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転職するか残るか|第二新卒が5つの軸で決めきるための判断表【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約17分
転職するか残るか|第二新卒が5つの軸で決めきるための判断表【2026年版】

〜「転職すべきかどうか」に答えは出ません。出るのは「何が変われば残れるか」です〜

転職するか、今の会社に残るか。この問いを何ヶ月も抱えたまま動けない人は、とても多いです。

理由ははっきりしています。「転職すべきか」という問いの立て方が、答えの出ない形をしているからです。転職には良い面と悪い面が両方あり、比べようとすると必ず引き分けになります。

答えが出る問いは、別の形をしています。「何が変われば、この会社に残れるのか」です。この問いなら答えが出ますし、答えが出た瞬間に次の行動が決まります。

この記事では、5つの判断軸で「残れる条件」を洗い出し、それが実現可能かを確認する手順を書きます。

1. 結論:判断は3ステップで終わる

① 不満を「変えられるもの」と「変えられないもの」に分ける

不満の中には、社内の異動や交渉で変えられるものと、会社の構造上どうにもならないものがあります。この2つを混ぜたまま考えているから、答えが出ません。

② 変えられるものについて、実際に動いてみる

上司への相談、異動希望の提出、業務分担の交渉。やってみて変わらなければ、それは「変えられないもの」に移動します。これで判断材料が確定します。

③ 「変えられないもの」が、3年耐えられるかで決める

3年です。1年だと短すぎて我慢の範囲に入りますし、10年だと想像がつきません。「この状態があと3年続いても大丈夫か」と問うと、たいていの人は即答できます。

2. なぜ「転職すべきか」に答えが出ないのか

転職を検討するとき、多くの人が次のような比較をします。

転職するメリット転職しないメリット
環境が変わる人間関係が分かっている
年収が上がるかもしれない収入が途切れない
新しい経験ができる業務に慣れている
キャリアの選択肢が広がる在籍年数が積み上がる

この比較は、永遠に決着しません。どちらにも正しいことが書いてあり、重みづけの基準がないからです。

問題は、比較の対象が「転職」という漠然としたものになっていることです。転職は手段であって、それ自体に良し悪しはありません。

正しい問いは、こうです。

「今の会社で、何が変われば残るのか」

「その変化は、現実的に起こりうるか」

この2つに答えると、判断は自動的に決まります。変わる見込みがあるなら残る、ないなら移る。それだけです。

3. 編集長の実体験:「残る条件」を書き出して決まった話

私が第二新卒で転職を決めたとき、実は3ヶ月ほど迷っていました。

当時の不満は、大きく4つありました。紙媒体の将来性への不安、提案の幅が狭いこと、残業が月60時間程度あったこと、そして上司との相性です。

先輩に相談したとき

「4つ全部が理由だと思ってるでしょ。でも、そのうち会社が変えられるものと、変えられないものがあるよね」

「……たしかに、上司は異動があれば変わりますね」

先輩「残業も、担当の割り振り次第で変わる可能性がある。じゃあ残り2つは?」

「紙媒体の将来性は、会社にどうにかできる話じゃないです。提案の幅も、扱ってる商材が広告枠しかないので……」

先輩「じゃあ、それが答えじゃない?」

この整理で、私の中の判断は変わりました。

不満変えられるか実際にどうなったか
上司との相性異動があれば変わる半年後に異動の可能性はあった
残業月60時間担当の調整で変わりうる上司に相談したが、体制上難しかった
紙媒体の将来性会社では変えられない
提案の幅(商材が広告枠のみ)会社では変えられない

変えられないものが2つ残りました。そして、その2つは私にとって最も大きい不満でした。

「この2つが変わらないまま、あと3年働けるか」と自問して、答えは「働けない」でした。そこで転職を決めました。

逆に、もし残った2つが「上司との相性」と「残業」だったら、私は転職しなかったと思います。どちらも、異動や交渉で変わる可能性があるからです。

不満の数ではなく、変えられない不満の中身で決まる——これが、このときの結論でした。

4. 5つの判断軸

不満を整理するための軸です。それぞれについて、「変えられるか」を判定してください。

軸1:業務内容

不満の内容変えられる可能性
担当業務が単調で成長がない△ 異動・担当変更で変わりうる
やりたい業務を担当できない△ 社内公募・異動希望で可能性あり
扱っている商材・事業そのものに関心が持てない× 会社を変えるしかない
業界の将来性に不安がある× 会社では変えられない

