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未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間【2026年版】

〜未経験エンジニアの年収は、入社時ではなく3年後で判断してください〜

未経験からエンジニアになると、年収は一時的に下がることが多いです。

これは事実であり、隠すべきことでもありません。実務経験がない状態で採用されるため、最初の1年は「教える側のコストのほうが大きい」という前提で条件が組まれるからです。

問題は、この事実だけを見て「エンジニアは年収が下がる」と判断してしまうことです。エンジニア職の年収は、経験年数による伸び方が他の職種と大きく異なります。

この記事では、入社時にどのくらい下がるのか、いつ戻るのか、その後どう伸びるのかを、領域別に整理します。

1. 結論:3つの数字を押さえる

① 入社時:現職から0〜80万円下がることが多い

前職の年収と、選ぶ領域によります。前職が年収450万円以上の場合、下がる可能性が高いです。一方、前職が年収330万円以下なら、横ばいか上がることもあります。

② 2〜3年目:多くの場合、前職の水準に戻る

実務経験1〜2年がつくと、転職市場での評価が変わります。この時点で転職すると、年収が大きく動きます。

③ 5年目以降:職種による差が最も大きく開く

エンジニア職は、経験年数に対する年収の伸びが大きい職種です。ただし、これは「技術が積み上がる環境にいた場合」に限られます。同じ作業の繰り返しだった場合、伸びません。

したがって、入社時の年収より「3年で何が身につく環境か」で選ぶほうが、金額的にも合理的です。

2. 入社時の年収:領域別の目安

領域入社時の目安前職からの変動
SES(客先常駐)300〜380万円下がりやすい。入口は最も広い
受託開発320〜400万円やや下がる
自社開発(Web系)330〜450万円会社による差が大きい
インフラ・運用監視300〜380万円下がりやすいが入口が広い
QAエンジニア・テスター300〜400万円前職が事務職なら横ばいのことも
社内SE350〜450万円業務知識があると評価される

これらは目安であり、企業規模・地域・事業フェーズで大きく変動します。

下がり幅を左右する要因

要因影響
前職の年収高いほど下がり幅が大きい
学習の成果物ポートフォリオがあると提示額が変わる
前職の業務知識金融・医療・物流などの業界知識は評価される
資格基本情報技術者、LinuC、CCNAなど
年齢若いほど「育てる前提」で採用されやすい

最も効くのは「前職の業務知識」です。金融出身ならフィンテック、医療事務出身なら医療系SaaS、物流出身なら物流システム。その業界の業務が分かるエンジニアは希少なため、未経験でも提示額が上がることがあります。

3. 編集長の実体験:エンジニアを検討したときに聞いた話

私は第二新卒の転職活動で、一度エンジニア職を検討しました。プログラミングスクールの無料相談にも行っています。

スクールの担当者に聞いたこと

私「未経験で転職した場合、年収はどのくらいになりますか」

担当者「最初は300〜350万円くらいですね。今の年収はいくらですか」

私「420万円です」

担当者「では、一度下がる形になります。ただ、3年後には500万円を超える方が多いです」

私「その3年後の500万円というのは、どういう人ですか」

担当者「……というと?」

私「全員が500万円になるわけじゃないですよね。なる人とならない人の違いは何ですか」

このとき、担当者の答えが具体的でした。

担当者「一番大きいのは、最初の会社で何をやったかです。運用監視の当番だけを3年やった人は、あまり上がりません。設計や実装に関わった人は上がります。

だから、入社時の年収より、『入社1年目から実装に関われるか』を面接で確認したほうがいいです。これが年収に一番効きます」

私自身はエンジニア職を選ばず、SaaSの営業職に進みました。コードを書くこと自体への関心が、そこまで強くなかったためです。

ただ、このときの話は今でも正しいと思っています。未経験エンジニアの年収は、入社時の金額ではなく「1年目に何を任されるか」で決まります。

4. 年収の推移:5年間のモデル

時期目安この時期の状態
入社時300〜400万円実務未経験。教わる期間
1年後320〜430万円定期昇給。実務1年の経験がつく
2年後380〜500万円転職市場で「経験者」扱いになる
3年後420〜580万円一度目の転職で大きく動く時期
5年後500〜750万円領域と役割で差が開く

2〜3年目に転職すると、年収が大きく動くのが、この職種の特徴です。理由は、実務経験2年以上が多くの求人の応募条件になっているためです。この条件を満たした瞬間に、応募できる求人の数が数倍になります。

