チーム開発の経験がないとき|一人で作った実績の伝え方【2026年版】
求人票に「チーム開発の経験がある方」と書かれている。独学で作ったものはあるが、全部一人で書いた。これでは応募できないのか。
結論から言うと、応募できます。企業が「チーム開発」という言葉で見ているのは、複数人でコードを書いた経験そのものではないからです。
見られているのは、他人が読むことを前提にコードを書けるか、変更の理由を残せるか、指摘を受けて直せるか。この3点です。これらは一人で作ったものでも示せます。
この記事では、企業が実際に見ている中身、一人開発で示せる要素、経験を作る現実的な方法、そして面接での答え方を整理します。
1. 結論:示すのは3つ
①他人が読める形で残しているか。変更の履歴、その理由、動かし方の説明。これがあれば「一人で書いた」の意味が変わります。
②レビューを受けた経験があるか。相手は誰でも構いません。勉強会、業務の先輩、実務での指摘。受けて直した記録があれば十分です。
③自分の判断を説明できるか。なぜその作り方を選んだのか。ここが答えられれば、人数の話は後退します。
チーム開発の経験は「人数」ではなく「他人を前提にした作り方」で示します。
2. 企業が本当に見ているもの
「チーム開発の経験」という要件の中身を分解すると、次のようになります。
| 求人票の言葉 | 実際に見ていること |
|---|---|
| チーム開発の経験 | 他人が読む前提でコードを書けるか |
| コードレビューの経験 | 指摘を受けて直せるか、感情的にならないか |
| バージョン管理の経験 | 変更の単位と履歴が整理されているか |
| ドキュメント作成 | 動かし方と設計意図を残せるか |
| 調整の経験 | 仕様の確認を自分から取りに行けるか |
どれも「複数人で書いた」ことそのものは求めていません。複数人で書けば自然と身につく、というだけです。
つまり、一人で作ったものでも、この5項目を意識して作れば同じことが示せます。
「即戦力」との違い
経験者採用で「チーム開発3年以上」と書かれている場合は、本当に実務の経験を求めていることがあります。第二新卒・未経験枠の求人で書かれている場合は、上の5項目を見ているケースが大半です。
求人の対象が未経験可かどうかで、要件の重さが変わります。
3. 編集長の実体験:一人開発で通った人
私の知人に、未経験からエンジニアに転職した人がいます。仮にKさんとします。Kさんは独学で、業務管理の小さなツールを作っていました。
最初の応募では、書類が通りませんでした。
Kさん「ポートフォリオのリンクを貼っただけだったんです。動くものはあるので、それで十分だと思っていました」
エージェントの担当者に指摘されたのは、中身の見せ方でした。
担当者「これ、誰がどう使うものか、読んだ人が分かりますか」
Kさん「……分からないですね」
担当者「チーム開発の経験がないと書いてありますが、本当にないのは経験じゃなくて、他人に渡す前提の作り方です」
Kさんがやったのは、次の3つでした。
- 説明書を書いた。何を解決するツールか、どう動かすか、どういう構成か。
- 変更の履歴を整理した。1つの変更で1つのことだけをやる形に直し、変更の理由を短く書いた。
- 勉強会でレビューを受けた。指摘を3点もらい、直した記録を残した。
書類を出し直した結果、次の面接でこう言われたそうです。
面接官「一人で作られていますが、履歴の切り方がチームでやっている人と同じですね。レビューを受けた経験はありますか」
Kさん「勉強会で見ていただいて、命名と処理の分け方を指摘されました。直したものが今の形です」
面接官「そのとき、指摘に納得できましたか」
この質問が最後の確認だったとKさんは言っていました。指摘を受けたときの反応を見ていたのです。
Kさんは内定を得ました。作ったものは、書き直す前と同じでした。変えたのは、見せ方だけです。
4. 一人開発で示せる要素
| 要素 | やること |
|---|---|
| 説明書 | 目的・使い方・構成を1枚にまとめる |
| 変更の単位 | 1つの変更で1つのことだけを行う |
| 変更の理由 | なぜその変更をしたかを短く残す |
| 設計の判断 | 選んだ理由と、検討した他の選択肢を書く |
| レビューの記録 | 誰にどう指摘され、どう直したか |
| 動作確認 | どうやって動作を確かめたか |
最も効くのは「変更の単位」です。1回の変更に複数のことが混ざっていると、他人が読めません。逆に、変更が整理されていれば、一人で作っていても「チームでやっている人と同じ」と評価されます。
説明書に書くこと
長い文書は不要です。次の4項目で足ります。
- 何を解決するものか(2〜3行)
- 動かし方(手順を箇条書き)
- 構成(どのファイルが何をしているか)
- 作った判断(なぜこの構成にしたか、1〜2点)
4番目が最も読まれます。技術選定の理由が書いてあると、面接の話題がそこから始まります。
5. 経験を作る方法
| 方法 | 難易度 | 得られるもの |
|---|---|---|
| 業務で担当範囲を広げる | 低い(在職中なら最優先) | 実務のレビュー経験 |
| 勉強会でレビューを受ける | 低い | 第三者の指摘と修正の記録 |
| 公開されている開発に参加する | 中程度 | 実際のやり取りの経験 |
| 知人と共同で作る | 中程度 | 分担と調整の経験 |
| 学習サービスのチーム開発 | 中程度 | 型に沿った経験 |
在職中であれば、1番目が最優先です。業務でレビューを受ける機会があるなら、それが最も強い材料になります。
在職していない場合や、業務でコードを書いていない場合は、2番目が最も始めやすいです。オンラインの勉強会でも、コードを見てもらって指摘を受ければ記録が残ります。
参加するときの注意
