転職後の有給はいつ付く|第二新卒が入社半年を乗り切る休みの作り方【2026年版】
転職して1ヶ月目に、こう気づく人がいます。
「有給が0日だ。半年後まで休めないのか」
その通りです。そして、これを入社前に知らない人がかなり多い。
法律上、有給休暇が付与されるのは入社から6ヶ月が経過した時点です。それまでの間、原則として有給休暇はありません。
前職では当たり前に使えていたものが、転職すると一度ゼロに戻る。これは制度上そうなっているだけで、会社が意地悪をしているわけではありません。
ただし、この6ヶ月間をどう乗り切るかは、事前に設計できます。
前倒しで付与する会社もあります。欠勤扱いで休む選択もあります。入社日をずらして前職の有給を使い切る手もあります。
この記事では、付与のしくみ、半年間の休みの作り方、前倒し付与の会社の見つけ方、そして面接で確認する言い方までを整理します。
1. 結論:やることは3つ
1. 入社前に、有給の付与時期を確認する。労働条件通知書か、内定後の質問で確認できます。
2. 前職の有給を、入社日の設定で使い切る。入社日を後ろにずらすだけで、実質的に休みが増えます。
3. 最初の6ヶ月に休みが必要な予定を、入社前に伝えておく。入社後に言うより、内定後のほうが通ります。
3番目が最も見落とされます。
結婚式、家族の予定、既に予約している旅行。これらは内定承諾の前に伝えれば、ほぼ調整してもらえます。入社してから言うと、「入って早々に」という空気になります。
| いつ伝えるか | 通りやすさ |
|---|---|
| 内定承諾の前 | 高い |
| 内定承諾の後、入社前 | 通ることが多い |
| 入社後1ヶ月以内 | 気まずくなる |
| 入社後3ヶ月 | 調整が難しい |
2. 付与のしくみ
労働基準法では、次の2条件を満たしたときに10日の有給休暇が付与されます。
- 雇入れの日から6ヶ月継続して勤務している
- 全労働日の8割以上出勤している
この「6ヶ月」が起点です。4月1日入社なら、10月1日に10日が付きます。
その後は1年ごとに増えていきます。
| 勤続期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以降 | 20日 |
ここで重要なのは、この日数が「勤続年数」で決まることです。
転職すると勤続年数がリセットされるため、前職で18日持っていた人も、転職後は10日からのやり直しになります。これは転職の隠れたコストです。
前職の残日数は引き継げない
引き継げません。有給休暇は会社ごとの制度なので、退職と同時に消滅します。
買い取りも、原則として認められていません。例外的に退職時の未消化分を買い取る会社はありますが、義務ではありません。
だから、前職の有給は退職までに使い切るのが正解です。
3. 前倒しで付与する会社がある
法律の6ヶ月は「最低ライン」です。これより早く付与することは問題ありません。
実際、中途採用を積極的に行っている会社では、前倒し付与を制度として持っているところがあります。
| 付与のパターン | 内容 |
|---|---|
| 入社日に付与 | 初日から10日、またはそれ以下 |
| 入社月の翌月 | 数日を先に付与 |
| 3ヶ月経過時 | 5日程度を先に付与 |
| 法定通り6ヶ月 | 最も多い |
入社日付与は、中途採用に慣れている会社のサインでもあります。
中途で入る人が前職の有給を失うことを理解している会社は、この制度を持っていることが多い。求人票に「入社時有給付与」と書かれている場合は、それだけで働きやすさの一つの指標になります。
求人票のどこを見るか
「休日・休暇」の欄です。
- 「有給休暇(入社時◯日付与)」
- 「年次有給休暇(法定通り)」
- 「年次有給休暇」(記載なし)
1番目なら前倒し、2番目は6ヶ月後、3番目は不明です。
3番目の場合、面接で聞いて構いません。聞き方は後述します。
4. 最初の6ヶ月で休む方法
有給がない期間でも、休む方法は複数あります。
| 方法 | 給与 | 使いやすさ |
|---|---|---|
| 欠勤(無給) | 出ない | 事前申請なら通る |
| 特別休暇 | 会社による | 慶弔などに限定 |
| 振替休日 | 出る | 休日出勤が前提 |
| 前倒し付与の交渉 | 出る | 内定時のみ |
