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退職を言い出せないとき|第二新卒が切り出すまでの手順と台本【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約16分
退職を言い出せないとき|第二新卒が切り出すまでの手順と台本【2026年版】

〜言い出せないのは性格の問題ではなく、準備が足りていないだけです〜

内定は出た。入社日も決まりそう。でも、上司に言い出せない。

気づけば1週間、2週間と経っている。

これは、第二新卒の転職で最も多い停滞です。そして、この停滞には実害があります。

退職を伝えるのが遅れると、引き継ぎの期間が圧迫され、入社日を遅らせるか、円満に辞められないかのどちらかになります。

ただ、「勇気を出しましょう」と言われて出せる人はいません。

言い出せない理由は、たいてい4つのうちのどれかです。そして、それぞれに具体的な対処があります。

「怖い」という感情の問題ではなく、「何を、どの順番で言えばいいか決まっていない」という準備の問題です。

この記事では、切り出せない4つの理由と対処、そしてそのまま使える台本を用意します。

1. 結論:やることは3つだけ

#やること所要時間
言う日時を決める(カレンダーに入れる)3分
最初の1文を紙に書く5分
上司にアポイントを取る(内容は言わない)1分

③まで済めば、あとは当日を迎えるだけです。

言い出せない人の多くは、①をやっていません。「そのうち」「機会があれば」と思っているうちに、機会は来ません。

機会は作るものです。

アポイントの取り方

内容を言わずに時間を確保します。

「◯◯さん、15分ほどお時間をいただきたいのですが、明日の夕方はいかがでしょうか。お伝えしたいことがあります。」

「お伝えしたいこと」で十分です。

「相談があります」と言うと、相談として扱われ、引き止めの余地を与えます。

退職の意思はすでに固まっているので、「伝える」です。

2. 言い出せない4つの理由と、それぞれの対処

理由実態対処
引き止められるのが怖い断り方を知らない断る文を先に用意する
迷惑をかけると思う責任範囲を広く見積もりすぎ引き継ぎ計画を作る
言うタイミングがない機会を待っているアポを取る
怒られると思う過去の場面を想像している台本を用意する

① 引き止められるのが怖い

引き止めは、高い確率で来ます。

だから、「来ない」と期待するのではなく、「来たときにどう返すか」を先に決めておきます。

引き止めの言葉返し方
「もう少し考え直してくれないか」「考えた上での結論です」
「給与を上げる」「金額の問題ではありません」
「異動を検討する」「業務内容の問題ではなく、方向性の問題です」
「後任が決まるまで待ってくれ」「引き継ぎには全力で協力します。退職日は◯月◯日で調整させてください」

共通するのは、「感謝を述べてから、結論は変えない」です。

引き止めへの対応は、専用の記事に詳しくまとめています。

② 迷惑をかけると思う

この感覚は、責任範囲を実際より広く見積もっていることから来ます。

次の質問に答えてください。

質問答え
あなたが1ヶ月休んだら、会社は止まりますか止まりません
あなたの業務を引き継げる人はいますかいない場合は、それは会社の体制の問題です
あなたが辞めた後、その業務はどうなりますか誰かが担当します

「自分がいないと回らない」という感覚は、たいてい過大評価です。

それでも不安なら、引き継ぎ計画を先に作ってください。

「引き継ぎの資料を用意しています」と言えると、切り出すときの心理的な負担が大幅に下がります。

③ 言うタイミングがない

タイミングは、来ません。

忙しくない週も、上司の機嫌が良い日も、来ないと思ってください。

やることは、アポイントを取ることだけです。

④ 怒られると思う

怒られる可能性は、ゼロではありません。

ただし、怒られたところで、退職はできます。

退職の意思表示は、法的に認められた行為です。上司の感情は、退職の可否とは関係ありません。

怖いのは「怒られること」ではなく、「怒られたときに何を言えばいいか分からないこと」です。

台本を用意すれば、その場で考える必要がなくなります。

3. 編集長の実体験:3週間言い出せなかった話

私が第二新卒でSaaS企業に転職を決めたとき、内定承諾から上司に伝えるまで、3週間かかりました。

言えなかった理由は、②です。

当時、私は担当エリアの40社を一人で持っていました。チームは私を含めて3名で、明らかに人手が足りていませんでした。

「自分が抜けたら、確実に回らなくなる」と思っていました。

3週間経った頃、エージェントの担当者から連絡が来ました。

担当者「入社日の件、先方から確認が入っています。上司の方にはお伝えいただけましたか」

「……まだです」

担当者何が引っかかってますか

「40社持ってて、引き継ぐ人がいないんです。抜けたら回らないので」

担当者木戸さん、それ、会社が解決する問題です

「でも……」

担当者人が足りてないのは、木戸さんが辞めるからじゃなくて、元から足りてないんですよ。木戸さんが辞めなくても、いつか誰かが辞めます。そのときのために体制を作るのは、木戸さんの仕事じゃないです

