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キャリアの棚卸しを1枚のシートで|書類も面接もここから作る【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
キャリアの棚卸しを1枚のシートで|書類も面接もここから作る【2026年版】

転職活動を始めるとき、最初にやるのは求人探しでも書類作成でもありません。キャリアの棚卸しです。

ただ、「棚卸し」という言葉が曖昧なせいで、何をすればいいのか分からないまま飛ばされることが多い。結果として、職務経歴書を書く段階で「書くことがない」と手が止まります。

書くことがないのではなく、材料が並んでいないだけです。この記事では、1枚のシートに何を書けばいいのかを、7項目に分けて具体的に整理します。

1. 結論:7項目を1枚に書く

項目1、時系列。入社から現在までを3〜6か月単位で区切り、その期間に何をしていたかを書きます。

項目2、担当した業務。期間ごとに、何を任されていたか。

項目3、数字。件数、金額、人数、期間、率。

項目4、自分で決めて変えたこと。指示されたのではなく、自分で気づいて変えたこと。

項目5、うまくいかなかったこと。失敗と、その後の対処。

項目6、褒められたこと・指摘されたこと。他人からの評価。

項目7、面白いと感じた瞬間。業務の中で、時間を忘れた場面。

この7つが揃うと、職務経歴書も面接の回答も、ここから作れます。

2. なぜ時系列から始めるのか

いきなり「強みは何ですか」から始めると、手が止まります。抽象的な問いに、抽象的な答えしか出ないためです。

時系列から始めると、事実が先に並びます。

期間担当していたこと
1〜3か月目研修。同行と資料作成
4〜9か月目既存顧客15社を担当
10〜18か月目担当が40社に増加。新規開拓も開始
19〜24か月目案件管理の形式を整備。後輩1名の指導

この表を作るだけで、書けることが4行分出てきます。

そして、この表を見ると気づくことがあります。担当社数が15社から40社に増えている。本人にとっては連続した日々でも、並べると変化が見えます。

時系列の区切り方

  • 3〜6か月単位が扱いやすい
  • 担当が変わったタイミングで区切る
  • 上司や配属が変わったタイミングも区切りになる

3. 編集長の実体験:棚卸しで気づいた1行

自分が転職活動を始めたとき、最初に作ったのがこの表でした。

作った結果、19〜24か月目の行に「案件管理の形式を整備」と書きました。当時の自分にとっては、営業の合間にやった雑務でした。

エージェントの担当者「この案件管理の話、詳しく聞かせてください」

私「え、営業の実績のほうではなく?」

担当者「営業の実績は他の候補者も書けます。これは書ける人が少ないです」

自分では雑務だと思っていた1行が、最も評価される材料でした。

なぜ気づかなかったかというと、「営業の仕事」という枠で自分の2年間を見ていたからです。時系列で並べて初めて、枠の外にある行が見えました。

棚卸しの効果は、忘れていたことを思い出すことではありません。覚えているが価値に気づいていなかったことに、気づくことです。

4. 数字の探し方

項目3の数字が、書類と面接の質を決めます。探す場所を表にします。

探す場所出てくる数字
1日・1か月の処理量対応件数、訪問件数、入力件数、来客数
担当した範囲顧客数、店舗数、担当エリア、商品数、部署数
関わった人数チームの人数、指導した後輩、社外の関係者
金額売上、予算、単価、削減額
時間の変化作業時間の短縮、締め処理の前倒し
率の変化受注率、解決率、稼働率、離脱率
期間担当期間、継続期間、立ち上げまでの期間

数字が思い出せない場合の探し方

  1. メールの送信済みフォルダを月単位で数える
  2. カレンダーの予定を数える
  3. 業務で使っていたシステムの画面を見る(在職中なら)
  4. 上司や同僚に聞く

「およそ」で構いません。「月8件程度」「40社前後」のように、桁が合っていれば十分です。面接では「概算ですが」と添えれば問題ありません。

5. 項目4〜7の書き方

数字以外の4項目は、質問の形で引き出します。

項目4:自分で決めて変えたこと

引き出す質問:

  • 誰にも言われていないのに始めたことは?
  • 前任者と違うやり方にした部分は?
  • 「これ、変えたほうがいいのでは」と思って実際に変えたことは?

小さくて構いません。ファイルの置き場所を変えた、テンプレートを作った、確認の順番を変えた。構造が同じなら評価されます。

項目5:うまくいかなかったこと

引き出す質問:

  • 期限に間に合わなかったことは?
  • やり直しになったことは?
  • 上司に指摘されたことは?

失敗そのものより、その後どうしたかが材料になります。「以降は着手前に納期を確認する運用に変えた」まで書いてください。

項目6:褒められたこと・指摘されたこと

引き出す質問:

  • 評価面談で何を言われたか
  • 顧客から言われたことは
  • 同僚から頼られていたことは

他人からの評価は、自己認識より正確なことがあります。

項目7:面白いと感じた瞬間

引き出す質問:

  • 時間を忘れて取り組んだのはどんな作業か
  • 終わったあとに達成感があったのは何か
  • 人に話したくなった仕事は

この項目が、転職先の方向を決めます。第3章の私のケースでは、ここに「仕組みを整えたとき」が入っていました。

6. 棚卸しから書類を作る

7項目が揃ったら、そこから書類に落とします。

棚卸しの項目使う場所
1. 時系列職務経歴の本体
2. 担当業務職務経歴の本体
3. 数字要約欄、活かせる経験欄
4. 変えたこと自己PR、業務改善の欄
5. 失敗面接の想定回答
6. 他人からの評価自己PR、長所の回答
7. 面白かった瞬間志望動機、転職理由