最も現実的なのは、欠勤です。
「欠勤」という言葉の響きが悪いため避ける人が多いのですが、事前に申請した欠勤と、当日の無断欠勤は全く別のものです。
事前に「◯月◯日は私用でお休みをいただきたく、有給がない期間のため欠勤扱いでお願いします」と伝えれば、通常は問題になりません。給与がその日数分減るだけです。
評価に響くのではないかと不安になる人が多いのですが、事前申請の欠勤が評価を下げることは通常ありません。下がるのは、直前の申し出や頻度が高い場合です。
特別休暇の範囲を確認しておく
多くの会社には、有給とは別に特別休暇があります。
- 慶弔休暇(結婚、忌引)
- 産前産後・育児・介護に関する休暇
- リフレッシュ休暇(勤続年数が条件のことが多い)
- 夏季・年末年始休暇
このうち、入社直後から使えるものがあります。特に慶弔休暇は、勤続期間を条件としない会社が多い。
入社時に受け取る就業規則で、特別休暇の条項を一度読んでおいてください。使えるものを知らずに欠勤で処理してしまうケースが実際にあります。
5. 入社日をずらして前職の有給を使う
これが最も効果の大きい方法です。
前職に有給が20日残っているなら、退職日を後ろに設定して全部消化してから入社する。この間、前職の給与は出続けます。
| 進め方 | 結果 |
|---|---|
| 有給を捨てて即入社 | 20日分の給与を失う |
| 有給消化してから入社 | 20日分の給与を得る |
差は給与の1ヶ月分近くになります。
ただし、入社日を後ろにずらす交渉が必要です。内定先が「なるべく早く来てほしい」と言っている場合、1ヶ月の延期は簡単ではありません。
交渉の言い方はこうです。
入社日についてご相談です。現職の引き継ぎと、残っている有給休暇の消化を含めますと、○月○日からの入社であれば確実に整理を終えた状態で伺えます。ご調整いただくことは可能でしょうか。
「引き継ぎ」を先に置くのが要点です。有給消化だけを理由にすると、印象が弱くなります。引き継ぎを完了させたいという意思とセットにしてください。
全部は使えないこともある
前職が有給消化を認めない、または引き継ぎの都合で全部は取れないことはあります。
その場合でも、半分は取れることが多い。
全部か0かで考えず、「取れるだけ取る」で交渉してください。10日でも、給与の半月分です。
6. 面接・内定時の確認のしかた
有給の話は、面接の早い段階では聞かないほうがいい。
一次面接で休みの話をすると、働く意欲より条件を優先する人だという印象が付きます。実際の評価がどうであれ、そのリスクを取る意味がありません。
聞くタイミングは、最終面接の逆質問か、内定後です。
| タイミング | 聞き方 |
|---|---|
| 一次・二次面接 | 聞かない |
| 最終面接の逆質問 | 制度の確認として聞く |
| 内定後 | 具体的な予定として相談 |
最終面接での聞き方
入社後の働き方について1点お伺いします。年次有給休暇の付与は、法定通り6ヶ月後でしょうか。中途入社の方の場合、前倒しの制度などがあればお教えください。
「中途入社の方の場合」を入れると、制度の質問として自然になります。
内定後の相談のしかた
内定をいただきありがとうございます。1点、事前にお伝えしておきたいことがあります。○月○日に家族の予定があり、その1日をお休みいただきたく考えております。有給の付与前となりますので、欠勤扱いで差し支えございません。ご相談させていただけますでしょうか。
先に「欠勤扱いで構わない」と示すのが要点です。会社側の調整の手間が減るため、通りやすくなります。
7. 年5日の取得義務との関係
2019年から、有給が10日以上付与された労働者には、年5日を取得させる義務が会社側に生じています。
これは労働者ではなく会社の義務です。取得させなかった会社に罰則がかかります。
転職者にとって重要なのは、この5日のカウントが付与日から始まる点です。
4月1日入社であれば、10月1日に10日が付与され、そこから翌年9月30日までの1年で5日を取得する必要があります。
| 時期 | 状況 |
|---|---|
| 入社〜6ヶ月 | 有給なし |
| 6ヶ月〜1年6ヶ月 | この1年で5日以上を取得 |
つまり、有給が付いた後は、会社側から取得を促されます。
