試用期間とは|第二新卒が入社前に押さえる期間・給与・本採用の基準【2026年版】
〜試用期間中も、正社員として雇用されています〜
試用期間について、最も多い誤解がこれです。
「試用期間中は正社員ではない」
これは誤りです。
試用期間は、正社員として雇用された上での「適性を判断する期間」です。
雇用契約は、入社日から成立しています。
だから、試用期間中でも社会保険に加入しますし、有給休暇の付与日数の起算も入社日からです。
ただし、通常の解雇より広い範囲で解約が認められる、という性質があります。
この「広い」の程度が、多くの人が誤解している部分です。
「試用期間中はいつでも辞めさせられる」わけではありません。
この記事では、制度の正確な理解と、面接で確認すべき5項目を整理します。
なお、個別の事案については、労働基準監督署や弁護士など専門機関に確認してください。この記事は一般的な整理であり、法的な助言を行うものではありません。
1. 結論:押さえる5項目
| # | 項目 | 一般的な内容 |
|---|---|---|
| ① | 期間の長さ | 3ヶ月が最多。1〜6ヶ月の幅 |
| ② | 雇用形態 | 入社日から正社員(契約社員扱いの場合は要確認) |
| ③ | 給与 | 本採用後と同額の会社もあれば、下がる会社もある |
| ④ | 社会保険 | 入社日から加入(要件を満たす場合) |
| ⑤ | 本採用の判断 | 会社の裁量は通常の解雇より広いが、無制限ではない |
③が、事前に確認すべき最重要項目です。
「試用期間中は月給が2万円低い」という設計は、実際にあります。
そして、これは求人票に書かれていないことがあります。
労働条件通知書で必ず確認してください。
2. 期間と給与の実際
期間
| 期間 | 頻度 |
|---|---|
| 1ヶ月 | 少ない |
| 3ヶ月 | 最も多い |
| 6ヶ月 | 中程度 |
| 1年 | 少ない(長すぎるとして問題になり得る) |
就業規則に定められています。
入社前に確認できない場合は、労働条件通知書に記載があるはずです。
給与
| 設計 | 内容 |
|---|---|
| 本採用と同額 | 最も多い |
| 試用期間中は減額 | 実際にある(1〜3万円程度の差) |
| 手当が支給されない | 住宅手当などが本採用後から |
| 賞与の対象外 | 試用期間中は算定に含まれない |
減額される場合、その旨と金額が労働条件通知書に明記されている必要があります。
記載がないのに減額された場合は、会社に確認してください。
なお、試用期間中であっても、都道府県ごとに定められた最低賃金を下回ることはできません。
有給休暇
有給休暇は、入社日から6ヶ月経過し、所定労働日の8割以上出勤した時点で付与されます。
試用期間の有無や長さとは関係なく、入社日が起算日です。
ただし、試用期間中に有給を取得できるかは、付与のタイミング次第です。
試用期間3ヶ月の場合、その期間中はまだ付与されていないため、有給は使えません。
3. 編集長の実体験:試用期間中の給与を確認していなかった
私が第二新卒でSaaS企業に転職したとき、試用期間は3ヶ月でした。
そして、内定の連絡を受けたとき、私はこの条件を確認していませんでした。
エージェントの担当者から、条件面の説明を受けたときのやり取りです。
担当者「月給は◯◯円、試用期間は3ヶ月です」
私「はい」
担当者「試用期間中の条件、確認しますか」
私「……条件、変わるんですか」
担当者「会社によります。同額のところもあれば、下がるところもあります。あと、手当が本採用後からという会社もあるので」
私「確認していただけますか」
担当者「もちろんです。あと1点。試用期間中に退職する場合の扱いも、就業規則を確認しておいた方がいいです」
私「辞める前提の話ですか」
担当者「そうではなくて、条件は全部把握してから決めた方がいい、という話です。入ってから『聞いてない』が出るのが、一番まずいので」
確認の結果、その会社は試用期間中も本採用後も同額でした。
ただ、この確認をしなかったら、私は条件を把握しないまま承諾していました。
ここで学んだのは、「聞かなければ、教えてもらえないことがある」ということです。
企業側に隠す意図がなくても、聞かれなければ説明しない項目は存在します。
そして、確認にかかる時間は5分です。
4. 本採用にならないケース
試用期間の後、本採用に至らないことは、実際にあります。
ただし、企業が自由に判断できるわけではありません。
法的な位置づけ
試用期間は、一般に「解約権が留保された労働契約」と理解されています。
つまり、雇用契約は成立しているが、適性がないと判断された場合に解約する権利を会社が持っている、という状態です。
この解約権の行使は、通常の解雇より広い範囲で認められるとされていますが、無制限ではありません。
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる必要があります。
本採用にならない典型的な理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 経歴の詐称 | 学歴・職歴・資格の虚偽 |
| 勤怠の問題 | 無断欠勤、遅刻の常習 |
