エージェントの推薦文とは|第二新卒が中身を知って書類通過率を上げる方法【2026年版】
〜あなたの書類には、あなたが書いていない1枚が添えられています〜
転職エージェント経由で応募すると、企業に届くのは職務経歴書と履歴書だけではありません。
担当者が書いた「推薦文」(推薦状、推薦コメント)が、一緒に送られます。
これは、応募者本人がほとんど意識していない書類です。そして、書類選考の結果に、実際に影響します。
採用担当者は、大量の応募書類を短時間で見ます。そのとき、職務経歴書を読む前に推薦文を読むことがあります。推薦文で興味を持てば職務経歴書を精読し、興味を持たなければ流し読みで終わる。この差は小さくありません。
そして、推薦文の質は、あなたが担当者に何を伝えたかで決まります。
この記事では、推薦文に何が書かれているかと、その内容を良くするために担当者へ渡すべき材料を整理します。
1. 結論:推薦文の質は、初回面談で決まる
| 推薦文に書かれること | 元になる情報 |
|---|---|
| ① 経歴の要約 | 職務経歴書 |
| ② 人物の印象 | 初回面談での会話 |
| ③ 転職理由の補足 | 面談で話した内容 |
| ④ その企業に推す理由 | 面談+求人の要件 |
| ⑤ 転職への本気度・時期 | 面談での申告 |
①以外は、すべて面談での会話が元になります。
つまり、初回面談で話さなかったことは、推薦文に書かれません。
そして、②が最も重要です。
職務経歴書には、人柄は書けません。「明るい」「粘り強い」と自分で書いても、説得力がありません。
ところが、第三者である担当者が書けば、それは評価になります。
「面談時の受け答えが的確で、自分の言葉で説明できる方です」という1文は、応募者本人には書けません。
2. なぜ推薦文が効くのか
採用担当者の立場で考えてください。
1つのポジションに、30通の応募書類が届いたとします。
| 状況 | 1通あたりにかける時間 |
|---|---|
| 30通を1時間で見る | 1通2分 |
| 30通を2時間で見る | 1通4分 |
2分で職務経歴書を精読することはできません。
そこで、担当者は「読む順番」をつけます。推薦文で「この人は見る価値がある」と判断した書類から、じっくり読みます。
推薦文の役割は、あなたの書類を「読まれる側」に置くことです。
推薦文がない場合との違い
| 応募経路 | 添えられるもの |
|---|---|
| 転職サイト・直接応募 | 書類のみ |
| エージェント経由 | 書類+推薦文 |
これが、エージェント経由の利点の1つです。
ただし、逆もあります。推薦文が薄いと、書類が読まれない側に置かれます。
「エージェント経由だから有利」ではなく、「推薦文の質次第」です。
3. 編集長の実体験:推薦文を見せてもらった日
私が第二新卒で転職活動をしていたとき、担当者に推薦文を見せてもらったことがあります。
きっかけは、書類選考の通過率が思ったより高かったことでした。5社出して4社通っていました。
私「書類、思ったより通ってますね」
担当者「そうですね。推薦文、けっこう書き込んでます」
私「推薦文、って何が書いてあるんですか」
担当者「見ます?」
私「見られるんですか」
担当者「基本は見せないんですけど、木戸さんの場合は見てもらった方が、面接の準備になると思います」
送られてきた推薦文は、A4で3分の2ほどの長さでした。
驚いたのは、私が面談で話した内容が、そのまま使われていたことです。
「単発の出稿で関係が終わることに違和感があった」という話。これを面談で15分ほど話したのですが、推薦文では3行に要約されて、志望動機の裏付けとして使われていました。
そして、こういう1文がありました。
「面談時、前職の課題について自分の言葉で説明されており、単なる不満ではなく、次に何をしたいかまで整理されている印象を受けました」
これは、私が自分で書ける文ではありません。
そして、私はこの1文を読んで、面接での話し方を変えました。
「この推薦文を読んだ面接官は、私が『整理できている人』だと思って会う」と分かったからです。だから、面接では整理された話し方を意識しました。
ここで学んだのは2つです。
1つ目:推薦文は、面談で話した内容から作られる。だから、面談では惜しまず話すべきです。
2つ目:推薦文の内容を知っていると、面接での立ち回りが変わる。面接官が持っている前提が分かるからです。
4. 推薦文に実際に書かれる5項目
① 経歴の要約(3〜5行)
「現在、広告代理店にて法人営業を1年半ご担当。飲食・宿泊業界を中心に40社を担当され、年間予算3,000万円を管理。受注率を18%から27%へ改善された実績をお持ちです。」
職務経歴書の内容を、担当者が要約します。ここは、職務経歴書の質がそのまま反映されます。
② 人物の印象(2〜4行)
「面談での受け答えが的確で、自分の考えを構造的に説明される方です。質問に対して、事実と自身の判断を分けて話される点が印象的でした。」
ここが、応募者本人には書けない部分です。
そして、初回面談での話し方が、そのまま反映されます。
③ 転職理由の補足(3〜5行)
