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退職金制度の見方|第二新卒が3年目で受け取れる額を確かめる【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約15分
退職金制度の見方|第二新卒が3年目で受け取れる額を確かめる【2026年版】

第二新卒の転職では、退職金の話がほとんど出てきません。理由は単純で、勤続3年前後では受け取れる額が小さいか、そもそも対象外だからです。

ただ、確認しないまま辞めると2つの損が起きます。1つは、あと数か月で支給要件を満たすのに気づかず辞めるケース。もう1つは、確定拠出年金の移換手続きを放置して、資産が自動移換されてしまうケースです。

この記事では、退職金制度の型を整理して、退職前に確認すべき項目と、転職先の求人票で見るべき点をまとめます。

なお、制度の内容は一般的な整理です。個別の判断は勤務先の規程を確認のうえ、専門機関にご確認ください。

1. 結論:確認するのは3つ

1つめ、支給の対象になる勤続年数。「勤続3年以上」と定めている会社が多く、それ未満だと支給ゼロです。あと2か月で3年になるなら、退職日を動かす価値があります。

2つめ、制度の種類。会社が積み立てて退職時に払う型か、確定拠出年金(企業型DC)か。後者なら、退職後に自分で移換の手続きが必要です。

3つめ、転職先に制度があるか。求人票の「退職金制度あり」だけでは、金額の水準も要件も分かりません。

この3つのうち、2つめが放置されやすいです。手続きを忘れると自動移換され、その間は運用されず手数料だけがかかります。

2. 退職金制度の型

内容転職時の扱い
退職一時金会社が退職時に一括で支給退職時に受け取る
企業型確定拠出年金(DC)会社が毎月拠出し、本人が運用転職先のDCかiDeCoへ移換
確定給付企業年金(DB)将来の給付額があらかじめ定まる型一時金または移換
中小企業退職金共済(中退共)外部機関に積み立て通算または解約手当金
制度なし退職金の支給がない

第二新卒で特に関係するのは2行目です。企業型DCに加入していた場合、退職後6か月以内に移換の手続きをしないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換されると運用が止まり、管理手数料が引かれ続けます。

手続き先は、転職先に企業型DCがあればそこへ、なければiDeCo(個人型確定拠出年金)へという流れが一般的です。

3. 編集長が相談を受けた話:2か月早く辞めて支給ゼロ

知人から、退職後に聞いた話です。

知人「退職金、出なかったんだよね」

私「勤続何年でした?」

知人「2年10か月。規程を見たら『勤続3年以上』って書いてあって」

私「就業規則は退職を決める前に見ました?」

知人「見てない。そもそも退職金があると思ってなかった」

私「入社日はいつでした?」

知人「4月1日。辞めたのが1月末だから、あと2か月だった」

2か月で支給の有無が分かれていたケースです。

金額としては第二新卒の勤続3年なら数十万円程度が一般的ですが、それでも転職の準備費用としては小さくありません。何より、知らずに逃すのが惜しい。

その後、この方は転職先の求人票で「退職金制度あり」の記載を見つけたとき、面接で支給要件を確認するようになりました。1回の失敗で確認の習慣がついた形です。

4. 退職前に確認する5項目

1つめ、就業規則の退職金規程を読む。「退職金規程」または「退職手当規程」という別冊になっていることが多いです。人事に「規程を確認したい」と伝えれば見られます。

2つめ、支給の対象となる勤続年数。3年以上が多いですが、1年以上の会社も、5年以上の会社もあります。

3つめ、自己都合と会社都合で支給率が変わるか。自己都合退職では支給率を下げる規程が一般的です。

4つめ、企業型DCに加入しているか。給与明細や年1回の通知書で確認できます。加入していれば移換の手続きが必要です。

5つめ、勤続年数の起算日。入社日か、試用期間終了後か。会社によって異なります。

確認項目どこで分かるか
退職金規程の有無就業規則(別冊の場合あり)
支給対象の勤続年数退職金規程
自己都合の支給率退職金規程
企業型DCの加入給与明細、年1回の通知書
勤続年数の起算日退職金規程、雇用契約書

所要時間は1時間程度です。退職を伝える前に済ませておくと、退職日の設定に反映できます。

5. 企業型DCの移換手続き

第二新卒の転職で最も実務的に重要な部分です。手順を整理します。

手順1、退職時に「加入者資格喪失の通知」を受け取る。会社または運営管理機関から送られてきます。

手順2、転職先に企業型DCがあるか確認する。あれば、転職先の担当窓口に移換を申し出ます。

手順3、なければiDeCoの口座を開設する。金融機関を選んで申し込みます。開設には1〜2か月かかることがあります。

手順4、移換の申請をする。資格喪失から6か月以内が目安です。

状況移換先
転職先に企業型DCがある転職先の企業型DC
転職先に企業型DCがないiDeCo
しばらく就職しないiDeCo
手続きを忘れた自動移換(運用が止まり手数料がかかる)

最後の行を避けるのがこの章の目的です。自動移換されても手続きすれば移換できますが、その間の運用機会は戻りません。

制度の詳細や、自分のケースでどう手続きすべきかは、運営管理機関または金融機関の窓口に確認してください。

勤続年数と支給額のイメージ

退職金の額は、勤続年数に対して直線ではなく、後半で急に増える設計が一般的です。

勤続年数一般的な支給の傾向
3年未満支給対象外の会社が多い
3〜5年数十万円程度
5〜10年100万円台に届く場合がある
10年以上勤続年数に応じて増加のペースが上がる

