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福利厚生の見方|第二新卒が実際に使えるかを確認する7項目【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約16分
福利厚生の見方|第二新卒が実際に使えるかを確認する7項目【2026年版】

〜「制度がある」と「使える」は別の話です〜

求人票の福利厚生欄には、多くの項目が並びます。

「社会保険完備、交通費支給、住宅手当、資格取得支援、社員食堂、リフレッシュ休暇、産休・育休制度」

ただ、この記載から判断できることは、実はあまり多くありません。

理由は2つあります。

1つ目:「社会保険完備」は、法律上の義務です。

要件を満たす従業員を社会保険に加入させることは、事業主の義務です。福利厚生として書かれていても、それは他社と比較する材料にはなりません。

2つ目:「制度がある」と「使える」は別の話です。

育休制度がある会社と、実際に育休を取得した人がいる会社は、違います。

だから、福利厚生は「記載の有無」ではなく、「金額に換算するといくらか」と「実際に使われているか」で見てください。

この記事では、確認すべき7項目と、年収換算の方法を整理します。

1. 結論:確認する7項目

#項目確認すること
住宅手当・家賃補助金額と、支給の条件
通勤手当上限額、全額支給か
賞与回数、月数、業績連動か
退職金制度の有無、勤続年数の要件
資格取得支援対象の資格、金額、実績
休暇制度年間休日、有給の取得率
育休・産休制度ではなく取得実績

①が、最も金額の差が出る項目です。

住宅手当が月2万円あれば、年間24万円です。

これは、年収に換算すると無視できない金額です。

そして、支給の条件を確認しないと、自分が対象になるか分かりません。

2. 法定福利と法定外福利

福利厚生は、2つに分かれます。

種類内容比較の材料になるか
法定福利健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険ならない(法律上の義務)
法定外福利住宅手当、退職金、社員食堂、資格支援などなる

「社会保険完備」は、法定福利です。

要件を満たす従業員について加入させることは、事業主の義務です。

だから、「社会保険完備」と書かれていることは、他社より優れている証拠にはなりません。

逆に、記載がない場合は確認が必要です。

比較の材料になるのは、法定外福利の方です。

よくある誤解

記載実際
社会保険完備法律上の義務
交通費支給支給額に上限があることが多い
各種手当あり何の手当か不明。要確認
研修制度あり内容と頻度を確認
資格取得支援対象と金額を確認

