ローコード開発の仕事|第二新卒が入口として選ぶ前に確認すること【2026年版】
〜入りやすさと、その先の広がりは、別々に考える必要があります〜
「未経験歓迎」「コードをほとんど書きません」と書かれたIT求人を見たことがあると思います。ローコード・ノーコード開発の求人です。
入口としての敷居は、たしかに低いです。プログラミング学習に何百時間もかけなくても採用される求人が実際に存在します。
一方で、ネット上では「ローコードではスキルがつかない」という意見もよく見かけます。どちらも部分的に正しく、どちらも雑です。
この記事では、身につく力とつかない力を分けたうえで、第二新卒が入口として選ぶべきかを判断する材料を整理します。
1. 結論:判断の軸は3つ
ローコードを選ぶかどうかの3つの軸
① 入口としては現実的に機能する(未経験可の求人が実在する)
② 身につくのは「業務を整理して仕組みに落とす力」(コードを書く力ではない)
③ 3年後の広がりは、扱う製品と会社の立ち位置で決まる
③が最も見落とされます。同じローコード開発でも、業務コンサルに近い会社と、単純な画面作成を請け負う会社では、3年後の位置がまったく違います。
「ローコードだからダメ」ではなく、「どのローコードの、どの仕事か」で判断します。
2. ローコード開発とは何をする仕事か
コードを大量に書く代わりに、用意された部品を組み合わせてアプリケーションや業務システムを作る手法です。
| 工程 | 仕事の中身 |
|---|---|
| 要件の整理 | 現場が何に困っているかを聞き出す |
| 業務の分解 | 手作業の流れを段階に分ける |
| 画面・データの設計 | 何を入力し、どう保持するかを決める |
| 構築 | ツール上で組み立てる |
| 定着支援 | 使う人に説明し、運用に乗せる |
比重が大きいのは、実は「構築」ではなく「要件の整理」と「業務の分解」です。
ここが、この仕事の性質を決めています。技術で解く仕事というより、業務を理解して整理する仕事です。
前職の経験が効きやすい理由
営業、事務、販売、カスタマーサポートなどの経験がある人は、この領域で有利になります。
効いてくる経験
・現場が何に困るかを想像できる
・関係者に説明して合意を取った経験がある
・手作業の非効率さを実感として知っている
・使う人が何でつまずくかを予測できる
これらは、プログラミングを学んできた人が持っていないことも多い要素です。第二新卒の職種転換において、前職が丸ごと無駄にならない数少ない領域と言えます。
3. 身につく力と、つかない力
ここを正直に分けます。
| 身につく | つきにくい | |
|---|---|---|
| 業務を分解する力 | ○ | |
| データ構造の考え方 | ○(製品による) | |
| 要件を聞き出す力 | ○ | |
| コードを書く力 | × | |
| 性能やインフラの知識 | × | |
| 大規模開発の進め方 | △ |
「コードが書けるようにならない」というのは事実です。これを認めたうえで判断する必要があります。
一方で、データ構造の考え方は身につきます。何をどの単位で持つか、どう関係づけるかを考える場面は必ず出てくるためです。これは後で本格的な開発へ移るときに効きます。
問題になるのは、「画面を並べるだけ」の仕事を数年続けた場合です。その場合、業務理解も設計力も積み上がりません。
4. 話を聞いた例:事務職から移った人の3年
知人に、一般事務からローコード開発の会社へ移った人がいます。
その人が3年で身につけたのは、次のようなものでした。
3年で積み上がったもの
・顧客の業務を聞き取り、図に起こして確認する手順
・「その要望は本当に必要か」を確かめる質問の型
・作ったものが使われずに終わる原因の見当
・データの持ち方を後から変えずに済む設計の勘所
この4つは、ツールが変わっても持ち運べます。
その人は今、業務改善の提案から入る役割に就いています。ローコードは手段の一つとして扱っていて、案件によっては別の手段を提案しているそうです。
ここで効いたのは、入った会社が「業務改善の会社」であり、「ツールを組む会社」ではなかった点です。同じ職種名でも、この差が3年後を分けます。
5. 会社の立ち位置で3年後が変わる
求人票の職種名は同じでも、会社の性質は分かれます。
| 会社の型 | 仕事の中身 | 3年後の広がり |
|---|---|---|
| 業務改善・コンサル型 | 課題整理から入る | 広い |
| 製品ベンダー型 | 自社ツールの導入支援 | 製品知識が資産になる |
| 受託構築型 | 仕様どおりに組む | 中程度 |
| 常駐・人数合わせ型 | 指示された画面を作る | 狭い |
求人票から見分けるには、業務内容に「要件定義」「ヒアリング」「業務改善」といった言葉が入っているかを見ます。
「アプリの作成」「画面の実装」しか書かれていない場合、下2つの可能性があります。
企業の見方は企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順、常駐型の構造はSES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準を参照してください。
6. 求人票で確認する6項目
確認する6項目
① 要件定義・ヒアリングに関わるか
② 扱う製品名が具体的に書かれているか
③ 顧客と直接話す機会があるか
