求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順【2026年版】
〜「月給30万円」と書かれていても、年収が360万円とは限りません〜
求人票の給与欄は、書き方が統一されていません。
「月給28万円〜」「年収350〜500万円」「想定年収400万円(諸手当含む)」
この3つは、そのままでは比較できません。
そして、比較できないまま応募先を選ぶと、内定が出てから条件が想定と違うことに気づきます。
年収を正しく読むには、6つの項目に分解する必要があります。
基本給、固定残業代、賞与、手当、残業代、そして「その金額に含まれるもの」の範囲。
この分解は、1社あたり10分で終わります。
そして、この10分をやるかどうかで、複数社を比較したときの判断がまったく変わります。
この記事では、6項目への分解手順と、比較表の作り方を整理します。
1. 結論:6項目に分解する
| # | 項目 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| ① | 基本給 | 給与欄(固定残業代を引いた額) |
| ② | 固定残業代 | 給与欄の但し書き |
| ③ | 賞与 | 「賞与年◯回」「◯ヶ月分」の記載 |
| ④ | 手当 | 住宅手当、通勤手当、資格手当など |
| ⑤ | 残業代(超過分) | 実際の残業時間×単価 |
| ⑥ | 「想定年収」に何が含まれるか | 括弧書きの中身 |
⑥が、最も見落とされます。
「想定年収400万円」と書かれていても、そこに何が含まれているかは、会社によって違います。
| 記載 | 含まれるもの |
|---|---|
| 想定年収400万円 | 不明(要確認) |
| 想定年収400万円(賞与含む) | 基本給×12+賞与 |
| 想定年収400万円(諸手当・賞与含む) | 手当と賞与も込み |
| 想定年収400万円(固定残業代45時間分含む) | 残業前提の金額 |
4行目の場合、実質的な基本給は大きく下がります。
2. 月給と年収の関係
「月給30万円」から年収を計算するとき、単純に12を掛けてはいけません。
| 計算 | 結果 |
|---|---|
| 月給30万円×12ヶ月 | 360万円 |
| +賞与(年2回・計4ヶ月分) | +120万円=480万円 |
| +賞与(年2回・計2ヶ月分) | +60万円=420万円 |
| 賞与なし | 360万円 |
賞与の有無で、120万円の差が出ます。
そして、求人票に「賞与年2回」とだけ書かれている場合、何ヶ月分かは分かりません。
賞与の記載パターン
| 記載 | 読み方 |
|---|---|
| 賞与年2回(計4ヶ月分) | 明確。最も信頼できる |
| 賞与年2回 | 月数が不明。要確認 |
| 賞与年2回(業績による) | 変動する。出ない年もあり得る |
| 賞与なし(年俸制) | 年俸を12〜16で割った額が毎月支給 |
| 決算賞与 | 業績次第。確約されない |
「業績による」の場合、最低保証があるかを確認してください。
そして、入社1年目は賞与が満額出ないことが多くあります。
賞与は「前期の在籍期間」に応じて計算されるためです。
初年度の年収は、2年目以降より低くなると想定しておいてください。
3. 編集長の実体験:3社を並べて初めて分かったこと
私が第二新卒で転職活動をしていたとき、内定が出た2社と、選考中の1社の条件を並べて比較しました。
最初、頭の中では「A社が一番高い」と思っていました。
提示された月給が、A社が最も高かったからです。
ところが、表にしてみると、順位が変わりました。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 月給 | 300,000円 | 280,000円 |
| 固定残業代 | 45時間/66,000円 | 20時間/33,000円 |
| 基本給 | 234,000円 | 247,000円 |
| 賞与 | 年2回(業績による) | 年2回(計4ヶ月) |
| 想定年収 | 約360万円+賞与 | 約336万円+99万円=約435万円 |
月給ではA社が高いのに、年収ではB社が上でした。
理由は2つです。
1つ目:A社の月給には、45時間分の固定残業代が含まれていた。
2つ目:B社の賞与は基本給の4ヶ月分で、A社は業績によるため保証がなかった。
エージェントの担当者に、この表を見せました。
担当者「この表、正しいです。よく作られましたね」
私「作ってみて、思っていたのと逆でした」
担当者「月給だけ見て決める人、多いんですよ。提示される数字が一番大きいので」
私「賞与の差が大きいですね」
担当者「賞与は基本給を基準に計算されることが多いので、基本給が低いと賞与も低くなります。ダブルで効いてくる」
