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要件定義・上流工程へ移る|第二新卒が実装から移るための材料と順番【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約18分
要件定義・上流工程へ移る|第二新卒が実装から移るための材料と順番【2026年版】

〜「言われたものを作る」から抜けたい人へ〜

エンジニアとして実装を続けていると、あるとき疑問が出てきます。「そもそも、なぜこれを作るのか」です。

決まった仕様どおりに作ってはいるが、その仕様が本当に課題を解くのか分からない。この違和感が出てきたら、上流工程に関心が向いている合図です。

ただ、実装を続けているだけでは、自動的に上流へ移ることはありません。意識的に材料を作る必要があります。

この記事では、上流工程で実際にやることを分解して、そこへ向かう順番を整理します。

1. 結論:押さえるべきは3点

上流へ移るときの3つの前提

上流の仕事は「何を作るか」ではなく「何を解くか」を決めること

技術力より、聞き出す力と、曖昧さを潰す力が中心

実装の経験があることが、上流での強みになる

③が第二新卒にとって重要です。

実装を知らずに要件を決めると、作れないものや、無駄に手間のかかるものを要求してしまいます。作る側の感覚を持っている人が上流に入ると、判断の質が変わります。

だから、実装の年数は無駄になりません。むしろ前提として必要です。

2. 上流工程で実際にやること

仕事中身
課題の把握顧客や事業側が何に困っているかを聞く
要求の整理言われたことの背後にある目的を探る
優先順位の決定何から作るかを決める
要件の文書化曖昧さのない形にまとめる
実現性の判断技術的に可能か、どのくらいかかるか
関係者の合意決めた内容に納得してもらう

2行目が、上流工程の中心です。

「この機能が欲しい」と言われたとき、そのまま作るのが実装、なぜそれが欲しいのかを聞くのが上流です。

目的を聞くと、別の解き方が見つかることがあります。作らずに解決できるなら、それが最も良い結果です。

「言われたものを作らない」ことの意味

これは、要求を無視するという意味ではありません。

実際にやること

・「これが欲しい」の背後にある困りごとを聞く

・その困りごとを解く方法を、複数考える

・それぞれの手間と効果を並べる

・相手と一緒に選ぶ

この過程を経ると、相手も納得したうえで進められます。

そして、この進め方は業種を問わず通用します。上流工程の経験が、他の職種でも評価される理由です。

3. 必要な力

なぜ必要か
聞き出す力相手は困りごとを言語化できていない
曖昧さを潰す力解釈の差が後で問題になる
文書にする力口頭の合意は残らない
実現性の判断作れないものを約束しない
合意を作る力関係者が複数いる

「曖昧さを潰す力」が最も実務的です。

「だいたいこんな感じで」を、そのまま進めると、出来上がったものが期待と違います。作り始める前に、解釈が分かれる箇所を特定して確認するのが、この仕事の中心です。

この力は、海外のチームと開発するブリッジSEの役割とも共通しています。詳しくはブリッジSEという職種|第二新卒が開発と言語の間に立つ仕事を知るを参照してください。

4. 現職で作れる4つの材料

実装をしながら作れるもの

仕様の曖昧な箇所を見つけて、確認する

「なぜこれを作るのか」を聞く

実装した後、使われたかどうかを追う

作らずに解決できた例を作る

①が最も始めやすく、最も評価されます。

仕様書を読んで、解釈が分かれる箇所を先に指摘するだけです。これは実装者の立場でもできますし、やっていると上流側から見て「話が早い人」になります。

④は難易度が高いですが、一つあれば強い材料になります。「設定の変更で対応できたので、開発せずに済んだ」といった話です。

移り方の構造は運用保守から開発へ移る|第二新卒が現職で作れる材料と移り方の順番と共通しています。

5. 話を聞いた例:2年目で要件定義に入った人

知人に、実務2年目で要件定義の場に呼ばれるようになった人がいます。

その人がやっていたのは、次のことでした。

実際にやっていたこと

・仕様書を読んで、疑問点を箇条書きにして送っていた

・「この場合はどうなりますか」という条件の抜けを指摘していた

・実装の途中で気づいた矛盾を、その都度報告していた

・作った機能が使われているかを、記録で確認していた

2つ目が決め手でした。

条件の抜けは、上流の担当者が最も見落としやすい部分です。それを実装者が先に指摘してくれると、手戻りが減ります。

その結果、「最初から入ってもらったほうが早い」という判断になり、要件定義の場に呼ばれるようになりました。

年数ではなく、この動き方が呼ばれる理由を作っています。

6. 社内異動と転職の使い分け

社内異動転職
必要な材料日々の動き方書類で示せる実績
業務知識既にある一から覚える
難易度制度と枠があれば現実的上流の経験を求められる場合がある
年収大きくは変わらないことが多い変動する

