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みなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
みなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順【2026年版】

〜提示された年収の中に、何時間分の残業代が入っているかを確認していますか〜

「年収400万円」と書かれた求人が2つあったとして、中身は同じとは限りません。

片方は、基本給ベースで400万円。もう片方は、月45時間分の固定残業代を含んで400万円。

この2つは、実質的にまったく違う条件です。

後者の場合、月45時間の残業をして、ようやく提示額に届きます。45時間働かなくても支給はされますが、逆に言えば、45時間までは残業をしても追加の支払いがありません。

これが、固定残業代(みなし残業)です。

制度そのものは違法ではありません。適切に運用されていれば、問題のない仕組みです。

問題は、応募者が気づかずに入社することです。

この記事では、求人票で確認すべき5項目と、面接での聞き方を整理します。

1. 結論:求人票で確認する5項目

#確認項目どこを見るか
固定残業代が含まれているか給与欄の但し書き
何時間分か「◯時間分」の記載
いくら分か「◯円を含む」の記載
超過分は支払われるか「超過分は別途支給」の記載
基本給はいくらか固定残業代を引いた額

①〜④は、求人票への記載が求められている項目です。

固定残業代を採用する場合、次の3点を明示することとされています。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に相当する時間数と金額
  3. 固定残業時間を超える分は、追加で支給する旨

この3つが書かれていない求人は、その時点で判断材料になります。

書かれていないなら、面接で聞いてください。

2. なぜ気づかないのか

求人票の書き方に、理由があります。

実際の記載の例

月給 280,000円〜350,000円 ※固定残業代(45時間分/62,000円〜77,500円)を含む ※超過分は別途支給

「月給28万円」が大きく表示され、その下に小さく但し書きがある形です。

検索結果の一覧では、但し書きが表示されないことも多くあります。

そして、応募者は「月給28万円」だけを見て応募します。

分解してみる

上の例を分解すると、こうなります。

項目金額
月給の総額280,000円
固定残業代(45時間分)−62,000円
基本給218,000円

基本給は21.8万円です。

この会社で残業がゼロだった場合も28万円は支給されますが、実際には45時間の残業を前提にした設計です。

そして、45時間は決して少ない残業時間ではありません。

月の残業時間1日あたり(月20営業日)
20時間1時間
30時間1.5時間
45時間2時間15分
60時間3時間

45時間分の固定残業代がある会社は、「毎日2時間程度の残業がある」ことを前提に設計されている、と読んでください。

3. 編集長の実体験:面接の場で気づいた

私が第二新卒で転職活動をしていたとき、4社目の一次面接で、固定残業代の存在に初めて気づきました。

それまで3社の面接を受けていましたが、一度も確認していませんでした。

その日の面接で、こういうやり取りがありました。

面接官「給与について、何かご質問はありますか」

「求人票に月給30万円とありましたが、その理解で合っていますでしょうか」

面接官「はい。ただ、そこには固定残業代が45時間分含まれています

「……45時間分、ですか」

面接官基本給は23万4千円です。残業が45時間を超えた分は、別途お支払いします」

「実際の残業時間は、どのくらいでしょうか」

面接官部署によりますが、うちのチームだと月30〜40時間くらいですね

その場で、この会社への志望度が下がりました。

金額の問題ではありません。

「月30〜40時間の残業が常態化している」ことが分かったからです。

そして、私が問題だと思ったのは、自分がそれまでの3社でこれを確認していなかったことです。

帰宅してから、それまでに受けた3社の求人票を見直しました。

1社に、「固定残業代30時間分を含む」という記載がありました。読んでいませんでした。

ここで学んだのは、求人票の給与欄は、金額ではなく但し書きを読むということです。

そして、面接では必ず聞くべきだということです。

「給与のことを聞くと印象が悪いのでは」と思っていましたが、この面接官は普通に答えてくれました。

むしろ、聞かない方が、後で困ります。

4. 記載パターン別の読み方

求人票の書き方は、大きく4パターンあります。

パターン① 明記されている

月給 280,000円(固定残業代45時間分・62,000円を含む。超過分は別途支給)

最も誠実な書き方です。時間数、金額、超過分の扱いがすべて書かれています。

判断材料が揃っているので、あとは45時間という数字をどう見るかだけです。

パターン② 時間数だけ書かれている

月給 280,000円(固定残業代を含む)

時間数と金額が書かれていません。

面接で必ず確認してください。

パターン③ 別欄に小さく書かれている

給与欄には金額だけがあり、「備考」や「その他」の欄に固定残業代の記載があるパターンです。

求人票は、給与欄だけでなく全体を読んでください。

パターン④ 記載がない

固定残業代の制度がない場合と、記載を省いている場合の両方があります。

面接で「固定残業代の制度はありますか」と確認してください。

求人票の読み方全般については、専用の記事にまとめています。

5. 面接での聞き方

聞いて印象が悪くなることはありません。

むしろ、条件を確認せずに入社して早期に辞める方が、企業にとっても損失です。

聞くタイミング

タイミング適否
一次面接の逆質問(ただし他の質問の後に)
二次面接の逆質問推奨
最終面接
内定後の条件確認必ず確認
エージェント経由担当者に聞くのが最も楽

エージェント経由なら、担当者に聞いてください。面接の場で聞く必要がなくなります。

聞き方の文例

文例①(記載がある場合)

「求人票を拝見しまして、固定残業代が45時間分含まれるとありました。実際の平均的な残業時間は、どのくらいでしょうか。

文例②(記載がない場合)

「給与について1点確認させてください。提示いただいている金額に、固定残業代は含まれておりますでしょうか。

文例③(内定後)

