経理の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方【2026年版】
〜「数字に強く、コツコツ取り組むのが得意です」で終わる志望動機が、なぜ全部同じに見えるのか。例文5パターンを全文で置いておきます〜
経理職の志望動機は、驚くほど似通います。並べるとこうなります。
「数字に強く、コツコツと正確に取り組むことが得意です」 「簿記2級を取得し、専門性を身につけて長く働きたいと考えています」 「会社を支える縁の下の力持ちとして貢献したいです」
3つとも悪くはありません。ただ、経理を志望する人の9割が同じことを書いています。特に「数字に強い」は、経理の実務で求められている能力とずれていることが多く、採用側には響きません。
この記事では、未経験・第二新卒が経理の志望動機を書くときに何を書けば読まれるのかを、例文5パターンの全文つきで整理します。
1. 結論:志望動機に入れる要素は3つだけ
経理の志望動機に入れる3要素
① 前職で「期限を守る仕組みを作った/ミスを減らした」場面(=正確性と締切耐性の証明)
② 経理の業務サイクル(日次・月次・年次)を理解していること(=職種理解)
③ その会社の規模・体制を見たうえでの理由(=なぜこの会社か)
未経験者が落とすのが②、差がつくのが③です。
書かなくていいのは「数字に強い」「コツコツ」「縁の下の力持ち」の3つです。全員が書きます。
2. なぜ「数字に強い」では通らないのか
2-1. 経理に必要なのは計算力ではなく「合わせる力」
これが最大の誤解です。経理の実務で計算をするのは会計システムです。人間がやるのは数字が合わない原因を探して、合わせることです。
- ✕「数字に強く、計算が得意です」→ システムがやる領域
- ○「差し戻しの原因を集計して、間違えられない形に変えました」→ 合わせるための設計
経理で評価されるのは、計算の速さではなく「照合と原因特定の粘り強さ」です。ここを取り違えている志望動機は、実務のイメージがないと判断されます。
2-2. 業務サイクルを理解しているか
経理の1年は、決まったリズムで動きます。ここに触れられると、それだけで実態を理解していると伝わります。
| サイクル | 主な業務 |
|---|---|
| 日次 | 仕訳入力、入出金の確認、経費精算のチェック |
| 月次 | 月次決算、請求・支払、売掛買掛の照合、試算表 |
| 年次 | 年度決算、税務申告の対応、監査対応、予算策定の支援 |
経理の忙しさは月末月初と決算期に極端に集中します。「繁閑の波がある職種だと理解している」と一言添えられると、続けられる人として見られます。
2-3. 事業会社と会計事務所は別の職種と考える
未経験の入口として、この2つは性質がかなり違います。
| 事業会社の経理 | 会計事務所・税理士法人 | |
|---|---|---|
| 見る範囲 | 1社を深く。事業の数字とつながる | 多数の顧問先を浅く広く |
| 求められるもの | 社内調整、業務の理解 | 処理の速度と正確性、税務知識 |
| 未経験の入口 | 中小企業なら比較的広い | 未経験可の求人が多い |
| 資格 | 簿記2級が目安 | 簿記2級〜、税理士科目が有利 |
「経理をやりたい」だけだと、どちらの求人にも刺さりません。求人票を見て、どちらを志望しているかを明確にしてください。
3. 実例:私が「間違えられない形」に変えた場面
私は経理の専任だったことはありませんが、営業時代にミスが起きる構造そのものを変えた経験があります。この形は経理の志望動機として非常に強く機能します。
入社2年目・月初
アシスタント「この見積、また金額が合ってないです」
私「すみません、どこですか」
アシスタント「割引率のところ。手で入れてますよね」
私「はい、都度計算して……」
アシスタント「それ、毎月誰かが間違えてます」
そこで、割引率を選ぶと金額が自動計算されるフォーマットに変えました。差し戻しが月12件から3件に減りました。
注意してほしいのは、私が「気をつけるようにした」わけではないことです。気をつけても人は間違えるので、間違えられない形にした。経理はこの考え方が業務の中心にある職種です。
4. 例文5パターン(全文)
4-1. 前職:営業事務・アシスタント → 経理(王道パターン)
前職では営業アシスタントとして、営業5名分の見積作成と受注処理を担当していました。書類の差し戻しが慢性的に多かったため、1年分の差し戻し理由を集計して上位3つで全体の7割を占めることを特定し、割引率を選択すると金額が自動計算される形にフォーマットを変更しました。結果として差し戻しが月平均12件から3件に減っています。気をつけるのではなく、間違えられない形にすることが正確性を保つ現実的な方法だと考えるようになりました。経理は、日次の仕訳から月次決算まで期限と正確性の両方が求められる職種だと理解しており、この考え方が直接活きると考えています。貴社は◯◯名規模で、経理も少人数で幅広く担当されると伺っており、業務全体を見たいと考え志望しました。
4-2. 前職:営業 → 経理(職種転換)
