未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間【2026年版】
〜未経験エンジニアの年収は、入社時ではなく3年後で判断してください〜
未経験からエンジニアになると、年収は一時的に下がることが多いです。
これは事実であり、隠すべきことでもありません。実務経験がない状態で採用されるため、最初の1年は「教える側のコストのほうが大きい」という前提で条件が組まれるからです。
問題は、この事実だけを見て「エンジニアは年収が下がる」と判断してしまうことです。エンジニア職の年収は、経験年数による伸び方が他の職種と大きく異なります。
この記事では、入社時にどのくらい下がるのか、いつ戻るのか、その後どう伸びるのかを、領域別に整理します。
1. 結論:3つの数字を押さえる
① 入社時:現職から0〜80万円下がることが多い
前職の年収と、選ぶ領域によります。前職が年収450万円以上の場合、下がる可能性が高いです。一方、前職が年収330万円以下なら、横ばいか上がることもあります。
② 2〜3年目:多くの場合、前職の水準に戻る
実務経験1〜2年がつくと、転職市場での評価が変わります。この時点で転職すると、年収が大きく動きます。
③ 5年目以降:職種による差が最も大きく開く
エンジニア職は、経験年数に対する年収の伸びが大きい職種です。ただし、これは「技術が積み上がる環境にいた場合」に限られます。同じ作業の繰り返しだった場合、伸びません。
したがって、入社時の年収より「3年で何が身につく環境か」で選ぶほうが、金額的にも合理的です。
2. 入社時の年収:領域別の目安
| 領域 | 入社時の目安 | 前職からの変動 |
|---|---|---|
| SES(客先常駐) | 300〜380万円 | 下がりやすい。入口は最も広い |
| 受託開発 | 320〜400万円 | やや下がる |
| 自社開発(Web系) | 330〜450万円 | 会社による差が大きい |
| インフラ・運用監視 | 300〜380万円 | 下がりやすいが入口が広い |
| QAエンジニア・テスター | 300〜400万円 | 前職が事務職なら横ばいのことも |
| 社内SE | 350〜450万円 | 業務知識があると評価される |
これらは目安であり、企業規模・地域・事業フェーズで大きく変動します。
下がり幅を左右する要因
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 前職の年収 | 高いほど下がり幅が大きい |
| 学習の成果物 | ポートフォリオがあると提示額が変わる |
| 前職の業務知識 | 金融・医療・物流などの業界知識は評価される |
| 資格 | 基本情報技術者、LinuC、CCNAなど |
| 年齢 | 若いほど「育てる前提」で採用されやすい |
最も効くのは「前職の業務知識」です。金融出身ならフィンテック、医療事務出身なら医療系SaaS、物流出身なら物流システム。その業界の業務が分かるエンジニアは希少なため、未経験でも提示額が上がることがあります。
3. 編集長の実体験:エンジニアを検討したときに聞いた話
私は第二新卒の転職活動で、一度エンジニア職を検討しました。プログラミングスクールの無料相談にも行っています。
スクールの担当者に聞いたこと
私「未経験で転職した場合、年収はどのくらいになりますか」
担当者「最初は300〜350万円くらいですね。今の年収はいくらですか」
私「420万円です」
担当者「では、一度下がる形になります。ただ、3年後には500万円を超える方が多いです」
私「その3年後の500万円というのは、どういう人ですか」
担当者「……というと?」
私「全員が500万円になるわけじゃないですよね。なる人とならない人の違いは何ですか」
このとき、担当者の答えが具体的でした。
担当者「一番大きいのは、最初の会社で何をやったかです。運用監視の当番だけを3年やった人は、あまり上がりません。設計や実装に関わった人は上がります。
だから、入社時の年収より、『入社1年目から実装に関われるか』を面接で確認したほうがいいです。これが年収に一番効きます」
私自身はエンジニア職を選ばず、SaaSの営業職に進みました。コードを書くこと自体への関心が、そこまで強くなかったためです。
ただ、このときの話は今でも正しいと思っています。未経験エンジニアの年収は、入社時の金額ではなく「1年目に何を任されるか」で決まります。
4. 年収の推移:5年間のモデル
| 時期 | 目安 | この時期の状態 |
|---|---|---|
| 入社時 | 300〜400万円 | 実務未経験。教わる期間 |
| 1年後 | 320〜430万円 | 定期昇給。実務1年の経験がつく |
| 2年後 | 380〜500万円 | 転職市場で「経験者」扱いになる |
| 3年後 | 420〜580万円 | 一度目の転職で大きく動く時期 |
| 5年後 | 500〜750万円 | 領域と役割で差が開く |
2〜3年目に転職すると、年収が大きく動くのが、この職種の特徴です。理由は、実務経験2年以上が多くの求人の応募条件になっているためです。この条件を満たした瞬間に、応募できる求人の数が数倍になります。
ただし、次の場合は伸びません。
| 状況 | なぜ伸びないか |
|---|---|
| 運用監視・テスト実行のみを3年 | 設計・実装の経験が積まれない |
| 常駐先が頻繁に変わり、技術が定着しない | 深く扱った技術がない |
| 古い技術のみを扱う現場に長期滞在 | 市場で求められる技術と乖離する |
| 学習を止めた | 技術の変化に追いつかなくなる |
年収が伸びない原因は、能力ではなく「何をやってきたか」です。そして「何をやるか」は、入社する会社と配属で大きく決まります。