まず社内で機会を作るほうが現実的です。

上流工程は、その事業や顧客の業務を知っていることが前提になります。転職して一から覚えるより、今の環境で入り込むほうが早く到達します。

ただし、実装のみを請け負う会社では、上流の仕事が社内に存在しない場合があります。その場合は転職が必要です。

会社の型による違いはSES・受託・自社開発の違い|未経験エンジニアが最初に選ぶ基準SIerと事業会社の違い|どちらを選ぶかの基準を参照してください。社内異動の仕組みは社内公募の使い方|辞めずに職種を変える手順にまとめています。

7. 求人票での見分け方

手がかり意味
「要件定義から参画」上流に関われる
「設計・開発」設計の範囲を確認する
「顧客折衝あり」顧客と直接話す
「詳細設計以降」上流には関わらない
「一次請け」上流に近い位置

「詳細設計以降」と書かれている場合、要件定義には関わりません。

また、商流の位置も影響します。顧客と直接契約している会社のほうが、上流に関わる機会が多くなります。

技術名から環境を読む観点は技術スタックの見方|求人票の技術名から3年後を読むを参照してください。

8. 面接で聞かれることと答え方

質問見られていること答え方の軸
上流に関わった経験は実際の範囲指摘した内容で話す
仕様の矛盾を見つけた経験曖昧さへの感度具体的な場面で話す
顧客と話した経験は対人の力相手と内容で話す
なぜ上流へ移りたいか動機「なぜ作るか」への関心で答える
実装は続けたいか期待値の確認正直に答える

「上流に関わった経験」で、正式に要件定義を担当した経験は不要です。

「仕様の曖昧な箇所を指摘した」「条件の抜けを見つけた」という話で構いません。やっていることの性質が同じだからです。

「実装は続けたいか」も重要な質問です。上流に移ると、コードを書く時間は減ります。ここを曖昧にすると、入社後にずれます。

書類の作り方はエンジニアの職務経歴書|書く順番と3つの必須欄にまとめています。

9. よくある質問

何年目から目指せますか

年数より材料です。仕様の曖昧な箇所を指摘した経験があれば、2年目からでも土俵に乗ります。

技術力が落ちませんか

コードを書く時間は減ります。ただし、実現性を判断するために技術の理解は必要であり、学び続ける必要があります。

顧客と話すのが苦手です

上流の仕事は、話すより聞くことが中心です。「聞いて、整理して、確認する」という流れなので、話が上手である必要はありません。

実装に戻れますか

戻れます。ただし、離れる期間が長くなると、技術の変化に追いつく手間が増えます。

SESからでも移れますか

案件によります。実装のみを請け負う案件では、上流の経験が積めません。SESから抜けるための準備|案件を経歴に変える3ステップを参照してください。

資格は評価されますか

土台の証明としては機能します。ただし、上流の仕事では実際の経験が優先されます。IT系の資格はどれを取るか|第二新卒が目的別に選ぶ順番を参照してください。

PMOやテックリードとどう違いますか

PMOは進行の管理、テックリードは技術の判断、上流は作るものの決定に重心があります。それぞれPMOという職種|第二新卒が未経験から入れる理由と仕事の実際テックリードという役割|第二新卒が最初に任される先を知るにまとめています。

事業会社とSIerではどちらが上流に近いですか

事業会社では自社の課題を扱い、SIerでは顧客の課題を扱います。どちらも上流の仕事はありますが、対象が違います。

10. まとめ:今週やる3つのこと

上流へ移るには、実装をしながら「決める側」の動き方を始めることです。

今週やる3つのこと

今の仕様書を読み直し、解釈が分かれる箇所を3つ探す

それを箇条書きにして、確認を送る

次の機能で「なぜこれを作るのか」を一度聞く

②が最も効きます。実装者が先に曖昧さを潰してくれると、上流側は助かります。そこから声がかかります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。