「……」

担当者木戸さんがやるべきなのは、引き継ぎ資料を作ることまでです。そこまでやれば、十分すぎるくらいです」

この会話の後、私は引き継ぎ資料を作り始めました。

40社の担当リスト、それぞれの担当者名、直近のやり取り、次のアクション。Excelで2日かけて作りました。

そして、それを持って上司にアポを取りました。

切り出したとき、こう言いました。

お時間をいただきありがとうございます。退職させていただきたく、ご相談に参りました。担当している40社について、引き継ぎの資料をまとめてきました。」

上司の反応は、想像していたものとまったく違いました。

「そうか」と言った後、少し黙って、それから「引き継ぎ資料、もう作ったのか」と言いました。

怒られませんでした。

後で分かったことですが、上司は私が転職活動をしていることに、うすうす気づいていました。

ここで学んだのは2つです。

1つ目:資料を持っていくと、話の性質が変わる。「辞めたい」という相談ではなく、「辞める準備ができている」という報告になります。

2つ目:3週間の遅れは、完全に無駄だった。その3週間で、私は何も解決していません。ただ不安なまま過ごしただけです。

4. 伝える相手・場所・時間

相手

必ず直属の上司が最初です。

順番相手
1直属の上司
2上司が指定した相手(部長、人事)
3チームメンバー(上司の許可後)
4取引先(会社の指示に従う)

人事に先に相談してはいけません。

人事から上司に伝わると、上司の面目が潰れ、その後の引き継ぎが難しくなります。

同僚に先に話すのも避けてください。噂として上司の耳に入ると、最悪の形になります。

場所

場所適否
会議室(個室)最適
オンライン(1対1)可(リモート中心の職場なら)
上司の席の横不可(周囲に聞こえる)
飲み会の場不可
メール・チャットのみ不可(対面が原則)

個室を確保してください。

リモート勤務が中心の職場では、オンラインの1対1で構いません。ただし、チャットで済ませるのは避けてください。

時間

タイミング適否
週の半ば(火〜木)推奨
月曜の朝避ける(週の立ち上がり)
金曜の夕方避ける(週末を挟んで話が止まる)
終業前の30分推奨
繁忙期のピーク可能なら避ける

終業前を推奨する理由は、話が長引いても業務に影響しないからです。

そして、退職の話は1回で終わりません。その日は「伝える」だけで、詳細は後日になります。

5. そのまま使える台本

基本の型(3文)

① 結論

お時間をいただきありがとうございます。私事で恐縮ですが、退職させていただきたく、ご報告に参りました。

② 理由(簡潔に)

◯◯の分野に挑戦したいと考えており、そのための機会をいただきました。

③ 誠意

引き継ぎについては、責任を持って対応いたします。退職日については、ご相談させていただければと思います。

この3文で十分です。

長く話す必要はありません。むしろ、長く話すと引き止めの余地が増えます。

理由の伝え方

言ってよいこと言わない方がよいこと
新しい分野に挑戦したい給与が低い
経験を広げたい上司と合わない
家庭の事情会社の将来性に不安がある
具体的にやりたいことが見つかった残業が多い

不満を理由にすると、「改善するから」という引き止めが必ず来ます。

そして、改善されても辞めるのであれば、話が長引くだけです。

「前向きな理由」で統一してください。嘘をつく必要はありませんが、言わない自由はあります。

転職先を聞かれたら

答える義務はありません。

詳細は、まだお伝えできる段階ではないのですが、同じ業界ではありません。

競合他社への転職の場合は、特に慎重に判断してください。

ただし、会社によっては競業避止義務の規定があるため、就業規則を確認しておいてください。

6. 引き止められたときの返し方

1回目の引き止めは、ほぼ確実に来ます。

引き止めの4類型と返し方

類型上司の言葉返し方
① 情に訴える「君がいないと困る」「ありがとうございます。ただ、決めたことです」
② 条件提示「給与を上げる」「異動させる」「条件の問題ではありません」
③ 引き延ばし「少し考え直してくれ」「考えた上での結論です」
④ 圧力「今辞めるのは無責任だ」「引き継ぎには全力で対応します」

