会社都合退職とは|第二新卒が自己都合との違いと確認の手順を押さえる【2026年版】
〜自分で辞めたつもりでも、会社都合として扱われる場合があります〜
退職には、「自己都合」と「会社都合」の区分があります。
そして、この区分によって、失業給付の条件が大きく変わります。
自己都合の場合、待期期間の後にさらに給付制限があり、受給開始まで時間がかかります。
会社都合の場合、給付制限がなく、所定給付日数も長くなります。
ここまでは、多くの人が知っています。
知られていないのは、次の点です。
「自分から退職を申し出た場合でも、会社都合として扱われることがある」
賃金の未払いが続いた、著しい長時間労働があった、採用時の条件と実際が大きく違った。
こうした事情がある場合、離職票が「自己都合」となっていても、ハローワークの判断で扱いが変わることがあります。
この記事では、区分の違いと、確認の手順を整理します。
なお、個別の事案の判断はハローワークが行います。この記事は一般的な整理であり、受給の可否を判断するものではありません。
1. 結論:3つの違いを押さえる
| 項目 | 自己都合 | 会社都合 |
|---|---|---|
| ① 加入期間の要件 | 離職前2年間に通算12ヶ月以上 | 離職前1年間に通算6ヶ月以上 |
| ② 給付制限 | あり | なし |
| ③ 所定給付日数 | 短い | 長い |
①が、第二新卒にとって最も影響します。
在籍1年未満で退職した場合、自己都合では原則として受給できません。
ただし、会社都合であれば、6ヶ月以上の加入で受給できる可能性があります。
この差は大きくなります。
②の給付制限があると、申請から最初の振込まで2〜3ヶ月かかります。
会社都合であれば、待期期間の7日を経て受給が始まります。
2. 会社都合になり得るケース
「特定受給資格者」に該当する場合、会社都合として扱われます。
| 分類 | 主なケース |
|---|---|
| 倒産等 | 倒産、事業所の廃止、事業所の移転により通勤が困難になった |
| 解雇等 | 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く) |
| 労働条件の相違 | 採用時に明示された労働条件と、実際が著しく異なった |
| 賃金の未払い | 賃金の一定割合以上が支払期日までに支払われなかった |
| 長時間労働 | 一定水準を超える時間外労働が継続した |
| ハラスメント | 職場での嫌がらせ等により離職した |
| 退職勧奨 | 会社から退職を勧められた |
「労働条件の相違」と「長時間労働」は、第二新卒でも該当する可能性があります。
また、「特定理由離職者」という区分もあります。
有期雇用契約が更新されなかった場合や、正当な理由のある自己都合退職(体調上の理由、家族の介護など)が該当し得ます。
これらの場合、給付制限の扱いが自己都合と異なることがあります。
具体的な要件と該当の可否は、ハローワークで確認してください。
3. 編集長の実体験:区分を確認していなかった
私が前職を退職したとき、区分は自己都合でした。
次が決まってからの退職だったため、失業給付は使いませんでした。
ただ、退職の手続きの際に、総務の方とこういうやり取りがありました。
総務「離職票、発行しますか」
私「次が決まっているので、いらないです」
総務「一応、出しておきましょうか」
私「使わないと思いますが」
総務「入社日がずれることもあるので。あと、後から必要になったときに、また依頼するのが手間なので」
私「そういうものですか」
総務「発行しても、木戸さんに費用はかかりません。持っておいて損はないです」
結果として、使いませんでした。
ただ、この会話で1つ学んだことがあります。
離職票は、必要になるかどうかに関わらず、発行を依頼しておくべきだということです。
そして、後から気づいたことがもう1つあります。
離職票には、離職の理由が記載されています。
私は、その欄を確認していませんでした。
自己都合であることは間違いなかったのですが、もし事実と違う記載があった場合、確認する機会を逃していたことになります。
離職票が届いたら、離職理由の欄を必ず確認してください。
4. 離職票の確認方法
離職票(離職票-2)には、離職理由の欄があります。
確認する場所
| 欄 | 内容 |
|---|---|
| 事業主記入欄 | 会社が記載した離職理由 |
| 離職者記入欄 | 本人が異議の有無を記入する欄 |
| 具体的事情記載欄 | 詳細な事情 |
「離職者記入欄」に、本人が記入する箇所があります。
会社が記載した離職理由に異議がある場合は、その旨を記入できます。
異議を申し出た場合、ハローワークが事実関係を確認し、判断します。
確認の手順
| # | やること |
|---|---|
| ① | 離職票が届いたら、離職理由の欄を読む |
| ② | 記載が事実と違う場合、異議の欄に記入する |
| ③ | ハローワークで、事情を説明する |
