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労働条件通知書の読み方|入社前に見る11項目【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
労働条件通知書の読み方|入社前に見る11項目【2026年版】

内定が出ると、労働条件通知書という書面が交付されます。A4で1〜2枚の、細かい字が並んだ紙です。

多くの人は、年収の欄だけを見て、あとは読まずに承諾します。そして、入社後に「聞いていた話と違う」と感じます。

この書面は、口頭での説明より優先されます。面接で何を言われていても、書面に書かれている内容が労働条件です。

だからこそ、承諾する前に読む必要があります。読むのは15分です。

この記事では、記載される項目の意味、必ず確認すべき11か所、そして説明とのずれの見つけ方を整理します。なお、以下は一般的な整理であり、個別の判断は勤務先か労働相談の窓口で確認してください。

1. 結論:やることは3つ

①承諾する前に受け取る。承諾後に届いた場合、条件を変える交渉は難しくなります。

②11項目を、面接のメモと照合する。ずれがあれば、その時点で確認します。

③保管する。入社後に条件を確認する必要が出たとき、これが唯一の根拠になります。

読むのは15分、照合を含めても30分です。この30分が、入社後の数年に影響します。

2. 記載される項目

労働条件通知書には、法令で明示が求められる事項が記載されます。主な項目は次の通りです。

項目内容
契約期間期間の定めの有無
就業場所勤務地。変更の範囲
業務内容担当する仕事。変更の範囲
始業・終業時刻労働時間
休憩時間時間と取り方
所定時間外労働の有無残業があるか
休日週休、祝日、年末年始
休暇年次有給休暇、その他
賃金基本給、諸手当、支払日
昇給・賞与有無と時期
退職に関する事項定年、退職の申し出の期限、解雇の事由

この中で、最も見落とされるのが「変更の範囲」です。就業場所と業務内容には、将来変更される可能性の範囲が記載されます。

3. 必ず確認する11項目

番号確認する場所見るポイント
1契約期間「期間の定めなし」か、有期か
2就業場所具体的な住所か、「会社の定める場所」か
3就業場所の変更の範囲転勤の可能性がどこまであるか
4業務内容職種名だけか、具体的な業務まで書かれているか
5業務内容の変更の範囲職種転換の可能性
6始業・終業時刻実際の勤務時間
7基本給手当を除いた金額
8固定残業代金額と、何時間分か
9賞与有無、支給月、算定の基準
10試用期間期間と、その間の条件
11退職の申し出の期限「〇日前まで」の記載

最も重要なのは、7番と8番です。

提示された年収に固定残業代が含まれている場合、基本給はその分低くなります。基本給は、賞与や残業代の計算の基礎になることが多いため、影響が大きくなります。

「変更の範囲」の読み方

記載意味
「本社(東京都〇〇区)」のみ転勤の想定がない
「会社の定める事業所」全拠点への異動がありうる
「本社および〇〇支社」その範囲での異動
業務内容が「営業」のみ職種の変更がありうる
業務内容が「〇〇部での営業」部署が明示されている

面接で「転勤なし」と言われていても、書面が「会社の定める事業所」なら、可能性は残ります。

この場合は、書面の修正を依頼するか、実態を確認してください。「過去5年で転勤された方は何名いますか」と聞くと、実態が分かります。

4. 編集長の実体験:固定残業代に気づいた

私が第二新卒で内定をもらったとき、提示された年収は面接での話と一致していました。

ただ、通知書を読むと、内訳が想定と違いました。

  • 基本給:月22万円
  • 職務手当:月4万円(時間外労働30時間分として支給)
  • 賞与:年2回(会社の業績による)

「職務手当」が、実質的に固定残業代でした。

私は人事に確認しました。

私「職務手当は、時間外30時間分ということでしょうか」

人事「はい。30時間を超えた分は、別途支給します」

私「賞与の算定は、基本給が基準になりますか」

人事「そうです。基本給の〇か月分という形です」

ここで、想定との差が分かりました。年収の総額は同じでも、賞与の算定基礎が基本給だけなので、月26万円全体で計算するより少なくなります。

この差を理解したうえで、承諾しました。知らずに入るのと、知って入るのでは、後の納得感が違います。

もう一つ確認したのが、業務内容の欄でした。

通知書:「営業企画業務」

変更の範囲:「会社の定める業務」

私は聞きました。

私「変更の範囲が『会社の定める業務』となっていますが、営業職への変更もありうるということでしょうか」

人事「制度上は可能ですが、営業企画として採用しているので、当面は想定していません」

「制度上は可能」という答えでした。これも、知っておく価値のある情報でした。

15分読んだだけで、2つの確認が生まれました。

5. 求人票・面接との照合

照合するもの確認方法
求人票保存しておいたものと並べる
面接のメモ条件について聞いた内容
エージェントからの提示求人票と紹介時の説明
内定の連絡提示された年収

求人票は、応募した時点で保存しておいてください。掲載が終了すると見られなくなります。

照合の手順:

  1. 通知書の11項目を書き出す
  2. 求人票の該当箇所と比べる
  3. 面接のメモと比べる
  4. 差があった項目に印をつける
  5. 差の理由を確認する

