年功序列の会社で働くとき|第二新卒が昇給と昇進の実際を確かめる【2026年版】
〜若いうちは損に見え、長くいると得になる仕組みです〜
「頑張っても、給料が同期と同じ」
年功序列の会社に入ると、20代のうちにこの壁に当たります。成果を出しても、翌年の給与に反映されにくいためです。
ただ、この仕組みが一方的に不利というわけではありません。設計として、若いうちは抑えられ、後で戻る形になっているためです。
この記事では、制度の実際を整理したうえで、残る場合と動く場合の判断を分けます。
1. 結論:確かめるのは3つ
年功序列の会社で確かめる3つの点
① 昇給の幅と、昇格の年次はどう決まっているか
② 成果が反映される部分は、どこかにあるか
③ その会社に10年いる前提が、自分にあるか
③が最も大きな分岐です。
年功型は、長くいることで回収する設計です。途中で出ると、抑えられた分だけが残ります。
2. 年功型と成果型の違い
制度の性質を整理します。
| 項目 | 年功型 | 成果型 |
|---|---|---|
| 給与の決まり方 | 勤続年数と等級 | 成果と役割 |
| 20代の水準 | 低め。差がつきにくい | 差がつく |
| 30代後半以降 | 上がる。安定する | 役割次第で上下する |
| 評価の透明性 | 基準が分かりやすい | 基準が会社ごとに違う |
| 転職での扱い | 途中で出ると回収しにくい | 市場価値がそのまま反映される |
純粋な年功型も純粋な成果型も、実際には多くありません。
多くの会社は、基本給が年功寄りで、賞与や手当に成果が反映される混合型です。
自社がどちらかを見分ける
- 同期入社の給与に、差がついているか
- 昇格の年次が、事実上決まっているか
- 賞与の変動幅が大きいか
2つめが決まっている会社は、年功の要素が強い設計です。
3. 給与カーブを確かめる
いまの水準より、先の形を見ます。
| 確認する項目 | どこで分かるか |
|---|---|
| 昇給の幅 | 就業規則の給与規程、過去の昇給実績 |
| 等級ごとの給与帯 | 賃金テーブル(公開している会社もある) |
| 昇格の要件 | 人事制度の資料、上長への確認 |
| 役職手当 | 主任・係長・課長でいくら増えるか |
| 賞与の算定 | 基本給の何ヶ月分か。業績連動の部分 |
1つめの昇給の幅が、最も判断に効きます。
年に数千円なのか、1万円を超えるのかで、5年後の差が大きく変わります。
先輩の年収を推定する
直接聞きにくい場合でも、制度から逆算できます。
いまの自分の給与に、昇給の幅×年数を足すと、おおよその形が見えます。
なお、給与制度の詳細は会社ごとに異なります。ここに書いているのは一般的な整理です。
求人票からも読める
入社前に、ある程度は推測できます。
| 求人票の記載 | 読み取れること |
|---|---|
| 「年1回昇給」だけ | 幅の記載がない。年功寄りの可能性 |
| 「賞与年2回(前年度実績◯ヶ月)」 | 業績連動の度合いが分かる |
| 「昇給年1回・賞与年2回・評価年2回」 | 評価の回数が多いほど成果が反映されやすい |
| モデル年収の記載がある | 何年目でいくらかが分かる |
モデル年収が年次ごとに書かれている求人は、給与カーブが読めます。
記載がない場合は、面接で聞いてください。
4. 年功型が向いている場合
制度が合う人もいます。
| 状況 | 年功型が向く理由 |
|---|---|
| 長く勤める前提がある | 抑えられた分が後で戻る |
| 職種が専門的で入れ替わりが少ない | 経験がそのまま評価される |
| 生活の安定を重視する | 給与の変動が小さい |
| 育成に時間をかける仕事 | 短期の成果で測られない |
| 業界の変化が緩やか | 長期の経験が効く |
3つめは、住宅や家族の設計と直結します。
給与の見通しが立つことは、それ自体が価値になります。
年功型でも動かせる部分
- 昇格の年次を早める(一部の会社では飛び級がある)
- 手当のつく役割を取りに行く
- 資格手当のある資格を取る
基本給が動かなくても、手当で差がつくことがあります。
5. 年功型で不利になる場合
一方で、合わない状況もあります。
| 状況 | 不利になる理由 |
|---|---|
| 数年で転職する見込みがある | 抑えられた分を回収できない |
| 成果を評価してほしい | 反映される部分が小さい |
| 業界の変化が速い | 長期の経験が陳腐化しやすい |
| 上のポストが詰まっている | 昇格の順番が回ってこない |
| 会社の成長が止まっている | 昇給の原資が増えない |
4つめと5つめは、制度の問題ではなく会社の状態の問題です。
年功型は、人員構成が三角形であることを前提にした設計です。上が多いと機能しません。
人員構成を見る
- 40代以上の管理職が多く、20代が少ない
- 部長の下に課長が並んでいるが、その下が薄い
- 直近5年で昇格した人がほとんどいない
これらは、順番が回ってこない可能性を示します。
6. 残る場合の戦略
年功型に残ると決めた場合、やることが変わります。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 昇格の要件を確認する | 何年目で何が必要かを把握する |
| 手当のつく役割を取る | 基本給以外で差をつける |
| 社外で通じる経験を積む | 会社の外での価値も保つ |
| 記録を残す | 昇格の審査で使える材料を貯める |
3つめが、長期的に効きます。
年功型の会社では、社内でしか通じない業務に寄りやすくなります。定期的に、外でも説明できる経験かを確認してください。
10年後の判断を先送りしない
「とりあえず残る」と決めた場合も、見直す時期を決めておきます。
30歳、または昇格の年次を目安にすると、判断の機会が作れます。
