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組み込みエンジニアへ転職する|第二新卒が知る仕事の中身と入口【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約18分
組み込みエンジニアへ転職する|第二新卒が知る仕事の中身と入口【2026年版】

〜ITエンジニアの求人を見ていて、この領域だけ雰囲気が違うと感じたことはありませんか〜

エンジニア求人を眺めていると、Web系やSaaS系とは明らかに毛色の違う求人が混ざっています。組み込み系です。

家電、自動車、産業機器、医療機器といった「モノ」の中で動くソフトウェアを作る仕事で、募集元もIT企業というよりメーカーやその関連会社であることが多くなります。

この領域は、Web系に応募者が集中する一方で、常に人手が足りていない状態が続いています。第二新卒にとっては、競争率という点で見逃せない入口です。

ただし、働き方も評価される力も、Web系とはかなり違います。ここを理解せずに入ると、想定と現実がずれます。

1. 結論:知っておくべきことは3つ

組み込みを考えるときの3つの前提

応募者が少なく、未経験可の求人が出続けている

「動けばいい」が通らない世界(後から直せない前提で作る)

業界によって働き方が大きく違う(自動車と家電と産業機器は別物)

②が最大の違いです。Webサービスは不具合が出れば直して再度公開できますが、出荷された機器のソフトウェアは、簡単には直せません。

そのため、作る前の設計と、作った後の検証にかける時間が長くなります。「速く作る」より「間違いなく作る」ことが評価される仕事です。

2. 組み込みエンジニアの仕事を分解する

「組み込み」とひとくくりにされますが、担当する範囲は分かれています。

領域仕事の中身未経験の入りやすさ
評価・検証仕様どおり動くか試験する入りやすい
ソフトウェア実装機器を動かすプログラムを書く求人により可
ドライバ・低レイヤハードウェアを直接制御する経験者中心
回路・ハード寄り基板側の設計に関わる電気系の学習が前提
仕様策定・設計何を作るかを決める経験者のみ

未経験から入る場合、評価・検証から始まることが多くなります。

これを「開発ではない」と受け取る人がいますが、組み込みでは検証工程の比重が非常に大きく、ここを通らずに実装だけを担当している人のほうが少ないのが実情です。

検証工程で何を身につけるか

検証は、仕様書を読んで、条件を作って、結果を記録する仕事です。

ここで身につくもの

仕様書を正確に読む力(組み込みでは決定的に重要)

再現条件を切り分ける力

実機とツールの扱い

製品全体の構造の理解

実装に移る際、この4つがない人は苦労します。順番として理にかなっているため、入口が検証であること自体は不利ではありません。

3. Web系との違い

同じソフトウェアを書く仕事でも、前提が違います。

Web系組み込み
リリース後の修正可能困難な場合が多い
開発サイクル短い長い(年単位もある)
主な言語多様C/C++が中心
資源の制約ほぼ意識しないメモリ・処理速度を強く意識
動作確認画面上で完結実機が必要
求められる姿勢素早く出して直す出す前に潰し切る

「資源の制約」は、Web系から来た人が最初に驚く点です。使えるメモリが極端に少ない環境では、書き方そのものが変わります。

一方で、この制約の中で動かす経験は、他の領域に移ったときにも効きます。何が重い処理なのかを体感で理解している人は強いです。

職種全体の位置関係はエンジニアの職種の違い|入口を選ぶための地図にまとめています。

4. 業界ごとに働き方が違う

「組み込み」で一括りにすると判断を誤ります。

業界特徴注意点
自動車安全基準が厳格、規模が大きい手順と文書の量が多い
家電・住宅設備製品サイクルが比較的短い量産前に繁忙期が来る
産業機器・FA顧客が法人、長期の保守現地対応が発生することがある
医療機器規制対応が重い文書作成の比重が高い
通信機器規格への準拠が中心規格知識の習得が必要

求人票に「組み込みエンジニア」とだけ書かれている場合、どの業界の、どの工程かを確認しないと判断できません。

とくに文書作成の比重は業界差が大きく、「コードを書く時間より仕様書と試験報告書を書く時間のほうが長い」職場もあります。それが合うかどうかは人によります。

5. 話を聞いた例:機械系の学部から入った人

知人に、機械系の学部を出て別業界に就職し、第二新卒で組み込みに移った人がいます。

その人がやったのは、次のことでした。

準備としてやったこと

・C言語の基本文法を、書籍1冊分だけ通した

・安価なマイコンボードを買って、LEDを光らせるところから触った

・センサーの値を読んで条件で動かす、という小さいものを1つ作った

・作った過程で詰まった点と、どう調べたかを書き残した

成果物そのものは、実務から見れば非常に小さいものです。

それでも評価されたのは、「実機を触ったことがある」という一点でした。組み込みでは、画面の中だけで完結しない仕事であることを理解しているかが、最初の関門になります。

