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求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約16分
求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順【2026年版】

〜「月給30万円」と書かれていても、年収が360万円とは限りません〜

求人票の給与欄は、書き方が統一されていません。

「月給28万円〜」「年収350〜500万円」「想定年収400万円(諸手当含む)」

この3つは、そのままでは比較できません。

そして、比較できないまま応募先を選ぶと、内定が出てから条件が想定と違うことに気づきます。

年収を正しく読むには、6つの項目に分解する必要があります。

基本給、固定残業代、賞与、手当、残業代、そして「その金額に含まれるもの」の範囲。

この分解は、1社あたり10分で終わります。

そして、この10分をやるかどうかで、複数社を比較したときの判断がまったく変わります。

この記事では、6項目への分解手順と、比較表の作り方を整理します。

1. 結論:6項目に分解する

#項目確認する場所
基本給給与欄(固定残業代を引いた額)
固定残業代給与欄の但し書き
賞与「賞与年◯回」「◯ヶ月分」の記載
手当住宅手当、通勤手当、資格手当など
残業代(超過分)実際の残業時間×単価
「想定年収」に何が含まれるか括弧書きの中身

⑥が、最も見落とされます。

「想定年収400万円」と書かれていても、そこに何が含まれているかは、会社によって違います。

記載含まれるもの
想定年収400万円不明(要確認)
想定年収400万円(賞与含む)基本給×12+賞与
想定年収400万円(諸手当・賞与含む)手当と賞与も込み
想定年収400万円(固定残業代45時間分含む)残業前提の金額

4行目の場合、実質的な基本給は大きく下がります。

2. 月給と年収の関係

「月給30万円」から年収を計算するとき、単純に12を掛けてはいけません。

計算結果
月給30万円×12ヶ月360万円
+賞与(年2回・計4ヶ月分)+120万円=480万円
+賞与(年2回・計2ヶ月分)+60万円=420万円
賞与なし360万円

賞与の有無で、120万円の差が出ます。

そして、求人票に「賞与年2回」とだけ書かれている場合、何ヶ月分かは分かりません。

賞与の記載パターン

記載読み方
賞与年2回(計4ヶ月分)明確。最も信頼できる
賞与年2回月数が不明。要確認
賞与年2回(業績による)変動する。出ない年もあり得る
賞与なし(年俸制)年俸を12〜16で割った額が毎月支給
決算賞与業績次第。確約されない

「業績による」の場合、最低保証があるかを確認してください。

そして、入社1年目は賞与が満額出ないことが多くあります。

賞与は「前期の在籍期間」に応じて計算されるためです。

初年度の年収は、2年目以降より低くなると想定しておいてください。

3. 編集長の実体験:3社を並べて初めて分かったこと

私が第二新卒で転職活動をしていたとき、内定が出た2社と、選考中の1社の条件を並べて比較しました。

最初、頭の中では「A社が一番高い」と思っていました。

提示された月給が、A社が最も高かったからです。

ところが、表にしてみると、順位が変わりました。

項目A社B社
月給300,000円280,000円
固定残業代45時間/66,000円20時間/33,000円
基本給234,000円247,000円
賞与年2回(業績による)年2回(計4ヶ月)
想定年収約360万円+賞与約336万円+99万円=約435万円

月給ではA社が高いのに、年収ではB社が上でした。

理由は2つです。

1つ目:A社の月給には、45時間分の固定残業代が含まれていた。

2つ目:B社の賞与は基本給の4ヶ月分で、A社は業績によるため保証がなかった。

エージェントの担当者に、この表を見せました。

担当者この表、正しいです。よく作られましたね」

「作ってみて、思っていたのと逆でした」

担当者月給だけ見て決める人、多いんですよ。提示される数字が一番大きいので」

「賞与の差が大きいですね」

担当者賞与は基本給を基準に計算されることが多いので、基本給が低いと賞与も低くなります。ダブルで効いてくる」

ここで学んだのは、月給の大きさは年収の順位を決めない、ということです。

そして、この表を作るのにかかった時間は、30分でした。

年収で数十万円の差がつく判断を、30分で確認できます。

4. ①② 基本給と固定残業代

基本給を計算する

固定残業代が含まれる場合、必ず引き算してください。

計算例

月給280,000円(固定残業代45時間分・62,000円を含む)

基本給 = 280,000 − 62,000 = 218,000円

基本給が重要な理由は3つあります。

理由内容
① 賞与の計算基準「基本給の◯ヶ月分」で計算されることが多い
② 退職金の計算基準制度がある場合、基本給が基準
③ 残業代の単価超過分の割増賃金は基本給を基に計算

基本給が低い設計は、この3つすべてに影響します。

固定残業代の詳しい見抜き方は、専用の記事にまとめています。

固定残業代の時間数を見る

時間数どう読むか
0時間(記載なし)全額が残業代として別途支給
10〜20時間一般的な範囲
20〜30時間やや多め
30時間以上常態的な残業を前提とした設計

5. ③④ 賞与と手当

③ 賞与を年収に換算する

計算例

基本給218,000円、賞与年2回(計4ヶ月分)

賞与 = 218,000 × 4 = 872,000円

ここで、「基本給の4ヶ月分」なのか「月給の4ヶ月分」なのかを確認してください。

基本給基準の方が、金額が小さくなります。

面接または内定後に、「賞与は基本給を基準に計算されますか」と確認してください。

④ 手当を確認する

手当確認すること
住宅手当・家賃補助金額、支給の条件(世帯主か、距離か)
通勤手当上限額、全額支給か
資格手当対象の資格、金額
家族手当支給の条件
役職手当対象になる役職

