給与が低いと感じるとき|第二新卒が確かめる順番と動かし方【2026年版】
〜比べる前に、自分の給与の中身を分解できていますか〜
「給与が低い」と感じることは、転職を考える最も一般的なきっかけの一つです。
ただ、その感覚のまま動くと、判断を誤ることがあります。
「低い」と感じている対象が、手取りなのか、総額なのか、将来の見通しなのかで、対処がまったく違うためです。
そして、転職で必ず上がるわけではありません。上がる場合とそうでない場合には、はっきりした違いがあります。
この記事では、確かめる順番と、動かし方を整理します。
1. 結論:確かめるのは3つ
順番に確かめる3つ
① 今の給与の中身を分解する(総額、控除、手当)
② 何と比べて低いのかを特定する
③ 社内で上がる仕組みがあるかを確認する
①を飛ばして転職すると、比較ができません。
提示された年収が今より高くても、手当の構成が違えば手取りが減ることがあります。そのため、まず自分の給与の中身を把握する必要があります。
給与の分解は給与明細の見方|提示年収と手取りの差を埋めるにまとめています。
2. 給与を分解する
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 基本給 | 賞与や退職金の算定の基準になることが多い |
| 固定残業代 | 何時間分が含まれているか |
| 各種手当 | 住宅、家族、資格、役職など |
| 賞与 | 支給の実績と、算定の基準 |
| 控除 | 社会保険料、税など |
1行目と2行目の関係が最も重要です。
総額が同じでも、基本給が低く固定残業代が大きい構成では、賞与の算定に影響する場合があります。
また、固定残業代に含まれる時間数は、その会社が想定している残業時間の目安になります。
内訳の読み方はみなし残業を見抜く5項目|第二新卒が求人票の年収の中身を確認する手順、求人票の年収欄は求人票の年収の読み方|第二新卒が6項目に分解して比較する手順を参照してください。
なお、賃金や社会保険に関する事項には法令上の定めがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関や所管の窓口に確認してください。
3. 何と比べているか
| 比べる対象 | 注意点 |
|---|---|
| 同期・同年代 | 業界と職種が違えば水準も違う |
| 同じ職種の他社 | 比較として妥当 |
| 生活に必要な額 | 別の問題として扱う |
| 自分の働いた量 | 時間単価で見ると分かりやすい |
| 将来の見通し | 今の額より重要な場合がある |
1行目が最も多い比べ方であり、最も誤りやすい比べ方です。
業界と職種が違えば、給与の水準は構造的に違います。同期と比べても、判断の材料にはなりません。
2行目が妥当な比較です。同じ職種の求人を10件見て、提示されている水準を確認してください。
4行目も有効です。年収を年間の労働時間で割ると、時間単価が出ます。額面が高くても、時間が長ければ単価は下がります。
同期との比較の問題は同期と比べてしまうとき|第二新卒が自分の基準を作り直す4ステップにまとめています。
時間単価で見る
計算の仕方
・年収 ÷(1日の労働時間 × 年間の勤務日数)
・残業時間も含めて計算する
・通勤時間を足して計算する方法もある
この数字を出しておくと、転職先の条件を比較するときの基準になります。
「年収は同じだが、残業が半分になる」なら、時間単価は倍近くになります。これは実質的な待遇の改善です。
4. 社内で上がる仕組みを確認する
確認する5項目
① 昇給の時期と、平均的な上げ幅
② 等級の仕組みがあるか
③ 次の等級に上がる条件
④ 賞与の算定の基準
⑤ 資格手当などの対象
③が最も重要です。
条件が明示されている会社では、そこに向けて動けば上がります。明示されていない会社では、上がる根拠が読めません。
⑤も見落とされます。資格を取ることで手当がつく制度があるなら、それが最も確実な上げ方です。
評価と昇給の仕組みは評価と昇給の仕組みを読む|求人票と面接で確かめる、評価が伝わらない場合は評価されないと感じるとき|第二新卒が確かめる3つと動かし方を参照してください。
5. 話を聞いた例:時間単価で判断した人
知人に、給与の低さから転職を考えていた人がいます。
その人が、動く前にやったのは次のことでした。
実際にやったこと
・年収と、年間の実労働時間を出した
・時間単価を計算した
・同じ職種の求人10件の提示額を集めた
・その求人の想定残業時間も確認した
結果として、額面では自分の給与は低いほうでした。
ただ、時間単価で見ると、平均的な水準でした。残業が少なかったためです。
その人は、額面を上げるために残業の多い会社へ移るのは違うと判断し、資格を取って手当を得る方向に切り替えました。
「低い」と感じていたのは、比べ方が額面だけだったことが原因でした。
6. 転職で上がる場合とそうでない場合
| 状況 | 上がるか |