軸2:労働環境

不満の内容変えられる可能性
残業が多い△ 担当調整・部署異動で変わりうる
休日出勤が常態化△ 部署による差が大きい
勤務地・転勤△ 会社の制度による
業界構造として長時間労働が前提× 会社を変えるしかない

軸3:人間関係

不満の内容変えられる可能性
特定の上司・同僚と合わない○ 異動で解決することが多い
部署全体の雰囲気が合わない△ 異動で変わりうる
会社全体の文化・価値観が合わない× 会社を変えるしかない
ハラスメントを受けている別問題。相談窓口へ(第8章)

軸4:待遇

不満の内容変えられる可能性
現在の給与が低い△ 昇給・評価で変わりうる
評価制度に納得できない△ 制度改定の可能性はある
業界・企業規模として給与水準が低い× 会社を変えるしかない
昇給の上限が見えている× 会社を変えるしかない

軸5:キャリアの方向

不満の内容変えられる可能性
社内に目指したいポジションがない× 会社を変えるしかない
3年後に書きたい職務経歴書が書けない× 会社を変えるしかない
身につけたいスキルが業務で得られない△ 異動・社内公募次第
会社が縮小・撤退傾向にある× 会社を変えるしかない

×が1つでもあり、それが自分にとって最も重い不満なら、転職が合理的な選択です。逆に、△と○ばかりなら、まず社内で動いてみる価値があります。

5. 「変えられるもの」に対して、社内で動く手順

社内で試すのは、遠回りではありません。試した事実が、転職の際の説得材料にもなります。面接で「社内で解決を試みましたか」と必ず聞かれるためです。

手順1:上司との1対1で、事実として伝える(30分)

感情ではなく、事実と要望を分けて伝えます。

✕ 「業務がきつくて限界です」

○ 「直近3ヶ月の残業が月70時間前後で推移しています。案件の割り振りについて、一度ご相談させていただけますか」

数字を出すと、話が具体的になります。

手順2:異動希望を正式に出す(制度がある場合)

多くの会社に自己申告制度や社内公募があります。「言っても無駄だろう」と思って出していないケースが非常に多いですが、出さないと検討の対象にすらなりません。

手順3:2〜3ヶ月、様子を見る

伝えた直後に変わることはまれです。2〜3ヶ月が判断の目安です。この期間に何も動かなければ、「変えられないもの」として確定できます。

手順4:並行して、転職活動の準備だけ始めておく

社内で動くことと、転職の準備をすることは矛盾しません。職務経歴書を作り、転職サイトに登録し、市場に自分の求人がどのくらいあるかを見る。これは在職中にできますし、残ると決めた場合も無駄になりません。

6. 「残る」と決めた場合にやること

残るという判断も、立派な選択です。ただし、何もせずに残ると、半年後に同じ場所で同じことを考えることになります。

やることなぜ必要か
残る条件を1行で書いておく「◯◯が続く限り残る」を明文化する
見直しの日付を決める半年後・1年後に再判断する日をカレンダーに入れる
職務経歴書だけは作っておく状況が変わったとき、ゼロから始めずに済む
社外の情報に触れる習慣を作る転職サイトに登録して、月1回求人を見るだけでよい
現職で数字の実績を1つ作るどちらに転んでも資産になる

最後の項目が最も重要です。残ると決めた期間を、「実績を作る期間」として使ってください。数字で語れる実績が1つあれば、将来転職する場合の書類が大きく変わります。

7. 決めきれないときの「3ヶ月ルール」

何をどう整理しても決められない場合があります。その場合は、期限を切ってください。

3ヶ月ルール

① 今日から3ヶ月間、社内で変えられることに全部取り組む(相談、異動希望、業務調整)

② 同時に、職務経歴書を作り、転職サイトに登録する(応募はしなくてよい)

③ 3ヶ月後の日付をカレンダーに入れ、その日に「変わったか」を判定する

この3ヶ月で、判断材料が確定します。変わったなら残る、変わらなかったなら動く。どちらにしても、3ヶ月後には決められる状態になっています。

迷い続けることの最大のコストは、時間そのものです。第二新卒の枠は年齢で区切られるため、迷っている間にポテンシャル採用の対象から外れていきます。期限を切ることは、決断を早めるためではなく、迷う期間を有限にするためのものです。