「参加した」だけでは材料になりません。何を担当し、どんな指摘を受け、どう直したかを記録してください。この記録が、面接での答えになります。
6. 落ちる伝え方5つ
| 伝え方 | どう受け取られるか |
|---|---|
| 「チーム開発の経験はありません」で止める | 補える材料がないと判断される |
| ポートフォリオのリンクだけ貼る | 中身が読まれない |
| 「一人で全部作りました」を強調する | 他人と作れない人に見える |
| 使った技術名だけ並べる | 判断の経験が伝わらない |
| レビューの指摘を「厳しかった」と話す | 指摘を受け入れられない人に見える |
3番目は意外と多い誤りです。一人で全部やったことは、努力の証明にはなりますが、チームで働く前提の採用では強みになりません。「一人で作ったが、他人が引き継げる形にした」と言い換えてください。
「一人で作った」を言い換える
同じ事実でも、言い方で受け取られ方が変わります。
| 言い方 | 受け取られ方 |
|---|---|
| 「全部一人で作りました」 | 分担の経験がない人 |
| 「一人で作りましたが、引き継げる形で残しました」 | 他人を前提に作れる人 |
| 「設計から実装まで一人で判断しました」 | 判断の経験がある人 |
「一人で」の後に何を続けるかで、印象が決まります。事実は変えずに、続く一文を用意してください。
7. 面接で聞かれる質問
- 「チーム開発の経験はありますか」
- 「他の人がこのコードを読むとしたら、どこが分かりにくいと思いますか」
- 「レビューで指摘を受けたことはありますか。どう対応しましたか」
- 「この構成を選んだ理由を教えてください」
- 「仕様が曖昧なとき、どうしますか」
1問目への答え方は、「ない」と認めたうえで、代わりに何をやったかを続ける形にします。
「実務でのチーム開発の経験はありません。ただ、他の人が読む前提で作ることは意識していて、説明書と変更履歴を整理しています。勉強会で3点指摘をいただき、命名と処理の分け方を直しました」
2問目は、自分のコードを客観的に見られるかの確認です。「特にありません」は最も悪い答えです。改善したい点を1つ挙げてください。
5問目は、チームで働けるかの確認です。「自分で判断する」ではなく「確認する」と答えてください。誰に、何を、どのタイミングで聞くかまで言えると評価されます。
業務でレビューを受けている場合
在職中でコードレビューを受けているなら、それが最も強い材料です。ただし「レビューを受けています」だけでは伝わりません。
指摘の内容を3つ思い出して、書き出してください。「変数の命名」「処理の分割」「例外の扱い」など、具体的な指摘があると、実際にレビューの中で何を学んだかが伝わります。指摘の内容が具体的なほど、レビューを受けてきた密度が伝わります。
8. 進め方と時間配分
| 段階 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 説明書の作成 | 2時間 | 目的・使い方・構成・判断を1枚に |
| 変更履歴の整理 | 3時間 | 変更を分割し、理由を残す |
| レビューを受ける | 1〜2週間 | 勉強会か知人に依頼 |
| 修正と記録 | 3時間 | 指摘を反映し、経緯を残す |
| 面接準備 | 2時間 | 5問の答えを作る |
合計10時間+レビュー待ちの期間です。作り直す必要はありません。今あるものの見せ方を変えるだけです。
9. よくある質問
独学で作ったものしかありません。応募していいですか
応募できます。未経験可の求人で「チーム開発の経験」と書かれている場合、他人が読める形で作れているかを見ています。説明書と変更履歴を整えてから出してください。
レビューを頼める相手がいません
オンラインの勉強会やコミュニティで依頼できます。「実務未経験で、コードを見ていただきたい」と伝えれば、応じてくれる場が多くあります。
業務でコードを書いていますが、一人で担当しています
その場合も同じです。「一人で担当したが、引き継げる形で残した」と説明してください。実務で一人担当というのは珍しくありません。
チーム開発の経験を作るために転職を遅らせるべきですか
遅らせる必要はありません。見せ方を整えるほうが早く、効果も大きいです。3〜4週間で準備できます。
使ったことのある技術が少ないのですが
技術の数より、1つの技術で判断を説明できるほうが評価されます。なぜそれを選び、どう使ったかを話せるようにしてください。
学習サービスのチーム開発は評価されますか
されます。ただし「参加した」だけでは足りません。担当した部分、受けた指摘、対応した内容を説明できるようにしてください。
レビューで納得できない指摘があったらどう答えますか
正直に答えて構いません。「その場では理由を確認し、意図を聞いたうえで反映しました」という形なら、むしろ評価されます。無条件に従うことが求められているわけではありません。
公開している成果物がなくても大丈夫ですか
業務経験があれば必須ではありません。実務経験がない場合は、1つは見せられるものを用意してください。規模は小さくて構いません。
10. まとめ:今週やる3つのこと
チーム開発の経験は、人数ではなく「他人を前提にした作り方」で示せます。作り直す必要はありません。
1. 説明書を1枚作る。目的、動かし方、構成、そして選んだ理由。2時間で書けます。面接で最も読まれるのは、選んだ理由の部分です。
2. 変更履歴を整理する。1つの変更で1つのことだけを行う形に分け、理由を短く残します。ここが整っていると、一人で作っていても評価が変わります。
3. レビューを1回受ける。勉強会でも、知人でも構いません。指摘と修正の記録が、面接での答えになります。
「経験がありません」で止めないこと。その後に続く1文が、結果を分けます。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。