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退職・引き継ぎ

退職を拒否されたとき|第二新卒が押さえる法的な線と相談窓口【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約16分
退職を拒否されたとき|第二新卒が押さえる法的な線と相談窓口【2026年版】

〜退職は「認めてもらう」ものではなく、「申し入れる」ものです〜

「辞めさせてもらえない」

この状態は、実際に起きます。

退職を伝えたのに、受理されない。話をはぐらかされる。「後任が決まるまで待て」と言われる。

そして、その状態が数ヶ月続く。

ただ、まず整理しておくべき事実があります。

期間の定めのない雇用契約では、労働者はいつでも解約の申入れができます。

そして、申入れから2週間の経過によって、契約は終了します(民法第627条第1項)。

会社の「承認」は、法律上の要件ではありません。

つまり、退職は「認めてもらう」ものではなく、「申し入れる」ものです。

ただし、実務としては、就業規則の定めに従って円満に進めるのが望ましい形です。

この記事では、段階別の対処と、相談できる窓口を整理します。

なお、個別の事案については、労働基準監督署や弁護士など専門機関に相談してください。この記事は一般的な整理であり、法的な助言を行うものではありません。

1. 結論:4段階で進める

段階やることタイミング
口頭で伝える就業規則の期限に従って
退職届を書面で提出する口頭で進まない場合
記録を残して再提出する受理されない場合
外部の窓口に相談するそれでも進まない場合

②の「書面での提出」が、最も重要な段階です。

口頭のやり取りだけだと、「言った」「聞いていない」になります。

書面で提出し、提出した記録を残すことで、状況が明確になります。

そして、③④に進む場合も、書面があることが前提になります。

2. 法的な位置づけ

まず、事実関係を正確に押さえてください。

論点内容
退職の申入れいつでもできる(期間の定めのない契約)
契約の終了申入れから2週間の経過(民法第627条第1項)
会社の承認法律上の要件ではない
就業規則の「1ヶ月前まで」実務上は従うのが望ましい
有期雇用契約の場合扱いが異なる(原則、期間中の退職は制限される)

最後の行に注意してください。

契約社員など、期間の定めのある契約の場合、扱いが異なります。

やむを得ない事由がある場合や、契約の初日から1年を経過した後などの例外はありますが、正社員とは異なる整理になります。

自分の雇用契約が「期間の定めなし」か「期間の定めあり」かを、労働条件通知書で確認してください。

就業規則との関係

多くの会社の就業規則には、「退職の◯ヶ月前までに申し出ること」という規定があります。

実務としては、この期限に従うのが円満です。

引き継ぎの期間を確保でき、その後の関係も悪くなりません。

ただし、就業規則の規定を守っているのに退職が進まない場合は、別の問題です。

3. 編集長の実体験:引き止めで10日を失った

私が前職を退職するとき、「辞めさせてもらえない」という状況にはなりませんでした。

ただ、引き止めで時間を失った経験はあります。

上司に退職を伝えたとき、こう言われました。

上司もう少し考えてみないか

「……考えます」

この「考えます」が、失敗でした。

その後、10日間、何も進みませんでした。

上司からの再度の面談もなく、私からも切り出せませんでした。

エージェントの担当者に相談したところ、こう言われました。

担当者『考えます』と言うと、保留になります

「どう言えばよかったんでしょう」

担当者『考えた上での結論です』と言い切ってください。そのうえで、次にいつ話すかを、その場で決める

「日を決める、ですか」

担当者日を決めないと、そのまま2週間経ちます。『では、来週の月曜に改めてお時間をいただけますか』まで言ってください」

翌日、改めて上司に時間をもらいました。

「考えた上での結論なので、変わりません」と伝え、退職日の候補を提示しました。

そこからは、順調に進みました。

ここで学んだのは、保留にしないことが最も重要だということです。

「考えます」「検討します」と言った時点で、話が止まります。

そして、止まっている間、退職日は近づいてきません。

4. 段階① 口頭で伝えるとき

引き止められる前提で、返し方を用意しておいてください。

引き止めの言葉返し方
「もう少し考えてくれ」「考えた上での結論です」
「後任が決まるまで待って」「引き継ぎには全力で対応します。退職日は◯月◯日でお願いします」
「今辞めるのは無責任だ」「ご迷惑をおかけしますが、決めたことです」
「給与を上げる」「条件の問題ではありません」
「異動を検討する」「業務内容ではなく、方向性の問題です」

