エンジニアの評価制度の見方|等級と昇給の仕組みを聞く【2026年版】
エンジニアの転職で、技術スタックや開発体制は調べても、評価制度を確認する人は多くありません。
ただ、3年後の年収を決めるのは、入社時の提示額ではなく評価と昇給の仕組みです。同じ提示額でも、昇給の仕組みがある会社とない会社では、3年後に大きな差が出ます。
この記事では、評価制度の型と、面接で確認すべき項目を整理します。
1. 結論:確認するのは4つ
1、等級制度があるか。職務のレベルが段階で定義されているか。
2、評価の頻度と基準。年に何回、何を見て評価されるか。
3、昇給・昇格のタイミング。評価の結果が、いつ給与に反映されるか。
4、実際の昇給の実績。制度があることと、運用されていることは別です。
4番目が最も重要です。制度としては年1回の昇給があっても、実際にはほとんど上がらない会社があります。
確認の仕方
「この職種で入社された方は、3年後にどのくらいの年収になっていることが多いですか。」
この1問で、制度と実態の両方が分かります。
2. 等級制度の仕組み
多くの会社には、職務のレベルを段階で定義した制度があります。
| 等級の例 | 想定される役割 |
|---|---|
| 1〜2等級 | 指示を受けて実装する |
| 3〜4等級 | 与えられた機能を1人で完結できる |
| 5〜6等級 | 設計から担当し、他者をレビューする |
| 7等級以上 | チームや技術選定に責任を持つ |
等級ごとに給与の範囲が決まっているのが一般的です。
第二新卒で未経験入社の場合、1〜2等級から始まることが多くなります。
確認すべきこと
| 確認事項 | 聞き方 |
|---|---|
| 等級制度の有無 | 「等級やグレードの制度はありますか」 |
| 入社時の等級 | 「私の場合、どの等級での入社になりますか」 |
| 次の等級の条件 | 「次の等級に上がる条件を教えてください」 |
| 等級ごとの給与幅 | 「等級ごとに給与の範囲は決まっていますか」 |
3行目が最も実用的です。「次に上がるために何が必要か」が分かれば、入社後の目標が決まります。
「特に決まっていません」という答えの場合
制度が整っていない可能性があります。この場合、昇給は上司の裁量や会社の業績に左右されます。悪いとは限りませんが、見通しが立ちにくくなります。
3. 編集長が相談を受けた話:3年で50万の差
同じ時期に未経験からエンジニアになった2人の話を聞いたことがあります。
Aさん:入社時の提示額380万円 Bさん:入社時の提示額400万円
3年後
Aさん:480万円 Bさん:430万円
Aさん「等級が2段階上がりました。1年目に3等級、2年目の後半に4等級で」
Bさん「昇給は年1回、5,000円から10,000円くらいですね」
入社時はBさんのほうが20万円高かったのに、3年後は逆転して50万円の差がついていました。
差は、等級制度があるかどうかでした。
Aさんの会社では、等級が上がると給与の範囲そのものが変わります。Bさんの会社では、等級の概念がなく、毎年の定期昇給だけでした。
初年度の提示額だけで判断すると、この差が見えません。
「3年後にどのくらいになるか」を必ず聞いてください。
4. 評価される項目
エンジニアの評価で見られる項目は、おおむね次のように分かれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成果 | 担当した機能、改善した数値 |
| 技術的な力 | 設計の質、コードの品質 |
| 速度 | 見積もりの精度、期限の遵守 |
| 他者への影響 | レビュー、教育、ドキュメント |
| チームへの貢献 | 課題の発見、改善の提案 |
第二新卒で評価されやすいのは、1行目と3行目です。
4行目と5行目は、経験を積んでから効いてきます。ただし、1〜2年目でも「ドキュメントを整備した」「手順を標準化した」といった形で貢献できます。
確認の仕方
「評価では、どのような項目が見られますか。」
この質問で、その会社が何を重視しているかが分かります。
「成果だけ」という答えの場合
短期的な成果が評価される会社です。速く動く人には向きますが、教育やドキュメントに時間を使う人は評価されにくくなります。
「チームへの貢献も見る」という答えの場合
長期的な視点がある会社です。第二新卒には向いています。
5. 昇給のタイミングと幅
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 評価の頻度 | 年1回か、半期に1回か |
| 昇給のタイミング | 評価の何か月後に反映されるか |
| 昇給の幅 | 定期昇給と、等級が上がった場合の差 |
| 賞与への反映 | 評価が賞与に反映されるか |
2行目に注意してください。4月に評価があっても、給与への反映が7月というケースがあります。
3行目を具体的に聞くのが実用的です。
「定期昇給の幅と、等級が上がった場合の昇給幅を教えていただけますか。」
答えの例
「定期昇給は年間5,000円から15,000円程度です。等級が1つ上がると、月額で3万円から5万円変わります。」
この情報があると、3年後の見通しが立ちます。
聞くタイミング
内定後の条件面談です。選考中に聞くと、条件しか見ていないように受け取られる可能性があります。
6. 制度が整っていない会社の見分け方
次のような答えが返る場合、制度が整っていない可能性があります。
| 答え | 読み取れること |
|---|---|
| 「評価は上司が判断します」 | 基準が明文化されていない |
| 「昇給は業績次第です」 | 個人の評価が反映されにくい |
