初めてクレームを受けたとき|第二新卒が最初の30分でやることと引き継ぎの線引き【2026年版】
電話を取ったら、いきなり強い口調で苦情を言われた。メールを開いたら、想定していなかった不備の指摘が来ていた。初めてのクレーム対応は、内容そのものより「自分がどう動けばいいか分からない」ことのほうが負担になります。
多くの人がここで2つの失敗をします。ひとつはその場を収めようとして、できない約束をしてしまうこと。もうひとつは自分の落ち度だと思い込んで、誰にも言わずに抱えてしまうこと。どちらも、後になって傷口が広がります。
この記事では、初めてクレームを受けたときの最初の30分の動き方と、どこから先を引き継ぐかの線引きを整理します。目的は上手にさばくことではなく、事態を悪化させずに正しい人へ渡すことです。
1. 結論:最初の30分は「聞く・記録する・確認して折り返す」
一次対応でやることは3つだけです。
| 順 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 1 | 最後まで聞く | 途中で説明を挟む |
| 2 | 事実を記録する | 記憶に頼る |
| 3 | 確認して折り返すと伝える | その場で結論を出す |
いちばん重要なのは3番目です。その場で判断できないことは、判断しない。「確認のうえ、本日中に折り返します」と伝えるのは逃げではなく、正しい対応です。むしろ即答して後から覆すほうが、相手の不信を大きくします。
2. なぜ「その場で解決しよう」としてしまうのか
若手ほど、自分でなんとかしようとします。理由は分かりやすい。
| 思考 | 実際に起きること | 正しい理解 |
|---|---|---|
| 先輩の手を煩わせたくない | 後から大きな対応が必要になる | 早く渡すほど手間は小さい |
| 自分の担当だから責任がある | 権限のない約束をしてしまう | 担当と決裁権は別 |
| 怒らせたまま切りたくない | できない約束で二重に怒らせる | 誠実な保留のほうが収まる |
| 報告すると評価が下がる | 報告しないほうが問題になる | 一次対応の報告は義務 |
クレーム対応で評価が下がるのは、対応が下手だったときではなく、報告が遅れたときです。これは職種を問わず共通しています。
3. 聞くときの型
相手が話している間にやることは、遮らないことと、事実を拾うことです。
相槌と確認の言葉
- 「はい」「さようでございますか」で受け止める
- 途中で反論しない(説明は事実確認の後)
- 一区切りついたら「確認させていただきます」と要点を復唱する
復唱は必ず入れてください。認識のずれをこの時点で見つけられますし、相手には「聞いてもらえた」という感覚が残ります。相手の話が長い場合も、途中で切らずに一巡させたほうが、結果的に短く終わります。
拾う情報
| 項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| いつ起きたことか | 記録との照合に使う |
| 何が起きたか | 事実と評価を分けるため |
| どうしてほしいか | 要望が交換なのか説明なのかで対応が変わる |
| 連絡先と都合のよい時間 | 折り返しの約束に必要 |
| 過去に同じ連絡をしたか | 二度目なら対応の重みが変わる |
「どうしてほしいか」を聞き逃すと、対応の方向が定まりません。謝罪を求めているのか、交換や返金を求めているのか、原因の説明を求めているのかで、必要な社内調整がまったく違います。
4. 言ってはいけないこと
一次対応で言葉を誤ると、後の交渉が不利になります。
| 避けたい言葉 | 理由 | 置き換え |
|---|---|---|
| 「必ず〜します」 | 権限のない約束になる | 「確認のうえご連絡します」 |
| 「規則ですので」 | 説明を放棄している | 「こういう扱いになっており、理由は〜です」 |
| 「私は聞いていません」 | 組織として無責任に映る | 「経緯を確認いたします」 |
| 「よくあることです」 | 相手の状況を軽んじている | 「ご不便をおかけしました」 |
| 「担当が不在で分かりません」 | 放置される印象になる | 「担当が戻り次第、◯時までにご連絡します」 |
とくに「必ず」は使わない。その場を収めたい気持ちから出やすい言葉ですが、社内で通らなければ二度目の謝罪が必要になります。謝罪の範囲も、事実が確定するまでは「ご不便をおかけしました」までにとどめるのが基本です。非を認める謝罪は、事実確認の後に行います。
5. 引き継ぐ基準
自分で対応を続けるか、上司や専門部署に渡すかの線を、あらかじめ決めておきます。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 金銭の返還・交換の要求がある | 即座に上司へ | 決裁権が必要 |
| 健康や安全に関わる | 即座に上司へ | 報告義務がある場合が多い |
| 法的な言及がある | 即座に上司へ | 回答が記録として残る |
| 同じ相手から3回目以上 | 上司へ共有 | 個人対応の範囲を超えている |
| 説明で解決しそう | 自分で対応し、後で報告 | ただし報告は必須 |
迷ったら渡す、が原則です。渡しすぎて怒られることは、抱え込んで手遅れになるより圧倒的に少ない。相談の持っていき方は報告・連絡・相談のやり方|第二新卒が信頼を作る型、依頼の形にするなら仕事の頼み方|第二新卒が他部署や先輩に依頼するときの5つの要素と型の型が使えます。
6. 記録の残し方
対応の記録は、次の担当者のためであり、自分を守るためでもあります。
| 書く項目 | 書き方 |
|---|---|
| 受付日時 | 日付と時刻 |
| 相手の情報 | 会社名・氏名・連絡先 |
| 申し出の内容 | 相手の言葉のまま |
