貿易事務の自己PR|第二新卒が正確さと段取りを示す例文6パターン【2026年版】
〜英語力より、書類の抜けを防ぐ仕組みを持っているかを見られます〜
貿易事務の自己PRで、多くの人が英語力を前面に出します。
「TOEIC700点を活かし、海外との取引に貢献したいです」
これは、優先順位が違います。
貿易事務で最も重視されるのは、正確さと段取りです。
船積書類に1文字の誤りがあると、通関で止まります。納期が遅れ、追加の費用が発生します。
そして、貿易の業務は、複数の関係者が絡みます。
海外の取引先、フォワーダー、通関業者、社内の営業と倉庫。この全員のスケジュールが噛み合わないと、船に間に合いません。
英語は、その業務を進めるための道具の1つに過ぎません。
この記事では、3要素の型と、例文6パターンを用意します。
1. 結論:貿易事務の自己PRは3要素で決まる
| 要素 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| ① 処理した量 | 月の件数、取引先の数 | 月間の出荷案件80件、取引先15社 |
| ② 正確さの水準 | 書類の不備、納期の遅延の件数 | 書類不備による差し戻しは年2件以下 |
| ③ 段取りの仕組み | 抜けを防ぐために作った仕組み | 出荷2週間前からの確認表を作成 |
③が、他の応募者との差になります。
貿易事務は、確認する項目が非常に多い業務です。
インボイス、パッキングリスト、船積指図、原産地証明。それぞれに期限があり、抜けると出荷が止まります。
これを「気をつける」で管理している人と、「仕組み」で管理している人では、業務の安定度がまったく違います。
完成形の例
「前職の製造業では、営業事務として受発注を1日平均40件処理し、うち海外向けの出荷案件を月間20件担当しておりました。取引先は海外6社です。
出荷書類の準備が納期直前に集中し、確認漏れが月1〜2件発生していました。そこで、出荷日の2週間前から起算した確認表を作成し、書類ごとに準備の期限を設定しました。
導入後、書類の不備による差し戻しは半年間で1件のみとなりました。」
2. なぜ英語力を前面に出すと弱くなるのか
採用担当者の関心の順序を理解してください。
| 優先度 | 見られること |
|---|---|
| 1 | 正確さ(書類の不備を出さないか) |
| 2 | 段取り(複数の案件を同時に管理できるか) |
| 3 | 調整(社内外の関係者と話せるか) |
| 4 | 英語(読み書きができるか) |
英語は4番目です。
そして、貿易事務で使う英語は定型的です。
インボイス、パッキングリスト、B/L。決まった書式のやり取りが中心で、専門用語は200語程度を覚えれば実務は回ります。
だから、TOEICの点数の高さより、「調べて確認する習慣があるか」が見られます。
| よくある書き方 | 何が問題か |
|---|---|
| 「TOEIC700点を活かしたいです」 | 優先順位が違う |
| 「英語が好きです」 | 業務能力の説明ではない |
| 「海外と関わる仕事がしたいです」 | 何ができるかがない |
| 「正確な業務を心がけました」 | 数字がない |
| 「幅広く担当しました」 | 範囲が不明 |
3. 編集長の実体験:貿易事務に転職した知人の話
私の知人に、販売職から貿易事務に転職した人がいます。
転職したのは26歳、TOEICは640点でした。
本人は「この点数では無理だと思っていた」と言っていました。
私「640点で、よく通りましたね」
知人「面接で、点数の話はほとんど出なかったんです」
私「じゃあ、何を聞かれたんですか」
知人「『複数の作業を同時に進めた経験はありますか』と『確認漏れを防ぐために何かしていましたか』の2つです」
私「英語じゃないんですね」
知人「面接官が言うには、貿易事務で使う英語は範囲が決まってるらしいんです。専門用語が200語くらいあって、それを覚えれば回る。だから、点数より『思い込みで進めない人か』を見てると」
私「なるほど」
知人「実際に入ってみて、その通りでした。用語は1ヶ月で覚えました。逆に、点数が高くても、確認せずに進める人はミスが出るそうです」
この方が面接で話したのは、販売職での経験でした。
複数の顧客の取り置き商品を管理していて、引き渡しの期限を一覧にして毎朝確認していた、という話です。
これが、貿易事務の「段取り」の経験として評価されました。
ここで学んだのは、貿易事務に必要なのは英語力ではなく、抜けを防ぐ仕組みを持っているかだということです。
4. 数字の作り方
| 質問 | 出てくる数字 |
|---|---|
| 月に何件の案件を処理していましたか | 処理件数 |
| 取引先は何社でしたか | 担当範囲 |
| ミス・差し戻しは何件ありましたか | 正確さの水準 |
| 何名体制でしたか | 組織の規模 |
| 使用していたシステムは何ですか | システム経験 |
| 扱っていた商材は何ですか | 業務の性質 |
未経験の場合は、現職の数字を使ってください。
| 職種 | 使える数字 |
|---|---|
| 営業事務 | 受発注件数、請求件数、ミス件数 |