ただし、次の場合は伸びません。

状況なぜ伸びないか
運用監視・テスト実行のみを3年設計・実装の経験が積まれない
常駐先が頻繁に変わり、技術が定着しない深く扱った技術がない
古い技術のみを扱う現場に長期滞在市場で求められる技術と乖離する
学習を止めた技術の変化に追いつかなくなる

年収が伸びない原因は、能力ではなく「何をやってきたか」です。そして「何をやるか」は、入社する会社と配属で大きく決まります。

5. 下げ幅を小さくする4つの方法

方法1:前職の業界知識が活きる領域を選ぶ

最も効果が大きい方法です。

前職狙える領域
金融・保険フィンテック、金融系システム
医療事務・介護医療系SaaS、電子カルテ
物流・倉庫物流システム、WMS
製造生産管理システム、IoT
小売・飲食POS、店舗管理SaaS
人事・総務HR Tech

「エンジニアとしては未経験だが、業務は分かる」という状態は、企業にとって価値があります。要件定義の場面で、顧客の業務が分かる人材は常に不足しているためです。

方法2:ポートフォリオを作る

Webアプリ系を目指す場合、これがあるかないかで提示額が変わります。

作るものの目安:

  • 自分で企画した Web アプリケーション1〜2本
  • ログイン機能、データベースとの連携、外部APIの利用のいずれかを含む
  • ソースコードを公開し、READMEに「何を・なぜ・どう作ったか」を書く

重要なのは、完成度より「設計の意図を説明できること」です。面接では必ず「なぜこの構成にしましたか」と聞かれます。

方法3:資格を取る

資格効く領域学習期間の目安
基本情報技術者全般(特にSIer・社内SE)2〜3ヶ月
LinuC / LPIC-1インフラ2〜3ヶ月
CCNAネットワーク・インフラ2〜3ヶ月
AWS認定(Cloud Practitioner等)クラウド・インフラ1〜2ヶ月

資格そのものより、「独学で継続できた証明」として機能します。特にインフラ領域では、資格が実質的な応募条件になっている求人もあります。

方法4:現職の年収を正確に伝える

年収交渉の基本ですが、見落とされがちです。

現職の年収を伝える際、賞与や各種手当を含めた総支給額で伝えてください。月給だけを伝えると、その額を基準に提示されることがあります。「基本給◯円、賞与年◯ヶ月分、直近の年収実績は◯万円です」と、根拠つきで伝えるのが実務的です。

6. 年収以外に確認すべき5つ

未経験エンジニアの求人では、提示年収より重要な項目があります。

確認項目なぜ重要か聞き方
1年目に担当する業務年収の伸びを決める最大の要因「未経験で入社された方は、1年目にどんな業務を担当されますか」
研修の期間と内容独学任せかどうかが分かる「研修は何ヶ月で、その後の育成はどう進みますか」
常駐の有無と期間SESの場合、技術の定着に影響「配属先は自社ですか、常駐ですか。常駐の場合、平均的な期間は」
使用する技術市場価値に直結する「主に扱う言語・フレームワーク・インフラを教えてください」
昇給の仕組み1年後の年収が読める「昇給は年何回で、評価はどのように決まりますか」

1番目が最も重要です。「1年目は運用監視の当番のみ」という会社と、「1年目から実装タスクを担当」という会社では、3年後の年収が100万円以上変わります。

「未経験可」の求人ほど、この確認が必要です。採用ハードルが低い理由が、育成の仕組みではなく、業務の代替可能性にある場合があるためです。

7. 面接で追撃される3つの質問

Q1.「年収が下がる可能性がありますが、大丈夫ですか」

ほぼ必ず聞かれます。「問題ありません」だけでは弱いです。「入社時に下がることは想定しています。3年程度で実務経験を積み、その時点での市場価値で判断したいと考えています」のように、期間と見通しをセットで答えてください。

Q2.「なぜ未経験からエンジニアを目指すのですか」

「将来性がある」「手に職をつけたい」は弱い答えです。誰でも言えるためです。「前職で◯◯の業務を効率化する際に、簡単なツールを自分で作ったことが直接のきっかけです」のように、具体的な体験から答えてください。

