転職フェアの回り方|第二新卒が1日で5社と話すための準備と順路【2026年版】
〜フェアは「応募先を探す場」ではなく、「会社を絞り込む場」です〜
転職フェア(合同転職説明会)は、1つの会場に数十社が集まり、ブース形式で話を聞けるイベントです。土日に開催されることが多く、参加は無料です。
ところが、行った人の感想は二極化します。
「1日で5社の話が聞けて、応募先が決まった」という人と、「疲れただけで何も残らなかった」という人。
この差は、準備で決まります。
準備なしで行くと、ブースを2〜3社回って、資料をもらって帰ることになります。その資料は、企業のWebサイトに載っている内容とほぼ同じです。
準備をして行くと、Webサイトには載っていない情報が取れます。現場の社員が来ているブースでは、実際の働き方、残業の実態、配属の可能性まで聞けます。
この記事では、行く価値がある人の条件と、1日で5社と話すための具体的な順路を整理します。
1. 結論:行く価値があるのは、この3つに当てはまる人
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| ① 業界は決まっているが、会社が決まっていない | 一度に複数社を比較できる |
| ② Webの情報だけでは判断がつかない | 現場の社員に直接聞ける |
| ③ 在職中で、平日に企業訪問ができない | 土日に集中して情報が取れる |
逆に、次の場合は行かなくてよいです。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 応募先がすでに3社以上決まっている | 選考を進める方が早い |
| 何をしたいかが固まっていない | ブースで何を聞くか決まらない |
| 選考が最終段階まで進んでいる | 時間の使い道として優先度が低い |
「何となく情報収集に」で行くと、疲れて終わります。
そして、最も重要な認識がこれです。
フェアは「応募先を探す場」ではなく、「候補を絞り込む場」です。行く前に、話を聞きたい会社を5社決めておいてください。
2. なぜ「行っただけ」で終わるのか
準備なしで参加した場合、当日の流れはこうなります。
| 時刻 | 起きること |
|---|---|
| 到着 | 受付で名前と連絡先を記入 |
| 最初の30分 | 会場を一周して、どこを回るか考える |
| 1社目 | 話を聞くが、質問が思いつかない |
| 2社目 | 同じ説明を聞く。少し疲れる |
| 3社目 | 座って休みたくなる |
| 帰り | 資料の束を持って帰る |
問題は、「最初の30分」と「質問が思いつかない」の2点です。
会場は広く、数十社のブースがあります。その場で「どこを回るか」を決めようとすると、判断に時間がかかります。
そして、質問を用意していないと、企業側の説明を聞くだけになります。企業側の説明は、Webサイトに載っている内容です。
この2つを解決するのが、事前準備です。
| 準備 | 効果 |
|---|---|
| 出展企業リストを事前に確認し、回る5社を決める | 会場での判断時間がゼロになる |
| 共通の質問を3つ用意する | どのブースでも比較できる |
| 順路を決める | 移動と待ち時間が減る |
3. 編集長の実体験:フェアで、面接では聞けないことを聞いた話
私が第二新卒で転職活動をしていたとき、1回だけ転職フェアに行きました。SaaS業界に絞って、その業界の企業が集まる回を選びました。
準備として、出展企業リストから5社を選び、それぞれのサービス内容を調べました。そして、共通の質問を3つ用意しました。
3社目のブースで、こんなやり取りがありました。ブースにいたのは、人事ではなく現場の営業マネージャーでした。
私「未経験からSaaSの営業に入った方は、最初の3ヶ月で何をされるんですか」
マネージャー「うちは、最初の1ヶ月はひたすら製品を触ります。で、正直に言うと、ここで脱落する人が一定数います」
私「脱落、ですか」
マネージャー「営業やりたくて来たのに、1ヶ月マニュアル読んでるので、『思ってたのと違う』となるんです。でも、製品分からないと売れないので、ここは飛ばせない」
私「その1ヶ月を乗り切る人は、何が違うんですか」
マネージャー「製品そのものに興味がある人ですね。『この機能、誰が使うんだろう』って考えられる人。逆に、営業のスキルだけ上げたい人は、うちじゃなくていいと思います」
この情報は、面接では絶対に出てきません。
面接の場で「入社後に脱落する人がいます」と言う企業はありません。フェアのブースという、選考ではない場だから出てきた話です。
そして、この会話で、私はこの会社を候補から外しました。