「転職理由は、単発の取引で顧客との関係が終わることへの課題意識です。ネガティブな不満ではなく、継続的に顧客と関わる仕事をしたいという方向性が明確です。」
推薦文の中で、最も価値がある部分です。
職務経歴書に書く退職理由は、簡潔にせざるを得ません。そこを、推薦文が補います。
④ その企業に推す理由(2〜4行)
「貴社の◯◯は契約が継続する商材であり、ご本人が求める顧客との関係性と合致しています。また、未経験からの職種転換を受け入れる貴社の育成体制とも合うと考えております。」
ここが薄いと、「誰にでも送っている推薦文」に見えます。
⑤ 本気度・入社可能時期(1〜2行)
「転職への意思は明確で、現職の引き継ぎを含め、内定後2ヶ月以内の入社が可能です。」
企業は、採用してもすぐ来られない候補者を敬遠します。
入社可能時期を明確に伝えておくことが、地味に効きます。
5. 推薦文を良くする5つの材料
初回面談で、次の5つを担当者に渡してください。
| # | 渡す材料 | 推薦文のどこに効くか |
|---|---|---|
| ① | 数字を伴う実績3つ | ①経歴の要約 |
| ② | 自分で判断して動いた場面1つ | ②人物の印象 |
| ③ | 転職理由を「不満」ではなく「方向」で説明 | ③転職理由 |
| ④ | 避けたい条件3つ | ④推す理由(ミスマッチ回避) |
| ⑤ | 入社可能な最短時期 | ⑤本気度 |
②が最も効きます。
「言われたことをやった」話ではなく、「自分で気づいて動いた」話を1つ用意してください。
例
「受注のミスが月5件ほど出ていることに気づいて、確認項目をチェックリストにして提案しました。採用されて、月1件以下になりました。」
この話を面談でしていれば、推薦文の「人物の印象」の欄に反映されます。
していなければ、書かれません。
③の言い換え
| 不満としての表現 | 方向としての表現 |
|---|---|
| 残業が多くて限界だった | 業務の質を上げることに時間を使いたい |
| 上司と合わなかった | チームで議論しながら進める環境で働きたい |
| 給与が低い | 成果が評価に反映される環境で働きたい |
| 単発の営業がつまらない | 継続して顧客に関わる仕事がしたい |
面談で左の表現を使うと、推薦文にも近い表現が入ります。
右の表現で話してください。
退職理由の整理については、専用の記事も参考にしてください。
6. 推薦文を見せてもらえるか
結論:依頼すれば、見せてもらえることがあります。ただし、断られることもあります。
| 対応 | 理由 |
|---|---|
| 見せてもらえる | 応募者の面接準備に役立つと判断された場合 |
| 見せてもらえない | 社内規定で開示していない場合 |
これは、エージェントの方針と担当者の判断によります。
依頼の仕方
「応募にあたって推薦文を作成いただいているかと思います。面接での説明と齟齬が出ないようにしたいので、内容を共有いただくことは可能でしょうか。」
「齟齬が出ないように」という理由が有効です。
推薦文と面接での発言が食い違うと、企業側が混乱します。これは担当者にとっても避けたいことです。
見せてもらえない場合
次の3点だけでも聞いてください。
- 「どういう点を推していただいていますか」
- 「転職理由は、どのように書かれていますか」
- 「私の印象として、どんな点を挙げられましたか」
全文は見られなくても、要点は答えてもらえることが多いです。
そして、この3点が分かれば、面接での話し方を合わせられます。
7. 推薦文と面接での発言が食い違うとき
これが、最も避けるべき事態です。
| 推薦文 | 面接での発言 | 面接官の受け取り |
|---|---|---|
| 継続的に顧客と関わりたい | 早くマネジメントに進みたい | 方向が不明 |
| 未経験だが学習意欲が高い | 前職の経験を活かしたい | 話が違う |
| 2ヶ月以内に入社可能 | 引き継ぎに4ヶ月かかる | 信用が下がる |
食い違いが起きる原因は、面談から面接までの間に考えが変わることです。
考えが変わること自体は、問題ありません。
問題は、担当者に伝えていないことです。
対処
考えが変わったら、面接の前に担当者へ伝えてください。
「面談時に『◯◯』とお伝えしましたが、その後求人を見る中で、△△の方が近いと考えるようになりました。推薦の際に反映いただけますでしょうか。」
推薦文はまだ送っていない企業もあります。早く伝えるほど、修正が効きます。
8. 推薦文がないケース
すべての応募に推薦文がつくわけではありません。
| 状況 | 推薦文 |
|---|---|
| エージェント経由の応募 | つく(通常) |
| 転職サイトからの直接応募 | つかない |
| 企業の採用ページからの応募 | つかない |
| スカウトからの応募 | つかない場合が多い |
| 大量に候補者を送る求人 | 定型文になることがある |
最後の行に注意してください。
担当者が同じ求人に10人送る場合、推薦文が定型的になることがあります。
この場合、推薦文の効果はほぼありません。
だから、職務経歴書の質は、推薦文に関係なく上げておく必要があります。
推薦文は「上乗せ」であって、「代替」ではありません。
9. よくある質問
推薦文は、必ず書かれますか?
