年収が上がる転職と上がらない転職|分かれ目は3つある【2026年版】
同じような経歴でも、転職で年収が上がる人と上がらない人がいます。この差は、努力量や交渉力の差ではありません。
主に決まるのは、どこからどこへ移るかです。業界と職種の組み合わせで、提示される水準はおおむね決まります。
この記事では、年収を決める3つの要素を整理して、上がる転職と上がらない転職の構造をまとめます。
1. 結論:3つの要素で決まる
要素1、業界。業界ごとに給与の水準が違います。同じ職種でも、業界が変われば年収が変わります。
要素2、職種。同じ業界でも、職種によって水準が違います。
要素3、経験の連続性。同じ職種を続けるか、変えるか。変えると初年度は下がりやすくなります。
この3つのうち、2つ以上が「上がる方向」なら、年収は上がります。
| 転職の型 | 年収の傾向 |
|---|---|
| 同職種・給与水準の高い業界へ | 上がりやすい |
| 同業界・給与水準の高い職種へ | 上がりやすい |
| 同職種・同業界で規模の大きい会社へ | やや上がる |
| 職種を変える(業界は同じ) | 横ばい〜下がる |
| 業界も職種も変える | 下がりやすい |
4行目と5行目でも、上がる場合はあります。ただし、それは例外的です。職種を変える転職では、初年度が下がる前提で考えておくほうが判断を誤りません。
2. 業界による水準の違い
同じ「法人営業」でも、業界によって年収の水準が違います。
一般的な傾向として、次のような差があります。
| 業界の性質 | 年収の傾向 |
|---|---|
| 利益率が高い業界 | 高め |
| 労働集約的な業界 | 低め |
| 専門性が要る業界 | 高め |
| 参入障壁が低い業界 | 低め |
この傾向は個々の企業では当てはまらないこともあります。あくまで全体の傾向です。
確認の方法
1、求人サイトで職種と業界を指定して、年収の中央値を見る。多くのサイトに、条件を絞った求人一覧が出ます。その提示額を10件ほど見れば、水準が分かります。
2、エージェントに聞く。「私の経歴で、この業界だとどのくらいの水準になりますか」と聞けば答えが返ります。
3、複数の業界で同じ職種を検索して比べる。差が見えます。
この確認を、応募先を決める前にやってください。後からでは判断が変わりません。
3. 編集長の実体験:同じ職種で50万上がった
自分が転職したとき、年収は上がりました。ただ、交渉で上げたわけではありません。
前職:広告営業(メディア業界) 転職先:営業企画(SaaS業界)
業界が変わり、職種も変わっています。本来なら、下がってもおかしくない組み合わせです。
担当者「提示額は前職より上ですね」
私「職種を変えているのに、上がるんですか」
担当者「業界の水準が違うんです。同じ経験年数でも、業界で30万から50万は変わります」
職種を変えたマイナスを、業界の水準がカバーした形でした。
逆のケースもあります。知人は、同じ職種のまま、給与水準の低い業界に移って年収が下がりました。本人は「同じ仕事だから同じくらい」と思っていたそうです。
年収は、自分の能力ではなく、業界と職種の組み合わせで決まる部分が大きい。これを知っているかどうかで、応募先の選び方が変わります。
4. 職種による水準の違い
同じ業界でも、職種によって水準が違います。
一般的な傾向として、次の要素がある職種は高くなりやすいとされます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 売上に直結する | 営業、営業企画 |
| 専門知識が要る | 法務、経理、エンジニア |
| 代替が難しい | 経験の蓄積が必要な職種 |
| 成果が数字で測れる | 評価が上がりやすい |
逆に、次の要素がある職種は水準が抑えられやすい傾向があります。
- 未経験からでも短期間で担当できる
- 成果が数字で測りにくい
- 応募者が多い
これは職種の価値の話ではなく、需給の話です。
第二新卒が知っておくべきこと
職種を変える転職では、多くの場合いったん下がります。未経験として入るためです。
ただし、2〜3年で戻る、または上回ることがあります。特に、その職種の水準が前職より高い場合、経験を積んだ時点で逆転します。
だから、初年度の提示額だけで判断しないでください。
5. 3年後の水準を確認する
面接で聞くべき質問
「この職種で入社された方は、3年後にどのくらいの年収になっていることが多いですか。」
この質問は、条件面談の場で聞くのが自然です。
| 答え | 読み取れること |
|---|---|
| 具体的な金額が返る | 昇給の仕組みがある |
| 「評価次第です」 | 幅が大きい。評価制度を確認する |
| 「人によります」 | 制度が定まっていない可能性 |
2行目の場合、評価制度を追加で聞いてください。
「評価はどのような仕組みでしょうか。年に何回、どのような基準で行われますか。」
昇給の仕組みが見えると、初年度の提示額の意味が変わります。
例
| 会社 | 初年度 | 3年後の目安 |
|---|---|---|
| A社 | 380万円 | 420万円 |
| B社 | 400万円 | 410万円 |
初年度はB社が高いが、3年後はA社が上という形です。
この情報は、聞かないと分かりません。