理由は、私が製品そのものより「顧客との関係」に興味があると自覚したからです。マネージャーの話を聞いて、自分がここで脱落する側だと判断しました。
ここで学んだのは、フェアの価値は「受けたい会社を見つけること」ではなく、「受けない会社を決められること」にもある、ということです。
5社回って、2社に絞る。これが、フェアの正しい使い方だと思っています。
4. 行く前に決めておく3つのこと
① 回る5社を決める
出展企業リストは、フェアの公式サイトで事前に公開されます。
次の順で絞ってください。
- 業界で絞る(自分が候補にしている業界のみ)
- 職種で絞る(募集職種に、自分が狙う職種があるか)
- 規模で絞る(従業員数、設立年)
- 残った中から5社を選ぶ
5社が上限です。1社あたり15〜20分かかるため、待ち時間を含めると5社で3時間程度になります。
それ以上回ると、後半の記憶が残りません。
② 共通の質問を3つ用意する
すべてのブースで同じ質問をしてください。比較できるようになります。
| 質問 | 分かること |
|---|---|
| 「未経験で入った方は、最初の3ヶ月で何をされますか」 | 教育体制の実態 |
| 「この職種の方の、1日の流れを教えてください」 | 実際の働き方 |
| 「入社された方が、ギャップを感じやすい点はどこですか」 | ミスマッチの中身 |
3つ目が最も効きます。
「ギャップを感じる点」を聞くと、企業側は具体的に答えます。建前で答えにくい質問だからです。
③ 順路を決める
会場図は、当日配布されるか、事前に公開されます。
| 時間帯 | 混雑度 | 使い方 |
|---|---|---|
| 開場直後(〜1時間) | 空いている | 最も話したい2社を回る |
| 中盤(1〜3時間) | 混雑 | 3社目・4社目 |
| 終盤(残り1時間) | 空いてくる | 5社目、聞き漏らしの補完 |
開場直後が最も狙い目です。人気企業のブースは、中盤になると30分待ちになることがあります。
そして、終盤も空きます。企業側も余裕があるため、じっくり話せます。
5. 当日の持ち物
| 持ち物 | 必要度 | 補足 |
|---|---|---|
| 職務経歴書(5部) | 高 | その場で応募できる場合がある |
| 履歴書(5部) | 中 | 求められることがある |
| メモ帳とペン | 必須 | スマホのメモより速い |
| A4が入るカバン | 高 | 資料が10部以上になる |
| 名刺(あれば) | 低 | 会社の名刺は使わない |
| 飲み物 | 中 | 会場は乾燥している |
職務経歴書を持参する理由は、その場で選考に進める企業があるからです。
フェアによっては、ブースで簡易面談を行い、後日の面接につなげる形式があります。そのとき、書類があると話が早く進みます。
「会社の名刺は使わない」を守ってください。在職中であることが記録に残ります。
服装
| フェアの形式 | 服装 |
|---|---|
| 一般的な転職フェア | スーツが無難 |
| IT・ベンチャー中心 | オフィスカジュアルでも可 |
| 「私服可」と明記 | オフィスカジュアル |
迷ったらスーツです。スーツで浮くことはありませんが、私服で浮くことはあります。
6. ブースでの話し方
ブースでは、最初の30秒で自分の状況を伝えてください。
切り出し方の例
「現在、広告代理店で営業を1年半しています。第二新卒での転職を考えていて、SaaS業界を候補にしています。本日は、御社の営業職について伺いたく参りました。」
この30秒があると、企業側の説明が変わります。
状況を伝えないと、企業側は「新卒向けの説明」から始めます。時間の無駄になります。
聞いてはいけないこと
| 質問 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 「残業は多いですか」 | 印象が悪い。「1日の流れ」で聞く |
| 「未経験でも大丈夫ですか」 | 募集要項に書いてある |
| 「御社は何をされている会社ですか」 | 調べていないことが伝わる |
調べれば分かることを聞かないでください。フェアで聞くべきは、調べても分からないことです。
メモに残すこと
ブースを離れたら、その場で3つメモしてください。
- 話した人の役職(人事か、現場か)
- 共通質問への回答(3つの質問への答え)
- 自分の直感(受けたい/受けたくない/保留)
3つ目を必ず書いてください。5社回った後では、印象が混ざります。
7. フェア後にやること
フェアの価値は、当日ではなく翌日に決まります。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 当日の帰り道 | 5社を「受ける/受けない/保留」に仕分ける |
