SREとは何をする仕事か|第二新卒がインフラから移るための道筋【2026年版】
〜求人票にSREと書いてあっても、中身は会社ごとに違います〜
SREという肩書きの求人が増えています。年収レンジも高めに設定されていることが多く、目に留まりやすい職種です。
ただし、この肩書きほど会社によって中身が違うものはありません。本来の意味で運用の仕組みを設計している組織もあれば、従来の運用保守の名前を変えただけの求人もあります。
そして第二新卒にとっての現実的な問題は、「未経験からいきなりSREになれるのか」です。結論を先に言うと、直接は難しく、経由地を挟むのが現実的です。
この記事では、仕事の中身を分解したうえで、そこへ向かう道筋を整理します。
1. 結論:押さえるべきは3点
SREを考えるときの3つの前提
① SREは「壊れないようにする」より「壊れても戻せるようにする」仕事
② 未経験からの直接応募はほぼ通らない(インフラ・運用を1〜3年挟むのが現実的)
③ 求人票にSREとあっても、実態が運用保守のことがある
②を知らずに応募を続けると、書類の不通過だけが積み上がります。
一方で、インフラエンジニアや運用保守からの移動先としては、最も現実的なキャリアパスの一つです。今の位置が第二新卒であることは、むしろ有利に働きます。
2. SREが何をしているのか
Site Reliability Engineering の頭文字で、日本語では「サイト信頼性エンジニアリング」と訳されます。
言葉だけでは伝わらないので、仕事を分解します。
| 仕事 | 中身 |
|---|---|
| 監視の設計 | 何を計測し、どこで警告を出すかを決める |
| 障害対応 | 落ちたときに戻す、原因を残す |
| 自動化 | 手作業の運用をコードに置き換える |
| 基盤の改善 | 負荷に耐える構成へ作り替える |
| 開発チームとの調整 | リリースの安全性と速度の折り合いをつける |
共通しているのは、「同じ障害を二度起こさないための仕組みを作る」という軸です。
障害が起きたときに手で直すのが運用保守だとすると、SREは手で直した後に「次は手を動かさなくて済むようにする」ところまでを仕事にします。
「信頼性」を数字で扱う
SREの特徴として、感覚ではなく数値で状態を扱う点があります。
よく使われる考え方
・どれくらい落ちてよいかを先に決める(100%を目指さない)
・決めた範囲を超えたら、新機能より安定化を優先する
・手作業の時間を計測し、削る対象にする
「落ちてよい範囲を決める」という発想は、面接で説明できると理解度が伝わります。ゼロを目指すのではなく、事業として許容できる線を引き、その線を守るための投資配分を決める、という考え方です。
3. 運用保守との違い
同じ「システムを動かし続ける」仕事でも、評価される内容が違います。
| 運用保守 | SRE | |
|---|---|---|
| 主な動き | 手順書どおりに実行する | 手順書自体を作り替える |
| 障害対応 | 復旧させる | 復旧させ、再発しない形にする |
| 成果 | 止めなかったこと | 手作業を減らしたこと |
| 使う道具 | 監視画面、手順書 | コード、監視設計、自動化 |
| 開発との関係 | 依頼を受ける | 一緒に設計に入る |
運用保守の経験は無駄になりません。むしろ、現場で何が壊れるかを知っていることは、SREにとって前提の知識です。
問題は、運用保守にいるだけでは「手順書を作り替えた経験」が積み上がらないことです。ここを意識的に作る必要があります。
移り方の具体は運用保守から開発へ移る|第二新卒が現職で作れる材料と移り方の順番の考え方がそのまま応用できます。
4. 話を聞いた例:運用から移った人が作った材料
知人に、監視オペレーターからSREのポジションに移った人がいます。
その人が転職活動で出した材料は、次のようなものでした。
実際に書いた内容
・毎日30分かかっていたログ集計を、スクリプト化して5分にした
・同じアラートが月に何十件も鳴っていたので、条件を見直して件数を減らした
・障害の対応記録の書式を統一し、後から検索できるようにした
・手順書のうち、実態と合っていない箇所を洗い出して更新した
どれも、その人の職務範囲を大きく超えた仕事ではありません。与えられた仕事の中で、繰り返しを減らす方向に手を入れただけです。
ただ、この4つはSREが評価する軸そのものです。「言われたことをやりました」ではなく「無駄を見つけて削りました」という形になっているからです。
今の職場が運用保守なら、この材料は今日から作れます。転職活動を始める前に、まず現職で1つ作るほうが早いことがあります。
5. 未経験から直接入れるのか
現実的な線引きを整理します。
| 現在地 | SRE求人への応募 | 現実的な次の一手 |
|---|---|---|
| IT未経験 | ほぼ通らない | インフラ・運用の入口を探す |
| 運用保守1年以上 | 一部で可能性あり | 自動化の実績を1つ作る |
| インフラ2〜3年 | 現実的 | クラウドと構成管理を押さえる |
| 開発経験あり | 現実的 | 監視・信頼性の考え方を補う |
IT未経験からの直接応募が通らないのは、SREの仕事が「既存の仕組みを改善する仕事」だからです。改善対象を理解するための前提知識が必要になります。
遠回りに見えますが、インフラエンジニアの未経験転職|第二新卒に入口が広い理由と学習の順番で入口を作り、そこから移るほうが到達は早くなります。
6. 学習の順番
すでにインフラ・運用にいる人が、SREへ向けて何を積むかの順番です。
優先順位
① Linuxとネットワークの基礎を確実にする(ここが弱いと後が崩れる)
② クラウドの基本サービスを触る(構築を自分の手でやってみる)