エージェント経由の応募では、通常書かれます。ただし、内容の詳しさは担当者によって差があります。初回面談で多くを話しておくことが、内容を厚くする唯一の方法です。
推薦文の内容を、自分で指定できますか?
指定はできませんが、材料を渡すことはできます。「この実績を推していただけますか」「この点を強調していただけますか」と依頼することは可能です。担当者はその材料を使って書きます。
推薦文にマイナスのことは書かれますか?
基本的に書かれません。エージェントは候補者を推薦する立場です。ただし、経験不足など企業側が確認すべき点は、「未経験ではありますが」といった形で触れられることがあります。
複数のエージェントを使う場合、推薦文も複数書かれますか?
応募したエージェントごとに書かれます。同じ企業に複数経路で応募すると、内容の違う推薦文が2通届くことになり、混乱を招きます。重複応募は必ず避けてください。
推薦文が良ければ、書類は通りますか?
通るとは限りません。推薦文は、書類を「読まれる側」に置く効果はありますが、要件を満たしていない候補者を通す力はありません。職務経歴書の質が土台です。
面接で「エージェントの推薦文を読みました」と言われたら、どう返しますか?
「ありがとうございます」で受けて、内容の確認をしてください。「どのような点に触れられていましたでしょうか」と聞くのは失礼ではありません。ただし、事前に担当者に確認しておく方が安全です。
推薦文は誰が書きますか?
面談を担当したキャリアアドバイザーが書くのが一般的です。エージェントによっては、企業側の担当者(リクルーティングアドバイザー)が書き足すこともあります。いずれにせよ、元の情報は初回面談です。
職務経歴書が完璧なら、推薦文は気にしなくていいですか?
気にしなくても大きな問題はありません。ただし、推薦文にしか書けないもの(人柄、面談での印象、転職理由の背景)があります。初回面談で材料を渡す手間は、5分程度です。やっておく価値はあります。
10. まとめ:次の面談でやる3つのこと
推薦文は、あなたが書いていないのに、あなたの書類に添えられる1枚です。
そして、その中身は初回面談での会話から作られます。面談で話さなかったことは、書かれません。
次の面談でやること
① 数字を伴う実績を3つ、口頭で伝える(件数・変化・順位のどれか)
② 「自分で気づいて動いた場面」を1つ話す(ここが人物評価になる)
③ 転職理由を「方向」の言葉で伝える(不満の言葉を使わない)
目安時間:面談内の10分
②を必ず入れてください。
職務経歴書には書ききれない部分であり、推薦文の「人物の印象」欄は、ここからしか作れません。
そして、応募後に「どういう点を推していただいていますか」と1度聞いてください。面接での話し方が変わります。
この先、読むべき記事
- 転職エージェントの面談|第二新卒が聞かれる12のことと準備しておくもの(面談で何を話すか)
- 転職エージェント利用の流れ|第二新卒が登録から内定まで進む7ステップ(全体の流れ)
- 退職理由の書き方|第二新卒が書類で落ちない3行の型と書かないこと(転職理由の整理)
- 職務経歴書のフォーマット|第二新卒が選ぶべき型と使い分け(土台となる書類)
- 転職エージェント担当者の見極め方|第二新卒が初回面談で判別する6項目(担当者の質の見極め)
- 未経験職種を紹介してもらう|第二新卒がエージェントに渡す3つの材料(未経験職種の推薦材料)
- エージェントにどこまで正直に話すか|第二新卒が隠すと不利になる5つ(面談で伝える範囲)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。