先に辞めてから探すか|在職中との違いを数字で見る【2026年版】
転職活動を始めるとき、在職中に進めるか、先に辞めてから探すかという選択があります。
一般には「在職中が有利」と言われます。実際その通りですが、先に辞めたほうがいい場合もあります。問題は、その判断を感覚でしていることです。
この記事では、両者の違いを数字で整理して、判断の基準をまとめます。
1. 結論:原則は在職中。例外が3つある
原則:在職中に活動する。収入が続くため、条件を妥協せずに済みます。
例外1、現在の業務量が過剰で、活動する時間がまったく取れない。物理的に無理な場合です。
例外2、心身の状態が続けられる状況にない。この場合は、まず休むことが先です。
例外3、資格取得や学習に集中する必要がある。未経験の職種を目指す場合など、期間を区切って準備する形です。
例外に当てはまらないなら、在職中に進めてください。
「今の会社が嫌だから早く辞めたい」は、例外に含まれません。その場合、辞めた後に条件を妥協しやすくなります。
2. 在職中と退職後の比較
| 項目 | 在職中 | 退職後 |
|---|---|---|
| 収入 | あり | なし(給付を受けられる場合も) |
| 活動できる時間 | 平日夜・土日 | 平日日中も可能 |
| 面接の日程調整 | 制約がある | 自由 |
| 条件の交渉 | 妥協しにくい | 焦りから妥協しやすい |
| ブランク | なし | 期間による |
| 心理的な余裕 | ある | 期間が長引くと減る |
| 準備に使える時間 | 限られる | 十分にある |
4行目が最も大きな差です。
収入がない状態で活動すると、時間の経過とともに焦りが増します。その状態で内定が出ると、条件を十分に検討せずに受けやすくなります。
2行目と3行目は、退職後の利点です。特に、複数の面接が重なる時期には効きます。
5行目のブランクは、3か月程度であれば大きな問題になりません。ただし、半年を超えると理由の説明が必要になります。
3. 編集長が相談を受けた話:3か月のつもりが7か月
先に辞めて活動を始めた方から、相談を受けたことがあります。
相談者「もう7か月経ちます」
私「最初はどのくらいの想定でしたか」
相談者「3か月です。すぐ決まると思ってました」
私「今、何社くらい受けてますか」
相談者「最近は月2社くらいです。最初は月8社受けてたんですけど」
私「減った理由は?」
相談者「……落ち続けて、応募する気力が落ちてきて」
期間が長引くと、応募のペース自体が落ちます。そして、ペースが落ちるとさらに長引く。
この方の場合、最初の3か月で結果が出なかった時点で、いったん働きながら探す形に切り替える選択肢がありました。
先に辞める場合、期限を決めてください。「3か月で決まらなければ、条件を広げる」「6か月で決まらなければ、いったん働く」といった形です。
期限がないと、期間だけが伸びます。
4. 期間と費用の目安
先に辞める場合、必要な期間と費用を先に見積もってください。
期間の目安
| 段階 | 目安 |
|---|---|
| 準備(書類・棚卸し) | 2週間 |
| 応募〜書類選考 | 2〜4週間 |
| 面接(複数回) | 3〜6週間 |
| 内定〜入社 | 2〜4週間 |
| 合計 | 3〜4か月 |
これは順調に進んだ場合です。職種を変える場合や、書類が通りにくい場合は、さらに1〜2か月かかります。
費用の項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生活費 | 期間分 |
| 健康保険料 | 国民健康保険または任意継続 |
| 国民年金保険料 | 期間分 |
| 住民税 | 前年の所得に基づく。自分で納付 |
| 活動費 | 交通費、写真、書類の郵送など |
4行目を見落とす人が多いです。住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職して収入がなくなっても納付の義務は残ります。
失業給付を受けられる場合もありますが、自己都合の退職では受給までに一定の期間があるとされています。詳細はハローワークにご確認ください。
目安として、6か月分の生活費を確保してから辞めるのが安全という考え方が一般的です。
5. 先に辞めたほうがいい場合
ケース1、業務量が過剰で、活動する時間がまったく取れない
判断の基準:月の残業が80時間を超える状態が続き、休日も出勤している。この状態では、書類を作る時間も面接の日程も確保できません。
ケース2、心身の状態が続けられる状況にない
この場合は、転職活動より先に休むことを優先してください。無理に活動を続けると、判断の質が落ちます。必要に応じて、医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。
ケース3、資格取得や学習に集中する必要がある
未経験の職種を目指す場合、期間を区切って学習に集中する選択があります。ただし、期限と、その後の計画を決めてからにしてください。
ケース4、退職日が先に決まっている
契約期間の満了や、会社の都合による退職の場合、選択の余地がありません。この場合、退職日が決まった時点で活動を始めてください。
| ケース | 判断 |
|---|---|
| 業務量が過剰 | 先に辞める選択が合理的 |
| 心身の状態 | まず休む。活動は後 |
| 学習に集中 | 期限を決めてから |
| 退職日が決定済み | 選択の余地なし。すぐ活動開始 |
| 今の会社が嫌 | 在職中に活動する |