8. 判断の前に、別の対応が必要な場合

次の状況にある場合、この記事の判断表より先に対応すべきことがあります。

状況対応
ハラスメントを受けている会社の相談窓口、または各労働局の「総合労働相談コーナー」(無料)
賃金の未払い・違法な長時間労働がある労働基準監督署
心身の不調が続いているまず医療機関。判断はその後で構いません
退職を申し出ても受理されない総合労働相談コーナー。法的には申出から2週間で退職可能

特に3番目について。心身に不調が出ている状態では、正常な判断ができません。「転職すべきかどうか」を考える前に、休むか、専門家に相談することを優先してください。判断は、体調が戻ってからでも遅くありません。

9. よくある質問

在籍1年未満ですが、辞めてもいいですか?

期間だけを理由に我慢する必要はありません。ただし、書類選考で在籍の短さについて説明を求められるため、転職理由を具体的に整理しておく必要があります。「入社前の説明と実際の業務が大きく異なり、確認したうえで変更が難しいと分かった」のように、事実として検証可能な形で説明できれば、通過します。

「石の上にも三年」は本当ですか?

職種によります。専門性が積み上がる職種(経理・エンジニア・労務など)では、3年で一通りの経験が揃うという意味で合理性があります。一方、業務内容が1年で一巡する職種では、3年目も同じことの繰り返しになります。「3年いれば何かが身につく」のではなく、「身につくかどうかで判断する」のが正しい順序です。

隣の芝が青く見えているだけではないですか?

その可能性はあります。確認方法は「今の不満が、転職先で確実に解消されるものか」を検証することです。求人票と面接で確認できることなら検証可能ですし、できないなら期待でしかありません。「残業が減る」は求人票と面接で確認できますが、「人間関係が良くなる」は確認できません。

転職しても同じことになりませんか?

不満の原因が「変えられないもの(業界構造・事業内容)」なら、環境を変えれば解消します。一方、原因が自分の働き方や関わり方にある場合、転職しても再現する可能性があります。第4章の5軸で×がついた項目が明確なら、環境要因である可能性が高いです。

上司に相談したら、辞める気だと思われませんか?

業務の相談として伝えれば、そうはなりません。「残業時間について相談させてください」「担当業務の幅について相談させてください」は、通常の業務相談の範囲です。「辞めようか迷っています」という言い方だけは避けてください。それを言うと、相談ではなく退職の意思表示として扱われます。

転職活動を始めたら、残るという選択はできませんか?

できます。内定を辞退することも、選考を途中で止めることも自由です。むしろ、転職活動をして市場の状況を知ったうえで「今は残る」と決めるほうが、納得度の高い判断になります。活動を始めることと、転職することは別です。

周りが辞めていくと焦ります。

他人の判断は、その人の条件に基づいたものです。同じ会社にいても、担当業務も、家庭の事情も、キャリアの方向も違います。焦りが判断材料になることはありません。自分の「変えられないもの」が何かに集中してください。それが明確なら、周りが辞めても残っても、判断は変わりません。

親や家族に反対されています。

家族の意見は、生活への影響という点で妥当な懸念を含んでいることがあります。反対の理由が「収入が途切れること」なら、在職中に転職活動をして内定を得てから辞める、という段取りで解消できます。反対の理由が「石の上にも三年」といった一般論なら、第4章で整理した「変えられない不満」を具体的に説明するほうが、話が進みます。

10. まとめ:今夜やる3つのこと

「転職すべきか」は答えの出ない問いです。「何が変われば残れるか」に置き換えると、答えが出ます。

今夜やること

① 今の不満を全部書き出す(数は問いません。思いつく限り)

② 第4章の5軸を見ながら、それぞれに「変えられる/変えられない」の印をつける

③ 「変えられない」がついた不満について、「これがあと3年続いても大丈夫か」を自問する

③に「大丈夫ではない」と答えたなら、それが結論です。逆に「変えられる」ばかりなら、まず上司に相談する日を今週中に決めてください。どちらにしても、今夜30分で次の行動が決まります。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。