住宅手当は、金額が大きい場合があります。

月2万円なら、年24万円。年収に換算すると小さくありません。

ただし、支給の条件(世帯主であること、会社から◯km以内に居住することなど)があるため、自分が対象になるかを確認してください。

6. ⑤⑥ 残業代と「想定年収」の中身

⑤ 残業代を見積もる

固定残業時間を超えた分は、別途支給されます。

ただし、面接で「実際の残業時間」を確認しないと、見積もれません。

確認すること質問
実際の残業時間「配属予定部署の月平均の残業時間を教えてください」
繁忙期の差「繁忙期と閑散期で、どのくらい差がありますか」

実際の残業が固定残業時間より少ない場合、応募者に有利な設計です。

逆に、常に超えている場合、超過分が支払われているかを確認してください。

⑥ 「想定年収」の中身を確認する

求人票に「想定年収400万円」とだけ書かれている場合、面接で確認してください。

聞き方

「想定年収について確認させてください。この金額には、賞与と諸手当が含まれておりますでしょうか。また、固定残業代は含まれますでしょうか。」

この1問で、6項目のうち3つが確認できます。

「年収350〜500万円」の幅の読み方

幅がある場合、自分がどこに位置するかを確認してください。

質問分かること
「経験年数によって、どのように変わりますか」幅の理由
「私の経歴の場合、どのあたりになりますでしょうか」自分の位置

幅の上限は、その職種で最も経験のある人の金額であることが多くあります。

第二新卒であれば、下限に近い金額を想定しておいてください。

7. 比較表の作り方

複数社を検討している場合、次の表を作ってください。

項目A社B社C社
提示月給
固定残業代(時間/金額)
基本給
賞与(回数/月数/基準)
主な手当
年収の見込み
実際の残業時間(面接で確認)
昇給の頻度と幅

「年収の見込み」の計算式は次のとおりです。

年収の見込み = 月給 × 12 + 基本給 × 賞与の月数 + 手当 × 12

この計算をすると、月給の大小と年収の順位が一致しないことが分かります。

昇給も確認する

初年度の年収だけで比較すると、3年後の差を見落とします。

質問分かること
「昇給は年に何回ありますか」頻度
「昇給の幅は、平均でどのくらいでしょうか」伸び方
「等級制度はありますか」昇格の仕組み

初年度は同じでも、昇給の仕組みが違うと3年後に差が出ます。

8. 手取り額を把握する

年収の額面と、実際に手元に入る金額は違います。

おおまかな目安として、額面の75〜85%程度が手取りになります。

差し引かれるもの内容
所得税収入に応じて
住民税前年の所得に応じて(1年目は前職基準)
健康保険料標準報酬月額に応じて
厚生年金保険料同上
雇用保険料賃金に応じて

正確な金額は、年齢、扶養の有無、居住地、加入している健康保険組合によって変わります。

目安としては、額面の8割程度を想定しておくと、大きく外れません。

そして、転職した年は住民税に注意してください。

住民税は前年の所得を基に計算されるため、前職の収入が高かった場合、転職後の手取りが想定より少なくなることがあります。

正確な計算は、税務署または自治体の窓口で確認してください。この記事は税務の助言を行うものではありません。

9. よくある質問

「月給」と「基本給」は同じですか?

違うことがあります。「月給」は毎月支給される総額で、固定残業代や手当を含む場合があります。「基本給」は、そこから固定残業代と手当を引いた額です。求人票では、どちらの意味で使われているかを確認してください。

賞与の月数が書かれていない場合、どうすればいいですか?

面接または内定後に確認してください。「賞与の実績について、直近の支給月数を教えていただけますでしょうか」と聞きます。答えられない、または大きく変動する場合、年収の見込みに含めない方が安全です。

初年度の賞与は満額出ますか?

多くの場合、出ません。賞与は前期の在籍期間に応じて計算されるため、期の途中で入社すると按分されます。初年度の年収は、2年目以降より低くなると想定してください。

年俸制の場合、どう読めばいいですか?

年俸を何回に分けて支給するかを確認してください。12分割なら月給は年俸÷12、16分割なら賞与相当分が含まれます。また、年俸に固定残業代が含まれるかも確認が必要です。

想定年収の幅が大きい求人は、避けるべきですか?

避ける必要はありませんが、自分がどこに位置するかを確認してください。「私の経歴の場合、どのあたりになりますでしょうか」と面接で聞いて構いません。第二新卒であれば、下限に近い金額を想定してください。

面接で年収について聞くのは失礼ですか?

失礼ではありません。ただし、逆質問の1問目に持ってくると、条件だけを見ていると受け取られる可能性があります。業務内容の質問の後に聞くか、内定後の条件確認で聞いてください。

エージェント経由なら、担当者に聞けますか?

聞けます。むしろ、担当者に聞く方が確実です。企業に直接聞きにくい内容も、担当者経由なら確認できます。「基本給、賞与の実績、固定残業代の有無を確認していただけますか」と依頼してください。

提示された年収が想定より低い場合、交渉できますか?

できます。ただし、根拠が必要です。現職の年収が提示額より高い、他社からより高い提示がある、といった材料があると交渉しやすくなります。エージェント経由なら、担当者が代行します。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

求人票の年収は、提示された数字をそのまま比較できません。

6項目に分解して、初めて比較できる形になります。

そして、月給が高い会社が、年収でも高いとは限りません。

今夜やること

検討中の求人の給与欄を開き、固定残業代の記載を探す(5分)

基本給を計算する(月給 − 固定残業代)

第7章の比較表を作り、検討中の2〜3社を並べる

目安時間:合計30分

③をやってください。

私は、この表を作るまで「A社が一番高い」と思っていました。表にしたら、順位が逆でした。

30分で、年収数十万円の差がつく判断が変わります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。