自己PRが書けないとき|第二新卒が素材を掘り出す4つの質問【2026年版】
〜自己PRが書けないのは、強みがないからではなく、探す場所を間違えているからです〜
自己PR欄で手が止まる。これは、第二新卒の転職活動で最も多いつまずきです。
理由も分かります。社会人2〜3年目で、「これが私の強みです」と言える実績を持っている人のほうが少ないからです。大きな成果もなければ、部下を持ったこともない。数字の目標を持たない職種なら、実績の書きようもない。
ただ、書けないのは強みがないからではありません。
自己PRに書くべき素材は、「すごいこと」ではなく「自分で変えたこと」です。そして、それは在籍1年でも必ずあります。探す場所を変えれば、30分で見つかります。
この記事では、素材を掘り出す4つの質問と、そこから自己PRを組み立てる手順を書きます。
1. 結論:探す場所は「変えたこと」
① 「成果」ではなく「変えたこと」を探す
売上を伸ばした、賞を取った、大きなプロジェクトを回した——こうした成果はなくて構いません。
探すのは、「言われていないのに、自分で変えたこと」です。棚の並べ方を変えた、確認の順番を変えた、新人向けのメモを作った、集計の方法を変えた。規模は問いません。
② 数字は「大きさ」ではなく「変化」で書く
「月8時間を2時間に」で十分です。金額の大きさは関係ありません。採用側が見ているのは、自分の仕事を数字で把握する習慣があるかどうかです。
③ 応募先の職種の言葉に翻訳する
同じ経験でも、応募先によって書き方を変えます。営業に応募するなら「提案と受注」、事務なら「正確さと段取り」、企画なら「数字を読む力」。翻訳しないまま出すと、「うちの仕事ができるか分からない」で終わります。
2. なぜ「強みがない」と感じるのか
| 感じていること | 実際の状況 |
|---|---|
| 大きな成果がない | 成果ではなく「変えたこと」を書けばよい |
| 数字の目標がない職種だった | 売上以外の数字(件数、時間、率)で書ける |
| 言われたことをやっていただけ | その中で工夫した部分が必ずある |
| 在籍が1年しかない | 1年でも12ヶ月分の実績がある |
| 誰にでもできる仕事だった | 「誰にでもできる」を効率化したなら、それが強み |
特に多いのが、「言われたことをやっていただけ」という認識です。
しかし、まったく同じ指示を受けても、人によってやり方は変わります。手順を整理した人、記録をつけた人、確認の順番を変えた人。この差が、自己PRの素材です。
本人にとっては当たり前すぎて、価値に気づいていないだけです。
3. 編集長の実体験:「書くことがない」と言った人の話
前職の広告営業時代、担当していた飲食チェーンの店長さんから転職相談を受けたことがあります。書類が5社連続で落ちていました。
店長さん「自己PRに書くことがないんです。うちは個人売上って出ないので。店の売上はありますけど、それは自分の成果じゃないし」
私「日々やっていることで、前任者の頃と変わったことはありますか」
店長さん「うーん……あ、シフトの作り方は変えました。前は店長が全部組んでたんですけど、希望を紙で集めるのが面倒で、共有のスプレッドシートにしたんです」
私「それ、どのくらい変わりました?」
店長さん「シフト作るのに毎月4〜5時間かかってたのが、1時間くらいになりました。あと、直前の欠員が減りました。前は月に4〜5回、当日に穴が空いてたのが、今は1〜2回です」
私「それが自己PRです」
店長さん「え、シフトの話が? 売上の話じゃなくていいんですか」
この方は、次の応募先で書類が通り、面接でもシフトの話を掘られて内定しました。
ここで重要なのは、この方が「書くことがない」と言っていた時点で、すでに材料を持っていたことです。
自分では気づいていないだけでした。理由は2つあります。
- 「シフトの効率化」を、成果だと思っていなかった
- 売上以外の数字を、実績として認識していなかった
採用側が知りたいのは、売上の大きさではなく「仕事の進め方を自分で改善できる人か」です。月4時間の削減は、金額にすれば小さい。でも、課題を見つけて、方法を変えて、数字で確認したという一連の動きは、どの職種でも同じ形で必要になります。
4. 素材を掘り出す4つの質問
紙とペンを用意して、順に答えてください。合計30分です。
質問1:「前任者や周りの人と、やり方が違うことはありますか」(10分)
これが最も効く質問です。
- 引き継いだやり方を、途中で変えたことは?
