クラウドエンジニアへ転職する|第二新卒がインフラとの違いを知って入る【2026年版】
〜「クラウド」と書かれた求人が増えた分、中身の幅も広がっています〜
クラウドエンジニアという肩書きの求人が増えています。年収レンジも高めに設定されていることが多く、未経験からこの職種を目指す人も増えました。
ただし、この肩書きの中身は会社によって大きく違います。設計から構築まで担当する組織もあれば、既存環境の運用が中心の求人もあります。
そして最も重要なのは、「未経験からいきなりクラウドエンジニア」は、多くの場合に成立しないという点です。クラウドは、従来のインフラの知識の上に成り立っているためです。
この記事では、従来のインフラとの違いを整理したうえで、現実的な入り方をまとめます。
1. 結論:押さえるべきは3点
クラウドを目指すときの3つの前提
① クラウドはインフラの知識の上に乗っている(土台を飛ばせない)
② 未経験からの直接応募は通りにくい(インフラ・運用を経由するのが現実的)
③ 資格は評価されるが、「触ったことがあるか」とセットで見られる
①が最も見落とされます。「サーバーを買わなくていい」という説明を聞いて、簡単になったと受け取る人がいますが、そうではありません。
物理的な調達がなくなった代わりに、構成を自分で設計する自由度が上がっています。その分、何をどう組み合わせるかの判断が必要になります。
2. 従来のインフラと何が違うか
| 従来のインフラ | クラウド | |
|---|---|---|
| 機材の調達 | 購入・設置が必要 | 申し込めば使える |
| 増減 | 難しい | 短時間で変えられる |
| 費用 | 初期投資が大きい | 使った分の課金 |
| 構築の速さ | 数週間〜 | 数分〜数時間 |
| 必要な知識 | 機器とOS | 機器とOSに加えて各サービスの仕様 |
| 失敗の影響 | 設置のやり直し | 設定ミスが費用や公開範囲に直結 |
「必要な知識が減った」のではなく、「置き換わったうえで増えた」と考えるのが正確です。
ネットワークとOSの理解は、クラウドでも必要です。その上に、各クラウドサービスの仕様と考え方が乗ります。
だからこそ、土台のない状態で入っても、何を設定しているのか分からないまま作業することになります。
設定ミスの重さ
クラウドでは、設定を一つ間違えると、意図せず外部から見える状態になることがあります。
これは物理環境では起きにくい種類の事故です。そのため、この領域では「正しく作る」ことと同じくらい「安全に閉じる」ことが評価されます。
セキュリティ側の考え方はセキュリティエンジニアへの未経験転職|第二新卒が入れる領域と学習の順番にまとめています。
3. 未経験から直接入れるのか
| 現在地 | クラウド求人への応募 | 現実的な次の一手 |
|---|---|---|
| IT未経験 | ほぼ通らない | インフラ・運用の入口を探す |
| 運用・監視1年以上 | 一部で可能性あり | クラウドを自分で触ってみる |
| インフラ2〜3年 | 現実的 | 構築の経験を作る |
| 開発経験あり | 現実的 | インフラ側の知識を補う |
遠回りに見えますが、インフラの入口を経由するほうが到達は早くなります。
インフラエンジニアの未経験転職|第二新卒に入口が広い理由と学習の順番やネットワークエンジニアの未経験転職|第二新卒が入る順番と学習が、その入口にあたります。
また、「未経験可」と書かれたクラウド求人には、実態が運用・監視のものが含まれます。それ自体は入口として悪くありませんが、期待とずれないよう業務内容を確認してください。
4. 学習の順番
推奨する順番
① ネットワークとOSの基礎(ここを飛ばすと後が崩れる)
② 無料枠で実際にアカウントを作り、触ってみる
③ 仮想マシンを1台立てて、外から接続してみる
④ ネットワークの設定を自分で組む(接続範囲を絞る)
⑤ 構成をコードで管理する考え方に触れる
②と③が決定的です。
クラウドは、書籍を読むより実際に触るほうが圧倒的に早く理解できます。多くのサービスに無料で試せる範囲があり、費用をかけずに実機経験が作れます。
面接では「触ったことがあるか」を必ず聞かれます。「1台立てて、外から接続できるところまでやりました」と言えるだけで、話が変わります。
学習時間の作り方は働きながら学習時間を作る|平日30分の設計を参照してください。
費用の注意
無料枠を超えると課金が発生します。試したあとに削除する、使用量の通知を設定する、といった管理を最初から習慣にしてください。
これ自体も、実務で必要になる感覚です。
5. 話を聞いた例:運用担当が3か月で作った材料
知人に、サーバーの運用担当からクラウド寄りの仕事へ移った人がいます。
その人が3か月で作ったのは、次のようなものでした。
実際にやったこと
・無料枠でアカウントを作り、仮想マシンを立てた
・接続元を自分の環境だけに絞る設定を組んだ
・現職の手作業の集計を、クラウド上で動かしてみた
・かかった費用と、設定した内容を記録に残した
4つ目が効きました。
費用の記録があることで、「使いっぱなしにしない意識がある」ことが伝わります。クラウドの運用では費用の管理が実務上の課題になるため、ここに触れられる応募者は多くありません。
規模は小さくて構いません。自分の手で作り、動かし、片付けたという一連の経験があるかどうかが見られています。
6. 資格の効き方
| 資格 | 位置づけ |
|---|---|
