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正社員・契約社員・派遣の違い|第二新卒が雇用形態を選ぶ基準【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
正社員・契約社員・派遣の違い|第二新卒が雇用形態を選ぶ基準【2026年版】

〜求人票で最初に確認すべきは、給与ではなく雇用形態です〜

転職活動をしていると、同じような業務内容の求人が、雇用形態だけ違う形で並んでいることがあります。

正社員、契約社員、派遣社員、業務委託。この4つは、待遇も、安定性も、その後のキャリアへの影響も、すべて違います。

そして、「未経験可」「月給30万円」といった条件の良い求人が、実は業務委託だった——というケースは珍しくありません。業務委託は「雇用」ではないため、社会保険も、労働時間の保護も、有給休暇もありません。

この記事では、4つの雇用形態の違いと、第二新卒がどう選ぶべきかを整理します。

1. 結論:第二新卒は原則、正社員を選ぶ

理由は3つあります。

① 20代でのキャリアの積み上げが、その後の選択肢を決める

正社員での実務経験は、次の転職での前提条件になります。多くの求人が「正社員としての就業経験◯年以上」を条件にしているため、非正規での期間が長くなると、応募できる求人が減ります。

② 教育と担当範囲の差

契約社員・派遣社員は、業務範囲が契約で定められています。そのため、範囲を超えた業務に関われず、経験が積み上がりにくい構造があります。

③ 収入と保障の差

賞与、退職金、昇給、住宅手当。これらは正社員にのみ適用される会社が多く、生涯の収入差は大きくなります。

ただし、例外もあります。非正規を選ぶ合理的な場面については、第6章で整理します。

2. 4つの雇用形態の違い

項目正社員契約社員派遣社員業務委託
雇用主勤務先勤務先派遣会社なし(事業主として契約)
契約期間定めなし有期(原則3年まで)有期案件ごと
社会保険ありあり(条件を満たせば)あり(派遣会社経由)なし
雇用保険ありありありなし
有給休暇ありありありなし
労働時間の保護ありありありなし
賞与会社による(あることが多い)会社による(ないことも多い)原則なしなし
退職金会社による原則なしなしなし
昇給あり契約更新時に見直し原則なしなし
業務範囲会社の指示による契約で定められる契約で定められる契約による
解雇・契約終了制約が大きい契約満了で終了しうる契約満了で終了しうる契約終了

業務委託の欄を見てください。社会保険、雇用保険、有給休暇、労働時間の保護。すべて「なし」です。

これは、業務委託が「雇用」ではなく「事業者同士の契約」だからです。働く人は個人事業主として扱われ、労働基準法の保護の対象外になります。

3. 編集長の実体験:求人票で「業務委託」を見落としかけた話

私の第二新卒の転職活動で、条件の良い求人を見つけたことがあります。

その求人

「未経験歓迎/月収30〜50万円可/完全週休2日/研修充実」

前職の月給が28万円だったので、条件だけ見ると魅力的でした。応募しようとして、念のため求人票を最後まで読みました。

雇用形態の欄

「業務委託(個人事業主として契約)」

この一行を見落としていたら、応募していたと思います。

その後、エージェントの担当者にこの求人の話をしました。

担当者「業務委託ですね。それ、月収30万円というのは『売上』であって『給料』じゃないです」

「どう違うんですか」

「業務委託だと、社会保険料も所得税も自分で払います。国民健康保険と国民年金だと、会社が半分負担してくれる厚生年金より負担が重い。あと、経費も自分持ちです。交通費も、営業に使う道具も

「それに、有給がない。休んだ分は収入が減ります。月収30万円の業務委託と、月給25万円の正社員だと、手取りはほぼ同じか、正社員のほうが多いこともある

この会話で、私は求人票の見方を変えました。

それ以降、求人を開いたら最初に「雇用形態」を確認するようにしました。給与欄より先です。給与の金額は、雇用形態が分からないと意味を持たないからです。

業務委託が悪い働き方だと言いたいわけではありません。実務経験を積んで、自分で案件を選べる段階になれば、有力な選択肢です。ただし、第二新卒の1社目の転職先としては、リスクが大きすぎます。