5. 下げ幅を小さくする4つの方法
方法1:前職の業界知識が活きる領域を選ぶ
最も効果が大きい方法です。
| 前職 | 狙える領域 |
|---|---|
| 金融・保険 | フィンテック、金融系システム |
| 医療事務・介護 | 医療系SaaS、電子カルテ |
| 物流・倉庫 | 物流システム、WMS |
| 製造 | 生産管理システム、IoT |
| 小売・飲食 | POS、店舗管理SaaS |
| 人事・総務 | HR Tech |
「エンジニアとしては未経験だが、業務は分かる」という状態は、企業にとって価値があります。要件定義の場面で、顧客の業務が分かる人材は常に不足しているためです。
方法2:ポートフォリオを作る
Webアプリ系を目指す場合、これがあるかないかで提示額が変わります。
作るものの目安:
- 自分で企画した Web アプリケーション1〜2本
- ログイン機能、データベースとの連携、外部APIの利用のいずれかを含む
- ソースコードを公開し、READMEに「何を・なぜ・どう作ったか」を書く
重要なのは、完成度より「設計の意図を説明できること」です。面接では必ず「なぜこの構成にしましたか」と聞かれます。
方法3:資格を取る
| 資格 | 効く領域 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| 基本情報技術者 | 全般(特にSIer・社内SE) | 2〜3ヶ月 |
| LinuC / LPIC-1 | インフラ | 2〜3ヶ月 |
| CCNA | ネットワーク・インフラ | 2〜3ヶ月 |
| AWS認定(Cloud Practitioner等) | クラウド・インフラ | 1〜2ヶ月 |
資格そのものより、「独学で継続できた証明」として機能します。特にインフラ領域では、資格が実質的な応募条件になっている求人もあります。
方法4:現職の年収を正確に伝える
年収交渉の基本ですが、見落とされがちです。
現職の年収を伝える際、賞与や各種手当を含めた総支給額で伝えてください。月給だけを伝えると、その額を基準に提示されることがあります。「基本給◯円、賞与年◯ヶ月分、直近の年収実績は◯万円です」と、根拠つきで伝えるのが実務的です。
6. 年収以外に確認すべき5つ
未経験エンジニアの求人では、提示年収より重要な項目があります。
| 確認項目 | なぜ重要か | 聞き方 |
|---|---|---|
| 1年目に担当する業務 | 年収の伸びを決める最大の要因 | 「未経験で入社された方は、1年目にどんな業務を担当されますか」 |
| 研修の期間と内容 | 独学任せかどうかが分かる | 「研修は何ヶ月で、その後の育成はどう進みますか」 |
| 常駐の有無と期間 | SESの場合、技術の定着に影響 | 「配属先は自社ですか、常駐ですか。常駐の場合、平均的な期間は」 |
| 使用する技術 | 市場価値に直結する | 「主に扱う言語・フレームワーク・インフラを教えてください」 |
| 昇給の仕組み | 1年後の年収が読める | 「昇給は年何回で、評価はどのように決まりますか」 |
1番目が最も重要です。「1年目は運用監視の当番のみ」という会社と、「1年目から実装タスクを担当」という会社では、3年後の年収が100万円以上変わります。
「未経験可」の求人ほど、この確認が必要です。採用ハードルが低い理由が、育成の仕組みではなく、業務の代替可能性にある場合があるためです。
7. 面接で追撃される3つの質問
Q1.「年収が下がる可能性がありますが、大丈夫ですか」
ほぼ必ず聞かれます。「問題ありません」だけでは弱いです。「入社時に下がることは想定しています。3年程度で実務経験を積み、その時点での市場価値で判断したいと考えています」のように、期間と見通しをセットで答えてください。
Q2.「なぜ未経験からエンジニアを目指すのですか」
「将来性がある」「手に職をつけたい」は弱い答えです。誰でも言えるためです。「前職で◯◯の業務を効率化する際に、簡単なツールを自分で作ったことが直接のきっかけです」のように、具体的な体験から答えてください。
Q3.「独学で何をやっていますか」
ここで答えられないと、意欲を疑われます。学習時間、使った教材、作ったもの、詰まった箇所とその解決方法。特に「詰まった箇所をどう解決したか」は、実務での動き方を推測する材料として見られています。
8. 領域別・3年後の伸びやすさ
| 領域 | 3年後の目安 | 伸びやすさ | 理由 |
|---|---|---|---|
| Webアプリ(自社開発) | 500〜700万円 | ◎ | 技術の幅が広がりやすい |
| Webアプリ(受託) | 450〜600万円 | ○ | 案件による差がある |
| インフラ・クラウド | 450〜650万円 | ○ | クラウド領域の需要が大きい |
| SES(常駐) | 380〜500万円 | △ | 案件次第。当たり外れが大きい |
| QAエンジニア | 400〜550万円 | ○ | 自動化に進むと伸びる |
| 社内SE | 420〜550万円 | △ | 安定するが伸び幅は限定的 |
| 運用監視のみ | 350〜430万円 | × | 設計・実装の経験が積まれない |
SESの「△」について補足します。SESは入口として最も広く、第二新卒には現実的な選択肢です。ただし、常駐先で何をやるかによって3年後が大きく変わります。
SESを選ぶ場合の確認事項
- 常駐先の平均的な期間(短期で転々とすると技術が定着しない)
- 「開発案件」の割合(運用監視だけの案件が多い会社もある)
- 案件を選べるか(希望を出せる仕組みがあるか)
- 自社に戻る期間があるか(帰社日や社内研修の有無)
9. よくある質問
年収が下がるのはどのくらいの期間ですか?