| 業務遂行能力の著しい不足 | 指導しても改善しない場合 |
| 職場の秩序を乱す行為 | ハラスメント等 |
| 健康上の理由で業務が継続できない | 個別の判断 |
「思っていたのと違った」「なんとなく合わない」という理由では、認められにくいと考えられています。
また、解約する場合も、解雇の手続きに関する規定が適用されます。
入社後14日を超えて雇用されている場合、原則として30日前の予告または解雇予告手当が必要とされています。
個別の事案については、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
5. 試用期間が延長される場合
就業規則に定めがある場合、延長されることがあります。
| 状況 | 一般的な扱い |
|---|---|
| 就業規則に延長の定めがある | 延長される可能性がある |
| 定めがない | 一方的な延長は認められにくい |
| 延長の期間 | 元の期間と同程度が一般的 |
延長を告げられた場合、次を確認してください。
- 就業規則に延長の規定があるか
- 延長の理由は何か
- 何ができるようになれば本採用になるか
- 延長中の給与は変わるか
3が最も重要です。
基準が示されないまま延長される場合、状況が改善しない可能性があります。
聞き方の例
「延長のご判断について、承知いたしました。本採用に向けて、具体的にどの点を改善する必要があるか、教えていただけますでしょうか。」
6. 試用期間中に退職したい場合
試用期間中でも、退職はできます。
雇用契約は成立しているため、通常の退職と同じ手続きになります。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 退職の申し出 | 期間の定めのない契約では、申入れから2週間の経過で終了(民法第627条第1項) |
| 就業規則の規定 | 「1ヶ月前まで」等の定めがあれば、実務上はそれに従う |
| 退職届 | 通常どおり提出 |
| 離職票 | 発行される |
ただし、次の点は認識しておいてください。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 職歴に残る | 短期間でも記載が必要 |
| 次の選考での説明 | 理由を聞かれる |
| 失業給付 | 加入期間が短いため、受給できない可能性 |
試用期間中の退職と、その後の選考への影響については、専用の記事にまとめています。
まず、3ヶ月は判断を保留することを勧めます。
入社直後は、業務が分からない状態が普通です。「合わない」という感覚が、環境の問題なのか、慣れの問題なのかは、3ヶ月経たないと切り分けられません。
ただし、ハラスメントや、求人票と著しく異なる労働条件がある場合は、この限りではありません。
7. 面接・内定後に確認する5項目
次の5つを、内定後の条件確認で必ず聞いてください。
| # | 確認項目 | 聞き方 |
|---|---|---|
| ① | 期間の長さ | 「試用期間は何ヶ月でしょうか」 |
| ② | 給与の違い | 「試用期間中の給与は、本採用後と同じでしょうか」 |
| ③ | 手当の扱い | 「各種手当は、試用期間中も支給されますでしょうか」 |
| ④ | 延長の可能性 | 「試用期間が延長されるのは、どのような場合でしょうか」 |
| ⑤ | 本採用の判断基準 | 「本採用の判断は、どのような基準で行われますでしょうか」 |
②と③を必ず聞いてください。
この2つは、求人票に書かれていないことが多く、かつ生活に直接影響します。
そして、口頭の説明だけでなく、労働条件通知書での記載を確認してください。
エージェント経由なら、担当者に依頼するのが最も確実です。
「条件面について、試用期間の長さ、期間中の給与と手当の扱い、本採用の判断基準を確認していただけますでしょうか。」
8. 労働条件通知書で見る場所
内定後、労働条件通知書(または雇用契約書)を受け取ります。
次の項目を確認してください。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 契約期間 | 「期間の定めなし」になっているか |
| 試用期間 | 期間の長さ、条件の違い |
| 就業の場所 | 配属先 |
| 業務内容 | 面接での説明と一致しているか |
| 始業・終業時刻 | みなし残業の有無 |
| 賃金 | 基本給、手当、固定残業代の内訳 |
| 退職に関する事項 | 申し出の期限 |
「契約期間」の欄が「期間の定めあり」になっている場合、それは試用期間ではなく有期雇用契約です。
この2つはまったく違います。
| 項目 | 試用期間 | 有期雇用契約 |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 正社員 | 契約社員 |
| 期間満了時 | 本採用が原則 | 更新の可否を判断 |
| 契約終了 | 解約には合理的な理由が必要 | 期間満了で終了し得る |
「試用期間3ヶ月」と説明されていたのに、契約書が「契約期間3ヶ月」になっている場合、内容が違います。
必ず確認してください。
9. よくある質問
試用期間中は正社員ではないのですか?
