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業務マニュアル・手順書の作り方|第二新卒が引き継ぎと評価の両方に効く形で残す【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約12分
業務マニュアル・手順書の作り方|第二新卒が引き継ぎと評価の両方に効く形で残す【2026年版】

「この作業、あなたにしか分からない状態になってるよね」——入社して1年ほど経つと、こう言われる場面が出てきます。自分では毎回やっているので手順を覚えているけれど、他の人に頼もうとすると説明に30分かかる。そういう業務が、気づくと2つ3つ溜まっています。

手順書を作れば解決するのは分かっている。ただ、いざ書き始めると「どこまで細かく書けばいいのか」「どこから書けばいいのか」が分からず、途中で止まる。作りかけの手順書がフォルダに眠っている人は多いはずです。

この記事では、手順書を実際に使われる形で仕上げるための粒度の決め方と書く順番を整理します。手順書作成は、引き継ぎのためだけでなく、職務経歴書に書ける実績にもなる仕事です。

1. 結論:読む人を1人に決めてから書く

止まる原因のほとんどは、想定読者が定まっていないことです。

想定読者書く粒度省いてよいもの
まったくの未経験者画面の場所・クリックの順までなし
同じ部署の別担当手順と判断基準システムの基本操作
自分の後任(引き継ぎ)手順+例外対応+関係者会社共通のルール
数か月後の自分要点と判断基準だけ細かい操作

「誰でも分かるように」と考えると、粒度が決まらず永遠に終わりません。「新しく異動してきた同じ職種の人」など、具体的な1人を想定すると、書く量が一気に決まります。

2. なぜ手順書は使われないまま終わるのか

作っても使われない手順書には、共通した特徴があります。

使われない理由中身対処
探せない置き場所が個人フォルダ共有の決まった場所に置く
古い手順が変わったのに更新されていない更新日と担当を明記する
長すぎる全部書こうとして読む気が失せる1業務1ページに収める
判断が書かれていない操作だけで、迷う場面が分からない「こういうときは」を入れる

いちばん多いのは4つ目です。操作手順は画面を見れば分かることも多い。実際に困るのは「例外が来たときにどうするか」で、そこが書かれていないと結局は元の担当者に聞くことになります。

3. 書く順番

いきなり文章から始めると挫折します。次の順で進めると止まりません。

Step1:作業を工程に割る(15分)

まず見出しだけを並べます。「①依頼を受け取る ②内容を確認する ③システムに入力する ④承認をもらう ⑤先方に連絡する」。この段階では中身を書きません。全体像が見えるだけで、書く量の目処が立ちます。

Step2:各工程に判断ポイントを足す(20分)

工程ごとに「迷う場面」を1つずつ書きます。「金額が10万円を超える場合は課長承認が必要」「依頼元が他部署の場合は様式が違う」。ここが手順書の価値の中心です。

Step3:操作を埋める(実際に作業しながら)

作業をしながら書くのが最も速い方法です。記憶で書くと必ず抜けが出ます。次にその業務が発生したときに、手を動かしながら1工程ずつ埋めていく。1回の作業で7割は埋まります。

Step4:他人に読んでもらう(30分)

その業務をやったことがない人に、手順書だけを見ながらやってもらう。これが唯一の検証方法です。詰まった箇所が、書き足すべき場所です。

4. 粒度の決め方

どこまで細かく書くかは、次の基準で判断します。

書く書かない
その会社・その部署でしか分からないこと一般的なソフトの操作方法
判断が分かれる場面と基準迷う余地のない単純作業
例外が起きたときの連絡先組織図(別にある)
過去にトラブルが起きた箇所起きたことのない仮定の話
使うファイルの置き場所ファイルの中身の全項目

基準はひとつ、「調べれば分かることは書かない」です。手順書に載せる価値があるのは、社内にしか存在しない情報だけです。社内システムの覚え方は社内システムの覚え方|第二新卒が最初の1ヶ月でやることにまとめています。

5. 使われる手順書の形

要素入れる内容効果
冒頭3行何の業務か、いつ発生するか、所要時間読むべきか判断できる
関係者一覧依頼元、承認者、問い合わせ先詰まったときに動ける
手順番号つきで工程順途中から再開できる
例外集「こういうときは」の一覧質問が減る
更新履歴更新日と更新者古い情報を疑える

冒頭3行と例外集の2つが、使われるかどうかを分けます。手順そのものは似たようなものでも、この2つがあるだけで実用性が跳ね上がります。

6. 更新が止まらない仕組み

手順書は作った瞬間から古くなります。更新の仕組みを一緒に作らないと、半年で使われなくなります。

仕組みやり方効果
更新のきっかけを決める手順が変わったその場で直すまとめて直そうとすると溜まる
更新担当を明記するファイル冒頭に名前を書く誰も直さない状態を防ぐ
気づいた人が直せる場所に置く編集権限を絞りすぎない小さな修正が入る
半年に一度見直す予定に入れておく放置期間の上限を決める

