経理の自己PR|第二新卒の書類が通る例文6パターンと数字の出し方【2026年版】
〜「正確さには自信があります」は、経理の自己PRで最も多く、最も効かない一文です〜
経理職の自己PRは、他の職種と比べて書きにくさの理由がはっきりしています。
営業のように売上がない。企画のように新しいものを生み出さない。「決まった処理を、決まった通りに、正確に行う」ことが仕事なので、書けることが「正確です」に収束してしまう。
しかし、採用側が見ているのはそこではありません。経理で評価されるのは、①どのくらいの規模を処理してきたか、②処理の手順をどう改善したか、③どこまでの範囲を任されたかの3つです。
この記事では、この3つを数字にする方法を、例文6本つきで書きます。
1. 結論:経理の自己PRは3要素で決まる
① 規模を数字で書く
「経理を担当していました」では、何も伝わりません。社員数、月次の仕訳件数、支払件数、扱った売上規模。これがあると、次の会社での即戦力度が判断できます。
② 「正確です」ではなく「正確にするために何をしたか」を書く
正確さは前提条件であって、加点要素ではありません。評価されるのは、ミスを減らすために手順を変えた経験です。チェックリストを作った、確認の順番を変えた、締め日前の作業を前倒しした。
③ 担当範囲を明示する
経理は「どこまでやったか」で評価が大きく変わります。伝票入力だけなのか、月次決算まで担当したのか、年次決算に関わったのか。ここを曖昧にすると、最も低い想定で判断されます。
2. なぜ定番の自己PRが落ちるのか
| よく書かれる文 | 採用側が受け取るもの | 足りないもの |
|---|---|---|
| 「正確性には自信があります」 | 前提条件の申告。全員が書く | 正確にするための工夫 |
| 「几帳面な性格です」 | 性格の話。業務と接続していない | 業務での具体例 |
| 「簿記2級を取得しました」 | 資格の記載。実務との接続がない | 資格を業務でどう使ったか |
| 「経理業務全般を担当しました」 | 範囲が不明 | 具体的な担当業務と規模 |
| 「ミスなく業務を遂行しました」 | 当然のこと。加点にならない | ミスを防ぐ仕組みを作ったか |
共通して欠けているのは「規模」と「改善」です。
経理職の採用担当は、応募者が入社した後に「どの業務を、どのくらいのボリュームで任せられるか」を見積もろうとしています。ところが、多くの自己PRには、その判断材料が一切書かれていません。
「月次の仕訳を約400件処理し、社員120名分の給与計算補助を担当」——これだけで、採用側は入社後の配置をイメージできます。
3. 編集長の実体験:経理の方の書類を見せてもらった話
前職の広告営業時代、担当していたクライアントの経理担当の方から、転職の相談を受けたことがあります。書類が3社連続で落ちていました。
その方の自己PR(当時)
「前職では経理として、日々の伝票処理から月次決算まで幅広く担当してまいりました。正確性を重視し、ミスのない処理を心がけております。簿記2級を取得しており、経理の基礎知識も備えております。」
私「これ、月にどのくらいの量を処理していたんですか」
その方「量……ですか。えーと、伝票は月に400枚くらいですかね。支払は150件くらい」
私「それ、書いてないですよね」
その方「書くものなんですか? 当たり前のことかと思って」
私「当たり前かどうかは、読む側が決めることじゃないですか。書いてなかったら、10件かもしれないし1000件かもしれない」
さらに聞いていくと、こんな話が出てきました。
その方「あと、月次の締めが遅いのが課題で。前は締め日から10営業日かかってたんですけど、経費精算の締切を営業部に早めてもらって、あと立替金の処理を月中に前倒しにして、今は6営業日になってます」
私「……それ、一番重要な話じゃないですか」
その方「そうなんですか? 自分がやったっていうか、みんなで決めたことなので」
書き直した自己PR
「建設会社の経理部にて、社員120名規模の日常経理から月次決算までを2年間担当しました。月あたりの仕訳処理は約400件、支払処理は約150件です。
担当当初、月次決算の確定に締め日から10営業日を要しており、経営会議への数字の提出が遅れることが常態化していました。原因を工程ごとに分けて確認したところ、経費精算の提出遅れと立替金の処理集中が上位2つであったため、①経費精算の締切を月末から25日に変更する運用を営業部と調整、②立替金の処理を月中に前倒しする手順に変更しました。
この2点により、月次決算の確定を6営業日まで短縮しました。」
