現年収の伝え方|第二新卒が盛らずに交渉を有利にする書き方【2026年版】
〜盛らなくても、内訳を正しく書けば評価は変わります〜
転職活動では、必ず現在の年収を聞かれます。
エージェントの面談、応募フォーム、面接。どこかで必ず出てきます。
そして、多くの人がここで2つの失敗をします。
1つ目:手取りの金額を答えてしまう。
2つ目:内訳を書かずに、総額だけを答えてしまう。
1つ目は、実際より低い金額を伝えることになります。額面と手取りでは、2割前後の差があります。
2つ目は、より深刻です。
「年収380万円」とだけ書くのと、「年収380万円(基本給25万円、賞与年2回計44万円、みなし残業20時間分を含む)」と書くのでは、企業側の受け取り方が変わります。
後者は、基本給の水準が分かるため、提示額を組み立てやすくなります。
この記事では、正しい伝え方と、希望年収の決め方を整理します。
1. 結論:伝えるのは「額面」と「内訳」
| # | 伝えること | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 額面の年収 | 手取りではない |
| ② | 基本給 | 月給からみなし残業を引いた額 |
| ③ | 賞与 | 回数と、直近の支給実績 |
| ④ | みなし残業の有無 | 時間数と金額 |
| ⑤ | 主な手当 | 住宅手当など、固定的に支給されるもの |
この5つを揃えると、企業側は提示額を組み立てやすくなります。
書き方の例
「昨年の年収は、額面で約380万円です。
内訳は、月給28万円(うち固定残業代20時間分・3万3千円を含む)、賞与が年2回で計約44万円です。手当は、通勤手当のみです。
基本給は24万7千円になります。」
最後の1文が効きます。
基本給を明示すると、賞与の計算基準が分かり、企業側が提示額を設計しやすくなります。
2. 額面と手取りの違い
年収を聞かれたときは、必ず額面で答えてください。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 額面(総支給額) | 税金・社会保険料を引く前の金額 |
| 手取り(差引支給額) | 実際に振り込まれる金額 |
目安として、手取りは額面の75〜85%程度です。
つまり、額面380万円なら、手取りは約290〜320万円になります。
手取りの金額を「年収」として伝えると、実際より低く申告することになります。
そして、提示される年収も、それに引きずられます。
額面の確認方法
| 書類 | 見る場所 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 「支払金額」の欄 |
| 給与明細 | 「総支給額」の欄(月額) |
| 課税証明書 | 「収入金額」の欄 |
最も確実なのは、源泉徴収票の「支払金額」です。
これが、その年の額面の年収です。
手元にない場合は、会社に再発行を依頼できます。
3. 編集長の実体験:手取りで答えて、提示額が下がりかけた
私が第二新卒で転職活動を始めたとき、最初のエージェントの面談で、現年収を手取りで答えました。
正確には、手取りだと気づいていませんでした。
毎月振り込まれる金額を12倍して、賞与を足した数字を伝えていました。
面談の後半で、担当者がこう聞きました。
担当者「その金額、源泉徴収票で確認されました?」
私「いえ。振り込まれてる額から計算しました」
担当者「それ、手取りです」
私「……あ」
担当者「額面だと、2割くらい上です。そのまま伝えると、提示額がその水準で組まれます」
私「そんなに変わりますか」
担当者「変わります。企業は『現年収+α』で提示を組むので、スタート地点が2割低いと、提示額も低くなります」
その場で、源泉徴収票を確認しました。
担当者の言うとおりで、額面は伝えた金額より約70万円高い数字でした。
そして、もう1つ指摘されました。
担当者「あと、内訳も書いてください。基本給がいくらで、賞与がいくらか」
私「総額だけじゃダメですか」
担当者「ダメではないですが、損します。木戸さんの会社、みなし残業入ってますよね。それを書かないと、基本給が実際より高いと思われる可能性があります」
ここで学んだのは、年収の伝え方1つで、提示額が変わるということです。