④ コードを書く場面があるか(一部あるほうが選択肢が広がる)
⑤ 常駐か自社勤務か
⑥ 入社後の教育内容
④は意外に重要です。ローコードと言いつつ、細かい制御の部分でスクリプトを書く製品は多く、そこに触れられるかどうかで学習の幅が変わります。
②については、製品名で調べれば市場での使われ方が確認できます。導入企業が多い製品ほど、経験が他社でも通用します。
技術名から環境を読む観点は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読むが参考になります。
7. 面接で聞かれることと答え方
| 質問 | 見られていること | 答え方の軸 |
|---|---|---|
| なぜIT領域か | 動機の具体性 | 前職の非効率な作業を挙げる |
| 前職で改善した経験 | 業務を整理する力 | 手順と結果で話す |
| 人に説明した経験 | 定着支援ができるか | 相手と伝え方で話す |
| 勉強していること | 継続性 | 触った製品名を出す |
| コードは書けるか | 期待値の確認 | 現状を正直に、学ぶ意思とともに |
この職種の面接で最も効くのは、「前職で手作業を改善した話」です。
エクセルの集計を関数で自動化した、確認作業の手順を減らした、といった規模で構いません。「非効率を見つけて手を入れた」という事実そのものが、この仕事の適性の証明になります。
8. 入った後にやっておくこと
入口として選ぶ場合、選択肢を狭めないための行動があります。
1年目にやっておくこと
① データベースの基礎を自習する(ツールの裏で起きていることを理解する)
② 簡単なスクリプトを書く場面を取りに行く
③ 要件を聞く場に同席させてもらう
④ 作ったものが実際に使われたかを追う
①と②をやっておくと、その後に本格的な開発へ移る道が残ります。
逆に、指示された画面を作るだけの3年を過ごすと、移動先が限られます。入口として選ぶこと自体は悪くありませんが、入った後の動き方が結果を分けます。
学習時間の確保は働きながら学習時間を作る|平日30分の設計にまとめています。
9. よくある質問
ローコードの経験は転職市場で評価されますか
評価される場面はあります。とくに事業会社の情報システム部門や、業務改善の担当として求められることがあります。社内SEへの転職|第二新卒が知る仕事の実態と未経験からの入口も近い領域です。
将来なくなる仕事ではないですか
道具は入れ替わりますが、「業務を整理して仕組みに落とす」という仕事自体は残ります。持ち運べるのはその力のほうです。特定の製品だけに依存しないよう意識しておくのが安全です。
プログラミングを学んでから応募したほうがいいですか
ローコード求人に限れば、必須ではありません。ただし学んでおくと、入社後に選べる仕事の幅が広がります。言語選びは最初に学ぶプログラミング言語の選び方|第二新卒が目的別に決める順番を参照してください。
年収はどのくらいですか
求人によりますが、開発職の中で突出して高い水準ではありません。年収の考え方は未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間にまとめています。
文系でも入れますか
入れます。むしろ業務側の理解が求められる領域なので、事務・営業出身者が評価される場面があります。見られ方は文系・非情報系からIT業界へ|選考で本当に見られる3点を参照してください。
資格は必要ですか
製品ごとの認定資格がある場合、入社後に取ることが多いです。応募段階では必須ではありません。
エンジニアと名乗っていいのか迷います
肩書きの議論に時間を使う意味はあまりありません。職務経歴書では「何を作り、どう使われたか」を書けば伝わります。書き方の考え方は未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではないが参考になります。
開発職へ移るなら何年目が目安ですか
一律の年数はありません。データ構造を自分で設計した経験と、スクリプトを書いた経験があるかどうかが実質的な条件になります。年数より材料です。
10. まとめ:今週やる3つのこと
ローコードは、入口としては機能します。ただし「どの会社の、どの仕事か」で3年後が大きく変わります。
今週やる3つのこと
① 求人3件の業務内容に「要件定義」があるか確認する
② 前職で手作業を減らした経験を1つ書き出す
③ 扱う製品名を調べ、導入実績を確認する
②が面接で最も効きます。規模は問いません。非効率を見つけて手を入れた事実があるかどうかです。
この先、読むべき記事
- 社内SEへの転職|第二新卒が知る仕事の実態と未経験からの入口(近い領域のもう一つの入口)
- 文系・非情報系からIT業界へ|選考で本当に見られる3点(前職を材料にする方法)
- 技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読む(製品名から環境を読む)
- SES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準(会社の型の見分け方)
- 企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順(会社の立ち位置を調べる)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。