モバイルアプリエンジニアへ転職する|第二新卒が入る順番と学習の設計【2026年版】
〜作ったものを人に見せやすい、という一点が有利に働く領域です〜
未経験からエンジニアを目指すとき、多くの人はWebサービスの開発を選びます。その一方で、スマートフォンアプリの開発という選択肢は、あまり検討されません。
ただし、この領域には未経験にとっての利点があります。作ったものを実際に手元の端末で動かせるため、面接で見せやすいのです。
一方で、Web系にはない制約もあります。配信の前に審査があり、公開後の修正がすぐには反映されません。この違いを知らずに入ると、開発の進め方でずれが生じます。
この記事では、Web系との違いから整理して、入り方をまとめます。
1. 結論:押さえるべきは3点
この領域を考えるときの3つの前提
① 作ったものを手元で動かせるので、面接で見せやすい
② 配信前の審査があり、Web系のようにすぐ直せない
③ 自社サービスか受託かで、仕事の性質が変わる
②が最大の違いです。
Webサービスは不具合が見つかれば直して即座に反映できますが、アプリは配信の仕組みを通す必要があります。そのため、出す前の確認に時間をかける文化があります。
この理解を面接で示せると、業務の実態を分かっていると伝わります。
2. Web系との違い
| Webサービス | モバイルアプリ | |
|---|---|---|
| 公開の方法 | 自分たちで反映 | 配信の仕組みを通す |
| 修正の速さ | すぐ反映できる | 反映まで時間がかかる |
| 動作環境 | ブラウザ | 端末とその世代 |
| 端末の機能 | 使える範囲が限られる | カメラ、位置、通知などを使える |
| 利用者との距離 | サイトを開いてもらう | 端末に常駐する |
「端末の機能を使える」という点が、この領域の面白さです。
カメラ、位置情報、通知といった機能を組み合わせて、Webではできない体験を作れます。
一方で、端末の世代や画面の大きさの違いに対応する必要があります。ここが、開発の手間として現れます。
職種全体の位置関係はエンジニアの職種の違い|入口を選ぶための地図を参照してください。
通知という仕組み
アプリが持つ大きな武器が、端末への通知です。
利用者に届く手段を持っているため、事業として継続的な接点が作れます。そのため、企業がアプリを持ちたがる理由の一つになっています。
この文脈を知っていると、「なぜこの会社がアプリを作るのか」を面接で話せます。
3. 自社サービスと受託の違い
| 自社サービス | 受託開発 | |
|---|---|---|
| 作るもの | 自社のアプリを育てる | 顧客のアプリを作る |
| 期間 | 長期で改善を続ける | 案件ごとに区切られる |
| 経験の幅 | 一つを深く | 複数の種類に触れる |
| 数字との関係 | 利用状況を見て判断する | 仕様に沿って作る |
| 未経験の入口 | 一定数ある | 一定数ある |
自社サービスでは、作った後の利用状況を見て改善を続けます。数字を見ながら判断する経験が積めます。
受託では、複数の案件に触れられるため、経験の幅が広がります。ただし、作った後どうなったかを追いにくい面があります。
会社の型の違いはSES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準、事業会社との比較はSIerと事業会社の違い|どちらを選ぶかの基準にまとめています。
4. 話を聞いた例:見せられる成果物を作った人
知人に、事務職から未経験でアプリ開発の会社へ移った人がいます。
その人が作ったのは、次のようなものでした。
実際に作ったもの
・自分の家計を記録する、ごく小さいアプリ
・画面は3つだけ(入力、一覧、集計)
・データを端末に保存するところまで実装した
・面接では、自分の端末で動かして見せた
4つ目が決め手になりました。
面接の場で端末を出して動かせる、というのは、この領域ならではの強みです。画面を共有する手間もなく、その場で操作してもらえます。
規模は小さくて構いません。むしろ、なぜその機能にしたか、どこで詰まったかを説明できるほうが評価されます。
その人は「家計簿は世の中にたくさんあるが、自分が続けられる形が欲しかった」と話しました。作る理由が自分の中にあることが、志望動機の説得力になっています。
成果物の考え方は未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではないを参照してください。
5. 学習の順番
推奨する順番
① 対象とする端末の種類を1つに決める(両方は後回し)
② 公式の入門教材で、画面を1つ表示する
③ 入力して保存し、一覧で表示するところまで作る
④ 外部から情報を取得して表示してみる
⑤ 実機に入れて動かす
⑤が重要です。
開発環境の中だけで動かした状態と、実際の端末に入れた状態では、確認できることが違います。面接で見せるためにも、実機で動く状態にしておいてください。
①については、両方を同時に学ぼうとしないでください。まず一方で、動くものを作りきることを優先します。