| こちらが伝えたこと | 約束した内容と期限 |
| 次のアクション | 誰が、いつまでに |
「相手の言葉のまま」書くのが要点です。自分の解釈で要約すると、後から読んだ人が別の判断をしてしまいます。感情的な表現もそのまま残しておいたほうが、状況の温度が伝わります。記録の残し方一般は議事録と資料作成|第二新卒が最初に評価される仕事にまとめています。
7. 対応が終わった後にやること
その場が収まっても、やることが残っています。
上司へ結果を報告する
解決したかどうかにかかわらず、必ず報告します。「解決したので報告不要」と判断すると、同じ相手から再度連絡が来たときに社内が混乱します。
再発防止の情報として共有する
同じ苦情が複数回起きているなら、それは個別対応ではなく仕組みの問題です。「今月3件同じ内容の問い合わせがありました」という共有は、改善の材料になります。日々の報告に載せておくと拾われやすくなります。書き方は日報・週報の書き方|第二新卒が5分で書いて評価につなげる型を参考にしてください。
自分の気持ちを引きずらない工夫
強い言葉を受けた後は、しばらく手が止まります。これは普通の反応で、切り替えが下手なわけではありません。一度席を立つ、誰かに話す、その日のうちに記録を書いて手放す。この3つで、翌日への持ち越しはかなり減ります。ミスを引きずってしまうときの立て直しは仕事で大きなミスをしたとき|第二新卒が立て直す順番でも扱っています。強い負荷が続く場合は、無理を重ねずに休むことを優先し、必要に応じて社内外の相談窓口や医療機関に相談してください。
8. 経験を職務経歴書に書く
クレーム対応の経験は、書き方次第で強い実績になります。
| 薄い書き方 | 厚い書き方 |
|---|---|
| クレーム対応を担当 | 月平均◯件の苦情の一次対応を担当し、うち◯割を自部署内で完結 |
| 丁寧な対応を心がけた | 受付から折り返しまでの標準時間を決め、記録の様式を統一 |
| お客様に喜ばれた | 同種の申し出が続いたため手順書を作成し、以降の発生件数が減少 |
評価されるのは「耐えたこと」ではなく「仕組みに戻したこと」です。件数を数えていた、記録を残していた、手順を作った——このあたりが書ける人は、カスタマーサポートや管理部門への転換でも通りやすくなります。数字が残っていない場合の作り方は成果が数字で測れない職種|第二新卒が実績を作る方法を参照してください。
9. よくある質問
自分に非がないクレームでも謝るべきですか
事実が確定していない段階では、非を認める謝罪ではなく「ご不便をおかけしました」といった状況への配慮を示す表現にとどめます。原因が明らかになった後で、こちらの責任である部分について改めて謝罪するのが順序として適切です。
電話を切りたいのに終わらないときはどうしますか
一巡話し終えた時点で、要点を復唱し、確認して折り返す旨を伝えて区切るのが基本です。それでも続く場合は、折り返しの時刻を具体的に約束すると収まりやすくなります。長時間になる場合は、その事実も含めて上司に共有してください。
上司が席にいないときはどうすればいいですか
その場で判断せず、折り返しの約束をして時間を確保します。上司が不在であることを相手に伝えるより、「確認のうえ◯時までにご連絡します」と伝えるほうが、相手にとっても分かりやすい対応になります。
メールでのクレームも同じ手順ですか
基本は同じですが、メールは記録が残るぶん文面の重みが増します。返信を急ぐより、内容を上司に確認してから返すほうが安全です。一次受付として「確認のうえご連絡します」とだけ先に返す運用も広く行われています。
対応した内容を記録に残す時間がありません
受付直後に3行だけでも残してください。日時・申し出の内容・約束したこと。この3つがあれば、後から詳細を補えます。記憶に頼ると、翌日には言葉の細部が変わってしまいます。
同じ人から繰り返し連絡が来ます
個人で抱える範囲を超えている状態なので、上司に共有して組織としての対応方針を決めてもらう場面です。対応窓口を一本化する、記録を共有する、といった判断は担当者一人では行えません。
怖くて電話に出られなくなりました
一時的にそう感じるのは珍しいことではありません。しばらく他の業務に切り替える、複数人で受ける体制にしてもらうなど、対処は可能です。負担が続く場合は無理をせず、上司や社内外の相談窓口に状況を伝えてください。
クレーム対応の経験は転職で評価されますか
評価されます。特に一次対応の件数、記録の残し方、再発を減らす工夫を具体的に語れると、カスタマーサポートや管理系の職種で強い材料になります。耐えた話ではなく、仕組みに戻した話として整理するのが要点です。
10. まとめ:今週やる3つのこと
初めてのクレーム対応でやるべきことは、上手にさばくことではありません。聞いて、記録して、正しい人へ渡す。この3つを守れば、事態が大きくなることはほとんどありません。
今週やる3つのこと
① 受付時に拾う5項目(いつ・何が・どうしてほしいか・連絡先・過去の有無)をメモに固定する
② 自分の職場で「上司に即座に渡す」条件を3つ決めておく
③ 対応した件は、解決の有無にかかわらず当日中に報告する運用にする
自分で背負い込まないこと。それが、結果として相手にとっても最短の解決になります。
この先、読むべき記事
- 報告・連絡・相談のやり方|第二新卒が信頼を作る型(渡し方の基本)
- 職場の電話応対|第二新卒が最初の3ヶ月で身につける型(電話対応の基礎)
- 仕事で大きなミスをしたとき|第二新卒が立て直す順番(引きずらないために)
- 議事録と資料作成|第二新卒が最初に評価される仕事(記録の残し方)
- 成果が数字で測れない職種|第二新卒が実績を作る方法(経験を実績にする)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。