盛る必要はありません。正確に、内訳まで書くだけです。
そして、確認にかかった時間は5分でした。
4. 内訳の書き方
基本の型
年収:◯◯万円(額面/◯年実績)
・月給:◯◯万円(うち固定残業代◯時間分・◯万円を含む) ・基本給:◯◯万円 ・賞与:年◯回、計◯万円(◯年実績) ・手当:住宅手当◯万円/月、通勤手当(実費)
この形式で書けば、必要な情報がすべて揃います。
みなし残業がある場合
必ず明記してください。
書かないと、基本給が実際より高いと誤解されます。
| 書き方 | 企業側の受け取り |
|---|---|
| 「月給28万円」 | 基本給が28万円だと解釈される可能性 |
| 「月給28万円(固定残業代20時間分・3万3千円を含む)」 | 基本給24万7千円と正確に伝わる |
後者の方が、実態に近い提示が受けられます。
賞与が変動する場合
直近の実績を書いてください。
「賞与は業績連動のため、年によって変動します。昨年の実績は年2回で計44万円、一昨年は計38万円でした。」
「年2回」だけでは、金額が分かりません。
実績の金額を書いてください。
5. 在籍1年未満の場合
年収の実績がない場合の書き方です。
見込み年収を計算する
計算式
月給 × 12 + 賞与の見込み額
賞与の見込みは、就業規則または内定時の提示を基にしてください。
書き方の例
「現在の会社に入社して8ヶ月のため、年収の実績はございません。月給26万円(固定残業代なし)で、賞与は年2回・計2ヶ月分の規定です。
年間の見込みは、約364万円になります。」
「見込み」であることを明記してください。
実績と見込みを混同すると、後で食い違いが出ます。
前職の年収も伝える
在籍が短い場合、前職の年収も伝えてください。
企業側が、水準を判断する材料になります。
「前職では、年収約350万円(額面)でした。現職は8ヶ月のため実績がなく、見込みで約364万円です。」
6. 希望年収の決め方
現年収を伝えると、次に「希望年収は」と聞かれます。
決め方の基準
| 状況 | 希望年収の目安 |
|---|---|
| 同じ職種・同じ業界 | 現年収と同等〜+10% |
| 同じ職種・違う業界 | 現年収と同等 |
| 違う職種(未経験) | 現年収と同等〜−10%も想定 |
| 明確に成長している業界へ | +10%以上もあり得る |
職種を変える場合、年収が下がる可能性を織り込んでください。
未経験の職種では、経験者と同じ水準は提示されません。
伝え方
伝え方の例
「現年収と同等の380万円を希望しております。ただ、未経験の職種への挑戦になりますので、350万円程度までは検討可能です。
これを下回る場合は、生活の面で厳しくなります。」
「下限」を明確に伝えてください。
これがないと、担当者はどこまで交渉すべきか判断できません。
そして、下限は現実的な数字にしてください。
生活費から逆算した金額であれば、根拠として説明できます。
「御社の規定に従います」は避ける
この答えは、判断を放棄しています。
そして、提示額は下限に近い水準になる可能性があります。
希望と下限を明示する方が、結果として良い提示につながります。
7. 盛るとどうなるか
現年収を実際より高く伝えた場合、次の経路で判明します。
| 経路 | タイミング |
|---|---|
| 源泉徴収票の提出 | 内定後〜入社時 |
| 課税証明書の提出 | 内定後(求められる場合) |
| 前職への確認 | まれ(本人の同意が必要) |
源泉徴収票は、入社時の年末調整のために提出を求められることがあります。
そこに記載された「支払金額」が、申告した年収と大きく違えば、判明します。
判明した場合の影響
| タイミング | 影響 |
|---|---|
| 選考中に訂正 | 影響は小さい |
| 内定後に判明 | 提示条件の見直し、内定取り消しの可能性 |
| 入社後に判明 | 経歴詐称として扱われる可能性 |
「少し盛る」程度でも、リスクに見合いません。
そして、盛らなくても、内訳を正確に書けば評価は変わります。
第4章のとおり、みなし残業を明記すれば、基本給の水準が正しく伝わります。
8. 交渉に使える材料
年収の交渉が通りやすいのは、根拠がある場合です。