同期との差を気にしすぎない
年功型では、20代のうちは同期と差がつきにくい設計です。
差がつかないこと自体を問題として扱うと、判断がぶれます。
見るべきなのは、同期との比較ではなく、自分の5年後の見込みが納得できる形かどうかです。
7. 動く場合の判断
環境を変える場合、比較の軸を決めます。
| 軸 | 見ること |
|---|---|
| いまの年収 | 年功型では抑えられている可能性がある |
| 5年後の見込み | 制度から逆算した金額 |
| 転職先の水準 | 同じ職種の市場の相場 |
| 上がり方 | 成果でどこまで動くか |
| 安定性 | 下がる可能性はあるか |
いまの年収だけで比べると、判断を誤ります。
年功型は5年後に上がる設計なので、その時点の見込みと比べてください。
20代のうちに動くほうが有利な場合
年功型で抑えられた分は、勤続が短いほど失うものが少なくなります。
動くなら早いほうが、回収できなかった分が小さくて済みます。
ただし、成果型に移ると、成果が出ない年は上がりません。安定性は下がります。
8. 次の会社の制度を確かめる
面接で聞ける形にしておきます。
| 確認する項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 昇給の仕組み | 「昇給は年に何回、どのように決まりますか」 |
| 評価の頻度 | 「評価は年に何回ありますか」 |
| 成果の反映 | 「評価は給与にどう反映されますか」 |
| 昇格の年次 | 「最短で何年目に昇格された方がいますか」 |
| 賞与 | 「賞与の算定はどのようになっていますか」 |
4つめが、年功の度合いを最も正直に示します。
「最短で3年目」と具体的に返ってくる会社は、成果が反映される設計です。
面接での伝え方
年功序列そのものを批判すると、他責に聞こえます。
「成果が給与に反映される仕組みの中で働きたい」という方向で話してください。
前の会社の制度が悪いのではなく、自分に合う設計を選んでいる、という形にすると通ります。
なお、給与や評価の制度は会社ごとに異なります。この記事は一般的な整理であり、具体的な条件は各社に確認してください。
9. よくある質問
年功序列の会社は、20代にとって不利ですか
長く勤める前提があるかどうかで変わります。年功型は若いうちを抑え、後で戻す設計なので、数年で転職する見込みがあるなら回収できません。一方、長く勤めるなら安定した見通しが立ちます。まず、その会社に10年いる前提が自分にあるかを考えてみてください。
頑張っても給与が上がりません。どうすればいいですか
基本給が動かなくても、手当で差がつくことがあります。役職手当のつく役割を取りに行く、資格手当のある資格を取るといった方法です。まず、昇格の要件と手当の種類を人事や上長に確認してください。動かせる部分が見つかることがあります。
昇格の順番が回ってこないと感じます
人員構成を見てください。40代以上の管理職が多く、その下が薄い会社では、順番が長く待つ形になります。直近5年で昇格した人がいるかを確認すると、実態が分かります。制度の問題ではなく会社の年齢構成の問題であれば、時間では解決しにくくなります。
年功型から成果型に移ると、年収は上がりますか
一概には言えません。年功型で抑えられていた分、移った直後に上がることはあります。ただし、成果型では成果が出ない年は上がらず、下がる可能性もあります。いまの年収だけでなく、5年後の見込みと、上下の振れ幅の両方で比べてください。
転職するなら、早いほうがいいですか
年功型で抑えられた分は、勤続が短いほど失うものが少なくなります。その意味では、動くなら早いほうが回収できなかった分は小さく済みます。ただし、在籍が1年未満だと選考で理由を詳しく聞かれるため、経験を積んでから動くほうが説明はしやすくなります。
面接で年功序列を理由に話しても大丈夫ですか
制度そのものを批判すると他責に聞こえます。「成果が給与に反映される仕組みの中で働きたい」という方向で話してください。前の会社の設計が悪いのではなく、自分に合う環境を選んでいるという形にすると、前向きな理由として受け取られます。
次の会社が年功型かどうか、どう見分けますか
面接で「最短で何年目に昇格された方がいますか」と聞くのが確実です。具体的な年数が返ってくる会社は、成果が反映される設計です。答えが曖昧な場合や、「だいたい何年目で」という説明になる場合は、年功の要素が強い可能性があります。
年功型の会社で、社外でも通じる経験は積めますか
積めますが、意識が必要です。年功型の会社では、社内でしか通じない業務に寄りやすい傾向があります。自分の業務を、会社名を伏せて説明できるかを定期的に確認してください。説明が難しくなっていたら、外でも通じる仕事を意識して取りにいくことをおすすめします。
10. まとめ:10年いる前提があるかで決まる
今週やる3つのこと
① 昇給の幅と昇格の年次を、就業規則か人事に確認する
② いまの給与に昇給幅×5年を足して、5年後の見込みを出す
③ 直近5年で昇格した人がいるかを確かめる
年功序列は、それ自体が良いも悪いもありません。長く勤める前提があるかどうかで、有利にも不利にもなります。
判断の材料は、いまの年収ではなく5年後の見込みです。制度から逆算してから、外と比べてください。
なお、給与や評価の制度は会社ごとに異なります。この記事は一般的な整理であり、具体的な条件は各社に確認してください。
この先、読むべき記事
- 評価と昇給の仕組みを読む|求人票と面接で確かめる(次の会社の制度を読む)
- 昇進・昇格が見えないとき|第二新卒が仕組みを確かめて動かす(昇格が止まっているとき)
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。