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退職前の人事面談で何を話すか|第二新卒が本音とタテマエの線を引く5つの基準【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約12分
退職前の人事面談で何を話すか|第二新卒が本音とタテマエの線を引く5つの基準【2026年版】

上司に退職を伝えて話がついた後、人事から「一度お話しさせてください」と面談が設定される——これは多くの会社で行われている手続きです。呼び方は退職面談、エグジットインタビュー、最終面談などさまざまですが、目的はおおむね共通しています。

このとき困るのが、どこまで正直に話していいのかが分からないことです。改善のためだと言われれば協力したくなるし、一方で後味の悪い辞め方はしたくない。結果、当たり障りのないことだけ答えて終わる人と、勢いで全部話してしまう人に分かれます。

この記事では、人事面談が何のために行われるのかを整理したうえで、何を話し、何を話さないかを決めるための5つの基準をまとめます。退職そのものの流れは退職の流れ|第二新卒が伝えるところから入社日までにやること全部にありますので、この記事は面談の場面だけを扱います。

1. 結論:話すのは「事実」、控えるのは「人物評」

線の引き方は、この一言に集約されます。

話してよいこと控えたほうがよいこと
業務量や体制など、仕組みの話特定の個人の性格や能力の評価
自分が何をしたくて次に移るか他の社員から聞いた不満の代弁
手続きや制度で困った点感情的な表現を含む批判
引き継ぎ状況の共有転職先の詳細な条件や社名

仕組みの話は改善につながり、人物の話は角が立つだけで終わります。「◯◯さんが厳しくて」ではなく「新人が相談できる時間が業務の中に組み込まれていなかった」と言い換えるだけで、内容は同じでも受け取られ方がまったく変わります。

2. 人事面談は何のために行われるのか

目的を知っておくと、答え方が決まります。会社側の意図はおおむね次の4つです。

目的中身応募者への影響
離職理由の把握組織の課題を集めて改善につなげる正直に話す価値がある
引き止めの最終確認条件を変えれば残る余地があるか探る意思が固いなら明確に伝える
手続きの確認返却物、最終出社日、書類の説明聞き漏らさないほうが得
リスクの確認秘密保持や競業について念を押す署名内容をよく読む

この4つは1回の面談に混在します。だから「本音を聞かせてほしい」と言われた直後に「もし条件が変われば」と続くことがある。切り替わっていることに気づけば、答え方も切り替えられます。

3. 5つの判断基準

話すかどうか迷ったとき、次の5つに当てはめると決まります。

基準1:残る人が困っている話かどうか

自分だけの不満ではなく、後任や同僚が同じ状況に置かれる話なら、伝える価値があります。属人的な業務、記録されていない手順、慢性的な人員不足。これらは伝えないと改善されません。

基準2:仕組みの言葉に置き換えられるか

「上司が話を聞いてくれなかった」は人物評ですが、「1対1で相談する場が定期的になかった」は仕組みの話です。置き換えられないほど個人に紐づく話は、面談の場では出さないほうが無難です。

基準3:自分に返ってくるリスクがあるか

業界が狭い場合、退職者の発言が回ることはあります。言った内容が数年後に自分の耳に戻ってきても平気かで判断すると、線が引きやすくなります。

基準4:記録に残る前提で話せるか

人事面談の内容は記録されます。匿名で集計されることもあれば、個別に残ることもあります。記録される前提で話せる範囲にとどめるのが安全です。

基準5:引き止めの材料にならないか

不満を具体的に話すと、「では改善するので残ってほしい」という展開になることがあります。残る意思がないなら、改善で解決する話として不満を出しすぎないほうが話が長引きません。引き止め対応は退職を引き止められたとき|第二新卒が角を立てずに断る順番と法的な線にまとめています。

4. 聞かれることと答え方

実際に出やすい質問と、無難かつ誠実に答える方向を整理します。

質問答えの方向避けたい答え
退職の理由を改めて教えてください次にやりたいことを前に出す不満だけを並べる
会社に改善してほしい点はありますか仕組みの話を1〜2つ、具体的に「特にありません」で終える
いつから考えていましたかおおよその時期を答える誰かに相談していた経緯を細かく話す
転職先はどちらですか業界や職種の方向まで社名と条件の詳細
条件が変われば残る可能性はありますか意思が固いことを明確に曖昧にして期待を残す

「特にありません」は、実は損をしやすい答えです。協力する気がないと受け取られやすく、その後の手続きの空気が硬くなることがあります。差し支えない範囲で1つ挙げておくと、場が収まります。

5. 転職先について聞かれたとき

ここは毎回悩むところです。原則から書きます。

聞かれ方答えてよい範囲理由
どんな仕事をするのか職種の方向まで納得感を持ってもらえる
会社名は答える義務はない個人の情報であり開示は任意
年収はいくらか答える必要はない比較材料にされやすい
同業か競業に関わる場合は正確に後の紛争を避けるため

社名を伏せることは失礼ではありません。「まだ社内で共有していない段階なので控えさせてください」で十分に通ります。ただし競業避止に関わる場合は別で、事実と異なる説明をすると後で問題になります。競業の考え方は競業避止義務はどこまで効くのか|同業に転職する前の確認手順にまとめています。