| 販売 | 客数、取り置き管理の件数 |
| 一般事務 | 処理件数、書類作成の件数 |
| 物流・倉庫 | 出荷件数、在庫の管理点数 |
| 経理 | 仕訳件数、月次の締め日数 |
「複数の案件を、期限を守って同時に処理した」経験があれば、接続できます。
5. 担当範囲を示す表を入れる
経験がある場合、担当範囲を表で示してください。
| 業務 | 担当 |
|---|---|
| 受発注(海外) | ◯ |
| インボイス作成 | ◯ |
| パッキングリスト作成 | ◯ |
| 船積書類の手配 | ◯ |
| フォワーダーとの調整 | ◯ |
| 通関業者とのやり取り | ◯ |
| L/C(信用状)の確認 | △(一部) |
| 原産地証明の申請 | △ |
| 納期管理・出荷スケジュール | ◯ |
| 輸入業務 | ×(輸出のみ) |
この表があると、採用側は「どこまでできる人か」を一目で判断できます。
特に、輸出のみか輸入も担当したかは、必ず区別してください。
業務の流れが逆になるため、経験の性質が変わります。
6. 例文6パターン
例文①:貿易事務 → 貿易事務(経験2年)
機械部品メーカーで、貿易事務を2年担当してまいりました。輸出業務を中心に、月間の出荷案件約60件、取引先は海外12社を担当しております。
出荷書類の準備が納期直前に集中し、確認漏れが月1〜2件発生していました。そこで、出荷日の2週間前から起算した確認表を作成し、書類ごとに準備の期限を設定しました。
導入後、書類の不備による差し戻しは、半年間で1件のみとなりました。
今後は、輸入業務にも範囲を広げ、貿易の一連の流れを担当できるようになりたいと考えております。
例文②:営業事務 → 貿易事務(未経験)
製造業の営業事務を2年担当し、受発注処理を1日平均40件、月次の請求業務を約200件処理しておりました。うち、海外向けの出荷に関する社内の手配を月20件担当しておりました。
受注ミスが月5件発生していたため、内容を分類したところ、類似する商品コードの取り違えが大半でした。入力時に商品名も確認する手順を追加し、チェックリストを作成しました。ミスは月1件以下になりました。
貿易実務そのものは未経験ですが、複数の案件を期限内に正確に処理する進め方は、貿易事務でも同様だと理解しております。現在、貿易実務検定C級の学習を進めております。
例文③:販売職 → 貿易事務(未経験)
家電量販店で販売職を2年担当し、1日平均40名のお客様に対応しておりました。あわせて、取り置き商品の管理を担当し、常時30〜50件を管理しておりました。
引き渡し期限を過ぎる商品が月に数件発生していたため、期限順に並べた一覧を作成し、毎朝の朝礼で確認する運用に変更しました。導入後、期限超過は月1件以下になりました。
複数の案件について、それぞれの期限を管理し、抜けを防ぐ仕組みを作る進め方を、貿易事務でも活かせると考えております。
英語はTOEIC640点です。実務で使う用語は入職後に覚える前提で、現在は貿易実務の基礎を学習しております。
例文④:貿易事務(在籍1年未満)→ 貿易事務
商社で貿易事務を10ヶ月担当しております。輸入業務を中心に、月間の入荷案件約40件、取引先は海外8社を担当しております。
在籍期間は短いですが、入社6ヶ月から通関業者とのやり取りを単独で担当しております。
入荷予定の変更が頻繁に発生し、社内への連絡が遅れることがあったため、入荷予定表を共有フォルダに置き、変更時に即時更新する運用に変更しました。社内からの問い合わせが減少しました。
輸出業務にも範囲を広げたいと考えております。
例文⑤:物流・倉庫 → 貿易事務(未経験)
物流センターで、2年間、出荷業務を担当してまいりました。1日平均200件の出荷を、5名体制で処理しております。
出荷の誤りが月3件程度発生していたため、直近3ヶ月の誤りを内容別に集計したところ、約7割が同一顧客の複数拠点への配送先の取り違えでした。該当する顧客について、拠点コードを伝票に大きく表示する形に変更し、誤りは月1件以下になりました。
貿易事務では、書類の正確さが出荷の可否に直結すると理解しております。現場で培った確認の習慣を活かしたいと考えております。
例文⑥:貿易事務 → 貿易事務(リーダー職を目指す)
化学メーカーで、貿易事務を3年担当し、輸出入の両方を経験しております。月間の案件は輸出60件、輸入40件、取引先は海外20社です。
直近1年は、新入社員2名の教育を担当しております。手順が個人によって異なっていたため、取引先別の書類要件を一覧化し、教育用の資料として整備しました。新入社員が単独で担当できるまでの期間が、約6ヶ月から3ヶ月に短縮しました。
今後は、業務の標準化と後進の育成に関わる立場を目指しております。
7. 落ちる自己PRの型5つ
| # | 型 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| ① | 英語力を最初に書く | 優先順位が違う |
| ② | 数字が1つも出てこない | 業務の規模が伝わらない |
| ③ | 輸出/輸入を区別していない | 経験の性質が判断できない |
| ④ | 「正確に対応しました」だけ | 正確さは前提条件 |