- 自分だけがやっている記録・確認・準備は?
- 「これ、なんでこうなってるんだろう」と思って変えたことは?
例
- 「前は紙で集めていた希望を、共有ファイルにした」
- 「引き継ぎのときに、自分用のチェック表を作った」
- 「毎日の数字を、自分だけスプレッドシートに記録していた」
- 「よく聞かれる質問を、メモにまとめて共有した」
質問2:「同僚に聞かれることは何ですか」(5分)
人に聞かれることは、あなたが他の人より詳しい領域です。
- 「これどうやるの?」と聞かれることは?
- 新人が入ったとき、何を教える担当になった?
- 上司から「これ任せる」と言われるのは、どんな仕事?
例
- 「Excelの関数について、部内でよく聞かれる」
- 「新人の教育担当を任されている」
- 「クレーム対応は自分が呼ばれることが多い」
質問3:「やっていて疲れなかったことは何ですか」(5分)
「得意なこと」ではなく「疲れなかったこと」を探してください。
- 気づいたら時間が経っていた作業は?
- 面倒だと思わずにやれていたことは?
- 他の人が嫌がるのに、自分は平気だったことは?
例
- 「数字を突き合わせて原因を探す作業」
- 「後輩に説明すること」
- 「散らかった情報を整理すること」
質問4:「1年前と比べて、何ができるようになりましたか」(10分)
在籍が短い場合、この質問が効きます。
- 入社時にできなかったことで、今できることは?
- 任される範囲は、どう広がった?
- 対応にかかる時間は、どう変わった?
例
- 「入社2ヶ月で単独レジを任された」
- 「4ヶ月目から新人指導を担当した」
- 「見積書の作成が、最初は1件30分かかっていたが今は10分」
5. 素材を自己PRに組み立てる4文
質問1〜4で出た素材のうち、1つを選んで、次の4文にしてください。
| 文 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1文目 | どこで、何を、どのくらい | 「飲食チェーンの店舗で2年半、アルバイト12名のシフト管理を担当」 |
| 2文目 | 何が課題だったか | 「シフト作成に月4〜5時間を要し、直前の欠員も月4〜5回発生していた」 |
| 3文目 | 何を変えたか | 「希望の提出を紙から共有ファイルに変更し、締切と入力ルールを明文化した」 |
| 4文目 | どうなったか(数字) | 「作成時間を月1時間程度に短縮し、当日欠員も月1〜2回に減った」 |
これで自己PRの骨格が完成します。
応募先ごとに、最後に1文足す
「貴社の営業事務では、複数拠点の数字の取りまとめと期日管理が中心と伺っています。決まった手順を正確に回すことと、手順そのものを改善することの両方が、前職で日常的に取り組んできた業務と重なります。」
この最後の1文だけを、応募先ごとに書き換えてください。1〜4文目は使い回せます。
6. それでも書けないときの3つの対処
対処1:数字を「削減」で探す
売上がない職種では、「増えた」ではなく「減った」で探してください。
| 減らせるもの | 例 |
|---|---|
| 時間 | 作業時間、待ち時間、準備時間 |
| 件数 | ミス、差し戻し、問い合わせ、クレーム |
| コスト | 廃棄、消耗品、外注費 |
| 手戻り | 修正回数、確認の往復 |
「何かが減った」なら、必ず自己PRになります。
対処2:他人に聞く
自分では気づけない強みは、他人に聞くのが最も早いです。
- 前職の同僚に「自分ってどんな働き方だった?」と聞く
- 転職エージェントの面談で「私の経歴で、どこが評価されると思いますか」と聞く
- ジョブカフェのカウンセラーに職務経歴を話して整理してもらう
特に3番目は無料で、この用途に最も向いています。
対処3:範囲を狭める
「2年間の総括」を書こうとするから書けません。
1つの出来事だけを書いてください。「2年間で最も印象に残っている業務の改善」を1件。それだけで、自己PRは成立します。
7. 面接で追撃される3つの質問
Q1.「その数字は、どうやって出しましたか」
数字を書いたら必ず来ます。「シフト作成の所要時間を、自分で記録していました」「日報の件数を3ヶ月分集計しました」。出所が言えれば十分です。