6. 面談で「こちらから聞くこと」

人事との面談は、確認事項をまとめて聞ける貴重な機会でもあります。準備していくと得です。

聞くことなぜ必要か
最終出社日と退職日の扱い有給の消化計画に直結する
返却物と受け取る書類の一覧離職票や源泉徴収票の時期を確認
未消化の有給と精算の扱い会社ごとに規定が違う
資格取得費用などの返還の有無規定があると精算が発生する
退職後の連絡窓口書類の不備があったときに困らない

確認すべき制度の一覧は退職前に確認する社内制度|第二新卒が精算を忘れて損しないための一覧に、退職日の決め方は退職日の決め方|第二新卒が逆算する順番と3つの制約にまとめています。面談の場で一度に聞いておくと、後から個別に問い合わせる手間が減ります。

7. 署名を求められたときの注意

面談の場で、書面への署名を求められることがあります。ここは慎重に扱う場面です。

よくある書面

  • 秘密保持に関する誓約書
  • 競業避止に関する誓約書
  • 貸与物の返却確認書
  • 退職合意書

その場で読まずに署名しないこと。「持ち帰って確認します」と伝えるのは正当な対応で、断られることはまずありません。とくに競業避止の誓約は、期間・地域・職種の範囲が書かれているので、次の勤務先と抵触しないかを確認する必要があります。

内容に納得できないとき

修正を求めることは可能です。一方的に不利な条項が含まれていれば、その部分について説明を求めてよいのが原則です。判断に迷う場合は、労働相談の窓口や専門家に確認する方法もあります。なお、ここに書いているのは一般的な整理であり、個別の判断は労働基準監督署や弁護士など専門機関に確認してください。

8. 面談が終わった後にやること

面談は通過点なので、終わった後の動きも決めておくと滞りません。

やること期限の目安理由
確認した内容をメモに残す当日中口頭の約束は忘れられる
退職届を正式に提出する面談後すぐ日付の起点になる
引き継ぎの計画を上司と共有する数日以内最終出社日から逆算する
持ち帰った書面を確認する1週間以内署名を保留したままにしない

とくに口頭で決まったことのメモは効きます。有給の消化日数や最終出社日は、後から認識が食い違うことがあるためです。退職届の書き方は退職届・退職願の書き方|第二新卒がそのまま使えるテンプレと出し方の手順、伝えた後の過ごし方は退職を伝えた後の過ごし方|最終出社までの1〜2か月にまとめています。

9. よくある質問

人事面談は断れますか

制度として設けられている場合、応じるのが一般的です。ただし体調や業務都合で日程の調整を求めることはできます。まったく応じないという選択は、手続きの説明を受けられなくなるため、応募者側にも不利益が出やすくなります。

正直に不満を話したら、退職日や引き継ぎで不利になりませんか

通常はなりません。退職の条件は就業規則と労働契約で決まるためです。ただし感情的な表現や個人への批判は、残る期間の雰囲気に影響することがあるので、内容ではなく伝え方に注意するほうが実際的です。

面談の内容は上司に伝わりますか

会社によります。匿名で集計する運用もあれば、部門長にフィードバックされる運用もあります。誰に共有されるかを面談の冒頭で確認しておけば、話す範囲を自分で調整できます。

転職先の社名を言わないと不誠実に見えませんか

見えません。転職先の情報は個人に属する情報であり、開示の義務はありません。「社内での共有前なので控えます」と理由を添えれば、多くの場合それ以上は聞かれません。

退職理由を「一身上の都合」で通してもいいですか

退職届には「一身上の都合」と書くのが通例です。面談で理由を聞かれた場合は、次にやりたいことを軸に説明すると角が立ちません。詳細を話す義務はないので、話したくない部分は伏せて構いません。

面談で引き止め条件を提示されたらどう答えればいいですか

残る意思がないなら、その場で明確に断るほうが後が楽です。曖昧に受け取ると期待を持たせ、退職日の交渉が長引くことがあります。感謝を述べたうえで意思が変わらないことを一度で伝えるのが、双方にとって負担が少ない対応です。

誓約書にサインしないと退職できませんか

退職の意思表示は法律上の手続きであり、誓約書への署名が退職の条件になるわけではありません。ただし内容によっては署名を求められる正当な理由がある場合もあります。これは一般的な整理なので、判断に迷う場合は労働基準監督署などの専門機関に相談してください。

面談の後で言い忘れたことがあった場合はどうしますか

無理に追加する必要はありません。改善に関わる内容で伝えたいことがあれば、後日メールで簡潔に送る方法もあります。ただし記録に残るため、書き方は面談時と同じ基準で整えるほうが安全です。

10. まとめ:今週やる3つのこと

人事面談で迷うのは、「正直さ」と「配慮」が両立しないように見えるからです。実際には両立します。事実と仕組みの話に絞れば、正直に話しても角は立ちません。

今週やる3つのこと

① 退職の理由を、人物の話を使わずに仕組みの言葉で1つ書き直す

② 面談で自分から聞くことを、有給・書類・返却物の3項目でメモにする

③ 転職先について、どこまで答えるかの線をあらかじめ決めておく

線を先に決めておけば、その場で迷いません。それだけで面談は落ち着いた時間になります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。