容具体的なテーマを2つ

「期間と本数」が最も効きます。継続していることが、そこで示せます。

URLを載せる場合の注意

中身が空、または教材のコードをそのまま置いているだけの場合、載せないでください。逆効果になります。見られる前提で載せてください。

6. 逆効果になる場合

1、更新が止まっている。最終更新が1年前だと、「続かない人」に見えます。載せるなら、直近3か月以内に更新があることが望ましいです。

2、内容が正確でない。技術的に誤った内容を公開していると、そこを指摘されます。自信のない内容は「調べた範囲では」と断りを入れてください。

3、前職や特定の企業の批判が書かれている。技術ブログでも、業務の愚痴が混ざっていると読まれます。

4、機密情報が含まれている。業務で得た情報を記事にする場合、社名、顧客名、内部のシステム構成は書かないでください。これは選考の問題ではなく、秘密保持の問題です。

やってはいけないこと理由
業務のコードをそのまま載せる会社に帰属する資産
社内システムの構成を書く機密情報
顧客名や案件名を書く秘密保持義務
前職の批判を書く転職先でも同じことをすると思われる

業務で学んだことを書く場合、一般化してください。「前職のシステムで」ではなく「あるWebアプリケーションで」のように、特定できない形にします。

制作物のREADMEに書くこと

コードを公開する場合、README(説明のファイル)の中身が評価を分けます。コードだけ置いても、意図が伝わりません。

書く6項目

項目内容
何をするものか1〜2行で用途
なぜ作ったか前職の業務での困りごとなど
使った技術言語、ライブラリ、ツール
使い方実行の手順
詰まった点と解決最も読まれる部分
今後やりたいこと改善の余地を理解しているか

5行目が本体です。ブログと同じで、詰まった記録が最も評価されます。

書き方の例

【作った理由】
前職の書店業務で、複数店舗の発注リストを
手作業で集計していました(週2時間)。
これを自動化するために作りました。

【詰まった点】
CSVの読み込みで文字化けが発生しました。
ファイルの文字コードがShift_JISで、
既定のUTF-8で読もうとしていたことが原因でした。
encodingを明示的に指定して解決しています。

【今後】
現在は1店舗分ずつ処理していますが、
複数ファイルをまとめて処理できるようにしたいです。

6行目の「今後」を書くと、現状の限界を理解していることが伝わります。「完成しました」で終わるより、判断できる人だと見られます。

7. 面接で聞かれる3問と答え方

Q1「ブログを書いている目的は何ですか」

回答例:「自分の記録として始めました。同じことで2回詰まるのを避けるためです。結果として、書くために調べ直すので、理解が深まる効果もありました。」

「アピールのため」と言わないでください。自分のために書いているという理由のほうが、継続の説明として自然です。

Q2「この記事について詳しく教えてください」

書いた内容は、必ず口頭で説明できるようにしてください。

回答例:「CSVを読み込むと文字化けする問題です。最初は読み込み方が悪いと思っていましたが、エラーメッセージに文字コードの記述があったので、そこから調べました。ファイルの文字コードがShift_JISで、既定のUTF-8で読もうとしていたことが原因でした。encodingを明示的に指定して解決しています。」

Q3「業務の内容は書いていますか」

回答例:「業務の内容そのものは書いていません。技術的に一般化できる部分だけを、特定できない形で書いています。社名やシステムの構成は書かない方針にしています。」

この質問は、機密情報の扱いを確認するために聞かれます。方針を明確に答えてください。

8. 続けるための時間配分

頻度やること目安時間
詰まったとき3行メモを取る3分
週1回溜まったメモを見返す10分
月1回メモから1本記事にする1〜2時間
3か月ごと職務経歴書の記載を更新する15分

月1本で十分です。年12本になります。継続の証拠としては、これで足ります。

週に何本も書こうとすると続きません。続かないと、更新が止まった状態で残ることになり、第6章の1番目の状態になります。

3行メモを取る習慣が全部です。メモがあれば記事は書けますし、メモがなければ「何に詰まったか」自体を忘れます。

9. よくある質問

技術ブログは必須ですか

必須ではありません。あれば加点になりますが、なくても書類は通ります。制作物のほうが優先度は高いです。

どこで公開すればいいですか

技術記事の投稿サービスでも、自分で用意した場所でも構いません。継続しやすい場所を選んでください。

何本くらい書けばいいですか

期間と本数のバランスです。「6か月で6本」なら継続していると伝わります。1か月で10本書いて止まるより評価されます。

内容が初歩的でも書いていいですか

構いません。むしろ、第二新卒の段階では初歩的な内容のほうが自然です。重要なのは、調べた過程が書いてあることです。

業務で学んだことを書いていいですか

一般化できる範囲なら書けます。社名、顧客名、システム構成は書かないでください。

コードの公開だけでもいいですか

構いません。ただし、README(説明)に「何のために作ったか」「使った技術」「詰まった点」を書いてください。コードだけだと意図が伝わりません。

更新が止まっている場合は

載せないほうが無難です。または、再開してから3か月経ってから載せてください。

発信を始めるタイミングは

学習を始めた直後からで構いません。むしろ、初期の詰まった記録のほうが、後から書けない貴重な内容になります。

10. まとめ:今日やる3つのこと

エンジニアの発信で評価されるのは、技術の解説ではなく、詰まって解決した記録です。

1つめ、詰まったときの3行メモを始める。やろうとしたこと・詰まった点・解決方法。この3行があれば、後から記事にできます。所要3分。

2つめ、直近1週間の検索履歴を見て、ネタを3つ探す。「書くことがない」と思っていても、履歴を見れば出てきます。所要15分。

3つめ、1本書くなら、第1章の5要素を入れる。何をしようとして、どこで詰まって、何を調べて、どう解決して、なぜそれで直ったか。所要1〜2時間。

月1本で十分です。続けることが、そのまま材料になります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。