エージェントに預けた情報はどこまで渡るのか|推薦前に確認すること【2026年版】
転職エージェントに登録すると、職務経歴書、現年収、家族構成、希望条件まで伝えることになります。この情報がどこまで企業に渡るのかを、把握しないまま進めている人は少なくありません。
多くの場合、問題は起きません。ただ、把握しておかないと困る場面が3つあります。現職に知られること、意図しない企業に推薦されること、退会後も情報が残ることです。
この記事では、渡る情報と渡らない情報を分けたうえで、確認しておくべき点を整理します。
1. 結論:3つを確認する
1、推薦前に同意を取る運用になっているか。「この企業に推薦してよいか」を毎回確認する会社と、まとめて同意を取る会社があります。
2、企業に渡る情報の範囲。職務経歴書はそのまま渡るのか、加工されるのか。現年収は伝わるのか。
3、現職への配慮の仕組み。現職やそのグループ会社への推薦を止める設定があるか。
この3つは、初回面談で聞けます。聞いて不審に思われることはありません。
2. 企業に渡る情報と渡らない情報
一般的な運用を整理します。会社によって異なるため、必ず確認してください。
| 情報 | 企業に渡るか |
|---|---|
| 職務経歴書 | 渡る(推薦時) |
| 履歴書 | 渡る(応募時) |
| 氏名 | 渡る(推薦時) |
| 推薦文 | 渡る(担当者が作成) |
| 希望年収 | 渡ることが多い |
| 現年収 | 渡る場合がある |
| 他社の選考状況 | 渡る場合がある(社名までは通常伝えない) |
| 面談での雑談の内容 | 通常は渡らない |
| 家族構成・私的な事情 | 通常は渡らない |
6行目と7行目が、確認しておく価値のある項目です。
現年収は、年収交渉の材料として企業に伝えられる場合があります。伝えてほしくない場合は、その旨を担当者に伝えてください。
他社の選考状況は、企業側が「いつまでに結論を出すべきか」を判断するために伝えられることがあります。社名まで伝えるかどうかは会社によります。
確認の仕方
「推薦の際、企業側にはどこまでの情報が渡りますか。現年収や他社の選考状況も含まれますか。」
3. 編集長の実体験:親会社に見られかけた
自分が転職活動をしていたときの話です。
担当者「A社さんをご紹介したいのですが」
私「A社って、うちの親会社のグループですよね」
担当者「あ、失礼しました。確認します」
登録時に現職の社名は伝えていましたが、そのグループ会社まではブロックの対象になっていませんでした。
推薦される前に気づいたので実害はありませんでしたが、そのまま進んでいたら、親会社の人事に自分の職務経歴書が届いていた可能性があります。
その後、登録しているすべてのサービスで、グループ会社を含めてブロックの設定を追加しました。
やること
- 現職の会社名をブロック登録する
- 親会社・子会社・関連会社の名前も登録する
- 主要な取引先も、必要なら登録する
- エージェントの担当者に口頭でも伝える
4番目が重要です。システムの設定だけだと、担当者が手動で紹介する場合に漏れます。「この5社は関係先なので対象外でお願いします」と面談で伝えてください。
4. 推薦前の同意の取り方
エージェントによって、運用が2種類あります。
| 運用 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 都度同意 | 推薦のたびに「この企業でよいか」を確認 | 手間はかかるが安全 |
| 包括同意 | 登録時にまとめて同意。以降は担当者の判断で推薦 | 意図しない企業に推薦される可能性 |
包括同意の運用の場合、どの企業に推薦されたかを把握しにくくなります。
確認の仕方
「推薦の前に、毎回ご連絡いただけますか。どの企業に応募したかを自分で管理したいので。」
この依頼は通常受け入れられます。担当者としても、候補者が把握していない状態で進めるメリットはありません。
推薦された企業を記録してください。応募管理のシートに、経路と企業名を記録しておくと、重複推薦も防げます。
5. 複数のエージェントを使う場合の注意
注意1、同じ企業に複数から推薦されない。企業側で重複として処理され、どのエージェント経由でも話が進まなくなることがあります。
防ぎ方:各エージェントに、すでに応募済みの企業リストを共有します。会社名と応募日だけで足ります。
注意2、職務経歴書の内容を揃える。エージェントごとに違う内容の書類を出していると、企業側で矛盾が見つかることがあります。特に在籍期間と担当業務は揃えてください。
注意3、希望条件を揃える。A社には「年収400万円以上」、B社には「350万円以上」と伝えていると、同じ企業に別の条件で推薦される可能性があります。
| 揃えるもの | 理由 |
|---|---|
| 職務経歴書の事実 | 矛盾が見つかると信頼を失う |
| 在籍期間 | 記憶で書くとずれる |
| 希望年収 | 条件の不一致が起きる |
| 入社可能日 | 選考の進め方に影響する |
1枚のシートに自分の情報をまとめて、それを見ながら伝えてください。記憶で答えると、必ずずれます。
6. 登録を解除する場合
活動が終わったら、使わないサービスは退会します。
退会の手順
- 進行中の選考があれば、先に辞退の連絡をする
- 担当者に退会の意思を伝える
- サービスの退会手続きを行う
- 登録した情報の削除を依頼する
4番目を明示的に依頼してください。退会と情報の削除は、必ずしも同じ処理ではありません。
依頼の文面例
「転職活動を終了することとなりましたので、退会の手続きをお願いいたします。あわせて、登録しております個人情報の削除もお願いできますでしょうか。」