| クラウド各社の入門資格 | 用語と全体像の証明。取りやすい |
| クラウド各社の中級資格 | 実務に近く、評価されやすい |
| 基本情報技術者 | 土台の証明 |
| CCNA | ネットワークの基礎の証明。クラウドでも効く |
入門資格は、学習の目標として機能します。ただし、これだけで実力の証明にはなりません。
「資格を取ったが、コンソールを開いたことがない」状態は、面接ですぐ分かります。資格と実機の両方を揃えてください。
資格の選び方はIT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番にまとめています。
7. 求人票で確認する7項目
確認する7項目
① 担当する工程(設計/構築/運用のどれか)
② 扱うクラウドの名前が書かれているか
③ 自社サービスか、顧客案件か
④ 移行案件が中心か、新規構築か
⑤ コードで構成を管理しているか
⑥ オンコールの有無
⑦ 未経験者の受け入れ実績
⑤は環境の成熟度を示します。構成をコードで管理している組織では、作業の再現性が高く、身につく力の質も変わります。
また、「クラウドエンジニア」とありながら、業務内容が既存環境の監視だけの求人があります。①と②で中身を確かめてください。
技術名の読み方は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む、当番の実態はエンジニアの夜勤と当番|実態と面接で確認する項目を参照してください。
8. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| 触ったことはあるか | 実際の経験 | 何を立てて、どこまでやったか |
| ネットワークの理解 | 土台の有無 | 接続範囲の設計で答える |
| 費用の管理をどう考えるか | 実務の感覚 | 使ったら消す、通知を設定する |
| なぜクラウドか | 職種の理解 | 「速く作り直せる」ことに触れる |
| オンコールは可能か | 条件の合致 | 曖昧にしない |
「これからの技術だから」という志望理由は最も弱いです。
代わりに、「必要なときに必要な分だけ用意でき、間違えたら作り直せる。その前提で設計する仕事に関心がある」という形にすると、理解が伝わります。
9. よくある質問
どのクラウドを学べばいいですか
求人数が多いものから触るのが効率的です。ただし、一つを深く理解すれば、他のクラウドも考え方は共通しています。最初の一つを選んで進めてください。
プログラミングは必要ですか
必須ではありませんが、構成をコードで管理する場面や、作業を自動化する場面で必要になります。ネットワークとOSの次に学ぶ対象として考えてください。
未経験可の求人は避けるべきですか
避ける必要はありません。ただし、業務内容が運用・監視であることを理解したうえで応募してください。入口としては機能します。
年収は高いですか
求人のレンジは高めに設定されていることが多い職種です。ただし、未経験に近い段階でその水準が提示されるとは限りません。考え方は未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間を参照してください。
無料枠だけで学習できますか
基本的な操作は可能です。ただし使いすぎると課金されるため、使用量の通知を設定してください。この管理自体が実務の練習になります。
インフラの経験がないと厳しいですか
土台がないと理解が進みにくいのは事実です。ただし、クラウドを触りながらネットワークとOSを学ぶ進め方もあります。順番より、両方を並行させることが重要です。
SREとの違いは何ですか
重なる部分が大きい職種です。クラウドは「基盤をどう作るか」、SREは「動き続ける状態をどう保つか」に重心があります。詳しくはSREとは何をする仕事か|第二新卒がインフラから移るための道筋にまとめています。
独学の成果はどう見せればいいですか
構成図と、設定した内容、かかった費用を記録しておきます。規模は問われません。考え方は未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではないと同じです。
10. まとめ:今週やる3つのこと
クラウドは、土台を飛ばせない領域です。ただし、実機経験を作る費用は最も低い領域でもあります。
今週やる3つのこと
① 無料枠でアカウントを作り、仮想マシンを1台立てる
② 接続できる範囲を自分の環境だけに絞る設定を組む
③ 試し終わったら削除し、費用と手順を記録する
この3つで、面接で話せる材料が1つできます。書籍を1冊読むより、この経験のほうが早く効きます。
この先、読むべき記事
- インフラエンジニアの未経験転職|第二新卒に入口が広い理由と学習の順番(土台を作る入口)
- ネットワークエンジニアの未経験転職|第二新卒が入る順番と学習(通信側から入る道)
- SREとは何をする仕事か|第二新卒がインフラから移るための道筋(近い職種との違い)
- IT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番(資格の優先順位)
- 技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む(求人票から環境を読む)
- プラットフォームエンジニアという職種|第二新卒が知る仕事の実際(その先の職種)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。