共通するのは、「感謝を述べてから、結論は変えない」です。

保留にしない

「考えます」と言わないでください。

もし話が終わらない場合、その場で次の日を決めてください。

承知しました。ただ、結論は変わらないと思います。次にお時間をいただけるのは、◯月◯日でよろしいでしょうか。」

日を決めないと、そのまま2週間が経ちます。

退職日を明示する

「辞めたいです」ではなく、「◯月◯日をもって退職いたします」と伝えてください。

日付があると、話が具体的になります。

日付がないと、「いつか辞めたい人」として扱われます。

5. 段階② 書面で提出する

口頭で進まない場合、書面で提出してください。

退職願と退職届の違い

書類性質
退職願退職を「願い出る」書類。撤回の余地がある
退職届退職を「届け出る」書類。意思表示

進まない状況では、「退職届」を提出してください。

提出の記録を残す

提出したこと自体を、記録に残してください。

方法記録の残り方
手渡し(コピーを保管)受領のサインをもらえれば確実
メールに添付して送付送信の記録が残る
郵送(普通郵便)記録が残りにくい
内容証明郵便最も確実(後述)

推奨は、「手渡し+コピーの保管」と「メールでの送付」の併用です。

メールであれば、送信日時の記録が残ります。

メールの文面例

件名:退職届の提出について(氏名)

◯◯部 ◯◯部長

お世話になっております。◯◯です。

先日お伝えしました件につきまして、退職届を添付にてご提出いたします。

退職日は、◯月◯日を予定しております。就業規則に定められた期日を踏まえた日程です。

引き継ぎにつきましては、責任を持って対応いたします。資料の準備も進めております。

お手数をおかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

退職届の書式については、専用の記事にまとめています。

6. 段階③ それでも進まない場合

書面を提出しても受理されない、返答がない場合の対処です。

記録を整理する

記録すること
口頭で伝えた日付と、相手
書面を提出した日付と、方法
会社側の反応(言われた内容)
その後の経過

時系列でメモを作ってください。

外部に相談する際、この記録が必要になります。

内容証明郵便

「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を、郵便局が証明する制度です。

項目内容
効果送付した事実と内容が記録に残る
費用数千円程度
手続き郵便局の窓口(取扱局が限られる)、またはWebサービス
併用配達証明を付けると、到達も証明される

内容証明そのものに、法的な強制力はありません。

ただし、「退職の意思表示を、いつ行ったか」を明確に記録できます。

民法第627条第1項の「申入れから2週間」の起算点を明確にする意味があります。

使うかどうかは、状況によります。

まずは、書面の提出とメールでの記録で進めてください。

7. 段階④ 相談できる窓口

窓口相談できること費用
総合労働相談コーナー労働に関する相談全般無料
労働基準監督署法令違反に関すること無料
労働局(あっせん制度)会社との調整無料
弁護士個別の法的な対応有料(初回無料の場合あり)
労働組合団体交渉加入が必要