すべてに共通する構造は、「感謝→結論は変えない」です。

そう言っていただけるのはありがたいです。ただ、時間をかけて考えた上での結論なので、変わりません。

この1文を覚えておけば、ほぼすべての引き止めに使えます。

「考え直してくれ」と言われて保留になった場合

その場で日を決めてください。

承知しました。ただ、結論は変わらないと思います。次にお時間をいただけるのは、◯日でよろしいでしょうか。」

日を決めないと、そのまま2週間が過ぎます。

4類型のうち④が続く場合

「無責任だ」「損害賠償だ」といった圧力が続く場合、法的な整理を知っておいてください。

期間の定めのない雇用契約では、労働者はいつでも解約の申入れができ、申入れから2週間の経過によって契約は終了します(民法第627条第1項)。

就業規則で「1ヶ月前まで」と定められている場合も多く、実務上はそれに従うのが円満ですが、退職そのものを会社が拒否することはできません。

それでも進まない場合は、労働基準監督署や、勤務先の所在地を管轄する労働局の相談窓口に相談してください。

7. 言い出せないまま時間が経った場合

すでに1ヶ月以上経っている場合の対処です。

入社日が迫っている場合

まず、転職先に連絡してください。

「現職での引き継ぎ調整に時間を要しております。入社日を◯月◯日に変更いただくことは可能でしょうか。

1回であれば、多くの企業が応じます。

ただし、2回目は難しくなります。そして、印象は確実に悪くなります。

だから、1回目の延期を使う前に、伝えてください。

期限を自分に課す

「今週中」ではなく、日と時間を決めてください。

決めること
9月10日(水)
時間17時30分
場所第2会議室
アポを取る日9月9日(火)の朝

最後の行が重要です。

アポを取ってしまえば、後戻りできません。これが、最も効く方法です。

誰かに宣言する

エージェントの担当者に、「◯日に伝えます」と宣言してください。

担当者は、その日以降に確認の連絡をします。

外部に締切を作ることで、実行率が上がります。

8. 伝えた後にやること

伝えたら、その日のうちに次の3つを確認してください。

#確認すること誰に
退職届の提出方法と期限上司または人事
退職日の候補上司
チームへの共有のタイミング上司

③を確認せずに同僚に話すと、上司との関係が悪化します。

「いつ、誰に伝えてよいか」は、必ず上司の指示に従ってください。

そして、退職日の決め方には制約があります。

制約内容
就業規則「◯ヶ月前までに申し出ること」の規定
引き継ぎ後任の有無、業務量
有給休暇残日数と消化の可否
転職先の入社日逆算の起点

退職日の決め方と、その後の手続きについては、専用の記事にまとめています。

9. よくある質問

上司が忙しそうで、アポを取るのが申し訳ないです。

15分のアポは、どんなに忙しい上司でも取れます。そして、退職の話は、上司にとっても早く聞きたい情報です。遅く伝えるほど、上司の対応も難しくなります。

メールやチャットで伝えてはいけませんか?

対面(またはオンラインの1対1)が原則です。ただし、リモート勤務でどうしても時間が合わない場合、まずチャットでアポイントを取り、通話で伝えてください。テキストだけで完結させるのは避けてください。

退職届は、伝えるときに持っていくべきですか?

初回は不要です。まず口頭で伝え、受理された後に提出するのが一般的な流れです。会社によって様式が指定されている場合もあるため、伝えた後に確認してください。

引き止めが強く、話が進みません。

「退職日を◯月◯日でお願いします」と、日付を明示してください。それでも進まない場合、人事部に直接相談する経路があります。就業規則の規定に沿って手続きを進める権利は、労働者側にあります。

転職先が決まっていないと、伝えづらいです。

決まっていない状態での退職は、経済的なリスクがあります。可能であれば、内定を得てから伝えてください。ただし、心身に影響が出ている場合は、この限りではありません。その場合は、生活費の見通しを立てた上で判断してください。

上司が退職を認めてくれません。

認める・認めないという性質のものではありません。期間の定めのない雇用契約では、退職の申入れから2週間の経過で契約は終了します(民法第627条第1項)。就業規則の規定に沿って手続きを進め、それでも受理されない場合は、労働基準監督署などの相談窓口を利用してください。

退職代行を使うべきでしょうか?

まずは自分で伝えることを推奨します。ただし、ハラスメントがある、上司と話せる状態にないなど、事情がある場合は選択肢になります。費用と、その後の手続きの扱いを確認してから判断してください。

伝えた後、職場に居づらくなりませんか?

多少の気まずさはありますが、多くの場合、想像より短期間で落ち着きます。引き継ぎを丁寧にやることが、最も効果的な対処です。「辞めるまでの仕事ぶり」が、最後の印象を決めます。

10. まとめ:今日やる3つのこと

退職を言い出せないのは、勇気の問題ではなく準備の問題です。

言う日を決めて、最初の1文を書いて、アポを取る。この3つが済めば、あとは当日を迎えるだけになります。

今日やること

伝える日時を、カレンダーに入れる(週の半ば、終業前の30分)

最初の1文を紙に書く(「退職させていただきたく、ご報告に参りました」)

その前日にアポを取る予定を、カレンダーに入れる

目安時間:合計10分

③まで入れてください。

アポを取ってしまえば、後戻りできません。そして、後戻りできない状態を作ることが、この問題の唯一の解決策です。

私は3週間かけて、何も解決しませんでした。不安なまま過ごしただけです。その3週間は、丸ごと無駄でした。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。