4. 契約社員という選択肢

契約社員は、正社員と非正規の中間に位置します。

メリットデメリット
正社員より入りやすい場合がある契約期間の満了で終了しうる
社会保険・有給休暇がある賞与・退職金がないことが多い
正社員登用の可能性がある昇給が限定的
業務範囲が明確範囲を超えた経験が積みにくい

「正社員登用あり」の求人について

この記載がある求人は多いですが、実際の登用率は企業によって大きく異なります。

面接で必ず確認すべき3点

  1. 「過去3年で、契約社員から正社員になった方は何名いますか」
  2. 「登用の条件(勤続年数、試験、評価)を教えてください」
  3. 「登用のタイミングは、年に何回ありますか」

この3つに具体的な答えが返ってこない場合、登用の実績が乏しい可能性があります。「実績はあります」だけで、人数も条件も答えられない企業は、慎重に検討してください。

5. 派遣社員という選択肢

派遣は、派遣会社に雇用され、派遣先で働く形です。

メリットデメリット
未経験でも入りやすい業務範囲が契約で限定される
勤務地・時間を選びやすい賞与・退職金がない
職場が合わなければ変えやすい契約期間の満了で終了しうる
大手企業で働ける場合がある昇給が限定的
派遣会社の研修が受けられるキャリアが積み上がりにくい

「紹介予定派遣」について

一定期間の派遣勤務の後、双方が合意すれば直接雇用に切り替わる仕組みです。

これは、第二新卒にとって検討する価値のある選択肢です。実際に働いてみてから正社員になるかを判断できるため、ミスマッチが起きにくい構造があります。

ただし、確認すべき点があります。

  • 直接雇用の際の雇用形態(正社員とは限りません。契約社員の場合もあります
  • 直接雇用に至る割合
  • 派遣期間中の給与と、直接雇用後の給与の差

「直接雇用」=「正社員」ではありません。ここは必ず確認してください。

6. 非正規を選ぶ合理的な場面

原則は正社員ですが、次の場合は非正規が合理的な選択になります。

状況理由
経歴の空白が長く、まず実績を作りたい派遣・契約から入り、実務経験を作ってから正社員を目指す
未経験の職種で、適性を確かめたい紹介予定派遣で実際に働いてから判断する
家庭の事情で勤務時間に制約がある派遣なら時間・勤務地を選びやすい
資格取得の学習と両立したい業務範囲と時間が明確
どうしても入りたい企業が非正規でしか募集していないまず入って、正社員登用を目指す

いずれの場合も、「いつまでに正社員を目指すか」の期限を決めてください。

非正規の期間が長くなるほど、正社員への転換は難しくなります。特に20代のうちは、期間を区切って動くことを勧めます。

目安としては、1〜2年です。この期間で実務経験を作り、正社員での転職を目指す形が現実的です。

7. 非正規から正社員を目指す手順

手順1:正社員求人に応募できる状態を作る(在職中に)

実務経験を数字で語れる状態にしてください。「派遣として◯◯を担当し、月◯件を処理」「契約社員として◯◯を担当し、◯◯を改善」。雇用形態に関わらず、実績は実績です。

手順2:職務経歴書に雇用形態を正確に書く

隠さないでください。経歴詐称になります。ただし、業務内容と実績を詳しく書けば、雇用形態の印象は相対的に小さくなります。

手順3:正社員登用の可能性を確認する

現在の勤務先に正社員登用制度があるなら、まず条件を確認してください。転職より、社内での転換のほうが早いことがあります。

手順4:正社員求人に応募する

「正社員経験がない」ことがネックになる場合、次の3つで補えます。

  1. 実務経験の中身を具体的に書く(担当業務、処理量、改善した数字)
  2. 非正規を選んだ理由を説明できるようにする(「未経験の職種で適性を確認したかった」など)
  3. 資格を1つ取る(学習の継続と本気度の証明)

面接での説明の型

「前職では派遣社員として◯◯を担当しておりました。未経験の職種であったため、まず実務を経験して適性を確認したいと考えたためです。2年間で◯◯の業務を担当し、△△の改善も行いました。実務の内容が自分に合っていると確認できたため、今後は正社員として、より広い範囲で責任を持って取り組みたいと考えています。」