学習時間の作り方は働きながら学習時間を作る|平日30分の設計、言語選びの全体像は最初に学ぶプログラミング言語の選び方|第二新卒が目的別に決める順番にまとめています。
6. 求人票で確認する7項目
確認する7項目
① 自社サービスか受託か
② 対象とする端末の種類
③ アプリの利用者数や規模
④ チームの人数と体制
⑤ 企画から関われるか、実装のみか
⑥ 配信や審査の対応を誰がやるか
⑦ 未経験者の受け入れ実績
⑤が経験の幅を決めます。
実装だけを担当する形と、企画の段階から関わる形では、身につく力が変わります。第二新卒であれば、後者のほうが材料が増えます。
技術名から環境を読む観点は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読むを参照してください。
7. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| 作ったものはあるか | 実際の経験 | 端末で動かして見せる |
| なぜその機能にしたか | 考えて作ったか | 自分の困りごとから話す |
| どこで詰まったか | 調べる力 | 手順と解決の経路で話す |
| なぜWeb系ではないか | 領域の理解 | 端末の機能や通知に触れる |
| チームで作った経験は | 協働の姿勢 | 一人でも工夫を話す |
「なぜWeb系ではないか」は必ず聞かれます。
「アプリが好きだから」ではなく、「端末の機能を使って、常に手元にある形で届けられる」という違いに触れてください。
チーム開発の経験がない場合の答え方はチーム開発の経験がないとき|一人で作った実績の伝え方にまとめています。
8. その先のキャリア
| 進む先 | 必要になるもの |
|---|---|
| もう一方の端末も担当 | 両方の理解 |
| サーバー側も担当 | バックエンドの知識 |
| チームのまとめ役 | 設計と調整の経験 |
| 企画・プロダクト側 | 数字を見て判断した実績 |
アプリだけを続けるより、サーバー側にも触れておくと選択肢が広がります。
アプリは多くの場合、サーバーと通信して動きます。その仕組みを理解していると、不具合の切り分けが早くなります。
サーバー側の理解はフロントエンドとバックエンドの違い|第二新卒がどちらから入るか決める、データの扱いはデータベースエンジニアへ転職する|第二新卒が未経験から入る順番を参照してください。
9. よくある質問
どちらの端末向けから学べばいいですか
自分が持っている端末に合わせるのが最も効率的です。実機で動かして確認できるためです。
開発に必要な費用はかかりますか
学習の段階では、多くの場合ほとんどかかりません。ただし、実際に配信する段階では登録の費用が発生する場合があります。
配信までやらないと評価されませんか
されます。実機で動く状態であれば十分です。配信までやっていると加点になりますが、必須ではありません。
Web系より求人が少ないのでは
地域と時期によります。応募したい地域で検索して、数を数えてみてください。それが最も正確な情報です。
デザインもやる必要がありますか
会社によります。デザイナーが別にいる体制が一般的ですが、人数の少ない会社では兼ねる場合があります。
年収はどうですか
入口の段階では、他の未経験職種と大きくは変わりません。考え方は未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間を参照してください。
個人開発を経歴に書けますか
書けます。ただし、規模より「なぜ作ったか」と「どう詰まったか」を書いてください。
Web系から移れますか
移れます。プログラミングの基礎は共通しているため、端末固有の部分を学べば移行できます。
10. まとめ:今週やる3つのこと
モバイルアプリ開発は、成果物を面接で見せやすいという、未経験にとっての利点があります。
今週やる3つのこと
① 自分が持っている端末に合わせて、学習の対象を決める
② 公式の入門教材で、画面を1つ表示するところまでやる
③ 自分が困っていることを1つ挙げ、それを解くアプリを設計する
③が、志望動機と成果物を同時に作ります。自分の困りごとから始めたものは、なぜ作ったかを説明できます。
この先、読むべき記事
- フロントエンドとバックエンドの違い|第二新卒がどちらから入るか決める(Web系との比較)
- 未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではない(成果物の見せ方)
- SES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準(会社の型の見分け方)
- チーム開発の経験がないとき|一人で作った実績の伝え方(一人で作った場合の説明)
- エンジニアの職種の違い|入口を選ぶための地図(職種全体の位置関係)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。