ここで学んだのは、月給の大きさは年収の順位を決めない、ということです。
そして、この表を作るのにかかった時間は、30分でした。
年収で数十万円の差がつく判断を、30分で確認できます。
4. ①② 基本給と固定残業代
基本給を計算する
固定残業代が含まれる場合、必ず引き算してください。
計算例
月給280,000円(固定残業代45時間分・62,000円を含む)
基本給 = 280,000 − 62,000 = 218,000円
基本給が重要な理由は3つあります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 賞与の計算基準 | 「基本給の◯ヶ月分」で計算されることが多い |
| ② 退職金の計算基準 | 制度がある場合、基本給が基準 |
| ③ 残業代の単価 | 超過分の割増賃金は基本給を基に計算 |
基本給が低い設計は、この3つすべてに影響します。
固定残業代の詳しい見抜き方は、専用の記事にまとめています。
固定残業代の時間数を見る
| 時間数 | どう読むか |
|---|---|
| 0時間(記載なし) | 全額が残業代として別途支給 |
| 10〜20時間 | 一般的な範囲 |
| 20〜30時間 | やや多め |
| 30時間以上 | 常態的な残業を前提とした設計 |
5. ③④ 賞与と手当
③ 賞与を年収に換算する
計算例
基本給218,000円、賞与年2回(計4ヶ月分)
賞与 = 218,000 × 4 = 872,000円
ここで、「基本給の4ヶ月分」なのか「月給の4ヶ月分」なのかを確認してください。
基本給基準の方が、金額が小さくなります。
面接または内定後に、「賞与は基本給を基準に計算されますか」と確認してください。
④ 手当を確認する
| 手当 | 確認すること |
|---|---|
| 住宅手当・家賃補助 | 金額、支給の条件(世帯主か、距離か) |
| 通勤手当 | 上限額、全額支給か |
| 資格手当 | 対象の資格、金額 |
| 家族手当 | 支給の条件 |
| 役職手当 | 対象になる役職 |
住宅手当は、金額が大きい場合があります。
月2万円なら、年24万円。年収に換算すると小さくありません。
ただし、支給の条件(世帯主であること、会社から◯km以内に居住することなど)があるため、自分が対象になるかを確認してください。
6. ⑤⑥ 残業代と「想定年収」の中身
⑤ 残業代を見積もる
固定残業時間を超えた分は、別途支給されます。
ただし、面接で「実際の残業時間」を確認しないと、見積もれません。
| 確認すること | 質問 |
|---|---|
| 実際の残業時間 | 「配属予定部署の月平均の残業時間を教えてください」 |
| 繁忙期の差 | 「繁忙期と閑散期で、どのくらい差がありますか」 |
実際の残業が固定残業時間より少ない場合、応募者に有利な設計です。
逆に、常に超えている場合、超過分が支払われているかを確認してください。
⑥ 「想定年収」の中身を確認する
求人票に「想定年収400万円」とだけ書かれている場合、面接で確認してください。
聞き方
「想定年収について確認させてください。この金額には、賞与と諸手当が含まれておりますでしょうか。また、固定残業代は含まれますでしょうか。」
この1問で、6項目のうち3つが確認できます。
「年収350〜500万円」の幅の読み方
幅がある場合、自分がどこに位置するかを確認してください。
| 質問 | 分かること |
|---|---|
| 「経験年数によって、どのように変わりますか」 | 幅の理由 |
| 「私の経歴の場合、どのあたりになりますでしょうか」 | 自分の位置 |
幅の上限は、その職種で最も経験のある人の金額であることが多くあります。
第二新卒であれば、下限に近い金額を想定しておいてください。
7. 比較表の作り方
複数社を検討している場合、次の表を作ってください。
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 提示月給 | |||
| 固定残業代(時間/金額) | |||
| 基本給 | |||
| 賞与(回数/月数/基準) | |||
| 主な手当 | |||
| 年収の見込み | |||
| 実際の残業時間(面接で確認) | |||
| 昇給の頻度と幅 |
「年収の見込み」の計算式は次のとおりです。
年収の見込み = 月給 × 12 + 基本給 × 賞与の月数 + 手当 × 12
この計算をすると、月給の大小と年収の順位が一致しないことが分かります。
昇給も確認する
初年度の年収だけで比較すると、3年後の差を見落とします。
| 質問 | 分かること |
|---|---|
| 「昇給は年に何回ありますか」 | 頻度 |
