年収が下がる転職の判断基準|第二新卒が3年で戻せるかを見る【2026年版】
〜下げてよいのは、3年で戻せる見込みがある場合だけです〜
未経験の職種に移ると、年収が下がることがあります。
これは、経験者と同じ水準では提示されないためです。
そして、この場面で多くの人が迷います。
「下がってでも、やりたい職種に移るべきか」
結論から言うと、判断の基準は1つです。
3年後に、今の水準まで戻せる見込みがあるかどうか。
戻せるなら、下げてよいです。20代であれば、3年の遅れは取り返せます。
戻せないなら、下げるべきではありません。
そして、「戻せるかどうか」は、感覚ではなく求人票で確認できます。
この記事では、3年後を確認する方法と、下げ幅の限度を整理します。
1. 結論:3年後の求人票を見る
次の手順で、10分で確認できます。
| # | やること |
|---|---|
| ① | 狙う職種の求人を検索する |
| ② | 「経験3年以上」の求人に絞る |
| ③ | 提示年収のレンジを5件確認する |
| ④ | その中央値と、現在の年収を比べる |
④で、中央値が現在の年収以上なら、3年で戻せる見込みがあります。
中央値が現在より低い場合、その職種では戻せません。
判断の分岐
| 3年後の相場 | 判断 |
|---|---|
| 現在の年収より高い | 下げてよい |
| 現在の年収と同等 | 下げてよい(下げ幅が小さい場合) |
| 現在の年収より低い | 下げるべきではない |
3行目の場合、その職種自体の水準が低い可能性があります。
「やりたい」という理由だけで移ると、5年後も同じ水準のままになります。
2. 下がる理由を確認する
まず、なぜ下がるのかを特定してください。
| 理由 | 3年後に戻せるか |
|---|---|
| ① 未経験だから | 戻せる(経験を積めば上がる) |
| ② 業界の水準が低いから | 戻せない |
| ③ 企業規模が小さいから | 業績次第 |
| ④ 賞与の有無・月数の差 | 制度なので変わらない |
| ⑤ みなし残業がなくなったから | 実質は下がっていない可能性 |
①と②を、区別してください。
①は、時間で解決します。
②は、解決しません。業界の給与水準そのものが低い場合、その業界にいる限り上がりません。
⑤に注意してください。
現職の年収に月45時間分のみなし残業が含まれていて、転職先にみなし残業がない場合、額面は下がっても、時間あたりの単価は上がっていることがあります。
時間あたりで比較する
計算例
現職:年収380万円、月の実労働200時間(残業45時間含む) → 年間2,400時間 → 時給約1,583円
転職先:年収360万円、月の実労働170時間(残業15時間含む) → 年間2,040時間 → 時給約1,765円
額面は20万円下がっていますが、時間あたりでは上がっています。
この計算をしないと、判断を誤ります。
3. 編集長の実体験:下がる前提で受けた
私が第二新卒で転職したとき、年収は少し下がりました。
広告営業からSaaSの営業に移り、業界も職種も変わったためです。
エージェントの担当者に、事前にこう言われていました。
担当者「未経験の業界なので、初年度は今と同等か、少し下がる可能性があります」
私「どのくらいですか」
担当者「10〜20万円くらいの幅で見ておいてください」
私「戻るんですか」
担当者「それは、職種と業界次第です。木戸さんが見てるSaaSの営業だと、経験3年の求人を見てもらうと分かります」
その場で、SaaS営業の「経験3年以上」の求人を5件見ました。
提示レンジは、当時の私の年収より明確に高い水準でした。
担当者「この水準なら、3年で戻せます。むしろ、上がる可能性の方が高い」
私「じゃあ、下がっても大丈夫ですね」
担当者「ただ、下げ幅には限度があります。生活が回らない水準まで下げると、続きません」
結果として、初年度は少し下がりましたが、その後は上がりました。
ここで学んだのは、「下がるかどうか」ではなく「3年後にどうなるか」で判断すべきだということです。
そして、その確認は、求人票を5件見るだけで済みます。
4. 下げ幅の限度
「3年で戻せる」としても、下げ幅には限度があります。
| 下げ幅 | 判断 |
|---|---|
| 〜5% | 問題なし |
| 5〜10% | 許容範囲(生活の見直しで対応可能) |
| 10〜15% | 要検討(生活費の計算が必要) |
| 15%以上 | 慎重に判断 |
年収380万円の場合、10%は38万円、月額で約3万2千円です。
この金額が、生活にどう影響するかを計算してください。
生活費の確認
次の項目を、月額で書き出してください。
| 項目 | 現在 | 転職後 |
|---|---|---|
| 手取り月収 | ||
| 家賃 | ||
| 固定費(通信・保険など) | ||
| 生活費 | ||
| 残る金額 |