「気づいた人が直せる」状態にしておくのが、いちばん長持ちします。完璧な管理を目指すより、小さな修正が入り続けるほうが、結果として鮮度が保たれます。

7. 引き継ぎのときの手順書

退職や異動で引き継ぐ場合は、通常の手順書に足すものがあります。

足す項目理由
年間のスケジュール月次・年次の業務は次の発生まで気づけない
社外の連絡先と関係性担当者名と、これまでの経緯
過去のトラブルとその対応同じことが起きたときに再現できる
未完了の案件の状況途中で止まっているものが分かる
アカウントと権限の一覧権限がないと着手できない

とくに年間スケジュールは忘れられがちです。毎日の業務は引き継げても、年に1回の業務は引き継ぎ期間中に発生しないため、丸ごと抜け落ちます。引き継ぎ資料全体の作り方は退職の引き継ぎ資料の作り方|そのまま使えるテンプレートと3時間で終わらせる手順にまとめています。

8. 手順書作成を実績として書く

手順書を作った経験は、職務経歴書に書ける成果です。

薄い書き方厚い書き方
マニュアルを作成属人化していた月次◯件の処理を手順書化し、他2名が対応可能な状態にした
業務改善に取り組んだ問い合わせの多い5工程を手順書にまとめ、質問件数が月◯件から減少
後輩の教育を担当手順書と例外集を整備し、新任者の独り立ち期間を短縮

評価されるのは、書類を作ったことではなく「他の人ができる状態にしたこと」です。何人が対応できるようになったか、質問がどれくらい減ったかを書けると強くなります。数字が取りにくい場合の考え方は成果が数字で測れない職種|第二新卒が実績を作る方法を参照してください。後輩に渡す場面での使い方は初めて後輩を持つとき|第二新卒が教える側に回る順番でも触れています。

9. よくある質問

手順書を作る時間が業務中に取れません

まとまった時間を取ろうとすると着手できないので、その業務を実行する日に、作業しながら少しずつ書き足す方法が現実的です。1回の作業で数工程ずつ埋めれば、3回ほどで形になります。

自分の仕事を手順書にすると、自分が不要になりませんか

なりません。むしろ引き継げる状態を作れる人は、次の役割を任されやすくなります。属人化を抱えたままだと、異動も休暇も取りにくくなり、本人にとって不利益のほうが大きくなります。

上司から作れと言われていない業務も手順書にすべきですか

自分が休んだときに誰も対応できない業務があれば、作る価値があります。指示を待つ必要はありませんが、時間を使うことになるので、作る前に一言伝えておくと業務時間の使い方として整理がつきます。

動画で残すのと文書で残すのはどちらがいいですか

検索性と更新のしやすさでは文書が優れています。一方、操作が複雑で言葉にしにくい作業は動画が向きます。文書を主にして、分かりにくい箇所だけ短い動画を添える組み合わせが実用的です。

例外が多すぎて書ききれません

すべての例外を書く必要はありません。過去1年で実際に起きたものだけを書き、それ以外は「該当しない場合は◯◯に確認」と連絡先を書いておけば十分です。起きていない仮定まで書くと、読まれない分量になります。

手順書があるのに質問が減りません

置き場所が知られていないか、探しにくい可能性があります。質問が来たときに答えるのではなく、「この手順書のここに書いてあります」と場所ごと案内すると、次から参照されるようになります。

手順が頻繁に変わる業務でも作る意味はありますか

あります。変わる部分と変わらない部分を分けて書けば、更新の負担は小さくなります。全体の流れと判断基準は変わりにくいので、その部分だけでも残す価値があります。

手順書を作ったことを面接でどう伝えればいいですか

作った事実ではなく、その結果何が変わったかを伝えてください。対応できる人数が増えた、質問が減った、引き継ぎ期間が短くなったといった変化があれば、業務改善の実績として評価されます。

10. まとめ:今週やる3つのこと

手順書が終わらないのは、書く力の問題ではなく読む人と粒度が決まっていないからです。1人に絞り、工程を並べ、作業しながら埋める。この順番なら止まりません。

今週やる3つのこと

① 自分が休むと止まる業務を1つ挙げ、想定読者を1人に決める

② その業務の工程を、見出しだけ5〜8個並べる

③ 次にその業務が発生したとき、手を動かしながら操作を埋める

作った手順書は、引き継ぎのときにも、職務経歴書を書くときにも、そのまま使えます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。