出戻り転職はできるのか|辞め方で決まる3年後【2026年版】
転職した会社が合わなかったとき、選択肢の1つに前職に戻るという道があります。実際、出戻り採用(アルムナイ採用)の制度を持つ会社は増えています。
ただ、誰でも戻れるわけではありません。戻れるかどうかは、辞めたときにほぼ決まっています。
この記事では、戻れる場合と戻れない場合の違い、打診の手順、そして「今の会社を辞めるとき、将来のために何をしておくべきか」を整理します。
1. 結論:戻れるかは3つで決まる
1、辞め方。引き継ぎを丁寧にやったか、円満に辞めたか。ここが最も大きい。
2、社内に残っている人との関係。元上司、元同僚と連絡が取れる状態か。
3、辞めた後に何を積んだか。「合わなかったので戻ります」だけでは通りません。外で何を得たかが問われます。
この3つのうち、1と2は辞める時点で決まります。だから、今の会社を辞める人にとっても、この記事は使えます。
3年後に選択肢を残すかどうかは、辞め方で決まるということです。
2. 戻れる場合と戻れない場合
| 状況 | 戻れる可能性 |
|---|---|
| 円満に退職し、引き継ぎも完了 | 高い |
| 元上司と連絡が取れる | 高い |
| 会社に出戻り採用の制度がある | 高い |
| 辞めるときに揉めた | 低い |
| 引き継ぎが不十分なまま辞めた | 低い |
| 競合他社に転職した | 状況による |
| 会社の業績が悪化している | 採用枠自体がない可能性 |
6行目は判断が分かれます。競合に行った場合でも、戻る会社にとって「相手の状況を知っている人材」として価値がある場合があります。一方、感情的な反発が残る場合もあります。
7行目は自分ではどうにもなりません。戻りたくても、採用の枠がなければ話が進みません。
「出戻り採用の制度がある」かどうかは、在職中に確認できます。就業規則や、人事の説明に記載があることがあります。
3. 編集長が相談を受けた話:辞め方で戻れた人と戻れなかった人
同じ会社を同じ時期に辞めた2人の話を聞いたことがあります。
1人目(戻れた)
「辞めるとき、引き継ぎ資料を作って、後任が決まるまで有給を後ろにずらしました。1年後に元上司から『戻ってこないか』と連絡がきて」
2人目(戻れなかった)
「有給を全部使って、最終出社日の1週間前に伝えました。引き継ぎはほとんどできてないです。1年後に人事に問い合わせたら、『現在は募集していません』と」
2人目は、実際には募集がなかったのかもしれません。ただ、1人目のように「元上司から声がかかる」状態にはならなかった。
差は、辞めるときの1か月の過ごし方だけです。能力の差でも、実績の差でもありません。
この差は、出戻りに限らず効きます。同じ業界で働き続けるなら、元同僚が取引先になったり、転職先の面接官になったりする可能性があります。
辞め方は、辞めた後の選択肢の数を決めます。
4. 出戻りを打診する手順
手順1、公式の窓口があるか確認する。アルムナイ採用の制度がある会社では、専用の窓口や登録の仕組みがあります。
手順2、元上司または元同僚に相談する。制度がない場合、こちらが実質的な入口になります。
手順3、現在の状況を正直に伝える。なぜ戻りたいのか、外で何を得たのか。
手順4、正式な応募をする。制度がある場合は制度に沿って、ない場合は人事に連絡します。
手順5、通常の選考を受ける。出戻りでも、書類と面接があるのが一般的です。
元上司への連絡の例
「ご無沙汰しております。〇〇です。突然のご連絡で恐縮です。退職から1年半、〇〇社で〇〇の業務を担当してまいりました。前職で担当していた〇〇の領域に、あらためて関わりたいという気持ちが強くなり、ご相談させていただければと思いご連絡いたしました。お時間をいただくことは可能でしょうか。」
いきなり「戻りたい」と書かず、「相談したい」から始めるのが穏当です。相手にも判断の余地を残します。
5. 打診する前に整理すること
整理1、なぜ辞めたのかを言語化する。戻る場合、必ず聞かれます。「辞めた理由は解消されているのか」が焦点になります。
整理2、外で何を得たかを3つ挙げる。「合わなかったので戻る」だけでは通りません。
整理3、戻ってから何をするかを言う。元の業務に戻るのか、違う役割を希望するのか。
| 質問 | 用意する答え |
|---|---|
| なぜ辞めたのか | 当時の判断の理由(批判にしない) |
| その理由は解消されたか | 状況が変わったか、自分の見方が変わったか |
| 外で何を得たか | 具体的なスキル・経験を3つ |
| なぜ戻るのか | 前職でしかできないことを1つ |
| 戻って何をするか | 具体的な業務 |
3行目が最も重要です。会社側から見ると、出戻りの価値は「外の経験を持って帰ってくること」にあります。
答え方の例
「転職先では、法人向けのSaaSの導入支援を担当しました。前職では商材を売るところまででしたが、導入後の定着まで見る経験ができました。前職の商材でも、導入後のフォローを設計する余地があると当時から感じていたので、その部分に取り組みたいと考えています。」
「外で得たこと」と「前職でやりたいこと」がつながっていると、通ります。
6. 戻ったあとに起きること
出戻りが決まった場合、想定しておくべきことがあります。
1、以前と同じ役割とは限らない。組織は変わっています。同じ部署が存在しない場合もあります。
2、以前の同僚が上司になっている場合がある。自分が辞めていた期間、他の人は昇進しています。
3、条件が以前と違う場合がある。年収、等級、勤務地。前職の時点に戻るわけではありません。
4、「なぜ戻ったのか」を何度も聞かれる。社内の人からも聞かれます。答えを1つ決めておいてください。
5、周囲の期待値が上がっている。「外を見てきた人」として見られます。以前と同じ動き方だと、期待に応えられません。
| 想定すること | 準備 |