「条件面について確認させてください。基本給、固定残業代の時間数と金額、超過分の扱いについて、ご教示いただけますでしょうか。

③は、内定通知書または労働条件通知書に記載されているはずです。

書面で受け取り、内容を確認してから承諾してください。

実際の残業時間を聞く

固定残業代の時間数より、実際の残業時間の方が重要です。

質問分かること
「配属予定の部署の、月平均の残業時間を教えてください」実態
「繁忙期と閑散期で、どのくらい差がありますか」年間の波
「45時間を超える方は、どのくらいいらっしゃいますか」超過の頻度

「部署によります」という答えが返ってきたら、「配属予定の部署では」と重ねて聞いてください。

6. 固定残業代の仕組みを正確に理解する

誤解が多い点を整理します。

誤解実際
固定残業代は違法違法ではない(要件を満たせば適法)
何時間残業しても給与は同じ超過分は支払われる(支払わないのは違法)
残業しなければ減額される減額されない(固定額として支給)
45時間分あるなら45時間残業しないといけないそうではない

重要なのは、超過分の扱いです。

固定残業時間を超えて働いた分については、別途割増賃金を支払う必要があります。

「45時間分の固定残業代を払っているから、それ以上は払わない」という運用は、法令に反します。

求人票に「超過分は別途支給」と書かれていない場合、面接で必ず確認してください。

時間数の目安

時間数そのものについても、目安を持っておいてください。

固定残業時間どう読むか
10〜20時間一般的な範囲
20〜30時間やや多め
30〜45時間常態的な残業を前提とした設計
45時間超労働時間の管理体制を確認すべき

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間と定められています(労働基準法)。

特別条項付きの労使協定がある場合は例外がありますが、45時間を超える固定残業代の設定は、慎重に見た方がよい水準です。

7. 年収を正しく比較する方法

複数社の条件を比較するときは、次の表を埋めてください。

項目A社B社
提示月給280,000円265,000円
固定残業代45時間/62,000円20時間/33,000円
基本給218,000円232,000円
賞与年2回(2ヶ月分)年2回(3ヶ月分)
実際の残業(面接で確認)月30〜40時間月15時間
時間あたりの実質低い高い

提示月給はA社が高いですが、基本給と実際の残業時間を見るとB社の方が条件が良い、という判断になります。

賞与は基本給を基準に計算されることが多いため、基本給の差は賞与にも影響します。

この表を作らずに提示額だけで比較すると、判断を誤ります。

8. 入社後に気づいた場合

入社してから固定残業代の存在に気づいた場合、次の順で確認してください。

#確認することどこを見るか
労働条件通知書の記載入社時に受け取った書面
就業規則・賃金規程社内のイントラネットまたは人事に請求
給与明細の内訳基本給と固定残業代が分かれているか
実際の残業時間との差勤怠記録

③が重要です。

給与明細で基本給と固定残業代が区別されていない場合、固定残業代として有効に機能していない可能性があります。

そして、④で「固定残業時間を超えているのに追加の支給がない」場合は、問題です。

その場合、まず人事に確認してください。

それでも解決しない場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談できます。

個別の事案については、労働基準監督署または弁護士に相談してください。この記事は法的助言を行うものではありません。

9. よくある質問

固定残業代は違法ではないのですか?

違法ではありません。基本給と区別されていること、時間数と金額が明示されていること、超過分が支払われることなどの要件を満たせば、適法な制度です。問題になるのは、これらの要件を満たしていない運用です。

残業をしなかった月も、固定残業代はもらえますか?

もらえます。固定残業代は、実際の残業時間にかかわらず定額で支給されるものです。残業がゼロの月に減額することは、原則としてできません。

45時間分の固定残業代がある会社は、避けるべきですか?

一概には言えません。重要なのは、実際の残業時間です。面接で「配属予定部署の月平均残業時間」を確認し、固定残業時間との差を見てください。実際が月15時間なのに45時間分が支給されるなら、応募者に有利な設計です。

面接で残業について聞くと、印象が悪くなりませんか?

なりません。労働条件の確認は、応募者の正当な行為です。ただし、逆質問の1問目に持ってくると、条件だけを見ていると受け取られる可能性があります。業務内容の質問をした後に聞いてください。

求人票に固定残業代の記載がない場合、制度はないと考えていいですか?

そうとは限りません。記載を省いている場合があります。面接または内定後の条件確認で、必ず直接確認してください。

内定後に、条件が求人票と違っていました。

労働条件通知書の内容を確認し、違いがあれば企業に確認してください。説明に納得できない場合、内定を辞退することは可能です。承諾する前に、書面で条件を受け取ってください。

固定残業代の分、基本給が低いと何が困りますか?

賞与と退職金の算定に影響することがあります。賞与を「基本給の◯ヶ月分」で計算する会社では、基本給が低いと賞与も低くなります。賞与の計算基準を、面接で確認してください。

みなし残業と裁量労働制は同じですか?

違います。固定残業代(みなし残業)は、一定時間分の残業代を定額で支払う制度です。裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間働いたとみなす制度で、対象となる業務が法令で限定されています。求人票にどちらの記載があるかを確認してください。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

求人票の給与欄は、金額ではなく但し書きを読んでください。

「年収400万円」の中に、月45時間分の残業代が含まれているかどうかで、条件はまったく変わります。

今夜やること

応募を検討している求人の給与欄を開き、但し書きを読む(5分)

固定残業代の記載があれば、時間数を引いて基本給を計算する

記載がなければ、面接で聞く質問文をメモに書く

目安時間:合計20分

①は5分で終わります。

私は、これを3社分やらずに面接を受けていました。4社目の面接で指摘されるまで、自分が何を見ていなかったのかに気づいていませんでした。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。