手取りは、額面の75〜85%程度が目安です。
そして、住宅手当などの手当が変わる場合、それも計算に入れてください。
福利厚生の見方については、専用の記事にまとめています。
転職1年目の注意点
初年度は、想定より手取りが少なくなることがあります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 賞与が満額出ない | 前期の在籍期間に応じて按分される |
| 住民税 | 前年の所得を基に計算される |
2行目に注意してください。
住民税は、前年の所得を基に計算されます。
前職の年収が高かった場合、転職後の手取りが想定より少なくなります。
これは1年で解消しますが、初年度の家計には影響します。
具体的な計算は、自治体の窓口または税務の専門家に確認してください。
5. 下げてよい3つのケース
| # | ケース | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 3年後の相場が、現在の年収以上 | 戻せる |
| ② | 時間あたりの単価が上がる | 実質は下がっていない |
| ③ | 積める経験が明確に増える | 30代の選択肢が広がる |
③について
年収以外に、「積めるもの」で判断する視点です。
| 現職 | 転職先 | 判断 |
|---|---|---|
| 分業で、担当が狭い | 一人で完結できる範囲が広い | 下げてよい |
| 数字を見る機会がない | 数字を扱う業務がある | 下げてよい |
| 同じ作業の繰り返し | 自分で判断する範囲がある | 下げてよい |
20代で積んだ経験は、30代の年収に反映されます。
「今の20万円」と「3年後の選択肢」を比べてください。
6. 下げるべきではない3つのケース
| # | ケース | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 3年後の相場が、現在より低い | 戻せない |
| ② | 下げ幅が15%以上で、生活が回らない | 続かない |
| ③ | 逃げるための転職 | 次も同じことが起きる |
③について
「今の職場が嫌だから、条件を下げてでも移りたい」という状態です。
この場合、まず整理してください。
| 質問 | はい → |
|---|---|
| ハラスメントがある | 条件にかかわらず動く |
| 心身に影響が出ている | 条件にかかわらず動く |
| 労働条件が違法な状態 | 条件にかかわらず動く |
| 単に合わない | 条件を確認してから判断 |
上3つに該当する場合、年収の判断より優先してください。
そうでない場合、条件を下げる前に、他の選択肢を確認してください。
同じ職種で、条件の良い会社があるかもしれません。
7. 交渉の余地
提示額が低い場合、交渉できる場合があります。
| 材料 | 交渉のしやすさ |
|---|---|
| 他社からより高い提示がある | 最も強い |
| 現年収が提示額より高い | 強い |
| 求人票の上限に届いていない | 中 |
| 単に「もっと欲しい」 | 通らない |
2行目が、未経験職種でも使える材料です。
依頼の文面(エージェント経由)
「提示いただいた条件について、1点ご相談させてください。
現年収が380万円で、提示が350万円となっております。未経験での応募であることは理解しておりますが、現年収と同等の水準までご検討いただくことは可能でしょうか。
入社の意思は固まっております。」
最後の1文を必ず入れてください。
「条件次第では辞退する」という含みがあると、交渉が難しくなります。
交渉が通らない場合
その提示が、その企業の上限です。
その場合、次の3点で判断してください。
| # | 確認すること |
|---|---|
| ① | 3年後の相場(第1章の手順) |
| ② | 生活が回るか(第4章の計算) |
| ③ | 積める経験が増えるか |
8. 判断のチェックリスト
次の5問に答えてください。
| # | 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| ① | 3年後の相場は、現在の年収以上か | 下げてよい | 再検討 |
| ② | 下げ幅は10%以内か | 下げてよい | 生活費を計算 |
| ③ | 時間あたりの単価は上がるか | 下げてよい | 再検討 |
| ④ | 積める経験は明確に増えるか | 下げてよい | 再検討 |
| ⑤ | 逃げるための転職ではないか | 下げてよい | 整理し直す |
①が「いいえ」の場合、その職種では戻せません。
その場合、別の職種を検討するか、現職で経験を積んでから動くかを考えてください。
3つ以上「はい」なら、下げても問題ない可能性が高くなります。
9. よくある質問
未経験の職種に移ると、必ず年収は下がりますか?