最下行に注意してください。これは、辞めた後に条件を妥協する典型的なパターンです。
6. 在職中の時間の作り方
「時間がない」と感じる場合、まず配分を見直してください。
| 時間帯 | できること | 目安 |
|---|---|---|
| 通勤(往復) | 求人を見る、応募する、メールを返す | 1日30〜60分 |
| 昼休み | メールの返信、日程調整 | 1日10分 |
| 平日夜 | オンライン面接 | 週1〜2回 |
| 土曜 | 書類作成、企業研究 | 週3時間 |
| 有給 | 対面の面接 | 全体で3〜5日 |
合計すると、週7〜9時間になります。3か月なら、90〜110時間です。
これで足りるかというと、足ります。書類の作成に10時間、企業研究に20時間、面接に20時間。残りは求人を見る時間と、メールの対応です。
「時間がない」の実態は、「まとまった時間がない」であることが多いです。細切れの時間でできる作業(求人を見る、応募する、メールを返す)を通勤時間に寄せると、土曜の3時間を書類と準備に使えます。
7. 面接で聞かれる3問と答え方
Q1「なぜ退職してから活動されているのですか」
先に辞めた場合、必ず聞かれます。
回答例:「前職では月の残業が80時間を超える状態が続いており、転職活動の時間を確保することが難しい状況でした。書類の準備と面接に集中するため、退職してから活動する判断をしました。」
「嫌だったから」ではなく、「活動の時間が取れなかった」という構造の話にしてください。
Q2「ブランクの期間は何をされていましたか」
回答例:「転職活動と並行して、〇〇の学習を進めていました。週15時間程度で、直近では〇〇まで進んでいます。」
「何もしていなかった」と答えないでください。何かしら進めていたことを示してください。
Q3「いつまでに決めたいですか」
回答例:「〇月中の入社を目標にしています。準備は整っているので、決まり次第すぐ入社できる状態です。」
すぐ入社できることは、退職後の活動の利点です。企業側にとっても、入社日の調整が不要になります。
8. 進め方と時間配分
在職中に進める場合の目安
| 週 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 棚卸し+書類作成 | 週5時間 |
| 3週目 | エージェント登録・面談 | 週3時間 |
| 4〜8週目 | 応募(週5社)+面接 | 週5時間 |
| 9〜12週目 | 二次・最終面接、内定 | 週5時間 |
先に辞める場合の目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職前 | 書類を完成させておく |
| 退職後1週目 | 保険・年金の手続き |
| 2〜3週目 | エージェント登録、応募開始 |
| 4〜10週目 | 面接。並行して応募を続ける |
| 3か月時点 | 進捗を確認。決まらなければ条件を見直す |
| 6か月時点 | いったん働く選択も検討 |
退職前に書類を完成させておくのが、この表で最も重要です。退職後に書類から作り始めると、そこで2〜3週間を失います。
3か月と6か月に確認の時点を置いてください。期限がないと、期間だけが伸びます。
9. よくある質問
ブランクは何か月まで大丈夫ですか
3か月程度なら理由を聞かれない場合もあります。半年を超えると説明が必要になります。1年を超えると、その期間に何をしていたかが重視されます。
失業給付はいつから受け取れますか
自己都合の退職では、受給までに一定の期間があるとされています。詳細はハローワークにご確認ください。
貯金はいくらあれば辞められますか
6か月分の生活費が一つの目安とされます。ただし、住民税や社会保険料も必要になるため、収入がなくなっても支出はゼロにはなりません。
在職中だと面接の日程が取れません
多くの企業が平日夜やオンラインに対応しています。応募の段階で「平日は19時以降、土曜は終日対応可能」と伝えてください。
退職後のほうが選考で不利ですか
大きく不利になることはありません。ただし「なぜ退職してから活動しているのか」は聞かれます。
辞めてから何社くらい受けますか
在職中と同じで、20社前後が目安です。時間があるからといって50社受けると、1社あたりの準備が薄くなります。
決まらないまま期間が伸びています
第3章のケースです。応募のペースが落ちていないか確認してください。落ちている場合、条件を広げるか、いったん働く選択を検討してください。
派遣やアルバイトをしながら探すのは
選択肢として有効です。収入が確保でき、ブランクも埋まります。ただし、活動の時間が減る点は考慮してください。
10. まとめ:判断する前にやる3つのこと
先に辞めるかどうかは、感覚ではなく数字で判断してください。
1つめ、在職中に週何時間使えるかを計算する。通勤、昼休み、平日夜、土曜。第6章の表で数えてください。週7時間あれば、3か月で足ります。所要15分。
2つめ、先に辞める場合の期間と費用を見積もる。3〜4か月分の生活費、健康保険料、年金保険料、住民税。第4章の表を使ってください。所要30分。
3つめ、辞める場合も、退職前に職務経歴書を完成させる。退職後に作り始めると、そこで2〜3週間を失います。所要4時間。
そして、先に辞める場合は期限を決めてください。3か月時点と6か月時点で、進捗を確認する形にします。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。