多くの場合、1〜2年です。実務経験1年で定期昇給があり、2年目で転職市場での評価が変わります。ただし、これは技術が積み上がる環境にいた場合に限られます。運用監視のみの業務が続いた場合、3年経っても評価が変わりにくいことがあります。
30歳近くでも未経験からエンジニアになれますか?
なれますが、25歳前後と比べると求人数は減ります。この年齢帯なら、前職の業務知識を活かせる領域(第5章の方法1)を狙うと、未経験のハンデを相殺できます。インフラ・QA・社内SEは、年齢の影響が比較的小さい領域です。
プログラミングスクールに通うと年収は上がりますか?
スクールに通ったこと自体が年収に影響することは、ほぼありません。評価されるのは、そこで作った成果物と、説明できる技術理解です。独学でポートフォリオを作れる人は、スクールに通う必要はありません。スクールの価値は、学習の継続と質問できる環境にあります。
SESは避けるべきですか?
一概には言えません。入口として最も広く、第二新卒には現実的な選択肢です。ただし、常駐先で何をやるかを確認せずに入ると、3年後に技術が積み上がっていない可能性があります。第8章の4つの確認事項を、面接で必ず聞いてください。
年収を上げるには、転職が必要ですか?
2〜3年目の転職で年収が大きく動くのは事実です。ただし、社内で設計・実装の範囲が広がっているなら、残るという判断も合理的です。判断基準は「3年後に書きたい職務経歴書が、今の会社で書けるか」です。書けないなら移る、書けるなら残る。
フリーランスになれば年収は上がりますか?
実務経験3年以上あれば、単価は上がることが多いです。ただし、社会保険・税務・営業・案件が途切れるリスクをすべて自分で負うことになります。第二新卒の段階で検討する話ではなく、まず実務経験を積むことが先です。
求人票の「年収350万円〜700万円」は、どう読めばいいですか?
未経験なら、ほぼ確実に下限付近です。上限は、経験者や役職者を含めた幅です。面接で「未経験で入社された方の初年度実績を教えてください」と聞いてください。これに答えられない企業は、未経験採用の実績が少ない可能性があります。
副業でエンジニアの経験を積めますか?
実務未経験の段階では、案件を受注するのは現実的ではありません。まずは個人開発(ポートフォリオ)に時間を使うほうが、転職への効果は大きいです。実務経験1〜2年がついてから、副業で案件を受けるのが順序として自然です。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
未経験エンジニアの年収は、入社時ではなく「1年目に何を任されるか」で決まります。ここを面接で確認してください。
今夜やること
① 現職の年収実績(賞与・手当込みの総支給額)を、源泉徴収票で正確に確認する(交渉の根拠になります)
② 検討中の求人を3件開き、提示年収の下限だけを書き出す(上限は経験者向けの数字です)
③ 面接で聞く質問を1つ決めておく(「未経験で入社された方は、1年目にどんな業務を担当されますか」)
③の質問への答えが、3年後の年収をほぼ決めます。提示年収が同じ2社でも、この答えが違えば、3年後には100万円以上の差がつきます。
この先、読むべき記事
- SES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準(会社の形態の違い)
- IT業界の職種一覧|第二新卒が未経験から狙える職種と難易度の全体像(職種の全体像)
- インフラエンジニアの未経験転職|第二新卒に入口が広い理由と学習の順番(インフラを狙うなら)
- 第二新卒の年収|下がるのか上がるのか、職種転換のときの実態(年収交渉全般)
- 社内SEへの転職|第二新卒が知る仕事の実態と未経験からの入口(社内SEの場合)
- QAエンジニアの志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと入りやすい理由(QAを狙うなら)
- エンジニアの評価制度の見方|等級と昇給の仕組みを聞く(昇給の仕組み)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。