「各種手当あり」という記載は、情報がありません。

面接で「どのような手当がありますか」と確認してください。

3. 編集長の実体験:住宅手当の条件を確認していなかった

私が第二新卒で転職活動をしていたとき、選考が進んでいた会社の求人票に「住宅手当あり」と書かれていました。

金額の記載はありませんでした。

エージェントの担当者に、条件面の確認を依頼したとき、こう聞かれました。

担当者「住宅手当の条件、確認しますか」

「条件、ですか」

担当者金額と、誰が対象かです。会社によって、けっこう違うので」

「対象って、全員じゃないんですか」

担当者違うことが多いです。『世帯主であること』『会社から◯km以内に居住していること』『賃貸であること』みたいな条件がついてます」

「実家から通う場合は」

担当者対象外のことが多いですね

確認してもらった結果、その会社の住宅手当は「月2万円、賃貸で世帯主である場合のみ」でした。

私は当時、実家から通う予定でした。

つまり、対象外でした。

年間24万円の差になるはずだった金額が、ゼロでした。

ここで学んだのは、福利厚生は「あるかどうか」ではなく「自分が対象になるか」で見るべきだということです。

そして、この確認は、担当者に依頼すれば5分で終わります。

4. ①② 住宅手当と通勤手当

① 住宅手当・家賃補助

金額の差が最も大きい項目です。

確認項目
金額月1〜3万円が一般的
支給の条件世帯主、賃貸、距離の要件
支給の期間入社から◯年間、など
借り上げ社宅の有無会社が契約する形

「借り上げ社宅」は、手当より有利な場合があります。

会社が賃貸契約を結び、家賃の一部を負担する形です。

税制上の扱いが手当と異なるため、手取りへの影響が変わることがあります。

具体的な扱いは、会社と税務の専門家に確認してください。

② 通勤手当

確認項目内容
上限額月◯円まで
全額支給か上限を超えた分は自己負担
支給の対象定期代、実費
リモート勤務時の扱い出社日数に応じた実費精算に変わる場合あり

最後の行に注意してください。

リモート勤務が中心の会社では、定期代の支給をやめて、出社日の実費精算に切り替えている場合があります。

この場合、出社が少なければ支給額も少なくなります。

5. ③④ 賞与と退職金

③ 賞与

福利厚生とは別枠ですが、年収に最も影響します。

記載読み方
賞与年2回(計4ヶ月分)明確
賞与年2回月数が不明。要確認
賞与年2回(業績による)変動する。実績を確認
決算賞与確約されない

「基本給の◯ヶ月分」か「月給の◯ヶ月分」かも確認してください。

基本給基準の方が、金額が小さくなります。

④ 退職金

第二新卒では見落とされがちですが、長期的には大きな差になります。

確認項目内容
制度の有無ない会社も多い
勤続年数の要件「勤続3年以上」など
制度の種類退職一時金、企業年金、企業型DCなど
会社の掛金企業型DCの場合、月額

「企業型確定拠出年金(企業型DC)」がある会社は、実質的に給与の上乗せに近い性質があります。

会社が毎月一定額を拠出するためです。

ただし、原則として60歳まで引き出せません。

制度の詳細は、会社に確認してください。

6. ⑤⑥⑦ 資格支援・休暇・育休

⑤ 資格取得支援

確認項目内容
対象の資格業務に関連するもののみか
支給の形受験料のみ、合格時の一時金、両方
金額上限
取得実績直近1年で何名が利用したか

「取得実績」を聞いてください。

制度があっても、利用者がいない場合があります。

⑥ 休暇制度

確認項目内容
年間休日数120日以上が一般的な水準
有給の付与日数初年度の日数
有給の取得率実績を確認
特別休暇慶弔、夏季、年末年始

「年間休日数」が、最も客観的な指標です。

そして、「有給の取得率」を聞いてください。

制度として20日付与されていても、取得率が30%なら、実際に使えるのは6日です。

⑦ 育休・産休

第二新卒の段階では先の話に見えますが、確認する価値があります。

確認項目内容
制度の有無法定の制度は、要件を満たせば取得できる
取得実績直近で何名が取得したか
復帰後の実績復帰して働き続けている人がいるか
男性の取得実績会社の姿勢が表れる

「制度あり」は、判断材料になりません。

育児・介護休業法に基づく制度であり、要件を満たせば取得できるものです。

見るべきは、取得実績です。

一定規模以上の企業には、育児休業の取得状況の公表が求められており、コーポレートサイトで公開されていることがあります。

7. 年収換算で比較する

福利厚生は、金額に換算すると比較できます。

項目A社B社
提示年収380万円400万円
住宅手当月2万円(対象)=年24万円なし
通勤手当全額支給上限月1万円(実費1.5万円→自己負担月5千円=年6万円)
退職金ありなし
実質の年収約404万円約394万円

提示年収ではB社が高いですが、住宅手当と通勤手当を含めるとA社が上になります。

さらに、A社には退職金制度があります。

この計算をせずに提示額だけで比較すると、判断を誤ります。

換算できるもの・できないもの

換算できる換算しにくい
住宅手当、通勤手当社員食堂、休憩スペース
賞与研修制度
資格取得支援(金額)社内イベント
退職金(概算)制度としてあるが使われていないもの

換算できる項目だけで、まず比較してください。

そのうえで、換算できない項目を判断材料に加えます。

求人票の年収の読み方については、専用の記事にまとめています。

8. 面接での聞き方

福利厚生の質問は、聞くタイミングに注意してください。

タイミング適否
一次面接の逆質問避ける
二次面接の逆質問1つまでなら可
最終面接
内定後の条件確認最適
エージェント経由担当者に依頼するのが最も楽

一次面接では避けてください。

条件だけを見ていると受け取られる可能性があります。

最も確実なのは、内定後の条件確認です。

この段階では、条件を確認することが当然の行為です。

エージェントへの依頼

「条件面について、確認いただきたい点がございます。

住宅手当の金額と、支給の条件通勤手当の上限額 ・賞与の直近の支給実績(月数) ・退職金制度の有無と、勤続年数の要件 ・有給休暇の取得率

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

この5項目を、まとめて依頼してください。

担当者は、企業に確認して回答します。

面接で聞く場合の文例

「入社後の働き方をイメージしたく、1点伺えますでしょうか。有給休暇の取得率について、実績を教えていただけますか。

「働き方をイメージしたく」という前置きが有効です。

条件だけを見ているのではない、という文脈が作れます。

9. よくある質問

「社会保険完備」は、良い福利厚生ですか?

比較の材料にはなりません。要件を満たす従業員を社会保険に加入させることは、事業主の義務です。ただし、記載がない場合は確認が必要です。

住宅手当は、全員が対象ですか?

対象に条件がついていることが多くあります。「世帯主であること」「賃貸であること」「会社から◯km以内に居住すること」などです。自分が対象になるかを必ず確認してください。

退職金がない会社は、避けるべきですか?

一概には言えません。退職金がない代わりに、月給が高く設定されている会社もあります。年収換算で比較してください。

「制度あり」と書かれていれば、使えますか?

使えるとは限りません。特に育休・介護休業・資格取得支援については、取得実績を確認してください。制度があっても、利用者がいない場合があります。

有給の取得率は、どこで確認できますか?

面接またはエージェント経由で確認してください。一定規模以上の企業では、コーポレートサイトやIR資料で公開していることもあります。「取得率」ではなく「平均取得日数」で答えられることもあります。

面接で福利厚生を聞くと、印象が悪くなりませんか?

一次面接では避けてください。二次以降、または内定後の条件確認で聞くのが適切です。「入社後の働き方をイメージしたく」という前置きを添えてください。

借り上げ社宅と住宅手当、どちらが有利ですか?

税制上の扱いが異なるため、一概には言えません。会社によって条件も違います。具体的な扱いは、会社と税務の専門家に確認してください。

福利厚生と年収、どちらを優先しますか?

まず、年収換算で比較してください。住宅手当や通勤手当は、金額に換算できます。換算した上で、それでも差が小さい場合に、換算できない項目(休暇の取りやすさなど)で判断してください。

10. まとめ:内定後にやる3つのこと

福利厚生は、「記載があるか」ではなく「自分が対象になるか」で見てください。

そして、金額に換算できる項目は、年収に含めて比較してください。

内定後にやること

住宅手当の金額と、支給の条件を確認する(自分が対象か)

通勤手当の上限額と、実費との差を計算する

第7章の表を作り、実質の年収で比較する

目安時間:合計30分

①を必ず確認してください。

私は「住宅手当あり」という記載を見て、当然もらえるものだと思っていました。

確認したら、「賃貸で世帯主である場合のみ」でした。

実家から通う予定だった私は、対象外でした。

年間24万円の差になるはずだった金額が、ゼロでした。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。