| 材料 | 交渉のしやすさ |
|---|---|
| 他社からより高い提示がある | 最も強い |
| 現年収が提示額より高い | 強い |
| 応募先の求人票の上限に届いていない | 中 |
| 資格・スキルが要件を上回る | 中 |
| 単に「もっと欲しい」 | 通らない |
1行目が最も効きます。
ただし、実際に内定が出ている場合に限ってください。
虚偽の内定を材料にすると、企業に確認された場合に信用を失います。
交渉の依頼の仕方
エージェント経由なら、担当者に依頼してください。
「提示いただいた条件について、1点ご相談させてください。
現年収が380万円で、提示が360万円となっております。現年収と同等の水準までご検討いただくことは可能でしょうか。
入社の意思は固まっております。」
最後の1文を必ず入れてください。
「条件次第では辞退する」という含みがあると、交渉が難しくなります。
年収交渉の詳細は、専用の記事にまとめています。
9. よくある質問
年収は額面と手取り、どちらを答えますか?
額面です。手取りで答えると、実際より2割程度低く申告することになります。源泉徴収票の「支払金額」の欄が、額面の年収です。
源泉徴収票が手元にありません。
会社に再発行を依頼できます。または、市区町村で課税証明書を取得する方法もあります。直近の給与明細から概算することもできますが、賞与の反映に注意してください。
少しだけ高めに伝えてもいいですか?
やめてください。内定後に源泉徴収票の提出を求められることがあり、そこで差が判明します。盛らなくても、内訳を正確に書けば評価は変わります。
在籍1年未満で、年収の実績がありません。
見込み年収を計算して伝えてください。「月給×12+賞与の規定額」です。「見込み」であることを明記し、前職の年収もあわせて伝えてください。
希望年収を高く言うと、書類で落とされませんか?
可能性はあります。ただし、極端に高くなければ、大きな影響はありません。「現年収と同等」を基準にし、下限も明示してください。
「御社の規定に従います」と答えてもいいですか?
避けてください。判断を放棄していると受け取られ、提示額は下限に近くなる可能性があります。希望と下限を明示する方が、結果として良い提示につながります。
未経験の職種だと、年収は必ず下がりますか?
下がる可能性が高くなります。ただし、業界を変えることで維持できる場合もあります。下限を決めておき、それを下回る場合は他社を検討してください。
みなし残業を含む金額を、年収として伝えていいですか?
年収の総額としては、含めて構いません。ただし、みなし残業の時間数と金額を明記してください。明記しないと、基本給が実際より高いと誤解されます。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
現年収は、額面で、内訳まで書いて伝えてください。
盛る必要はありません。正確に書くだけで、提示額の組み立て方が変わります。
今夜やること
① 源泉徴収票の「支払金額」を確認する(額面の年収)
② 給与明細で、月給の内訳を確認する(基本給/固定残業代/手当)
③ 第4章の型に当てはめて、年収の記載を1枚作る
目安時間:合計20分
①を必ずやってください。
私は、振り込まれる金額から計算して、手取りを年収として伝えていました。
額面は、その金額より約70万円高い数字でした。
確認にかかった時間は、5分です。
この先、読むべき記事
- 第二新卒の年収交渉|2ヶ月で2社内定時の交渉実額を全公開(内定後の交渉)
- 第二新卒の年収|下がるのか上がるのか、職種転換のときの実態(年収の相場感)
- エージェントにどこまで正直に話すか|第二新卒が隠すと不利になる5つ(情報の伝え方)
- 求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順(提示額の読み方)
- みなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順(固定残業代の扱い)
- 給与明細の見方|提示年収と手取りの差を埋める(額面と手取りの違い)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。