前職では中小企業向けに広告商材を担当し、契約から請求までの処理も自分で行っていました。入金の消込で毎月ズレが出ていたため、過去半年分の未消込を洗い出したところ、社名と振込名義が異なるケースが原因の大半だとわかり、契約時に振込名義を確認する項目を追加して、未消込の件数を8割減らしました。原因を特定して仕組みで潰す進め方に手応えがあり、それを本業にしたいと考えています。経理は月末月初と決算期に業務が集中する職種だと理解しており、繁閑の波があることも承知したうえで志望しています。簿記2級を学習中で、次回の試験を受験予定です。
4-3. 前職:販売・接客 → 経理(未経験度が高いケース)
前職ではアパレル店舗で接客販売を担当し、日次の売上金の締めとレジ精算も任されていました。レジ差異が月に数回発生していたため、差異が出た日の記録を3か月分並べたところ、特定の時間帯の交代時に集中していることがわかり、交代時に二人で現金を数え合わせる手順を追加して、差異をほぼゼロにしました。少額でも合わないものを放置しない姿勢は、この経験で身についたと考えています。経理は、日次の仕訳から月次決算まで数字を合わせ続ける仕事だと理解しており、原因を追う粘り強さが求められる点で適性があると考えています。簿記3級を取得済みで、2級を学習中です。
4-4. 前職:カスタマーサポート → 経理(正確性重視の環境)
前職では通信サービスのカスタマーサポートで、料金に関する問い合わせを月間約200件担当していました。誤案内が請求トラブルに直結する領域だったため、過去の誤案内の事例を分類して上位3項目を特定し、回答前に必ず確認する項目としてチーム内に共有した結果、該当する誤案内をほぼゼロにしました。わからないことをその場で推測しないという姿勢は、この業務で徹底して身につけています。経理は誤りが後工程に波及する職種だと理解しており、確認の手順を省略しない進め方が活きると考えています。貴社は◯◯業界で取引先が多く、請求処理の量が多い体制と伺っており、そこに貢献したいと考えています。
4-5. 前職:経理アシスタント・会計事務所 → 事業会社経理(実務経験あり)
前職では会計事務所で、顧問先15社の記帳代行と月次資料の作成を担当していました。顧問先ごとに資料の提出時期がばらばらで月末に業務が集中していたため、提出物のチェックリストを顧問先別に作成して事前に共有したところ、期日までの提出率が上がり、月次の完了が平均で3営業日早まりました。多数の会社を見る経験は積めた一方、数字の背景にある事業の動きまでは見えないもどかしさがありました。1社を深く見て、なぜこの数字になっているかを事業側と話せる立場で経験を積みたいと考えています。貴社は◯◯事業が伸長期にあり、数字の変化が大きい局面だと理解し志望しました。
5. 志望動機を1時間で作る手順
5-1. 【20分】「間違いを減らした場面」を掘る
次の3つに答えてください。
- 前職で、ミスや差し戻し、数字のズレが起きていた場面はどこか
- 原因を特定するために何をしたか(集計、記録の突き合わせ、聞き取り)
- どう変えて、件数はどう減ったか
「気をつけました」で終わっていると弱くなります。仕組みを変えた話にしてください。仕組みを変えていない場合は、「原因を特定した」ところまででも成立します。
5-2. 【20分】応募先の規模と体制を調べる
| 見る場所 | 読み取ること |
|---|---|
| 求人票の業務内容 | 担当範囲(仕訳のみ/月次まで/決算まで) |
| 会社概要 | 従業員数、拠点数、設立年 |
| 求人票の「配属先」 | 経理部の人数(少人数なら幅広く担当) |
| 事業内容 | 取引の性質(BtoB/BtoC、単発/継続課金) |
経理部の人数は最重要の確認事項です。少人数なら幅広く任される代わりに教育は手薄、大人数なら分業で深く学べる代わりに担当範囲が狭くなります。志望動機のブロック③は、ここに触れると具体性が出ます。
5-3. 【20分】3ブロックに流し込む
志望動機の型(250〜350字)
ブロック①:ミスの原因を特定して仕組みを変えた場面+数字(140字)
ブロック②:そこから経理のどこに関心が向いたか+繁閑への理解(70字)
ブロック③:貴社の規模・体制を踏まえて、なぜここか(100字)
ブロック②に「月末月初と決算期に業務が集中することを理解している」を1文入れてください。ここがあるだけで、続けられる人として読まれます。
6. 落ちる志望動機の型5つ
| NG型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 数字に強い型 | 「数字に強く、計算が得意です」 | 経理に必要な能力とずれている |
| コツコツ型 | 「コツコツ取り組むのが得意です」 | 全員が書く。検証できない |
| 資格型 | 「簿記2級を取得したので活かしたい」 | 資格は前提。動機になっていない |
| 安定型 | 「安定して長く働ける職種だと思い」 | 会社側の利益がない |
| 内勤希望型 | 「デスクワークで落ち着いて働きたい」 | 繁忙期の実態を理解していない |
