非公開求人の実際|多いことが良いとは限らない【2026年版】
転職エージェントの案内でよく見るのが「非公開求人〇万件」という表記です。この数字だけで登録先を決めるのは、判断材料として弱いというのがこの記事の結論です。
理由は2つあります。1つは、非公開求人の総数と、自分の希望領域にある非公開求人の数は別だということ。もう1つは、非公開であること自体には、応募者にとっての良し悪しがないということです。
この記事では、求人が非公開になる理由を分けたうえで、どう確認すればいいかを整理します。
1. 結論:非公開になる理由は4つ
理由1、競合に知られたくない。新規事業の立ち上げ、特定領域の強化。募集の内容から戦略が読まれることを避けています。
理由2、社内に知られたくない。現任者の後任を探している場合。本人に知られる前に採用を進めたい状況です。
理由3、応募が殺到するのを避けたい。知名度の高い企業や、条件の良いポジション。公開すると数百件の応募が来るため、あえて絞っています。
理由4、条件を個別に決めたい。経験によって提示額を変える前提の募集。年収を明示せずに進めたい場合です。
このうち、応募者にとって有利に働くのは理由3です。母数が絞られているため、書類が丁寧に読まれます。
理由1・2・4は、応募者にとっての有利・不利はほぼありません。単に企業側の事情です。
2. 公開求人と非公開求人の違い
| 項目 | 公開求人 | 非公開求人 |
|---|---|---|
| どこで見られるか | 転職サイト、企業の採用ページ | エージェント経由のみ |
| 応募者の数 | 多い | 絞られる |
| 書類が読まれる度合い | 流し読みされやすい | 丁寧に読まれやすい |
| 求人の質 | 差がある | 差がある(非公開だから良いわけではない) |
| 条件の記載 | 明示されている | 面談で聞く形が多い |
4行目が重要です。非公開だから良い求人、という関係はありません。
採用に苦戦している求人が非公開になっている場合もあります。公開しても応募が来ないため、エージェントに任せているケースです。この場合、非公開であることは有利な材料になりません。
3行目は実際に効きます。母数が少ないので、1通あたりに使われる時間が長くなります。経歴に説明が必要な人ほど、この差の恩恵を受けます。
3. 編集長の実体験:件数を聞いたら20件だった
自分がエージェントに登録したとき、「非公開求人が豊富」という説明を受けました。
私「私の希望条件だと、非公開求人はどのくらいありますか」
担当者「そうですね……法人営業で、東京で、年収400万以上だと、20件くらいですね」
私「全体では何万件と伺いましたが」
担当者「全体はそうです。ただ、条件で絞るとこのくらいになります」
「非公開求人3万件」と「自分の条件に合う非公開求人20件」は、まったく別の数字です。
そして、実際に判断材料になるのは後者です。
登録先を選ぶときに聞くべきなのは、総数ではなく、自分の条件での件数です。
聞き方
「私の希望条件だと、非公開求人は何件くらいありますか。条件を1つ緩めた場合、何件になりますか。」
後半の質問も入れてください。条件を緩めたときの変化を聞くと、どの条件が件数に効いているかが分かります。
4. 第二新卒に紹介される非公開求人の性質
第二新卒向けの非公開求人には、傾向があります。
| 傾向 | 内容 |
|---|---|
| 未経験可の求人が一定数ある | 育成前提の採用で、公開すると応募が殺到するため |
| 複数名の募集が多い | 拡大中の組織 |
| 職種が絞られる | 営業、カスタマーサクセス、事務、エンジニアなど |
| 大手の子会社・グループ会社が多い | 親会社の名前で応募が集中するのを避けるため |
4行目は知っておく価値があります。知名度のある企業のグループ会社は、社名を公開すると応募が集中します。そのため非公開で募集し、エージェント経由で絞る形を取ることがあります。
ただし、期待しすぎないでください。第二新卒の段階では、公開求人と非公開求人で、応募できる求人の質に大きな差はありません。
差が出るのは、経験を積んだ後です。専門性が高くなるほど、非公開での募集が増えます。
5. 確認する4項目
エージェントの初回面談で聞く内容です。
| 確認事項 | 聞き方 |
|---|---|
| 自分の条件での件数 | 「私の条件だと非公開求人は何件くらいありますか」 |
| 条件を緩めた場合 | 「条件を1つ緩めると何件になりますか」 |
| 公開との比率 | 「ご紹介いただく求人のうち、非公開の割合はどのくらいですか」 |
| 非公開の理由 | 「この求人が非公開になっている理由を伺えますか」 |
4行目は、個別の求人を紹介されたときに聞いてください。
理由を聞くと、その求人の性質が分かります。
| 答え | 読み取れること |
|---|---|
| 「応募が集中するため」 | 人気の求人。有利に働く |
| 「新規事業のため」 | 立ち上げ期。裁量は大きいが不安定な面も |
| 「後任の募集のため」 | 前任者の業務を引き継ぐ |
| 「条件を個別に決めるため」 | 年収交渉の余地がある |
| 答えられない | 担当者が求人を把握していない可能性 |
最下行が出た場合、他の質問への答えも確認してください。求人の背景を把握していない担当者は、応募先の情報を提供できません。
6. 非公開求人を過大評価しないために
覚えておくこと1、非公開=好条件ではない。第2章の通りです。
覚えておくこと2、複数のエージェントで同じ求人が非公開として紹介されることがある。「そのエージェント専用」とは限りません。
覚えておくこと3、公開求人にも良い求人はある。企業が自社の採用ページで公開している求人は、紹介手数料がかからないため、条件面で有利になることがあります。