Q3.「独学で何をやっていますか」

ここで答えられないと、意欲を疑われます。学習時間、使った教材、作ったもの、詰まった箇所とその解決方法。特に「詰まった箇所をどう解決したか」は、実務での動き方を推測する材料として見られています。

8. 領域別・3年後の伸びやすさ

領域3年後の目安伸びやすさ理由
Webアプリ(自社開発)500〜700万円技術の幅が広がりやすい
Webアプリ(受託)450〜600万円案件による差がある
インフラ・クラウド450〜650万円クラウド領域の需要が大きい
SES(常駐)380〜500万円案件次第。当たり外れが大きい
QAエンジニア400〜550万円自動化に進むと伸びる
社内SE420〜550万円安定するが伸び幅は限定的
運用監視のみ350〜430万円×設計・実装の経験が積まれない

SESの「△」について補足します。SESは入口として最も広く、第二新卒には現実的な選択肢です。ただし、常駐先で何をやるかによって3年後が大きく変わります。

SESを選ぶ場合の確認事項

  • 常駐先の平均的な期間(短期で転々とすると技術が定着しない)
  • 「開発案件」の割合(運用監視だけの案件が多い会社もある)
  • 案件を選べるか(希望を出せる仕組みがあるか)
  • 自社に戻る期間があるか(帰社日や社内研修の有無)

9. よくある質問

年収が下がるのはどのくらいの期間ですか?

多くの場合、1〜2年です。実務経験1年で定期昇給があり、2年目で転職市場での評価が変わります。ただし、これは技術が積み上がる環境にいた場合に限られます。運用監視のみの業務が続いた場合、3年経っても評価が変わりにくいことがあります。

30歳近くでも未経験からエンジニアになれますか?

なれますが、25歳前後と比べると求人数は減ります。この年齢帯なら、前職の業務知識を活かせる領域(第5章の方法1)を狙うと、未経験のハンデを相殺できます。インフラ・QA・社内SEは、年齢の影響が比較的小さい領域です。

プログラミングスクールに通うと年収は上がりますか?

スクールに通ったこと自体が年収に影響することは、ほぼありません。評価されるのは、そこで作った成果物と、説明できる技術理解です。独学でポートフォリオを作れる人は、スクールに通う必要はありません。スクールの価値は、学習の継続と質問できる環境にあります。

SESは避けるべきですか?

一概には言えません。入口として最も広く、第二新卒には現実的な選択肢です。ただし、常駐先で何をやるかを確認せずに入ると、3年後に技術が積み上がっていない可能性があります。第8章の4つの確認事項を、面接で必ず聞いてください。

年収を上げるには、転職が必要ですか?

2〜3年目の転職で年収が大きく動くのは事実です。ただし、社内で設計・実装の範囲が広がっているなら、残るという判断も合理的です。判断基準は「3年後に書きたい職務経歴書が、今の会社で書けるか」です。書けないなら移る、書けるなら残る。

フリーランスになれば年収は上がりますか?

実務経験3年以上あれば、単価は上がることが多いです。ただし、社会保険・税務・営業・案件が途切れるリスクをすべて自分で負うことになります。第二新卒の段階で検討する話ではなく、まず実務経験を積むことが先です。

求人票の「年収350万円〜700万円」は、どう読めばいいですか?

未経験なら、ほぼ確実に下限付近です。上限は、経験者や役職者を含めた幅です。面接で「未経験で入社された方の初年度実績を教えてください」と聞いてください。これに答えられない企業は、未経験採用の実績が少ない可能性があります。

副業でエンジニアの経験を積めますか?

実務未経験の段階では、案件を受注するのは現実的ではありません。まずは個人開発(ポートフォリオ)に時間を使うほうが、転職への効果は大きいです。実務経験1〜2年がついてから、副業で案件を受けるのが順序として自然です。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

未経験エンジニアの年収は、入社時ではなく「1年目に何を任されるか」で決まります。ここを面接で確認してください。

今夜やること

① 現職の年収実績(賞与・手当込みの総支給額)を、源泉徴収票で正確に確認する(交渉の根拠になります)

② 検討中の求人を3件開き、提示年収の下限だけを書き出す(上限は経験者向けの数字です)

③ 面接で聞く質問を1つ決めておく(「未経験で入社された方は、1年目にどんな業務を担当されますか」)

③の質問への答えが、3年後の年収をほぼ決めます。提示年収が同じ2社でも、この答えが違えば、3年後には100万円以上の差がつきます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。