7行目が志望動機になるのがポイントです。

「なぜこの職種を志望するのか」は、外から探すものではありません。これまでの業務の中で、自分が面白いと感じた部分を特定して、それを増やせる場所を探す。これが最も説得力のある志望動機になります。

作り方の例

項目7に「案件管理を整えたとき」がある → その要素は「仕組みを作ること」 → それを増やせる職種は「営業企画」 → 志望動機は「営業の現場で仕組みを作った経験があり、それを本業にしたい」

在職中と退職後で棚卸しの難度が変わる

棚卸しは、在職中にやるほうが圧倒的に楽です。理由は3つあります。

1、記録にアクセスできる。メールの送信履歴、カレンダー、業務システムの画面。退職後は全部見られなくなります。

2、数字を確認できる。担当件数、処理件数、率。システムで確認できるうちに控えておいてください。

3、人に聞ける。上司や同僚に「あのときの件数、どのくらいでしたっけ」と聞けます。

退職前にやっておくこと

やること注意点
数字を控える件数・率・人数など。自分のメモに
担当した案件の時期を控える年月だけで足りる
評価面談で言われたことを控える他人からの評価の材料

ただし、会社の資料やデータを持ち出さないでください。顧客リスト、見積書、社内の手順書、非公開の数字。これらの持ち出しは秘密保持の問題になります。

持ち出してよいのは、自分の頭の中にある一般的な情報だけです。「担当社数は40社だった」という事実を自分のメモに書くことと、顧客リストのファイルを持ち出すことは、まったく違います。

7. 面接で聞かれる3問と答え方

棚卸しの内容が、そのまま回答になります。

Q1「これまでの経験を簡単に教えてください」

項目1と2から作ります。

回答例:「2年間、法人向けの営業を担当しました。最初の3か月は研修で、その後既存顧客15社を担当。1年目の後半から担当が40社に増え、新規開拓も始めました。2年目の後半は、案件管理の形式を整備して、後輩1名の指導も担当しています。」

時系列で話すと、成長の経過が伝わります。

Q2「一番の失敗を教えてください」

項目5から作ります。第5章の通り、その後どうしたかまで含めます。

Q3「周りからどんな人だと言われますか」

項目6から作ります。

回答例:「評価面談で、『段取りを先に決めるタイプ』と言われました。実際、担当が40社に増えたときに訪問の順番を業種別に組み直したので、そこを見ていたのだと思います。」

「言われたこと」+「そう言われる理由になった行動」の2段構えにすると、裏付けのある回答になります。

8. 進め方と時間配分

手順やること目安時間
1時系列の表を作る(3〜6か月単位)30分
2期間ごとの担当業務を書く20分
3数字を探す(第4章の表を見ながら)40分
4自分で決めて変えたことを3つ20分
5失敗と対処を2つ20分
6他人からの評価を3つ15分
7面白かった瞬間を3つ15分

合計約2時間半です。1回やれば、活動全体で使い回せます。

2回に分けるのがおすすめです。1回目で手順1〜3(時系列と数字)、日を置いて2回目で手順4〜7。間に日を置くと、忘れていたことが出てきます。

1枚のシートにまとめてください。複数のファイルに分けると、見返さなくなります。表計算ソフトでも紙でも構いません。

9. よくある質問

在籍1年未満でも棚卸しできますか

できます。むしろ期間が短いほど、月単位で細かく区切ってください。「入社1〜3か月」「4〜6か月」「7〜12か月」の3区切りでも、書ける内容は出てきます。

思い出せない期間があります

メールの送信済みフォルダとカレンダーを月単位で見てください。何をしていたかがかなり分かります。

数字が本当に出ません

期間、人数、扱った範囲のいずれかで代替できます。「2年間」「後輩2名」「担当5部署」も数字です。

誰かに見てもらうべきですか

まず自分で作ってください。作ったあとに、前職の同僚やエージェントに見せると、抜けている項目が指摘されます。

前職が複数ある場合は

会社ごとに1枚作ります。合計3枚になっても構いません。

アルバイトや学生時代も入れますか

社会人経験がある場合は、社会人以降だけで構いません。社会人経験が1年未満の場合、学生時代のアルバイトを入れる価値があります。

棚卸しの内容をそのまま職務経歴書にできますか

そのままではできません。棚卸しは材料で、書類は応募先に合わせて選んで並べたものです。第6章の対応表を使ってください。

定期的に更新すべきですか

半年に1回、新しく担当したことを追記すると、次の転職時に楽になります。転職しない場合でも、評価面談の材料になります。

10. まとめ:今週やる3つのこと

キャリアの棚卸しは、抽象的な自己分析ではなく、事実を並べる作業です。

1つめ、時系列の表を作る。入社から現在までを3〜6か月単位で区切り、その期間に何をしていたかを1行ずつ書きます。4〜6行になるはずです。所要30分。

2つめ、その表に数字を足す。担当社数、対応件数、指導した人数、期間。第4章の表を見ながら探してください。所要40分。

3つめ、「自分で決めて変えたこと」を3つ書き出す。小さくて構いません。ここが、他の候補者と差がつく唯一の欄です。所要20分。

この3つで1時間半です。ここが終われば、職務経歴書は組み立てるだけになります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。