| 翌日 | 受ける会社の求人を探し、応募経路を確認する |
| 3日以内 | 応募する(フェアの記憶が新しいうちに) |
「受けない」を決めることを、恐れないでください。
5社中、実際に応募するのは1〜2社で十分です。3社を候補から外せたなら、その日は成功です。
フェア経由の応募
フェアで名刺交換やエントリーをした場合、後日、企業から連絡が来ることがあります。
この経路で応募すると、「フェアで話した候補者」として記録が残ります。面接で「フェアでお話しした◯◯です」と言えるのは、わずかながら有利に働きます。
ただし、フェア経由でしか応募できないわけではありません。通常の応募経路(転職サイト、エージェント、採用ページ)から応募しても構いません。
8. オンライン開催の場合
近年は、オンラインの転職フェアも増えています。
| 項目 | 会場開催 | オンライン |
|---|---|---|
| 移動 | 必要 | 不要 |
| 1日に回れる社数 | 5社程度 | 6〜8社 |
| 現場の社員に会えるか | 会えることが多い | 人事が多い |
| 雰囲気の把握 | できる | 難しい |
| 資料 | 紙 | データ |
オンラインは、社数を回るのに向いています。移動時間がないため、効率は高くなります。
ただし、「雰囲気」は分かりません。ブースにいる社員の様子、他の参加者の質問、会場全体の空気。これらは会場開催でしか得られません。
在職中で土日も忙しい場合は、オンラインから始めてください。
9. よくある質問
転職フェアの参加は無料ですか?
無料です。企業側が出展料を支払う仕組みのため、参加者の費用負担はありません。事前予約が必要な場合が多いので、公式サイトから申し込んでください。
在職中でも参加して大丈夫ですか?
問題ありません。土日開催が中心で、参加者の多くが在職者です。ただし、会場で同僚や取引先に会う可能性はゼロではないため、業界が狭い場合は注意してください。
職務経歴書は本当に必要ですか?
持参を推奨します。ブースで簡易面談に進む場合、書類があると話が具体的になります。使わずに終わることも多いですが、必要になった場面で持っていないと機会を失います。
1日に何社まで回れますか?
会場開催なら5社、オンラインなら6〜8社が上限です。1社15〜20分に加え、待ち時間が発生します。それ以上回ると、後半の記憶が残らず、比較ができなくなります。
大手企業も出展していますか?
フェアの規模と業界によります。大手が出展する回もあれば、成長期の中小・ベンチャーが中心の回もあります。出展企業リストは事前に公開されるため、確認してから参加を決めてください。
フェアで話した企業に、後日エージェント経由で応募してもいいですか?
可能ですが、企業側で応募が二重に見える可能性があります。フェアでエントリーしている場合は、その経路で進めるか、エージェントに「フェアで接点があります」と伝えてください。
質問が思いつかない場合、どうすればいいですか?
第4章の共通質問3つを、そのまま使ってください。「未経験の方の最初の3ヶ月」「1日の流れ」「入社後にギャップを感じる点」。この3つで、どのブースでも15分は話せます。
フェアに行かないと不利になりますか?
なりません。フェアは情報収集の手段の1つであり、必須ではありません。応募先がすでに決まっているなら、選考を進める方が優先です。
10. まとめ:行く前にやる3つのこと
転職フェアは、準備の有無で得られるものが大きく変わります。
そして、フェアの目的は「応募先を見つけること」だけではありません。「受けない会社を決めること」も、同じくらい価値があります。
行く前にやること
① 出展企業リストから、回る5社を決める(業界→職種→規模の順に絞る)
② すべてのブースで聞く共通質問を3つ書き出す
③ 職務経歴書を5部印刷し、メモ帳とペンをカバンに入れる
目安時間:合計60分
②の3つ目、「入社された方がギャップを感じやすい点はどこですか」は必ず入れてください。
面接では絶対に出てこない答えが返ってきます。そして、その答えが、その会社を受けるかどうかの判断材料になります。
この先、読むべき記事
- 求人票の読み方|第二新卒が9項目をこの順で読むと外さない(フェア前の下調べ)
- 企業の採用ページから直接応募|第二新卒が使うべき場面と手順(フェア後の応募経路)
- 職務経歴書のフォーマット|第二新卒が選ぶべき型と使い分け(持参する書類)
- 在職中の転職活動|第二新卒が働きながら2ヶ月で決める段取りと面接の入れ方(土日の使い方)
- ハローワークの使い方|第二新卒がエージェントと使い分ける基準(他の情報源との比較)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。