まず、総合労働相談コーナーに相談してください。

各都道府県の労働局や、労働基準監督署内に設置されています。

予約なしで相談でき、費用はかかりません。

相談時に持っていくもの

#持っていくもの
雇用契約書・労働条件通知書
就業規則(入手できれば)
提出した退職届のコピー
時系列のメモ
メールのやり取りの記録

④を必ず作ってください。

口頭で説明するより、時系列のメモがある方が、状況が正確に伝わります。

暴言・脅しがある場合

「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」といった発言がある場合、記録を残してください。

退職の申入れそのものを理由に、損害賠償が認められることは、通常ありません。

ただし、個別の事案については、弁護士に相談してください。

そして、こうした発言がある状況では、一人で対応しないでください。

8. 退職代行という選択肢

状況によっては、退職代行の利用が選択肢になります。

状況判断
上司と話ができる状態まず自分で伝える
書面を提出しても進まない外部の窓口に相談
ハラスメントがある選択肢になる
心身に影響が出ている選択肢になる
出社できない状態選択肢になる

まずは自分で伝えることを勧めます。

ただし、ハラスメントがある、出社できない状態である場合は、この限りではありません。

利用する場合の確認事項

確認項目内容
運営主体弁護士、労働組合、民間業者のいずれか
対応できる範囲交渉ができるかどうかは、運営主体で異なる
費用総額と、追加費用の有無
書類の受け取り離職票、源泉徴収票の手配

民間業者の場合、会社との「交渉」はできません。

意思を伝えることはできますが、条件の交渉は、弁護士法との関係で制限があります。

有給の消化や退職日の調整といった交渉が必要な場合、運営主体を確認してください。

退職代行の詳細については、専用の記事にまとめています。

9. よくある質問

会社が退職を認めてくれません。

期間の定めのない雇用契約では、退職の申入れから2週間の経過で契約は終了します(民法第627条第1項)。会社の承認は、法律上の要件ではありません。ただし、まず就業規則の期限に従って書面で提出してください。

「損害賠償を請求する」と言われました。

退職の申入れそのものを理由に、損害賠償が認められることは通常ありません。ただし、個別の事案については弁護士に相談してください。そして、そうした発言があったことを記録に残してください。

就業規則に「3ヶ月前まで」とあります。

実務としては、就業規則の期限に従うのが円満です。ただし、民法の規定との関係については、個別の判断が必要になります。まず就業規則の期限で申し出て、それでも進まない場合に相談してください。

契約社員でも、同じですか?

扱いが異なります。期間の定めのある契約では、原則として期間中の退職が制限されます。やむを得ない事由がある場合などの例外がありますが、労働条件通知書を確認したうえで、専門機関に相談してください。

退職届を受け取ってもらえません。

メールに添付して送付してください。送信日時の記録が残ります。それでも進まない場合、内容証明郵便という方法もあります。

どこに相談すればいいですか?

まず、総合労働相談コーナーです。各都道府県の労働局や労働基準監督署内に設置されており、予約なし・無料で相談できます。時系列のメモと、雇用契約書を持参してください。

退職代行を使うべきですか?

まず自分で伝えることを勧めます。ただし、ハラスメントがある、出社できない状態である場合は選択肢になります。利用する場合、運営主体(弁護士・労働組合・民間業者)と、対応できる範囲を確認してください。

有給を消化させてもらえません。

年次有給休暇の取得は、労働者の権利です。会社には時季変更権がありますが、退職日以降に変更することはできません。まず書面で申請し、それでも認められない場合は労働基準監督署に相談してください。

10. まとめ:今週やる3つのこと

退職は、「認めてもらう」ものではなく「申し入れる」ものです。

そして、最も重要なのは、保留にしないことと、記録を残すことです。

今週やること

「考えます」と言わず、「考えた上での結論です」と伝える(次の面談日もその場で決める)

退職届を書面で作り、メールにも添付して送る(送信の記録を残す)

口頭で伝えた日、提出した日、会社の反応を、時系列でメモする

目安時間:合計60分

①が最も重要です。

私は「考えます」と答えて、10日間を失いました。

そして、③を必ずやってください。

外部の窓口に相談する場合、時系列のメモがあるかどうかで、話の伝わり方が変わります。

なお、この記事は一般的な整理です。個別の事案については、労働基準監督署や弁護士など専門機関に相談してください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。