そして4つ目の「詰まった点と調べ方の記録」が面接で効きました。作れたかどうかより、詰まったときに何をしたかのほうが聞かれます。

ポートフォリオの考え方は未経験エンジニアのポートフォリオ|第二新卒が評価されるのは「何を作ったか」ではないと同じ発想です。

6. 学習の順番

推奨する順番

C言語の基本(ポインタで止まっても先へ進む)

マイコンボードを実際に動かす(ここが最重要)

センサー・入出力の扱い

割り込み・タイマーの考え方

デジタル回路の基礎(用語がわかる程度で可)

②を飛ばして書籍だけで進めると、面接で話す材料ができません。

Web系の学習と違い、組み込みは数千円のボードで実機経験が作れるのが利点です。この投資対効果は他の領域より高いと言えます。

学習時間の確保は働きながら学習時間を作る|平日30分の設計、言語選びの全体像は最初に学ぶプログラミング言語の選び方|第二新卒が目的別に決める順番を参照してください。

7. 求人票で確認する7項目

確認する7項目

担当する工程(検証/実装/設計のどこか)

対象製品が何か(業界で働き方が変わる)

自社製品か、受託か、派遣・常駐か

出張・現地対応の頻度

使用言語と開発環境

繁忙期の時期(量産前に集中する)

未経験者の受け入れ実績

③は重要です。組み込み領域には常駐型の会社が多く、配属先によって経験できる範囲が大きく変わります。

その構造はSES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準と共通する部分があります。技術名から環境を読む観点は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読むが使えます。

8. 面接で聞かれることと答え方

質問見られていること答え方の軸
なぜ組み込みか領域を理解しているかWeb系との違いに触れる
実機を触ったことは前提の理解小さくても具体的に
地道な検証は平気か定着するか前職の反復業務で示す
仕様書を読むのは文書への耐性前職の資料読解で示す
出張は可能か条件の合致曖昧にしない

「モノづくりに関わりたい」だけの志望動機は弱いです。

代わりに、「Webサービスは直せるが、出荷した機器は直せない。その前提で作る仕事に関心がある」という形にすると、領域の理解が伝わります。

文系・非情報系の場合

不利になる場面はありますが、決定的ではありません。検証工程からの採用では、正確さと粘り強さのほうが重視されます。

見られ方は文系・非情報系からIT業界へ|選考で本当に見られる3点と共通します。

9. よくある質問

C言語は必須ですか

実装工程に進むなら、ほぼ必須です。検証工程からの入社であれば、入社後の習得を前提にしている求人もあります。ただし応募時点で「基本文法を通した」と言えるかどうかで印象が変わります。

電気や回路の知識は必要ですか

深い知識は最初から求められません。ただし用語がわかる程度の理解はあったほうがよいです。回路担当と会話する場面があるためです。

残業は多いですか

工程と時期によります。量産前や不具合対応時に集中する傾向があり、その代わり閑散期は落ち着く職場もあります。年間の波を面接で聞くのが確実です。

年収はWeb系と比べてどうですか

初任の水準は求人によりますが、極端に高いレンジは多くありません。一方で腰を据えて積める領域でもあります。年収の考え方は未経験エンジニアの年収|第二新卒が下がる幅と戻るまでの期間を参照してください。

転職市場での将来性はどうですか

機器にソフトウェアが載る範囲は広がり続けており、担い手は不足している状態が続いています。ただし業界ごとに事情が違うため、製品分野の選択のほうが影響が大きいと考えたほうが実態に近いです。

Web系から移れますか

移れます。ただし前提が大きく変わるため、資源の制約と実機の扱いに慣れる期間が必要です。逆に、組み込みからWeb系へ移る人もいます。

資格は評価されますか

基本情報技術者や、組み込み技術者向けの試験が評価される場面はあります。ただし実機経験のほうが優先されます。IT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番に選び方をまとめています。

常駐型の会社は避けるべきですか

一概には言えません。大手メーカーの開発現場に入れることが利点になる場合もあります。ただし配属先が事前に確定しない求人では、経験の中身が読めない点に注意が必要です。

10. まとめ:今週やる3つのこと

組み込みは、応募者が集中していない領域でありながら、身につく力の汎用性が高い仕事です。

今週やる3つのこと

求人を「業界」と「工程」で分けて3件読む

マイコンボードを1つ注文する(数千円で実機経験が作れる)

前職で「手順どおり正確にやり切った」場面を書き出す

②は、この領域に限って費用対効果が非常に高い準備です。「実機を触ったことがある」という一言が、書類の中身を変えます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。