特に資格型は多いです。簿記2級は「持っていて当然」に近い前提なので、それ自体は志望動機になりません。書くなら1行にとどめ、本体は前職の業務経験で構成してください。
7. 面接で必ず追撃される3問
7-1. 「なぜ経理なんですか。他の管理部門ではだめですか」
「管理部門の中でも、結果が数字として必ず出る点に惹かれています。人事や総務も重要ですが、経理は月次で必ず締めがあり、合っているか合っていないかがはっきりします。前職でも、差し戻しの件数という形で自分の改善の効果が見える状態が働きやすかったので、その性質が合っていると考えています」
7-2. 「月末月初は残業が増えますが、大丈夫ですか」
「大丈夫です」だけでは弱くなります。理解を示してください。
「業務が月末月初と決算期に集中する職種だと理解しています。前職の店舗でも月初の締め処理で業務が偏っていたので、繁忙期にやることを閑散期に前倒しできないかを考える習慣はあります。ただ、経理の場合は期日が動かせないものが多いと思うので、実際にどこまで平準化できるかは伺いたいです」
7-3. 「簿記の勉強はどこまで進んでいますか」
正直に答えてください。盛ると入社後にすぐわかります。
「3級は取得済みで、2級を学習中です。工業簿記に入ったところで、次回の試験を受験する予定です。実務では仕訳を切るところから覚えることになると理解しているので、資格の勉強と並行して、前職の請求書を見ながらどんな勘定科目になるかを考える練習をしています」
8. 職務経歴書との書き分け
| 書類 | 書くこと |
|---|---|
| 職務経歴書 | 担当業務、処理件数、使った会計ソフト・ツール |
| 志望動機 | なぜ経理か、なぜこの会社か |
| 自己PR | ミスを減らした実績1つの、原因特定の過程 |
使っていた会計ソフトやツールの名前は必ず書いてください。freee、マネーフォワード、勘定奉行、弥生、SAP。触ったことがあるだけでも書く価値があります。Excelのレベル(VLOOKUP、ピボット)も明記してください。書類全体の作り方は第二新卒の職務経歴書テンプレを参照してください。
9. よくある質問
簿記の資格がなくても応募できますか
できますが、3級は取っておいたほうが有利です。未経験可の求人でも「簿記3級以上」を要件にしているものが多く、書類の段階で弾かれる可能性があります。学習中であれば、その旨と受験予定を書いてください。
未経験から事業会社の経理に入れますか
中小企業なら十分に可能性があります。大手は経験者採用が中心ですが、従業員100名前後の企業では未経験からの採用が行われています。少人数の経理部だと幅広く任されるため、経験の積み上がりは早くなります。
会計事務所からのスタートはどうですか
実務経験を積む場としては有効です。未経験可の求人が比較的多く、多数の会社の帳簿を見られるため、仕訳の基礎は短期間で身につきます。ただし顧問先ごとの処理が中心なので、事業の中身までは見えにくい点が事業会社との違いです。
志望動機は何文字が適切ですか
Webフォームなら250〜350字、職務経歴書に書く場合は400字以内が目安です。経理職では文書の正確さも見られるので、誤字脱字と数字の表記ゆれは特に厳しく確認してください。
「数字に強い」以外に、どんな強みを書けばいいですか
「期限を守る」「原因を追う」「確認の手順を省略しない」の3つが、経理で最も評価される性質です。前職でこれらを発揮した場面を1つ書いてください。
経理から他の職種に移れますか
財務、経営企画、内部監査への道があります。特に経営企画は、数字を読める人材として経理出身者が採られることがあります。ただし志望動機に「いずれ経営企画へ」と書くと定着性を疑われるので、面接で聞かれたときに答える程度にとどめてください。
年収は上がりますか
未経験入社では下がるケースが多いです。特に営業からの転換ではインセンティブがなくなります。ただし経理は経験年数で単価が上がりやすく、決算を締められるようになると市場価値が明確に上がります。交渉の考え方は第二新卒の年収交渉を参照してください。
在籍期間が短くても大丈夫ですか
管理部門は定着性を重く見ます。退職理由と志望動機が一貫していることが前提です。整理の仕方は退職を悩む期間を最短化する3つの判断軸を参照してください。
10. まとめ
経理の志望動機は、数字への得意意識ではなく間違いを減らした経験で決まります。
今夜やる3つのこと
① 前職で「ミスや数字のズレが起きていた場面」を1つ選び、原因の特定から変えたことまでを3行で書く
② 求人票を見て、経理部の人数と担当範囲(仕訳のみ/月次まで/決算まで)を確認する
③ ブロック②に「月末月初と決算期に業務が集中することを理解している」を1文入れる
①で「気をつけました」ではなく「仕組みを変えました」と書けるかどうかが、他の応募者との分かれ目です。
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この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。