| ⑤ | 「海外と関わりたい」で終わる | 何ができるかがない |
①について補足
英語について書くな、という意味ではありません。
書く場所と順番の問題です。
自己PRの冒頭は、処理量と正確さで始めてください。
英語は、最後に1文で添える程度で十分です。
「英語はTOEIC680点です。実務で使う用語は入職後に覚える前提で、現在は貿易実務の基礎を学習しております。」
8. 面接で追撃される3つの質問
Q1「複数の案件を同時に進めた経験を教えてください」
この質問が、貿易事務の面接では最も重要です。
「前職では、常時30〜50件の取り置き商品を管理しておりました。それぞれ引き渡しの期限が異なるため、期限順に並べた一覧を作成し、毎朝確認する運用にしておりました。
頭で覚えるのではなく、一覧を見れば分かる状態にすることが重要だと考えております。」
「仕組みで管理していた」と言えることが決定的です。
Q2「分からない単語や手続きが出てきたら、どうしますか」
第3章のとおり、この質問は実際に来ます。
「まず、社内の過去の書類や手順書を確認します。同じ取引先や同じ仕向地であれば、前例があることが多いためです。
それでも分からない場合は、推測で進めず、先輩やフォワーダーに確認します。書類の誤りは出荷の停止につながるため、確認にかかる時間より、誤りの影響の方が大きいと考えております。」
「推測で進めない」を明言してください。
Q3「納期に間に合わない見込みになったら、どうしますか」
「まず、どの程度遅れるかを確定させます。次の船に載せられるのか、何日ずれるのか。
次に、間に合わせる手段を確認します。書類を先行して手配できるか、フォワーダーに相談して別の便を押さえられるか。
同時に、営業担当を通じて取引先への連絡を準備します。手を尽くしてから連絡するのではなく、判明した時点で見込みを共有すべきだと考えております。」
「連絡を準備する」を必ず入れてください。
9. よくある質問
貿易事務は未経験でも転職できますか?
できます。営業事務、一般事務、物流の経験があると接続しやすくなります。「複数の案件を、期限を守って正確に処理した」経験があれば、書けます。
TOEICは何点必要ですか?
求人によりますが、600〜700点が1つの目安です。ただし、実務で使う英語は定型的なため、点数より「調べて確認する習慣」が見られます。「TOEIC700点以上必須」と明記されている求人は、書類選考の足切りに使われる可能性があります。
貿易実務検定は必要ですか?
必須ではありませんが、未経験の場合は有利になります。学習中であることを書くだけでも、意欲の証明になります。ただし、資格取得を待って応募を遅らせるのは、順番が逆です。
輸出と輸入、どちらの経験が有利ですか?
応募先によります。両方の経験があると最も有利です。片方のみの場合は、正直に書き、「もう一方にも範囲を広げたい」と添えてください。
英語での会話は必要ですか?
多くの職場では、メールが中心で会話はほとんど発生しません。ただし、企業によっては電話対応があります。面接で「英語での電話対応はありますか」と確認してください。
商社とメーカー、どちらがいいですか?
業務の性質が違います。商社は取扱商品が多様で件数も多く、メーカーは自社製品に特化します。未経験からの入口としては、どちらもあります。
残業は多いですか?
船積のスケジュールに左右されます。締め切り前に業務が集中する傾向があります。面接で「繁忙期はいつごろか」を確認してください。
「幅広く担当しました」はダメですか?
ダメです。範囲が不明なため、判断できません。第5章の担当範囲の表を作り、◯・△・×で示してください。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
貿易事務の自己PRは、英語力ではなく、正確さと段取りで書いてください。
そして、最も差になるのは「抜けを防ぐ仕組みを持っているか」です。
今夜やること
① 月間の処理件数と、取引先の数を書き出す(未経験なら現職の件数)
② ミス・差し戻しの件数と、それをどう減らしたかを書く
③ 「複数の案件の期限を、どう管理していたか」を1文で書く
目安時間:合計30分
③が、面接で最も聞かれる部分です。
「気をつけていました」ではなく、「一覧を作って毎朝確認していました」と言えるかどうかです。
仕組みで管理していた人は、貿易事務でも同じことができると判断されます。
この先、読むべき記事
- 貿易事務の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと英語より見られるもの(志望動機の作り方)
- 貿易事務の面接|第二新卒が聞かれる想定問答12と英語より見られること(面接の想定問答)
- 英語を使う仕事の選び方|第二新卒が入れる職種と必要な水準(英語を使う職種の全体像)
- 自己PRが書けないとき|第二新卒が素材を掘り出す4つの質問(素材の見つけ方)
- 事務職の自己PR|第二新卒の書類が通る例文6パターンと数字の出し方(事務職共通の型)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。