6. 交渉で動く範囲
年収交渉で動く幅は、多くの場合限定的です。
理由
企業には等級や給与テーブルがあり、その範囲内で提示額が決まります。テーブルの外に出ることは、通常ありません。
動く場合
| 状況 | 動く可能性 |
|---|---|
| 他社の提示額が明確に高い | ある |
| 提示額が現年収を下回る | ある |
| 等級の判断に幅がある | ある |
| 希望額に根拠がない | ない |
1行目が最も効きます。「他社から〇〇万円の提示をいただいています」という事実は、交渉の材料になります。
ただし、嘘は避けてください。提示額の証明を求められることがあります。
交渉の伝え方
「ご提示いただいた条件について、1点ご相談させていただけますでしょうか。現在の年収が〇〇万円で、他社からも〇〇万円の提示をいただいております。可能であれば、〇〇万円までご検討いただくことは難しいでしょうか。」
現年収と他社の提示額の2つを根拠にする形です。
交渉より、応募先の選び方のほうが影響が大きい。これがこの記事の結論です。
7. 下がっても選ぶべき場合
年収が下がる転職が、間違いというわけではありません。
下がっても選ぶ判断が合理的な場合
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 職種を変えて、3年後に上回る見込みがある | 初年度の差は数年で回収できる |
| 労働時間が大幅に減る | 時間単価で見ると上がっている |
| その職種の経験が次の転職で効く | 3年後の選択肢が増える |
| 今の環境が続けられない | 年収以外の問題 |
2行目は計算で確認できます。
年収400万円・年間労働時間2400時間と年収380万円・年間労働時間2000時間を比べると、時間単価は後者が上です。
1行目も計算できます。
初年度が30万円下がっても、3年後に前職より50万円上回るなら、4年目で回収できます。
感覚ではなく、数字で確認してください。
ただし、次の場合は慎重に判断してください。
- 下がる理由が説明できない
- 3年後の見込みが聞けない
- 単に「早く決めたい」から妥協している
8. 進め方と時間配分
| 手順 | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 現年収を源泉徴収票で確認(額面) | 5分 |
| 2 | 求人サイトで、希望職種×複数業界の年収を比べる | 40分 |
| 3 | エージェントに「自分の経歴での水準」を聞く | 面談内で3分 |
| 4 | 応募先を、年収の水準も含めて選ぶ | 30分 |
| 5 | 条件面談で3年後の水準を確認 | 面談内で3分 |
| 6 | 時間単価で比べる | 15分 |
手順2が、この記事で最も効きます。同じ職種で業界を変えて検索すると、水準の差が一目で分かります。
手順1を先にやってください。現年収を額面で正確に把握していないと、比較ができません。手取りと混同しないでください。
手順5も飛ばさないでください。初年度の提示額だけで判断すると、3年後に差が出ます。
9. よくある質問
第二新卒で年収は上がりますか
同じ職種で、給与水準の高い業界に移る場合は上がりやすいです。職種を変える場合、初年度は横ばいか下がることが多いです。
年収交渉はしたほうがいいですか
根拠があるならしてください。他社の提示額や現年収が根拠になります。根拠なく希望額だけ言っても動きません。
提示額が現年収より低い場合は
理由を確認してください。等級の判断による場合、経験の説明が不足している可能性があります。
業界の年収水準はどこで調べますか
求人サイトで、職種と業界を指定して10件ほど提示額を見るのが最も早い方法です。
みなし残業が含まれている場合は
含まれている時間数を確認し、基本給部分で比べてください。提示額だけでは比較になりません。
賞与は年収に含まれますか
含まれます。ただし「賞与は業績による」場合、確約された金額ではありません。過去の支給実績を確認してください。
3年後の水準を聞くと生意気ですか
生意気になりません。長く働く前提で考えている姿勢として受け取られます。
年収より業務内容を優先すべきですか
どちらを優先するかは自分で決めることです。ただし、両方を数字で確認したうえで決めてください。感覚で決めると、後で後悔しやすくなります。
10. まとめ:今週やる3つのこと
年収が上がるかどうかは、交渉力ではなく、どこからどこへ移るかで決まります。
1つめ、源泉徴収票の「支払金額」を確認する。これが現年収(額面)です。手取りと混同しないでください。所要5分。
2つめ、求人サイトで、同じ職種を複数の業界で検索して提示額を比べる。10件ずつ見れば、業界による水準の差が分かります。所要40分。
3つめ、条件面談で「3年後の年収の目安」を聞く。初年度の提示額だけで判断すると、3年後に差が出ます。面談内で3分。
応募先を決める前にこの3つをやると、後から交渉するより大きく結果が変わります。
この先、読むべき記事
- 第二新卒の年収交渉|2ヶ月で2社内定時の交渉実額を全公開(交渉の実務)
- 年収が下がる転職の判断基準|第二新卒が3年で戻せるかを見る(下がる場合の判断)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。