下がる可能性が高くなります。ただし、業界を変えることで維持できる場合もあります。成長している業界であれば、未経験でも現年収と同等の提示が出ることがあります。
どのくらいまで下げても大丈夫ですか?
10%以内が目安です。年収380万円なら38万円、月額で約3万2千円です。15%を超える場合は、生活費を計算してから判断してください。
3年後に戻せるか、どう確認しますか?
狙う職種の「経験3年以上」の求人を5件見て、提示レンジの中央値を確認してください。10分で終わります。その中央値が現在の年収以上なら、戻せる見込みがあります。
転職1年目は、手取りが少なくなりますか?
少なくなる可能性があります。賞与が満額出ないことと、住民税が前年の所得を基に計算されることが理由です。2年目には解消しますが、初年度の家計には影響します。
みなし残業がなくなる場合も、下がったことになりますか?
時間あたりで比較してください。額面は下がっても、実労働時間が減れば、時間あたりの単価は上がっていることがあります。この計算をしないと、判断を誤ります。
年収より、やりたいことを優先していいですか?
3年後の相場を確認してからにしてください。3年後も現在より低い水準なら、その職種では上がりません。「やりたい」だけで移ると、5年後も同じ水準のままになります。
提示額の交渉はできますか?
できます。「現年収が◯◯万円で、提示が△△万円」という形で、根拠を示してください。ただし、「入社の意思は固まっている」ことを必ず添えてください。
今の職場が辛くて、条件を下げてでも移りたいです。
まず、ハラスメントや心身への影響があるかを確認してください。ある場合は、条件にかかわらず動いてください。そうでない場合、同じ職種で条件の良い会社がないかを、先に確認してください。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
年収が下がる転職を受け入れてよいのは、3年で戻せる見込みがある場合だけです。
そして、その確認は、求人票を5件見るだけで済みます。
今夜やること
① 狙う職種の「経験3年以上」の求人を5件見て、提示レンジを確認する(10分)
② その中央値と、現在の年収を比べる
③ 下げ幅を月額に換算し、生活費への影響を計算する(20分)
目安時間:合計30分
①が最も重要です。
「やりたいから下げる」ではなく、「3年後に戻せるから下げる」という判断にしてください。
私は、SaaS営業の「経験3年以上」の求人を5件見て、当時の年収より明確に高い水準であることを確認してから決めました。
結果として、初年度は少し下がりましたが、その後は上がりました。
この先、読むべき記事
- 第二新卒の年収|下がるのか上がるのか、職種転換のときの実態(年収の相場感)
- 求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順(提示額の分解)
- 第二新卒の年収交渉|2ヶ月で2社内定時の交渉実額を全公開(交渉の実務)
- 福利厚生の見方|第二新卒が実際に使えるかを確認する7項目(手当を含めた比較)
- 30歳までにやっておくこと|第二新卒が20代で積む7つのもの(積める経験で判断する)
- 年収が上がる転職と上がらない転職|分かれ目は3つある(上がる転職との違い)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。