覚えておくこと4、非公開求人を見るためだけに登録数を増やさない。エージェントは2〜3社で十分です。増やすと連絡の管理だけで時間を使います。
| よくある誤解 | 実際 |
|---|---|
| 非公開のほうが条件が良い | 求人による |
| 非公開はそのエージェント専用 | 複数社が扱っていることがある |
| 非公開が多いエージェントほど良い | 自分の領域の件数で判断する |
| 公開求人は残り物 | 企業の直接応募には別の利点がある |
3行目が、この記事の中心です。総数ではなく、自分の条件での件数を聞いてください。
公開求人にしかない利点
非公開求人だけを追うと、見落とす利点があります。
利点1、条件が事前に分かる。公開求人には年収・勤務地・業務内容が明示されています。面談を経ずに、条件で判断できます。
利点2、自分のペースで応募できる。エージェントの面談を待つ必要がありません。見つけたその日に応募できます。
利点3、直接応募なら紹介手数料がかからない。企業側の採用コストが下がるため、条件面で有利になる場合があります。特に、採用予算の小さい中小企業やスタートアップでは、この差が効きます。
利点4、志望度が伝わる。自社の採用ページから応募した候補者は、「わざわざ調べて応募してきた人」として見られます。
| 経路 | 向いている場面 |
|---|---|
| 非公開求人 | 母数を確保したい。経歴に説明が必要 |
| 公開求人(サイト) | 条件で絞りたい。自分のペースで進めたい |
| 直接応募 | 第一志望。中小・スタートアップ |
3つを併用するのが、最も母数と質のバランスが取れます。非公開求人だけに頼ると、応募のペースがエージェントの動きに左右されます。
志望度の高い上位3社は直接応募、残りをエージェントとサイトで確保する。この配分が実務的です。
7. 面接で聞かれる3問と答え方
非公開求人経由の応募でも、聞かれる内容は通常と同じです。
Q1「弊社を知ったきっかけを教えてください」
回答例:「担当エージェントからご紹介いただいたのがきっかけです。その後、採用ページと直近のサービス紹介の資料を拝見し、法人向けの領域を伸ばしている段階だと理解しました。前職で法人の新規開拓を担当していたので、その部分で貢献できると考えて応募しました。」
「紹介されたので」で止めないでください。そこから自分で調べた内容を必ず足します。
Q2「他にどのような求人を紹介されていますか」
回答例:「同じ業界で、法人向けの営業組織を拡大している企業を中心に紹介いただいています。その中で、新規開拓の比重が高い会社を優先して応募しています。」
社名を出す必要はありません。軸で答えてください。
Q3「なぜエージェント経由で転職活動をしているのですか」
回答例:「在職中で、日中に動ける時間が限られているためです。日程の調整や、企業の情報収集を代行いただけるのは助かっています。並行して、自分でも企業の採用ページから直接応募しています。」
8. 進め方と時間配分
| 手順 | やること | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 希望条件を優先順位3つに絞る | 20分 |
| 2 | 初回面談で「自分の条件での件数」を聞く | 面談内で2分 |
| 3 | 条件を緩めた場合の件数も聞く | 面談内で1分 |
| 4 | 2社目のエージェントでも同じ質問をする | 面談内で3分 |
| 5 | 件数を比べて、どちらを主に使うか決める | 10分 |
手順4が実用的です。同じ質問を2社にすると、自分の領域にどちらが強いかが分かります。
「非公開求人が豊富」という説明ではなく、実際の件数で比べてください。
手順1を先にやってください。条件が絞れていないと、件数を答えてもらえません。
9. よくある質問
非公開求人はどうすれば見られますか
エージェントに登録して、面談を受ける必要があります。登録だけでは紹介されないことが多いです。
非公開求人の件数はどのくらいが普通ですか
エージェントによって差が大きく、また自分の条件によっても変わります。総数より、自分の条件での件数を確認してください。
非公開求人は選考が有利ですか
応募者の母数が絞られるため、書類が丁寧に読まれる傾向はあります。ただし選考の基準が緩むわけではありません。
同じ求人を複数のエージェントから紹介されました
よくあります。1社に絞って応募してください。複数から推薦が出ると、企業側で重複処理になります。
非公開求人を断ってもいいですか
構いません。断ることで以降の紹介が減ることはありません。理由を伝えると、次の紹介の精度が上がります。
公開求人は紹介されないのですか
されます。エージェントは公開・非公開の両方を扱っています。
非公開求人の年収は高いですか
求人によります。非公開であることと年収水準に、直接の関係はありません。
登録するエージェントは何社が適切ですか
2〜3社が目安です。増やしても、連絡の管理に時間を使うだけになります。
10. まとめ:初回面談でやる3つのこと
「非公開求人〇万件」は、自分にとっての判断材料としては弱い数字です。
1つめ、希望条件を優先順位3つに絞る。条件が絞れていないと、件数を答えてもらえません。所要20分。
2つめ、「私の条件だと非公開求人は何件くらいありますか」と聞く。総数ではなく、自分の条件での件数です。面談内で2分。
3つめ、2社目のエージェントでも同じ質問をする。件数を比べると、自分の領域にどちらが強いかが分かります。面談内で3分。
非公開かどうかより、自分の条件に合う求人が何件あるかを見てください。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。