| ④ | 証拠となる資料を持参する |
④が重要です。
| 証拠になり得るもの |
|---|
| タイムカード、勤怠の記録(長時間労働の場合) |
| 給与明細、賃金台帳(未払いの場合) |
| 雇用契約書、労働条件通知書(条件相違の場合) |
| 求人票の写し(条件相違の場合) |
| メール、記録(ハラスメントの場合) |
在職中から、記録を残しておいてください。
退職後に集めるのは、困難になります。
5. 会社が区分を変えたがらない理由
会社側が、会社都合とすることを避ける場合があります。
理由は、次のようなものです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 助成金への影響 | 一部の雇用関係助成金で、会社都合の離職者がいると受給できない場合がある |
| 対外的な印象 | 離職率の見え方 |
| 手続きの手間 | 事情の説明が必要になる |
1行目が、実務上の主な理由です。
そのため、実態としては会社都合に該当し得る場合でも、自己都合として処理されることがあります。
ただし、離職理由の最終的な判断は、ハローワークが行います。
会社の記載がそのまま確定するわけではありません。
退職勧奨を受けた場合
会社から退職を勧められて辞める場合は、会社都合に該当し得ます。
この場合、退職届の書き方に注意してください。
| 書き方 | 扱い |
|---|---|
| 「一身上の都合により」 | 自己都合と受け取られる |
| 「貴社退職勧奨に伴い」 | 会社都合の記載 |
退職勧奨を受けた場合、「一身上の都合により」と書かないでください。
この記載により、自己都合として処理される可能性があります。
そして、退職勧奨を受けた事実を、記録に残してください。
6. 次の転職への影響
「会社都合だと、次の転職に不利になるのでは」という心配があります。
| 項目 | 実際のところ |
|---|---|
| 企業に区分が伝わるか | 基本的に伝わらない |
| 履歴書に書く必要があるか | 記載の義務はない |
| 面接で聞かれるか | 退職理由は聞かれる |
離職票は、応募先の企業に提出するものではありません。
ハローワークでの手続きに使うものです。
だから、区分そのものが企業に伝わることは、通常ありません。
履歴書の書き方
| 状況 | 書き方 |
|---|---|
| 自己都合 | 「一身上の都合により退職」 |
| 会社都合 | 「会社都合により退職」 |
| 契約期間の満了 | 「契約期間満了により退職」 |
会社都合の場合、「会社都合により退職」と書いて問題ありません。
むしろ、「一身上の都合」と書くと、面接での説明と食い違う可能性があります。
面接での説明
回答例(事業所の閉鎖の場合)
「前職では、配属されていた事業所が閉鎖となり、会社都合での退職となりました。
他の拠点への異動も打診いただきましたが、勤務地の条件が合わず、退職を選択いたしました。」
事実を簡潔に述べてください。
会社への不満を述べる形にしないでください。
7. 在籍1年未満の場合
第二新卒で、在籍1年未満で退職する場合の整理です。
| 区分 | 受給の可能性 |
|---|---|
| 自己都合(加入12ヶ月未満) | 原則、受給できない |
| 会社都合(加入6ヶ月以上) | 受給できる可能性がある |
| 特定理由離職者(加入6ヶ月以上) | 受給できる可能性がある |
この差は大きくなります。
在籍1年未満で、かつ次が決まっていない状態で退職する場合は、区分を必ず確認してください。
前職との通算
前職で雇用保険に加入していた場合、期間を通算できることがあります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 前職の離職から1年以内に再就職 | 通算できる可能性 |
| 前職で失業給付を受給した | 通算できない |
「合計すれば12ヶ月ある」という場合があります。
自分で判断せず、ハローワークで確認してください。
失業給付の全体像については、専用の記事にまとめています。
8. 相談できる窓口
区分に納得できない場合、次の窓口に相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| ハローワーク | 離職理由の判断、受給の要件 |
| 労働基準監督署 | 賃金の未払い、労働時間の問題 |
| 総合労働相談コーナー | 労働に関する相談全般(各労働局・労基署内) |
| 弁護士 | 個別の法的な問題 |
まず、ハローワークに相談してください。
離職理由の判断は、ハローワークが行います。
そして、賃金の未払いや長時間労働が背景にある場合は、労働基準監督署にも相談できます。
相談は無料です。
なお、個別の事案の判断については、これらの窓口または弁護士に確認してください。この記事は一般的な整理であり、法的な助言を行うものではありません。
9. よくある質問
自分から辞めたのに、会社都合になることがありますか?