この書き直しの後、次の応募で書類が通り、内定しました。
足したのは、規模の数字と、改善の経緯だけです。経験の中身は一切変えていません。
4. 経理の数字の作り方
「数字がない」と言う人のほとんどは、探す場所を間違えています。次の6ヶ所を順に確認してください。
| 数字が眠っている場所 | 具体例 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 処理量 | 仕訳件数、伝票枚数、支払件数、請求書発行数 | 「月次の仕訳約400件を処理」 |
| 規模 | 社員数、売上規模、拠点数、取引先数 | 「社員120名、年商約30億円規模」 |
| 期間の短縮 | 月次決算の日数、締め作業の時間 | 「月次決算を10営業日から6営業日に」 |
| ミスの削減 | 差し戻し件数、修正伝票の数 | 「記載不備による差し戻しを月40件から15件に」 |
| 範囲の拡大 | 任された業務の広がり | 「入社1年目から月次決算を単独で担当」 |
| 改善の成果 | 削減した工数、自動化した作業 | 「集計作業を月8時間から2時間に短縮」 |
数字を出すときの3つのルール
ルール1:期間を添える
「月あたり」「四半期あたり」「年間」を必ず明記します。
ルール2:比較対象を置く
「6営業日」だけでは早いか遅いか分かりません。「10営業日から6営業日に」と、変化で書いてください。
ルール3:概算でよい。ただし説明できる範囲で
「約400件」「およそ2割」で構いません。面接で「その数字はどう出しましたか」と聞かれるため、根拠を説明できる数字にしてください。
5. 担当範囲を示す表
経理の職務経歴書では、担当範囲を一覧で示すのが最も効率的です。
| 業務 | 担当 | 補足 |
|---|---|---|
| 仕訳入力 | ○ | 月約400件 |
| 売掛金・買掛金の管理 | ○ | 取引先約80社 |
| 経費精算 | ○ | 月約200件 |
| 給与計算 | 補助 | 社員120名分 |
| 月次決算 | ○ | 単独で担当 |
| 年次決算 | 補助 | 上長のもとで一部を担当 |
| 税務申告 | × | 税理士事務所に委託 |
| 予算管理 | × | ー |
この表を職務経歴書に入れると、採用側が入社後の配置を即座に判断できます。「×」を書くことを恐れないでください。できないことを明示するほうが、入社後のミスマッチを防げます。
6. 例文6パターン
例文①:経理経験あり → 経理(規模拡大)
建設会社の経理部にて、社員120名規模の日常経理から月次決算までを2年間担当しました。月あたりの仕訳処理は約400件、支払処理は約150件、取引先は約80社です。
担当当初、月次決算の確定に締め日から10営業日を要していました。工程ごとに所要時間を確認したところ、経費精算の提出遅れと立替金の処理集中が要因の上位でした。経費精算の締切を月末から25日に変更する運用を営業部と調整し、あわせて立替金の処理を月中に前倒しする手順に変更したところ、月次決算の確定を6営業日まで短縮できました。
貴社では複数拠点の経理を集約されていると伺っています。処理量が増える環境で、手順を整理しながら締めを早める取り組みは、前職で継続して行ってきた内容と重なります。
例文②:営業事務 → 経理(未経験)
前職では商社の営業部で、営業事務として2年間勤務しました。見積書・請求書の作成と、売掛金の入金確認が主な担当業務です。月あたり約180件の請求書を発行し、入金の消込を担当していました。
業務のなかで、入金額と請求額が一致しないケースが月に10件程度発生しており、その都度、営業担当への確認に時間がかかっていました。原因を3ヶ月分集計したところ、7割が「値引き交渉の内容が請求書に反映されていない」ことによるものと分かりました。営業担当が受注時に値引き内容を記録するシートを作成して運用に組み込んだ結果、不一致は月2〜3件まで減りました。
この経験から、数字の整合を取ることと、その原因を業務の流れから見つけることに関心を持ちました。現在は日商簿記2級を取得しており、経理職として売掛金管理から担当していきたいと考えています。
例文③:販売職 → 経理(未経験)
ドラッグストアで2年半、レジ業務と店舗の売上管理を担当しました。1日あたり平均150名の会計対応と、日次の売上締め・現金管理を行っていました。
担当開始時、レジ差異が月に3〜4回発生していました。締め作業を工程ごとに分けたチェック表を作成し、担当者が変わっても同じ順序で確認できる形に整えたところ、レジ差異は月0〜1回に減りました。あわせて、釣銭の準備と両替の手順も明文化し、開店前の準備時間を約20分短縮しました。