| 「等級の制度は特にありません」 | 昇給の見通しが立たない |
| 「人によります」 | 実績を把握していない |
制度がないこと自体が悪いわけではありません。設立から日が浅い会社では、制度を作っている途中の場合があります。
その場合の確認
「今後、評価制度を整備される予定はありますか。」
「来期から導入予定です」という答えなら、その過程に関われる可能性があります。
ただし、第二新卒で未経験の場合、制度がある会社のほうが安全です。理由は、評価の基準が見えると、何をすれば上がるかが分かるためです。
基準が見えないと、努力の方向が定まりません。
評価制度と技術的な成長の関係
評価される項目は、その会社が何を重視しているかを示します。そして、それが自分の成長の方向を決めます。
成果だけが評価される会社
担当した機能の数、対応したチケットの数。速く多く作る力がつきます。一方、設計の質や、他者への影響は評価されにくくなります。
技術的な質も評価される会社
コードの品質、設計の妥当性。読みやすいコードを書く力がつきます。ただし、成果が出るまでの時間は長くなります。
チームへの貢献も評価される会社
レビュー、ドキュメント、教育。他者を動かす力がつきます。3〜5年後にリーダーの役割に進む道が見えます。
| 評価の重心 | 3年後につく力 |
|---|---|
| 成果の量 | 実装の速さ |
| 技術的な質 | 設計とコードの品質 |
| チームへの貢献 | レビュー、教育、調整 |
どれが良いという話ではありません。ただ、3年後にどの力がついているかが変わります。
自分がどの方向に進みたいかで、会社を選ぶ材料になります。
確認の仕方
「評価では、成果の量、技術的な質、チームへの貢献のうち、どこに重心がありますか。」
7. 面接で聞く5つの質問
Q1「等級やグレードの制度はありますか」
制度の有無を確認します。
Q2「評価は年に何回、どのような項目で行われますか」
頻度と基準を確認します。
Q3「この職種で入社された方は、3年後にどのくらいの年収になっていることが多いですか」
この1問が最も情報量が多い質問です。制度と実態の両方が分かります。
Q4「次の等級に上がる条件を教えてください」
入社後の目標が決まります。
Q5「評価のフィードバックはどのような形でありますか」
面談があるか、書面か、口頭か。フィードバックの仕組みがあると、改善の方向が分かります。
Q1・Q2・Q5は選考中でも聞けます。Q3とQ4は、内定後の条件面談が自然です。
聞き方の前置き
「入社後の成長のイメージを持ちたいのですが」と添えると、条件だけを見ているように受け取られません。
8. 入社後にやること
制度を確認したら、入社後にそれを使います。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 入社1か月 | 評価シートや等級の定義を確認 |
| 入社3か月 | 上司に「次の等級の条件」を確認 |
| 半期ごと | 評価面談で、達成度と次の目標を確認 |
| 年1回 | 等級と給与の推移を記録 |
2行目が最も効きます。「次に上がるために何が足りませんか」と聞いてください。
答えが具体的なら、そこに向けて動けます。
4行目の記録も残してください。入社時の等級と給与、1年後、2年後。この記録があると、次の転職のときに自分の伸び方が説明できます。
評価が上がらない場合
基準が分かっているなら、何が足りないかを確認してください。基準が分からない場合、それ自体が問題です。上司に「評価の基準を教えてください」と聞いてください。
9. よくある質問
選考中に評価制度を聞くと印象が悪いですか
聞き方次第です。「入社後の成長のイメージを持ちたい」と前置きすれば問題ありません。ただし、年収の具体的な金額は内定後に聞いてください。
等級制度がない会社は避けるべきですか
一概には言えません。ただし、昇給の見通しが立ちにくくなります。第6章の確認をしてください。
未経験入社だとどの等級からですか
会社によりますが、最も下の等級から始まることが多いです。次の等級の条件を確認してください。
昇給の幅はどのくらいが普通ですか
定期昇給で年間5,000〜15,000円程度、等級が上がると月額で数万円変わる、という形が一般的です。ただし会社によって大きく異なります。
評価が納得できない場合は
評価面談で理由を聞いてください。基準が明示されている会社なら、どの項目が足りなかったかを確認できます。
資格を取ると評価されますか
会社によります。資格手当がある会社もあれば、実務での成果だけを見る会社もあります。入社前に確認してください。
3年後の年収を聞いても答えてもらえません
制度が整っていないか、実績を把握していない可能性があります。「昇給の仕組みだけでも教えていただけますか」と重ねて聞いてください。
転職せずに年収を上げるには
等級を上げることです。次の等級の条件を確認して、そこに向けて動いてください。基準が分かれば、やることが決まります。
10. まとめ:内定後にやる3つのこと
3年後の年収を決めるのは、入社時の提示額ではなく評価と昇給の仕組みです。
1つめ、条件面談で「3年後の年収の目安」を聞く。この1問で、制度と実態の両方が分かります。面談内で1分。
2つめ、等級制度の有無と、次の等級の条件を聞く。入社後の目標が決まります。面談内で2分。
3つめ、定期昇給の幅と、等級が上がった場合の幅を聞く。この2つの数字があると、3年後の見通しが計算できます。面談内で1分。
提示額が20万円低くても、昇給の仕組みがある会社のほうが3年後に上回ることがあります。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。