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身元保証書と誓約書|サインする前に読む【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
身元保証書と誓約書|サインする前に読む【2026年版】

内定を承諾すると、入社の手続きに必要な書類が送られてきます。その中に、身元保証書誓約書が含まれていることがあります。

多くの人は、内容を読まずに署名し、家族に保証人を頼みます。しかし、この2つは性質の違う書類です。

誓約書は、自分が守ることを約束する書類。秘密の保持、競業の制限、規則の遵守などが書かれています。

身元保証書は、第三者が自分の行為について責任を負う書類。親族などに署名を依頼することになります。

この記事では、それぞれの中身、確認すべき条項、保証人の頼み方、そして断れるのかを整理します。なお、以下は一般的な整理であり、個別の判断は勤務先か法律の専門窓口で確認してください。

1. 結論:やることは3つ

①署名する前に、全部読む。15分で読めます。読まずに署名すると、内容を知らないまま拘束されます。

②競業と秘密保持の条項を確認する。退職後にも効力が残る部分です。

③保証人を頼む相手に、内容を説明する。「書いてほしい」だけでは不十分です。

提出を求められること自体は、珍しいことではありません。問題は、読まずに出すことです。

2. 2つの書類の違い

項目誓約書身元保証書
署名する人本人保証人(親族など)
内容本人が守ること保証人が責任を負う範囲
効力の期間在職中と、退職後の一部期間の定めがある
主な項目秘密保持、競業避止、規則の遵守損害の賠償、身元の保証

誓約書は自分の話、身元保証書は他人に負担を頼む話です。この違いを理解してから進めてください。

提出は必須か

会社が入社の条件としている場合、提出しないと入社の手続きが進まないことがあります。

ただし、内容に納得できない場合は、確認や修正の相談ができます。「署名するかどうか」の二択ではありません。

3. 誓約書で確認する項目

項目見るポイント
秘密保持対象の範囲。退職後も続くか
競業避止期間、地域、対象の業務
知的財産の帰属業務で作ったものの扱い
副業の可否許可制か、禁止か
損害賠償どういう場合に責任を負うか
個人情報の取り扱い会社の情報の持ち出し
規則の遵守就業規則に従う旨

最も確認が必要なのは、競業避止の条項です。

退職後に同業他社へ転職することを制限する内容が書かれていることがあります。期間、地域、対象となる業務の範囲を確認してください。

範囲が広すぎる条項は、実際には制限が及ばないと判断されることもあります。ただし、それは争いになった場合の話です。署名する前に、範囲を確認しておくほうが確実です。

競業避止で見る4点

  1. 期間(退職後何年か)
  2. 地域(どの範囲か)
  3. 対象の業務(同業すべてか、特定の業務か)
  4. 代償の有無(制限に対する手当があるか)

4番目がない場合、制限の効力について争いが生じることがあります。ただし、判断は個別の事情によります。

なお、誓約書の内容は、就業規則と重なる部分があります。就業規則にも同じ内容が定められている場合、誓約書に署名しなくても規則としては適用されます。誓約書は、その内容を個別に確認したという意味を持ちます。

4. 編集長の実体験:範囲を確認した

私が転職したとき、誓約書に競業避止の条項が入っていました。

「退職後2年間、当社と競合する事業を行う企業に就職しない」

「競合する事業」の範囲が書かれていませんでした。

人事に確認しました。

私「競合する事業というのは、具体的にどの範囲でしょうか」

人事「同じ領域のサービスを提供している企業を想定しています」

私「同じ業界であれば、すべて対象になりますか」

人事「……そこまでは想定していません。直接の競合という意味です」

口頭では「直接の競合」という説明でした。

私は、その内容を書面に反映してもらえないか聞きました。

私「『当社と直接競合するサービスを提供する企業』という記載に変更していただくことは可能でしょうか」

人事「確認します」

結果として、修正されました。

もう一つ確認したのが、秘密保持の対象でした。

私「秘密保持の対象は、どこまでを指しますか」

人事「業務で知った顧客情報と、社内の非公開の情報です」

この確認で、範囲が明確になりました。

聞いたことで、入社が取り消されるようなことはありませんでした。むしろ、確認する応募者という印象を持たれたようです。

なお、確認した内容は口頭ではなくメールで残してください。「〇〇という理解でよろしいでしょうか」と書いて返信をもらえば、記録になります。

5. 身元保証書の頼み方

項目内容
誰に頼むか親、兄弟、親族が一般的
何人必要か1〜2名
必要な情報氏名、住所、生年月日、職業、続柄
印鑑実印を求められることがある
印鑑証明添付を求められることがある

頼むときは、内容を説明してください。「書類にサインしてほしい」だけでは、相手が何に署名するか分かりません。

説明の内容:

「入社の手続きで、身元保証書が必要になりました。会社に損害を与えた場合に、保証人も責任を負うという内容です。保証の期間は〇年で、上限額は〇円と書かれています。書類を送るので、読んでから判断してもらえますか」