あります。賃金の未払い、著しい長時間労働、採用時の条件との相違などがある場合、特定受給資格者として扱われることがあります。判断はハローワークが行います。
離職票の離職理由が、事実と違います。
離職票の「離職者記入欄」に、異議がある旨を記入できます。そのうえで、ハローワークで事情を説明してください。証拠となる資料があれば持参してください。
会社都合だと、次の転職で不利ですか?
不利にはなりません。離職票は企業に提出するものではなく、区分が伝わることは通常ありません。ただし、退職理由は面接で聞かれるため、事実を簡潔に説明できるようにしてください。
退職勧奨を受けました。どう対応すべきですか?
退職届に「一身上の都合により」と書かないでください。この記載により、自己都合として処理される可能性があります。退職勧奨を受けた事実を記録に残し、ハローワークで相談してください。
在籍1年未満でも、失業給付を受けられますか?
自己都合では、原則として受給できません。会社都合または特定理由離職者に該当する場合、加入6ヶ月以上で受給できる可能性があります。前職との通算ができる場合もあるため、ハローワークで確認してください。
履歴書には、どちらを書きますか?
事実に沿って書いてください。会社都合の場合は「会社都合により退職」、自己都合の場合は「一身上の都合により退職」です。事実と違う記載は避けてください。
会社が離職票を出してくれません。
まず、会社に発行を依頼してください。それでも発行されない場合、ハローワークに相談すると、会社への確認をしてもらえることがあります。
次が決まっていても、離職票は必要ですか?
必須ではありませんが、発行を依頼しておくことを勧めます。入社日がずれるなど、状況が変わったときに使えます。発行に費用はかかりません。
10. まとめ:退職前にやる3つのこと
会社都合と自己都合の区分は、失業給付の条件を大きく変えます。
そして、自分から辞めた場合でも、会社都合として扱われることがあります。
退職前・退職後にやること
① 離職票の発行を、必ず依頼する(次が決まっていても)
② 離職票が届いたら、離職理由の欄を読む
③ 記載が事実と違う場合、ハローワークで相談する(証拠となる資料を持参)
目安時間:合計30分
②を必ずやってください。
離職票が届いても、離職理由の欄を確認しない人が多くいます。
そして、③については、賃金の未払いや著しい長時間労働が背景にある場合、記録を在職中から残しておいてください。
退職後に集めるのは、困難になります。
なお、この記事は一般的な整理です。個別の判断は、ハローワークまたは専門機関に確認してください。
この先、読むべき記事
- 失業給付の受け方|第二新卒が自己都合退職で押さえる手続きと期間(失業給付の全体像)
- 退職後の手続き|第二新卒がやる健康保険・年金・住民税・失業給付の全部(退職後の手続き)
- 最終出社日にやること|第二新卒が返すもの・受け取るものの全リスト(受け取る書類)
- 退職届・退職願の書き方|第二新卒がそのまま使えるテンプレと出し方の手順(退職届の書き方)
- 退職の流れ|第二新卒が伝えるところから入社日までにやること全部(退職の全体像)
- 退職金制度の見方|第二新卒が3年目で受け取れる額を確かめる(退職金の支給率の違い)
- 離職票が届かないとき|催促の順番と代わりの手続き(離職票の記載を確認する)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。