8. 求人票での確認方法

求人を開いたら、最初に確認する順番です。

順番確認項目見るべき場所
1雇用形態「雇用形態」欄。給与より先に見る
2契約期間「有期」か「定めなし」か
3試用期間の条件試用期間中の雇用形態と給与
4社会保険「社会保険完備」の記載
5賞与・昇給有無と実績
6正社員登用記載があれば、実績を面接で確認

注意すべき表記

表記意味
「業務委託」「個人事業主」「委任契約」雇用ではない。労働法の保護がない
「試用期間中は契約社員」試用期間後に正社員になれるとは限らない
「正社員登用制度あり」実績を必ず確認
「無期雇用派遣」派遣会社の正社員。派遣先は変わる
「準社員」「メイト社員」会社独自の呼称。実態を確認

3番目の「試用期間中は契約社員」は、特に注意が必要です。試用期間が終わっても正社員にならず、契約社員のまま継続されるケースがあります。面接で「試用期間後の雇用形態」と「これまでの登用の実績」を確認してください。

9. よくある質問

契約社員でも第二新卒として応募できますか?

できます。実務上、契約社員・派遣社員としての就業経験も「社会人経験」として扱われることが一般的です。ただし、求人票に「正社員経験◯年以上」と明記されている場合は、条件を満たさない可能性があります。この場合は、応募前にエージェントか企業に確認してください。

派遣の経験は職務経歴書に書けますか?

書けます。書いてください。雇用形態を正確に記載したうえで、担当業務と実績を詳しく書いてください。「派遣だから書けない」ということはありません。むしろ、業務内容が具体的であれば、正社員経験と同じように評価されます。

「正社員登用あり」は信じていいですか?

実績を確認してください。面接で「過去3年で何名が登用されましたか」「登用の条件を教えてください」と聞いてください。具体的な人数と条件が答えられる企業なら、制度が実際に機能しています。答えが曖昧な場合、慎重に判断してください。

業務委託は絶対に避けるべきですか?

第二新卒の1社目としては、勧めません。社会保険、雇用保険、有給休暇、労働時間の保護がすべてないためです。ただし、実務経験を積んで自分で案件を選べる段階になれば、有力な選択肢になります。順序の問題です。

紹介予定派遣はどうですか?

第二新卒にとって、検討する価値のある選択肢です。実際に働いてから正社員になるかを判断できるため、ミスマッチが起きにくい構造があります。ただし、「直接雇用=正社員」とは限らないため、契約前に必ず確認してください。

非正規の期間が長いと、正社員になれませんか?

難しくなりますが、不可能ではありません。重要なのは、その期間に何を担当したかです。実務経験を数字で語れる状態にしておけば、雇用形態の影響は相対的に小さくなります。ただし、20代のうちに正社員へ転換することを目安にしてください。

無期雇用派遣とは何ですか?

派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結び、派遣先で働く形です。派遣会社の正社員(または無期契約社員)という位置づけになるため、派遣先の契約が終わっても雇用は継続します。ただし、派遣先は変わるため、勤務地や業務内容が変動します。通常の派遣より安定していますが、事業会社の正社員とは異なります。

試用期間中に契約社員なのは普通ですか?

一般的ではありません。多くの企業では、試用期間中も正社員としての雇用契約を結びます。「試用期間中は契約社員」という条件の場合、試用期間後に必ず正社員になれるのかを、面接で必ず確認してください。労働条件通知書の記載も確認が必要です。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

雇用形態は、給与の金額より先に確認すべき項目です。ここを見落とすと、条件の比較そのものが成立しません。

今夜やること

① 検討中の求人を3件開き、「雇用形態」の欄だけを読む(給与欄より先に)

② そのうち「業務委託」「個人事業主」の記載があるものがないか確認する(あれば、社会保険と有給がないことを前提に判断し直す

③ 「契約社員」「正社員登用あり」の求人があれば、面接で聞く質問を1つメモする(「過去3年で何名が登用されましたか」)

①は3分で終わりますが、その3分で応募先の判断が変わることがあります。条件の良く見える求人ほど、雇用形態の欄を確認してください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。