正社員です。試用期間は、正社員として雇用された上で適性を判断する期間です。ただし、労働条件通知書の「契約期間」が「期間の定めあり」になっている場合は、有期雇用契約であり、性質が異なります。
試用期間中に社会保険に入れますか?
加入要件を満たしていれば、入社日から加入します。試用期間を理由に加入を遅らせることはできません。加入していない場合は、会社に確認してください。
試用期間中の給与が低いのは違法ですか?
違法ではありません。ただし、その旨が労働条件通知書に明記されている必要があります。また、最低賃金を下回ることはできません。説明なく減額された場合は、会社に確認してください。
試用期間中に有給は取れますか?
付与のタイミング次第です。有給は入社日から6ヶ月経過した時点で付与されるため、試用期間が3ヶ月の場合、その期間中は付与されていません。ただし、会社が独自に前倒しで付与している場合もあります。
本採用にならないことはありますか?
あります。ただし、会社が自由に判断できるわけではなく、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要とされています。個別の事案については、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
試用期間が延長されました。断れますか?
就業規則に延長の規定があるかを確認してください。規定がない場合、一方的な延長は認められにくいとされています。まず、延長の理由と、本採用に向けて何が必要かを会社に確認してください。
試用期間中に退職すると、次の転職に不利ですか?
短期間の在籍は、退職理由の説明を求められます。ただし、説明できれば致命的にはなりません。まず3ヶ月は判断を保留し、環境の問題か慣れの問題かを切り分けてください。
試用期間中の退職は、いつまでに伝えればいいですか?
就業規則の定めに従ってください。「1ヶ月前まで」といった規定があれば、それに沿うのが実務上は円満です。期間の定めのない契約では、申入れから2週間の経過で契約は終了します(民法第627条第1項)。
10. まとめ:内定後にやる3つのこと
試用期間は、正社員として雇用された上での、適性を判断する期間です。
「試用期間中は正社員ではない」「いつでも辞めさせられる」というのは、いずれも誤解です。
ただし、給与や手当の扱いが本採用後と違う場合があり、これは事前に確認しないと分かりません。
内定後にやること
① 労働条件通知書の「契約期間」欄を確認する(「期間の定めなし」になっているか)
② 試用期間中の給与と手当が、本採用後と同じかを確認する
③ 本採用の判断基準を、担当者または人事に聞く
目安時間:合計20分
①を必ず確認してください。
「試用期間3ヶ月」と説明されていたのに、契約書が「契約期間3ヶ月」になっている場合、それは有期雇用契約です。
この2つは、まったく違う契約です。
なお、この記事は一般的な整理です。個別の事案については、労働基準監督署や弁護士など専門機関に確認してください。
この先、読むべき記事
- 試用期間中の退職|第二新卒が辞めるときの手順と次の選考への影響(試用期間中に辞める場合)
- 内定承諾の判断|第二新卒が返事をする前に確認する12項目(承諾前の確認)
- みなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順(給与欄の確認)
- 中途入社の初日にやること|第二新卒が最初の1日で押さえる7つ(入社直後の動き方)
- 転職して3ヶ月で辞めたい|第二新卒がやる4つの切り分けと判断の期限(合わないと感じたら)
- 契約社員から正社員になる方法|登用制度と転職の使い分け(契約社員と正社員登用の違い)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。