日々の現金と記録を一致させる作業を続けるなかで、数字の整合を取ること自体に手応えを感じ、経理職を志望するようになりました。日商簿記2級を取得済みで、現在は実務に向けて会計ソフトの操作を学習しています。
例文④:経理(1年未満)→ 経理
前職では製造業の経理部に配属され、10ヶ月間、仕訳入力と経費精算の処理を担当しました。月あたりの仕訳は約250件、経費精算は約120件です。
配属3ヶ月目から、経費精算の一次チェックを任されました。差し戻しが月に40件程度発生していたため、不備の内容を分類したところ、「領収書の宛名不備」「勘定科目の誤り」「日付の記載漏れ」の3つで7割を占めることが分かりました。この3項目に絞った記入例を作成して全社に共有し、差し戻しを月15件程度まで減らしました。
在籍期間は短いものの、日常経理の基本的な処理は一通り担当しております。貴社では月次決算まで担当できると伺っており、範囲を広げながら経験を積みたいと考えています。
例文⑤:経理 → 経理(決算・開示を目指す)
前職では小売業の経理部で2年間、日常経理と月次決算を担当しました。取扱店舗は12店舗、月次の仕訳は約600件です。
担当していた業務のうち、店舗別の損益集計に最も時間がかかっていました。各店舗から送られる日報の形式が統一されておらず、転記に月あたり約12時間を要していたためです。日報のフォーマットを統一し、集計用の表計算ファイルに自動で反映される形に変更したところ、この作業を月3時間程度まで短縮しました。
あわせて、年次決算では棚卸資産の評価と固定資産台帳の整備を担当しました。
貴社は上場企業であり、開示業務を含む決算に関わる機会があると伺っています。日常経理と月次決算の実務を土台に、年次決算・開示の領域まで担当範囲を広げていきたいと考えています。
例文⑥:事務職 → 経理(簿記取得済み・実務未経験)
前職では不動産管理会社の総務部で、契約書類の管理と請求処理を2年間担当しました。月に約180件の請求書を処理し、支払期日の管理も行っていました。
担当業務のうち、支払期日の管理を重視して取り組みました。担当開始時、支払漏れが年に数件発生していたため、期日の90日前・30日前・当月に確認する仕組みを作り、担当者へ通知する運用に変更しました。導入後、支払漏れはゼロになっています。
経理としての実務経験はありませんが、請求・支払の実務は日常的に扱ってきました。日商簿記2級を取得済みで、仕訳の考え方については学習を終えています。まずは日常経理から担当し、月次決算まで担える状態を目指したいと考えています。
7. 落ちる自己PRの型5つ
| 型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 正確性アピール型 | 「正確性には自信があります」 | 前提条件。全員が書く |
| 資格だけ型 | 「簿記2級を取得しています」で終わる | 実務との接続がない |
| 範囲曖昧型 | 「経理業務全般」 | どこまでできるか判断できない |
| 数字なし型 | 処理件数・規模が一切ない | 即戦力度が測れない |
| 性格型 | 「几帳面」「コツコツ型」 | 業務での具体例がない |
2番目の「資格だけ型」について補足します。簿記2級は経理職の応募で非常に多く見られる資格です。持っていることは前提に近く、それ自体では差がつきません。
差がつくのは、資格の知識を業務でどう使ったかです。「簿記の学習で得た知識をもとに、前職では処理していなかった減価償却の考え方を確認し、固定資産台帳の整備を提案しました」のように。
8. 面接で追撃される3つの質問
Q1.「月次決算は、どこまで一人でできますか」
経理職の面接で最も重要な質問です。ここで曖昧に答えると、最も低い想定で判断されます。「仕訳入力から試算表の作成までは単独で行い、最終の確認は上長が行っていました」のように、境界を明確に答えてください。
Q2.「使用していた会計ソフトを教えてください」
実務経験の裏取りです。ソフト名と、どの機能まで使っていたかを答えてください。使ったことのないソフトでも、「主要な会計ソフトは操作の考え方が共通しているため、キャッチアップできると考えています」と続けられます。
Q3.「ミスをしたときは、どう対応しましたか」
経理はミスが数字に直結する職種のため、必ず聞かれます。「ミスはありません」は答えになりません。①どんなミスをしたか、②どう発見したか、③どう再発を防いだか、の3点で答えてください。③が最も見られています。
9. よくある質問
未経験から経理に転職できますか?