③ スクリプトで作業を置き換える(言語は問わない)
④ 構成管理・自動化の仕組みに触れる
⑤ 監視の設計を考える(何を見るか、いつ鳴らすか)
③が最も重要です。「手作業をコードに置き換えた経験があるか」が、運用保守とSREを分ける実質的な境目になります。
規模の大小は問われません。30分の作業を5分にした話でも、考え方が説明できれば材料になります。
言語選びで迷う場合は最初に学ぶプログラミング言語の選び方|第二新卒が目的別に決める順番を参照してください。
7. 求人票で確認する7項目
SREという肩書きの実態を確かめるための項目です。
確認する7項目
① 業務内容に「改善」「自動化」が書かれているか(監視だけなら運用保守寄り)
② 開発チームとの関わり方の記載
③ 使用技術が具体的に書かれているか
④ オンコール(緊急対応当番)の有無と頻度
⑤ チームの人数
⑥ 自社サービスか、顧客先常駐か
⑦ SREという体制がいつからあるか
⑦は面接で聞く項目です。体制ができたばかりの組織では、実態が運用保守の延長であることがあります。それが悪いわけではありませんが、期待とずれると入社後に苦しくなります。
技術名から環境を読む方法は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む、当番の実態はエンジニアの夜勤と当番|実態と面接で確認する項目にまとめています。
8. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| 障害対応の経験は | 落ち着いて動けるか | 手順と判断を順に話す |
| 自動化した経験は | 改善の視点があるか | 前後の作業時間で示す |
| 100%の稼働は目指すべきか | 考え方の理解 | コストとの釣り合いで答える |
| オンコールは可能か | 条件の合致 | 曖昧にしない |
| なぜSREか | 職種の理解 | 「直す」ではなく「減らす」で答える |
「なぜSREか」への回答で、運用保守との違いが説明できるかが分かれ目になります。
「システムを安定させたい」だけでは運用保守の志望動機と同じです。「同じ対応を繰り返していて、その繰り返し自体を減らす側に回りたい」という形にすると、職種の理解が伝わります。
9. よくある質問
SREとインフラエンジニアの違いは何ですか
インフラエンジニアが「作る・維持する」中心なのに対し、SREは「計測して改善する」に重心があります。ただし会社によって境目は曖昧で、同じ仕事を別の名前で呼んでいることもあります。求人票の業務内容で判断してください。
開発経験がないと不利ですか
コードを書く場面はありますが、アプリケーション開発の経験が必須というわけではありません。スクリプトで作業を置き換えられるかが実質的な基準です。
クラウドの資格は評価されますか
評価される場面はあります。ただし資格だけで通るわけではなく、「自分で構築してみた」経験とセットで語れることが前提です。資格の選び方はIT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番を参照してください。
年収は上がりますか
求人のレンジは高めに設定されていることが多い職種です。ただし未経験に近い状態で入る場合は、その水準がそのまま提示されるとは限りません。年収の見方は未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間にあります。
オンコールは必ずありますか
サービスを24時間動かしている組織では、何らかの当番があることが多いです。頻度と代替体制は求人票と面接で確認してください。
何年目から狙えますか
運用・インフラで1〜3年が目安です。ただし年数より、「改善した実績があるか」のほうが見られます。1年でも材料があれば土俵に乗ります。
今の職場に自動化の余地がありません
大掛かりなものである必要はありません。報告書の作成、集計、確認作業など、毎回同じ手順を踏んでいるものが対象になります。まず自分の1週間の作業を書き出してみてください。
SESからでも移れますか
移れます。ただし常駐先によって触れる範囲が大きく変わるため、案件の中身が重要になります。SES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準を参照してください。
10. まとめ:今週やる3つのこと
SREは、未経験から直接入る職種ではありませんが、インフラ・運用にいる第二新卒にとっては十分に射程内です。
今週やる3つのこと
① 自分の1週間の作業を書き出し、繰り返しているものに印をつける
② そのうち1つを、手順を減らす方向に変えてみる
③ SRE求人を3件開き、業務内容に「改善」があるか確認する
①と②は現職でできます。転職活動を始める前に材料を1つ作っておくと、書類の中身が変わります。
この先、読むべき記事
- インフラエンジニアの未経験転職|第二新卒に入口が広い理由と学習の順番(SREへ向かう最初の入口)
- 運用保守から開発へ移る|第二新卒が現職で作れる材料と移り方の順番(現職で材料を作る方法)
- 技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む(求人票から環境を読む)
- エンジニアの夜勤と当番|実態と面接で確認する項目(オンコールの実態)
- エンジニアの職種の違い|入口を選ぶための地図(職種全体の位置関係)
- データエンジニアという職種|第二新卒が分析を支える仕事を知る(動き続ける状態を保つ別の職種)
- プラットフォームエンジニアという職種|第二新卒が知る仕事の実際(隣接する新しい職種)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。