差があること自体は問題ではありません。求人票は募集時点のもので、通知書は個別の条件です。説明を求めることが目的です。

エージェント経由の場合は、担当者を通して確認を依頼するほうが早いことがあります。企業も、応募者から直接聞かれるより答えやすい場合があります。

6. 確認と交渉の文面

内訳を確認する:

労働条件通知書をお送りいただき、ありがとうございます。内容について、3点確認させてください。

  1. 職務手当について、固定残業代にあたるものでしょうか。該当する場合、何時間分かを教えていただけますか。
  2. 賞与の算定基礎は、基本給でしょうか。
  3. 就業場所の変更の範囲について、実際に転勤の実績はありますか。

確認のうえで、承諾のご連絡をさせていただきます。

記載の修正を依頼する:

業務内容について、面接では〇〇部での企画業務と伺っておりました。通知書の記載を、その内容に合わせていただくことは可能でしょうか。

承諾の期限を延ばす:

労働条件について確認させていただきたい点があり、承諾のご回答を〇日まで延ばしていただくことは可能でしょうか。

「確認のうえで承諾する」という姿勢を示してください。断る前提ではないことが伝われば、多くの企業は説明します。

就業規則もあわせて確認する

通知書に書かれていない詳細は、就業規則に定められています。「詳細は就業規則による」という記載がある場合、その部分は就業規則を見ないと分かりません。

入社前に見せてもらえるかは会社によりますが、聞くこと自体は問題ありません。

「就業規則を入社前に拝見することは可能でしょうか。難しい場合は、〇〇の部分だけ教えていただけますか」

特に確認したいのは、退職の申し出の期限、有給の付与時期、副業の可否の3点です。

7. やってはいけない5つ

対応何が起きるか
読まずに承諾する入社後にその条件で働くことになる
年収の総額だけを見る内訳の違いに気づかない
承諾後に確認する交渉の余地がなくなる
通知書を受け取らずに入社する条件を確認する手段がなくなる
保管しない入社後に根拠がなくなる

4番目は必ず避けてください。労働条件の明示は法令で定められています。届かない場合は、必ず求めてください。

依頼の文面:

入社の準備を進めるにあたり、労働条件通知書をお送りいただけますでしょうか。

この依頼を渋る企業は、その時点で判断材料になります。

保管の方法

通知書は、入社後も保管してください。次の場面で必要になります。

場面使い方
条件の相違が起きたとき根拠として示す
昇給や評価の確認当初の条件と比べる
退職を検討するとき申し出の期限を確認
次の転職のとき前職の条件を正確に伝える

データと紙の両方で残しておくと確実です。

8. 進め方と時間配分

段階時間やること
受け取り承諾前に受け取る
通読15分全部を一度読む
11項目の書き出し15分メモに転記
照合15分求人票と面接のメモと比べる
確認の連絡20分差があった点を質問
保管5分入社後も残しておく

合計70分です。承諾の期限まで数日あれば、十分に間に合います。

期限が短い場合は、延長を依頼してください。「確認のうえで承諾したい」という理由なら、多くの企業は応じます。

9. よくある質問

労働条件通知書はいつもらえますか

内定時から入社時までに交付されるのが一般的です。承諾の判断材料として必要なので、届いていない場合は求めてください。

面接での説明と違う場合はどうしますか

書面が優先されます。だからこそ、承諾前に確認してください。認識のずれであれば、書面を直してもらえることがあります。

「会社の定める場所」と書かれています

全拠点への異動がありうるという意味です。実際の運用を確認してください。「過去に転勤された方は何名いますか」と聞くと、実態が分かります。

固定残業代はどこを見ますか

手当の欄に、時間数の記載があるかを見てください。「〇〇手当(時間外労働〇時間分を含む)」という形です。記載がない場合は、必ず確認してください。

承諾した後に気づきました

すぐに連絡してください。入社前であれば、調整に応じてもらえることがあります。入社後になると難しくなります。

通知書と雇用契約書は違いますか

通知書は会社から交付されるもの、契約書は双方が署名するものです。両方が交付されることも、どちらか一方のこともあります。内容の確認方法は同じです。

記載内容に納得できません

まず、企業に説明を求めてください。それでも解決しない場合は、労働相談の窓口や労働基準監督署で確認できます。

電子で送られてきました

書面でも電子でも構いません。ただし、印刷するか、データを確実に保管してください。入社後に必要になることがあります。

10. まとめ:今週やる3つのこと

労働条件通知書は、入社後の条件を確定させる書面です。面接での説明ではなく、これが基準になります。

1. 承諾する前に受け取り、15分かけて読む。年収の総額だけでなく、内訳と変更の範囲を見てください。

2. 11項目を、求人票と面接のメモと照合する。差があった項目に印をつけて、まとめて確認してください。

3. 保管する。入社後に条件を確認する必要が出たとき、これが唯一の根拠になります。

読むのは15分です。その15分が、入社後の数年に影響します。

なお、この記事は一般的な整理です。個別の判断は、勤務先か労働相談の窓口で確認してください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。