注意点
法令や社内規程により、一定期間の保存が必要な情報がある場合があります。その場合、すべてが即座に削除されるとは限りません。詳細はサービスのプライバシーポリシーを確認するか、担当窓口にご確認ください。
退会前にやっておくこと
| やること | 理由 |
|---|---|
| レジュメの内容を控える | 退会すると見られなくなる |
| 応募履歴を記録する | 再応募の可否の判断に使う |
| 担当者の連絡先を控える | 将来また使う可能性がある |
転職サイトとエージェントで扱いが違う点
同じ「登録」でも、転職サイトとエージェントでは情報の流れ方が違います。
| 項目 | 転職サイト | エージェント |
|---|---|---|
| 情報の公開範囲 | 設定によって企業が検索できる | 担当者が保有。推薦時に企業へ |
| 企業からの接触 | スカウトが直接届く | 担当者を経由する |
| 氏名の扱い | 匿名にできるサービスもある | 推薦時に開示される |
| ブロック設定 | 自分で設定する | 担当者に伝える+設定 |
| 退会 | 自分で手続き | 担当者への連絡が必要な場合も |
1行目の違いが最も大きい部分です。転職サイトでは、企業が条件で検索して候補者を見つけます。つまり、推薦という工程がないまま、レジュメが見られる状態になります。
だから、転職サイトのブロック設定は必ず自分で行ってください。エージェントの場合は担当者が間に入るので、口頭で伝えれば止まりますが、サイトでは設定がすべてです。
両方を使う場合、両方で設定してください。片方だけだと、もう片方から見られます。
7. 面接で聞かれる3問と答え方
情報の扱いに関連して、面接で聞かれることがあります。
Q1「他社の選考状況を教えてください」
社名を出す義務はありません。
回答例:「同じ業界で、法人向けの営業組織を拡大している企業を中心に3社受けています。うち1社は最終面接まで進んでいます。」
軸と進捗だけを伝える形で十分です。
Q2「現在の年収を教えてください」
エージェント経由の場合、すでに伝わっていることがあります。
回答例:「額面で〇〇万円です。内訳は基本給と固定残業代で、賞与が年2回です。」
手取りではなく額面で答えてください。手取りで答えると、実際より低く伝わります。
Q3「弊社が第一志望ですか」
回答例:「現時点で最も志望度が高いのは御社です。理由は、法人向けの新規開拓の比重が高い点が、私が伸ばしたい部分と一致しているためです。」
嘘をつく必要はありませんが、志望度が高い理由は具体的に言えるようにしてください。
8. 初回面談で確認する5項目
まとめて、面談で聞くことを整理します。
| 確認事項 | 聞き方 |
|---|---|
| 推薦前の同意 | 「推薦の前に毎回ご連絡いただけますか」 |
| 企業に渡る情報 | 「企業にはどこまでの情報が渡りますか」 |
| 現年収の扱い | 「現年収は企業に伝わりますか」 |
| ブロック設定 | 「現職とグループ会社を対象外にしていただけますか」 |
| 退会時の情報削除 | 「退会時に情報の削除は依頼できますか」 |
5問とも、初回面談の最初の10分で聞けます。
この5問を聞くこと自体が、担当者の姿勢を測る材料にもなります。明確に答えられる担当者は、運用を理解しています。曖昧な答えしか返らない場合、確認を依頼してください。
9. よくある質問
職務経歴書はそのまま企業に渡りますか
多くの場合そのまま渡ります。エージェントによっては個人情報を伏せた形で先に打診し、企業が興味を示してから開示する運用もあります。確認してください。
現職の社名は企業に伝わりますか
職務経歴書に記載しているので伝わります。伏せたい場合は、業種と規模だけの記載にできるか担当者に相談してください。
面談で話した個人的な事情は伝わりますか
通常は伝わりません。ただし、勤務条件に関わる事情(転居の予定など)は伝えられる場合があります。
複数のエージェントに同じ書類を出していいですか
出して構いません。ただし内容は揃えてください。
推薦されたかどうかを確認できますか
担当者に聞けば分かります。応募管理のシートに記録しておくことをおすすめします。
退会後に連絡が来ることはありますか
退会手続きが完了していれば、通常は来ません。来る場合は、手続きが完了していない可能性があります。
スカウトメールが大量に来ます
配信設定を変更できるサービスが多いです。設定画面を確認してください。
現職の同僚が同じエージェントを使っていたら
担当者は守秘義務を負っているため、候補者同士の情報が共有されることは通常ありません。ただし、気になる場合は担当者に確認してください。
10. まとめ:初回面談でやる3つのこと
エージェントに預ける情報の扱いは、最初に5分聞けば把握できます。
1つめ、現職とそのグループ会社をブロック登録する。システムの設定と、担当者への口頭の両方でやってください。設定だけだと、手動での紹介で漏れます。所要10分。
2つめ、「推薦の前に毎回ご連絡いただけますか」と伝える。どの企業に応募したかを自分で把握できる状態にします。所要1分。
3つめ、「企業にはどこまでの情報が渡りますか」と聞く。特に現年収と他社の選考状況について確認してください。所要2分。
登録した後で気づくより、面談の最初に確認するほうが早く済みます。
この先、読むべき記事
- エージェント初回面談で聞くべき12の質問|担当者の力量も分かる(面談で聞くこと)
- 転職サイトが会社にバレるのを防ぐ|第二新卒がやるべき5つの設定(現職への配慮)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。