|---|---|
| 同じ職種で、水準の高い業界へ移る | 上がりやすい |
| 経験を活かして同職種へ移る | 上がる可能性がある |
| 職種を未経験で変える | 下がる可能性がある |
| 業界の水準が同じ | 大きくは変わらない |
| 成果連動の比率が上がる | 変動が大きくなる |
3行目が、第二新卒で最も多いパターンです。
職種を変える転職では、一時的に下がる可能性があります。それでも移る価値があるかは、3年後の見通しで判断します。
判断の軸は年収が下がる転職の判断基準|第二新卒が3年で戻せるかを見る、上がる転職との違いは年収が上がる転職と上がらない転職|分かれ目は3つあるにまとめています。
また、業界そのものの水準が違う場合があります。同じ職種でも、業界を変えると水準が変わることがあります。
7. 面接での伝え方
「給与が低かったので」をそのまま言うと、扱いが難しくなります。
| 避ける言い方 | 使える言い方 |
|---|---|
| 「給与が低かったので」 | 「成果が評価に反映される仕組みで働きたい」 |
| 「もっと稼ぎたい」 | 「担当の範囲を広げて、それに応じた評価を得たい」 |
| 他社の額を持ち出す | 自分の希望として述べる |
| 待遇の話だけをする | 仕事の内容と併せて話す |
給与を理由にすること自体は問題ありません。ただし、それだけを述べると「条件で動く人」という印象になります。
仕事の内容と、その対価という形で組み立ててください。
希望年収の伝え方は面接で希望年収を聞かれたら|第二新卒がその場で答えるための金額の決め方、交渉の仕方は第二新卒の年収交渉|2ヶ月で2社内定時の交渉実額を全公開を参照してください。
8. 生活が厳しい場合
比較の問題ではなく、生活が成り立たない場合は別の扱いになります。
先に確認すること
① 使っていない社内の制度がないか(住宅、通勤など)
② 控除の内容に誤りがないか
③ 利用できる公的な制度がないか
④ 固定費を見直す余地があるか
③については、条件によって利用できる制度があります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は所管の窓口や専門機関に確認してください。
①も見落とされます。使える手当を申請していないことがあります。
社内制度の確認は退職前に確認する社内制度|第二新卒が精算を忘れて損しないための一覧、活動にかかる費用は転職活動にかかるお金|第二新卒が在職中と離職中で見積もる内訳にまとめています。
9. よくある質問
同期と比べて低いのが気になります
業界と職種が違えば水準も違います。同じ職種の求人と比べてください。
時間単価はどう計算しますか
年収を、年間の実労働時間で割ります。残業時間も含めて計算してください。
昇給を交渉できますか
評価の面談の場で、根拠とともに伝えることはできます。ただし、制度として上がる条件があるかを先に確認してください。
転職すれば上がりますか
職種と業界によります。職種を未経験で変える場合は、一時的に下がる可能性があります。
資格手当を狙うのは有効ですか
制度がある会社では、最も確実な上げ方の一つです。対象の資格を人事に確認してください。
賞与が少ないのが不満です
算定の基準を確認してください。基本給に連動する場合、基本給の構成が影響します。
副業で補ってもいいですか
就業規則によります。副業と転職|第二新卒が面接で話す基準と、経歴に書くかどうかの判断を参照してください。
面接で希望額を高く言っていいですか
根拠があれば伝えて構いません。面接で希望年収を聞かれたら|第二新卒がその場で答えるための金額の決め方にまとめています。
10. まとめ:今週やる3つのこと
「給与が低い」は、分解して比べて初めて判断になります。
今週やる3つのこと
① 給与明細を見て、総額と控除と手当を分解する
② 年収を年間の実労働時間で割って、時間単価を出す
③ 同じ職種の求人を10件見て、提示額と想定残業を比べる
②が最も判断を変えます。額面だけで比べていた人が、時間単価を出すと結論が変わることがあります。
なお、賃金や社会保険に関する事項には法令上の定めがあります。この記事は一般的な整理であり、個別の判断は専門機関や所管の窓口に確認してください。
この先、読むべき記事
- 給与明細の見方|提示年収と手取りの差を埋める(給与の分解)
- 年収が上がる転職と上がらない転職|分かれ目は3つある(転職で上がる条件)
- 評価と昇給の仕組みを読む|求人票と面接で確かめる(昇給の仕組み)
- 評価されないと感じるとき|第二新卒が確かめる3つと動かし方(評価が反映されないとき)
- 面接で希望年収を聞かれたら|第二新卒がその場で答えるための金額の決め方(希望額の伝え方)
- 年功序列の会社で働くとき|第二新卒が昇給と昇進の実際を確かめる(年功型の給与カーブを読む)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。