| 「昇給の幅は、平均でどのくらいでしょうか」 | 伸び方 |
| 「等級制度はありますか」 | 昇格の仕組み |
初年度は同じでも、昇給の仕組みが違うと3年後に差が出ます。
8. 手取り額を把握する
年収の額面と、実際に手元に入る金額は違います。
おおまかな目安として、額面の75〜85%程度が手取りになります。
| 差し引かれるもの | 内容 |
|---|---|
| 所得税 | 収入に応じて |
| 住民税 | 前年の所得に応じて(1年目は前職基準) |
| 健康保険料 | 標準報酬月額に応じて |
| 厚生年金保険料 | 同上 |
| 雇用保険料 | 賃金に応じて |
正確な金額は、年齢、扶養の有無、居住地、加入している健康保険組合によって変わります。
目安としては、額面の8割程度を想定しておくと、大きく外れません。
そして、転職した年は住民税に注意してください。
住民税は前年の所得を基に計算されるため、前職の収入が高かった場合、転職後の手取りが想定より少なくなることがあります。
正確な計算は、税務署または自治体の窓口で確認してください。この記事は税務の助言を行うものではありません。
9. よくある質問
「月給」と「基本給」は同じですか?
違うことがあります。「月給」は毎月支給される総額で、固定残業代や手当を含む場合があります。「基本給」は、そこから固定残業代と手当を引いた額です。求人票では、どちらの意味で使われているかを確認してください。
賞与の月数が書かれていない場合、どうすればいいですか?
面接または内定後に確認してください。「賞与の実績について、直近の支給月数を教えていただけますでしょうか」と聞きます。答えられない、または大きく変動する場合、年収の見込みに含めない方が安全です。
初年度の賞与は満額出ますか?
多くの場合、出ません。賞与は前期の在籍期間に応じて計算されるため、期の途中で入社すると按分されます。初年度の年収は、2年目以降より低くなると想定してください。
年俸制の場合、どう読めばいいですか?
年俸を何回に分けて支給するかを確認してください。12分割なら月給は年俸÷12、16分割なら賞与相当分が含まれます。また、年俸に固定残業代が含まれるかも確認が必要です。
想定年収の幅が大きい求人は、避けるべきですか?
避ける必要はありませんが、自分がどこに位置するかを確認してください。「私の経歴の場合、どのあたりになりますでしょうか」と面接で聞いて構いません。第二新卒であれば、下限に近い金額を想定してください。
面接で年収について聞くのは失礼ですか?
失礼ではありません。ただし、逆質問の1問目に持ってくると、条件だけを見ていると受け取られる可能性があります。業務内容の質問の後に聞くか、内定後の条件確認で聞いてください。
エージェント経由なら、担当者に聞けますか?
聞けます。むしろ、担当者に聞く方が確実です。企業に直接聞きにくい内容も、担当者経由なら確認できます。「基本給、賞与の実績、固定残業代の有無を確認していただけますか」と依頼してください。
提示された年収が想定より低い場合、交渉できますか?
できます。ただし、根拠が必要です。現職の年収が提示額より高い、他社からより高い提示がある、といった材料があると交渉しやすくなります。エージェント経由なら、担当者が代行します。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
求人票の年収は、提示された数字をそのまま比較できません。
6項目に分解して、初めて比較できる形になります。
そして、月給が高い会社が、年収でも高いとは限りません。
今夜やること
① 検討中の求人の給与欄を開き、固定残業代の記載を探す(5分)
② 基本給を計算する(月給 − 固定残業代)
③ 第7章の比較表を作り、検討中の2〜3社を並べる
目安時間:合計30分
③をやってください。
私は、この表を作るまで「A社が一番高い」と思っていました。表にしたら、順位が逆でした。
30分で、年収数十万円の差がつく判断が変わります。
この先、読むべき記事
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- 求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さない(求人票全体の読み方)
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- 年収が下がる転職の判断基準|第二新卒が3年で戻せるかを見る(年収が下がる場合の考え方)
- 給与明細の見方|提示年収と手取りの差を埋める(提示額から手取りを見積もる)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。