第二新卒の段階では、退職金は転職の判断材料としては小さいというのが実際のところです。数十万円の差で転職の可否を決めるより、次の職場での3年間で年収がどう変わるかのほうが影響が大きくなります。

一方、企業型確定拠出年金の移換手続きは、金額に関係なく必ずやってください。放置すると運用が止まり、手数料だけが引かれ続けます。20代で数十万円の資産でも、30年運用するかどうかで結果は大きく変わります。

この記事で本当に重要なのは、金額の話ではなく手続きの話です。第5章の移換の手順を、退職が決まった時点でカレンダーに入れてください。

なお、支給額の傾向は一般的な整理であり、会社の規程によって大きく異なります。個別の内容は勤務先の退職金規程をご確認ください。

6. 転職先の求人票で見る2点

1つめ、「退職金制度あり」の中身。この表記だけでは、一時金なのかDCなのか、支給要件が何年なのかが分かりません。面接で確認します。

2つめ、確定拠出年金の記載。「企業型確定拠出年金(企業型DC)導入」と書かれていれば、前職のDCをそこへ移換できます。

聞き方の例です。

「福利厚生について伺いたいのですが、退職金制度は一時金の形でしょうか、それとも確定拠出年金でしょうか。また、支給の対象となる勤続年数を教えていただけますか。」

この質問は労働条件の確認なので、聞いて印象が悪くなることはありません。むしろ長く働く前提で考えている姿勢として受け取られます。

7. 面接で聞かれる3問と答え方

退職金や福利厚生の質問をすると、逆に確認されることがあります。

Q1「福利厚生を重視されるのですか」

回答例:「重視というより、長く働く前提で条件を把握しておきたいと考えています。前職では入社時に制度を確認しておらず、後から知る形になったので、今回は最初に伺うようにしています。」

Q2「何年くらい働くつもりですか」

回答例:「年数で区切って考えてはいません。ただ、任される範囲を広げていく前提でいるので、最低でも数年単位で腰を据えたいと考えています。」

「3年です」のように区切って答えないほうが無難です。区切ると、その先を考えていないように受け取られます。

Q3「前職の退職金は受け取られましたか」

回答例:「勤続3年に届かなかったため、支給の対象外でした。確定拠出年金には加入していたので、移換の手続きを進めています。」

事実をそのまま答えて構いません。

8. 進め方と時間配分

時期やること目安時間
退職を決める前就業規則の退職金規程を確認1時間
退職を決める前勤続年数の起算日と支給要件を照合15分
退職日の設定時支給要件を満たす日付かを確認10分
退職後資格喪失通知の受領を確認
退職後1か月以内移換先を決めて手続き開始2時間
入社後転職先の退職金制度の内容を確認30分

2行目が最も見落とされます。勤続年数の起算日が入社日ではなく試用期間終了後の会社もあります。1か月の差で要件を満たさないケースが起こり得るので、規程の文面を確認してください。

9. よくある質問

第二新卒だと退職金はいくらくらいですか

会社と制度によりますが、勤続3年程度なら数十万円が一つの目安です。制度がない会社も少なくありません。

退職金がない会社は避けるべきですか

一概には言えません。退職金がない代わりに月給や賞与が高い会社もあります。年収の総額で比較してください。

中退共に加入していた場合はどうなりますか

転職先も中退共に加入していれば通算できる場合があります。加入していなければ解約手当金を請求する形になります。詳細は中退共の窓口に確認してください。

確定拠出年金の移換は自分でやるのですか

はい。会社は手続きを代行しません。転職先に企業型DCがあれば転職先の窓口に、なければ金融機関でiDeCoの口座を開設して申請します。

移換を忘れて自動移換されました

手続きをすれば移換できます。ただし自動移換の期間は運用されず、管理手数料がかかります。気づいた時点で早めに手続きしてください。

退職金の額は面接で聞いていいですか

制度の有無と支給要件は聞いて構いません。具体的な金額は、内定後の条件確認の場で聞くほうが自然です。

自己都合と会社都合で退職金は変わりますか

多くの会社で支給率が異なります。規程で確認してください。

退職金は税金がかかりますか

退職所得として課税の対象になりますが、勤続年数に応じた控除があります。第二新卒の水準では課税されないことが多いですが、個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。

10. まとめ:退職を決める前にやる3つのこと

退職金は第二新卒にとって金額こそ小さいものの、知らずに逃す・手続きを忘れるという形で損が出やすい項目です。

1つめ、就業規則の退職金規程を読む。人事に「規程を確認したい」と伝えれば見られます。支給要件の勤続年数と、起算日の2点だけ見れば足ります。所要1時間。

2つめ、給与明細で企業型DCの拠出があるか確認する。あれば、退職後に移換の手続きが必要です。この確認は5分で終わります。

3つめ、退職日が支給要件を満たすかを照合する。あと1〜2か月で要件を満たすなら、退職日を動かす選択肢があります。所要10分。

なお、この記事は一般的な整理です。個別の制度内容や手続きについては、勤務先の規程を確認のうえ、運営管理機関や税務署など専門機関にご確認ください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。