相手に読む時間を渡してください。その場で署名を求めないでください。

頼める人がいない場合

親族に頼めない事情がある場合は、会社に相談してください。

「身元保証人について、親族に依頼することが難しい状況です。他の方法はございますでしょうか」

知人でよい場合や、保証書の提出が不要になる場合があります。会社によって対応が異なるため、まず相談してください。

なお、頼む相手には期限も伝えてください。印鑑証明の取得が必要な場合、役所へ行く時間を確保してもらう必要があります。提出期限の1週間前には依頼してください。

6. 確認すべき項目

身元保証書で確認する:

項目見るポイント
保証の期間期間の定めがあるか
賠償の上限額上限が明記されているか
保証の範囲どういう場合に責任が生じるか
更新の有無期間満了後に更新されるか

上限額が明記されていない書式は、確認してください。身元保証には法律上の定めがあり、期間についても制限があります。

詳細な扱いは個別の事情によるため、疑問がある場合は法律相談の窓口で確認してください。

入社時に提出する他の書類

身元保証書と誓約書のほかに、次の書類を求められることがあります。

書類用意するもの
年金手帳・基礎年金番号前職から返却されたもの
雇用保険被保険者証前職から返却されたもの
源泉徴収票同じ年に前職の給与がある場合
給与振込の口座の情報通帳やカード
住民票記載事項証明書役所で取得
卒業証明書学校に依頼(時間がかかる)

卒業証明書は、取得に日数がかかります。求められたら、すぐに手続きしてください。

7. やってはいけない5つ

対応何が起きるか
読まずに署名する内容を知らないまま拘束される
保証人に説明せずに頼む相手が内容を知らないまま責任を負う
保証人の署名を代筆する文書の偽造にあたる可能性がある
コピーを取らずに提出する何に署名したか分からなくなる
疑問を持ったまま提出する後から確認できなくなる

3番目は絶対に避けてください。「親に頼むのが面倒だから」という理由で代筆すると、文書の偽造にあたる可能性があります。

4番目も重要です。提出する前に、必ずコピーか写真を取ってください。退職時に、内容を確認する必要が出ることがあります。

期限に間に合わないとき

保証人の都合や、証明書の取得で期限に間に合わないことがあります。その場合は、早めに人事に連絡してください。

「身元保証書について、保証人の印鑑証明の取得に時間がかかっており、提出が〇日ごろになる見込みです。ご了承いただけますでしょうか」

黙って遅れるより、事前に伝えるほうが問題になりません。入社前の連絡としても、印象が良くなります。

8. 進め方と時間配分

段階時間やること
通読15分誓約書と身元保証書を全部読む
疑問の書き出し10分分からない条項をメモ
確認の連絡20分人事に質問
保証人への説明20分内容を説明し、書類を渡す
コピー5分提出前に控えを取る

合計70分です。入社の1〜2週間前には、書類が届くはずです。

保証人に頼む時間を見込んでください。印鑑証明が必要な場合、相手が取りに行く時間もかかります。

9. よくある質問

身元保証書は必ず必要ですか

会社によります。提出を求めない会社もあります。求められた場合、入社の条件になっていることが多くあります。

保証人を頼める人がいません

会社に相談してください。知人でよい場合や、提出が不要になる場合があります。事情を説明すれば、対応してもらえることがあります。

誓約書の内容に納得できません

該当する条項について、確認や修正の相談ができます。「この記載は、具体的にどの範囲を指しますか」と聞くことから始めてください。

競業避止の条項は有効ですか

個別の事情によります。範囲が広すぎる場合、制限の効力について争いになることがあります。判断が必要な場合は、法律相談の窓口で確認してください。

保証人に迷惑がかかりますか

会社に損害を与えた場合に責任が生じる可能性があります。通常の勤務で問題が起きることはほとんどありませんが、内容は必ず説明してください。

コピーは取っていいですか

取ってください。提出前に、必ず控えを残してください。何に署名したかを後から確認できます。

退職時にも同じような書類がありますか

あります。退職時にも、秘密保持や競業避止の誓約書を求められることがあります。そのときも、署名前に読んでください。

印鑑証明が必要と言われました

実印での押印を求められる場合に必要になります。保証人に依頼する場合、役所で取得する手間があるため、早めに伝えてください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

入社時の書類は、読まずに出すことが最大のリスクです。

1. 誓約書と身元保証書を、15分かけて読む。特に、秘密保持と競業避止の条項を確認してください。退職後にも効力が残る部分です。

2. 保証人に頼むときは、内容を説明する。「サインしてほしい」だけでなく、何に責任を負うかを伝えてください。その場で署名を求めないでください。

3. 提出前にコピーを取る。退職時に、内容を確認する必要が出ることがあります。

疑問があれば、署名する前に聞いてください。提出した後では、確認が難しくなります。

なお、この記事は一般的な整理です。個別の判断は、勤務先か法律相談の窓口で確認してください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。