できますが、簿記2級が実質的な条件になることが多いです。また、営業事務・総務・販売など、請求・支払・現金管理に触れていた経験があると、翻訳しやすくなります。完全に数字を扱っていない職種からの転職は、日商簿記2級+会計ソフトの学習をセットで用意してください。
簿記2級は必須ですか?
求人票で「必須」となっていることが多い資格です。実務経験がある場合は3級でも通ることがありますが、未経験なら2級を取得してから応募するほうが、選択肢が大きく広がります。取得に3〜6ヶ月かかるため、逆算して準備してください。
在籍1年未満でも経理として応募できますか?
できます。ただし、担当範囲が限定的であることが多いため、「何をどのくらいやったか」を正確に書いてください。例文④の形式が参考になります。在籍が短い場合、任された時期(「配属3ヶ月目から一次チェックを担当」)を書くと、立ち上がりの速さが示せます。
会計ソフトの経験がありません。
ソフト名は求人票で確認できます。主要な会計ソフトは操作の考え方が共通しているため、1つ使えれば移行は難しくありません。未経験の場合、無料の体験版やクラウド会計の個人向けプランで、仕訳入力の流れを一度体験しておくと、面接で話せる材料になります。
経理と財務は違いますか?
違います。経理は「過去の取引を記録・集計する」仕事、財務は「これからの資金をどう調達・運用するか」を扱う仕事です。第二新卒が未経験から入るのは、ほぼ経理です。財務は経理経験を積んだ後のキャリアとして考えてください。
事業会社と会計事務所、どちらがいいですか?
事業会社は1社の経理を深く、会計事務所は複数社の経理を広く経験できます。未経験からの入りやすさは会計事務所(税理士法人)のほうが高い傾向があります。ただし、繁忙期(確定申告・決算期)の負荷が大きい点は確認してください。
「幅広く担当しました」と書くのはダメですか?
それだけでは不十分です。「幅広く」の中身が伝わらないためです。第5章の担当範囲の表を使い、業務ごとに○×を明示してください。そのうえで「幅広く担当」と添えるのは問題ありません。
AI・自動化で経理の仕事はなくなりますか?
入力作業は自動化が進んでいますが、判断が必要な業務は残ります。勘定科目の判断、取引の実態の確認、決算での見積り。したがって、入力だけを続けるより、月次決算・年次決算の判断業務まで範囲を広げることが、実務上の対策になります。自己PRでも、判断を伴う業務を書くほうが評価されます。
10. まとめ:今夜やる3つのこと
経理の自己PRは、「正確です」から離れた瞬間に強くなります。規模と改善の2つを数字にしてください。
今夜やること
① 前職で扱っていた月あたりの処理件数を思い出して書く(仕訳、支払、請求、経費精算。概算で構いません)
② 「自分が始めたこと」を1つ書き出す(チェック表、締切の変更、記入例の作成、フォーマットの統一)
③ ②について、変える前と後の数字を書く(「差し戻し月40件→15件」「決算10営業日→6営業日」の粒度)
②と③が揃えば、経理の自己PRとして十分に機能します。規模の数字(①)は、その前提として最初の1文に置いてください。
この先、読むべき記事
- 経理の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(志望動機の書き方)
- 経理の面接|第二新卒が聞かれる想定問答13と評価される答え方(面接の準備)
- 事務職の自己PR|第二新卒の書類が通る例文6パターンと数字の出し方(事務系の自己PR)
- 職務経歴書のフォーマット|第二新卒が選ぶべき型と使い分け(書類全体の形)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。