「休みにくい雰囲気だから取らない」を続けると、会社が法令違反の状態になるため、多くの会社は取得の計画を立てます。この制度は、転職者にとって追い風です。
8. 半年間の過ごし方の設計
入社から6ヶ月をどう組むか、現実的な設計を書きます。
入社前にやること
- 前職の有給を可能な限り消化する
- 6ヶ月以内に確定している予定を内定時に伝える
- 有給の付与時期を確認する
入社後1〜3ヶ月
- 特別休暇の条項を就業規則で確認する
- 体調不良で休む場合の連絡方法を初日に確認しておく
- 欠勤の申請方法を確認しておく
入社後4〜6ヶ月
- 付与日を手帳に書いておく
- 付与後に取りたい日を先に押さえる
最後の項目が効きます。
有給は付与された瞬間に取得できます。付与日の直後に取りたい日があるなら、付与前から上長に伝えておいて構いません。
「10月1日に有給が付与されますので、10月中に1日いただきたいと考えています」。この伝え方であれば、制度に沿った申し出になります。
9. よくある質問
Q. 試用期間中は有給がないのですか
試用期間と有給の付与は無関係です。
有給は「雇入れの日から6ヶ月」で判定されるため、試用期間中であっても6ヶ月を超えれば付与されます。試用期間が3ヶ月でも6ヶ月でも、起算日は入社日です。
Q. 入社直後に体調を崩したらどうなりますか
欠勤扱いになります。給与はその日数分減ります。
ただし、会社によっては傷病に関する休暇制度があります。入社時に、就業規則の休暇の条項を一度確認しておいてください。
Q. 有給の付与日は入社日ですか、月初ですか
原則は入社日から6ヶ月後の応当日です。
ただし、管理を簡単にするため、全社員の付与日を4月1日や10月1日などに統一している会社があります(斉一的取扱い)。この場合、法定より早く付与される形になります。
Q. 半日単位や時間単位で使えますか
会社の制度によります。
半日単位は多くの会社が導入しています。時間単位は労使協定が必要で、年5日を上限に認められる制度です。導入していない会社もあるため、就業規則で確認してください。
Q. 有給の理由を聞かれたら答える義務はありますか
ありません。有給の取得理由を会社に伝える義務はなく、「私用」で足ります。
ただし、実務上は繁忙期を避ける配慮をしたほうが、以後の取得がしやすくなります。理由を言う義務はなくても、時期の相談はしておくほうが得です。
Q. 使わなかった有給はどうなりますか
翌年に繰り越せます。ただし2年で時効消滅します。
付与から2年が経過した分は消えます。繰り越し分から先に消化する運用の会社が多いですが、就業規則で確認してください。
Q. 週の労働日数が少ない場合は
比例付与という制度があります。
週の所定労働日数が4日以下かつ週の労働時間が30時間未満の場合、日数が少なめに設定されます。週4日勤務で6ヶ月経過なら7日といった形です。ゼロにはなりません。
Q. 内定後に休みの相談をすると、印象が悪くなりませんか
ほぼなりません。むしろ、入社後に急に言うほうが印象が悪くなります。
内定後の相談は、入社に向けた調整の一部です。事前に分かっている予定を先に共有する人は、段取りができる人だと受け取られます。
10. まとめ:今週やる3つのこと
1. 前職の有給残日数を確認する。給与明細か、勤怠システムで見られます。
2. その日数を消化できる退職日を計算し、入社日の交渉に使う。「引き継ぎ完了のため」を理由の先頭に置いてください。
3. 入社後6ヶ月以内に確定している予定を書き出し、内定承諾の前に伝える。
有給がない6ヶ月は、事前の設計で乗り切れます。入社してから慌てないよう、承諾前に手を打ってください。
この先、読むべき記事
- 退職時の有給消化|断られたときの交渉手順とそのまま使える例文(前職の有給を使い切る)
- 退職日と入社日の間をどうするか|空くか、重なるか(日程の組み方)
- 労働条件通知書の読み方|入社前に見る11項目(休暇の条件の確認)
- 内定から入社日までにやること|第二新卒の準備を時系列で全部(入社準備の全体像)
- 中途入社の初日にやること|第二新卒が最初の1日で押さえる7つ(入社当日の動き)
- 有給が取れない職場|第二新卒が確認と相談を進める順番(取りにくい職場の見極め)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。