Q2.「なぜそれをやろうと思ったのですか」
自発性を測る質問です。「指示されて」でも構いませんが、その場合は「言われた範囲より広げた部分」を必ず添えてください。
Q3.「他に工夫したことはありますか」
1つしか用意していないと、ここで詰まります。第4章の4つの質問で出た素材から、2〜3個は答えられるように準備してください。
8. やってはいけない5つ
| やってはいけないこと | なぜ |
|---|---|
| 性格だけを書く(「真面目です」) | 行動でも成果でもない |
| 学生時代の話を書く | 社会人経験があるなら、そちらを書く |
| 数字を盛る | 面接で崩れる |
| 応募先ごとに変えない | 「うちの仕事ができるか」が伝わらない |
| 志望動機と同じ内容にする | 情報量が半分になる |
最後の項目について補足します。
自己PRは「私は何ができるか」、志望動機は「なぜ御社か」です。役割が違います。自己PRの末尾を「この経験が貴社の◯◯業務で活きる」で締め、志望動機はその会社を選んだ理由(事業内容、扱う商材、働き方)から書き始めると、自然に分かれます。
9. よくある質問
在籍1年未満でも自己PRは書けますか?
書けます。1年でも12ヶ月分の実績があります。また、期間が短い場合は「早く戦力になった証拠」を示すほうが効きます。「入社2ヶ月で単独対応を任された」「4ヶ月目から新人指導を担当した」など、任された時期を書いてください。
数字が本当に1つもありません。
第6章の対処1を試してください。「減ったもの」で探すと、必ず見つかります。作業時間、ミスの件数、問い合わせの回数、確認の往復。正確な統計は不要で、「月4〜5回が1〜2回になった」程度で十分です。
派遣・アルバイト経験しかありません。
雇用形態に関わらず、自己PRの書き方は同じです。担当した業務、規模、変えたこと、結果。「アルバイトだったので」という前置きは不要です。責任範囲が狭かった場合は、その範囲内で工夫したことを書けば十分です。
自己PRは何文字くらい書けばいいですか?
履歴書の自己PR欄は200〜300字、職務経歴書は400〜600字が目安です。両方に同じ文をコピーするのは避けてください。履歴書は結論だけ、職務経歴書はその根拠、という役割分担にすると、2枚で1セットとして機能します。
「協調性があります」は使えますか?
単独では弱いです。協調性は前提条件として見られるためです。「他部署と調整して◯◯を実現した」のように、具体的な行動と結果に変換してください。
応募先ごとに書き換えるのが大変です。
1〜4文目(事実と結果)は使い回せます。書き換えるのは、最後の1文(応募先の業務との接続)だけです。これなら、1社あたり5分で対応できます。
第三者に見てもらったほうがいいですか?
見てもらってください。自分では気づけない部分が必ずあります。転職エージェントの書類添削が最も具体的です。登録しても、紹介された求人に応募する義務はありません。ジョブカフェやハローワークの窓口でも、無料で相談できます。
前職を批判する内容になってしまいます。
自己PRは「自分が何をしたか」を書く欄なので、会社の話を書く必要はありません。「前職は非効率だった」ではなく「◯◯の手順を変えて、時間を短縮した」と、自分の行動を主語にしてください。同じ事実でも、主語を変えるだけで印象が変わります。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
自己PRが書けないのは、強みがないからではありません。探す場所を「成果」から「変えたこと」に移せば、30分で見つかります。
今夜やること
① 第4章の質問1に答える(「前任者や周りの人と、やり方が違うことはありますか」)
② 出てきたもののうち1つについて、変える前と後の数字を思い出す(正確でなくてよい)
③ 第5章の4文の型で、1本書いてみる(どこで何を→課題→変えたこと→結果)
①で何も出てこない場合は、質問2〜4も試してください。4つのうちどれかで、必ず素材が出てきます。「すごいこと」を探さないのがコツです。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。