|---|---|
| 役割が変わる | 希望を事前に伝える |
| 元同僚が上司 | 割り切る |
| 条件が違う | 内定時に必ず確認 |
| 理由を何度も聞かれる | 答えを1つ決める |
| 期待値が高い | 外で得たものを持ち込む |
3行目は必ず確認してください。「前と同じ条件で戻れる」と思い込むと、入社後に食い違います。年収・等級・役割を、内定の時点で書面で確認してください。
出戻り以外の「前職に関わる」選択肢
前職に戻ることだけが選択肢ではありません。関係を活かす形は他にもあります。
1、前職を取引先として担当する。転職先で前職を顧客として持つ形です。業務を知っているため、提案がしやすくなります。ただし、競業避止や秘密保持の条項に触れないか、事前に確認してください。
2、業務委託として関わる。退職後、前職から業務を請け負う形です。副業として認められる範囲かどうか、転職先の規程を確認してください。
3、紹介の入口になる。前職の元同僚から、転職先の候補者を紹介してもらう、または逆に紹介する形です。ただし引き抜きに関する定めがないか確認が必要です。
4、情報交換の相手として続ける。業界の動きを知る相手として、年に数回連絡を取る形です。最も負担が少なく、続けやすい形です。
| 形 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 取引先として担当 | 競業避止・秘密保持の条項 |
| 業務委託 | 転職先の副業に関する規程 |
| 紹介 | 引き抜きに関する定め |
| 情報交換 | 特になし |
4行目が最も現実的です。そして、この関係があると、出戻りの話も自然に出てきます。
なお、競業避止や秘密保持、引き抜きに関する扱いは、雇用契約や誓約書の内容によって変わります。個別の判断は専門機関にご確認ください。
7. 面接で聞かれる3問と答え方
Q1「なぜ一度辞めたのですか」
回答例:「当時は、担当していた業務の範囲を広げたいという気持ちが強く、社内では難しいと判断して外に出ました。今振り返ると、社内でも別の道を探せた可能性はあったと思っています。ただ、外に出たことで得たものもあるので、判断自体を後悔してはいません。」
「間違いだった」と言い切らないほうが自然です。当時の判断を認めたうえで、今の判断を述べてください。
Q2「今度は続けられますか」
回答例:「一度離れて、他社の進め方を見たうえで戻る判断をしています。当時は比較の対象がありませんでしたが、今はあります。そのうえで選んでいるので、以前より根拠のある判断だと思っています。」
Q3「外で何を学びましたか」
回答例:「大きく2つあります。1つは、導入後の定着まで含めた提案の作り方です。もう1つは、数字を週次で見て施策を修正する進め方です。前職では月次でしたが、週次で回すと修正の速度が変わることを実感しました。」
具体的な違いを2つ挙げると、外の経験が伝わります。
8. 「今の会社を辞めるとき」にやること
出戻りを考えていなくても、選択肢を残すためにやっておくことです。
| やること | なぜ効くか |
|---|---|
| 引き継ぎ資料を作る | 辞めた後の評価が決まる |
| 後任が決まるまで調整する | 「最後まで責任を持った人」になる |
| 最終出社日まで通常業務の質を落とさない | 最も見られている部分 |
| 元上司と連絡先を交換する | 数年後の入口になる |
| 取引先にも丁寧に挨拶する | 業界内で再会する |
| 会社や同僚の批判を外で言わない | 業界は狭い |
4行目を忘れる人が多いです。会社のメールアドレスは使えなくなります。個人の連絡先を交換しておかないと、数年後に連絡が取れません。
6行目も重要です。転職先で前職の批判をすると、「この人はうちのことも外で言う」と受け取られます。そして、その話は業界内で回ります。
辞め方は、その会社との関係だけでなく、業界内での自分の立ち位置を決めます。
9. よくある質問
出戻り採用は増えていますか
制度として設ける会社は増えています。ただし、すべての会社にあるわけではありません。
辞めてから何年以内なら戻れますか
明確な基準はありません。ただし、組織や業務が変わっているため、時間が経つほど「一度辞めた人」ではなく「中途の応募者」に近くなります。
元上司に連絡するのは図々しくないですか
図々しくありません。ただし、退職時の関係が悪かった場合は避けてください。
出戻りだと年収は上がりますか
外での経験によります。同じ役割で戻る場合、市場水準で判断されるのが一般的です。
転職先を1年未満で辞めて戻れますか
可能性はありますが、「なぜすぐ辞めたのか」が問われます。理由を整理してから打診してください。
出戻りだと肩身が狭くないですか
最初は「なぜ戻ったのか」を何度も聞かれます。答えを1つ決めておけば、そこは乗り切れます。
同じ部署に戻れますか
組織が変わっている場合があります。希望は伝えられますが、確約はされません。
転職活動中に前職に打診してもいいですか
構いません。ただし、他社の選考と並行する場合、判断の期限を揃えておいてください。
10. まとめ:辞めるときにやる3つのこと
出戻りができるかどうかは、辞めるときにほぼ決まります。
1つめ、引き継ぎ資料を作る。後任が誰になっても読めば分かる形にしてください。これが、辞めた後の評価をほぼ決めます。所要3〜5時間。
2つめ、元上司と個人の連絡先を交換する。会社のメールは退職後に使えません。数年後に連絡が取れる状態にしておいてください。所要5分。
3つめ、最終出社日まで通常業務の質を落とさない。退職が決まってから雑になる人は多く、だからこそ、そうしなかった人は覚えられます。
出戻りを考えていなくても、この3つは数年後の選択肢の数を決めます。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。