第二新卒のキャリアを深掘りする。
退職・引き継ぎ

退職代行を使う前に|第二新卒が確認する5つのことと使ってよい場合【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約18分
退職代行を使う前に|第二新卒が確認する5つのことと使ってよい場合【2026年版】

〜使ってはいけないものではありません。ただし、使う前に確認すべきことが5つあります〜

退職代行を検討している。この段階の人に、まず伝えたいことがあります。

退職代行は、逃げではありません。

引き止めが執拗、退職を認めてもらえない、心身が限界にある——こうした状況で、自分の力だけで辞めようとして消耗し続けるほうが、はるかに損失が大きくなります。

ただし、使う前に確認すべきことが5つあります。確認せずに使うと、辞められても手続きが滞ったり、費用が無駄になったりします。

この記事では、判断基準と確認事項を整理します。

1. 結論:使う前に確認する5つ

退職代行を使う前の確認事項

業者の種類(民間/労働組合/弁護士。できることが違う)

交渉が必要かどうか(有給・退職日・未払い賃金があるなら民間業者では扱えない)

費用と、返金の条件

退職後の書類(離職票・源泉徴収票をどう受け取るか)

貸与物の返却方法

①と②を間違えると、費用を払っても目的が達成できません。

特に②が重要です。「有給を消化して辞めたい」という時点で、それは交渉です。民間業者は交渉ができません。

2. まず考えるべきこと(使う前)

2-1. 直接伝えられる状況かどうか

直接伝えられるなら、そのほうが確実で、費用もかかりません。

状況判断
上司と話せる状態にあるまず自分で伝える
引き止めが強いが、話はできる自分で伝える(希望日を動かさない)
退職を認めてもらえない代行を検討
ハラスメントがあり、接触したくない代行を検討
心身の状態が限界にある代行を検討
会社と連絡が取れない代行または内容証明

「気まずいから」だけであれば、まず自分で伝えることをおすすめします。手順と例文は退職届・退職願の書き方にまとめています。

2-2. 自分で辞められるという事実

法律上、退職の申し入れから2週間で退職できます。就業規則に何と書いてあっても、この期間が優先されます。

つまり、会社が「認めない」と言っても、辞められます。受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送れば意思表示の証拠が残ります。

この事実を知っているだけで、代行が不要になる場合があります。

3. 業者の種類とできること

ここを間違えると、費用が無駄になります。

種類費用の目安できることできないこと
民間企業2〜3万円退職の意思を伝えるだけ交渉全般(有給・退職日・未払い賃金)
労働組合2.5〜3万円退職の意思の伝達+団体交渉(有給・退職日)訴訟、法律事務
弁護士5〜10万円交渉のすべて+法的手続き(未払い賃金の請求、損害賠償への対応)

3-1. どれを選ぶか

あなたの状況選ぶべき種類
伝えてもらうだけでよい民間企業で足りる
有給を消化したい労働組合または弁護士
退職日を交渉したい労働組合または弁護士
未払い残業代がある弁護士
損害賠償を示唆されている弁護士
ハラスメントで争う可能性がある弁護士

民間業者が「有給も交渉します」と謳っている場合は注意してください。非弁行為(弁護士法違反)にあたる可能性があります。

迷ったら労働組合系を選ぶのが無難です。費用は民間とほぼ同じで、交渉ができます。

4. 使うと決めたときの手順

段階やること
1業者を選ぶ(種類・費用・返金条件を確認)
2相談(多くは無料。LINEや電話)
3依頼内容を伝える(退職日、有給、伝えてほしいこと)
4費用の支払い
5代行が会社に連絡(通常は依頼の翌営業日)
6会社から貸与物返却・書類送付の案内
7貸与物を郵送で返却
8離職票・源泉徴収票を受け取る

4-1. 事前に準備しておくもの

準備するものなぜ必要か
貸与物のリスト(社員証・PC・制服・鍵・健康保険証)返却漏れを防ぐ
私物の回収(可能なら事前に持ち帰る)出社しづらくなるため
退職希望日代行に伝える必要がある
有給の残日数交渉する場合に必要
会社の連絡先・所属部署・上司の名前代行が連絡するために必要

私物の回収を忘れる人が多いです。依頼する前に、可能な範囲で持ち帰っておいてください。

4-2. 依頼した後にやること

会社からの連絡には、原則として応じないでください。代行を通すという前提が崩れます。

ただし、離職票と源泉徴収票は必ず受け取ってください。次の職場で必要になります。代行に「書類の送付先」を伝えてもらってください。

5. 使ってよい場合・避けたほうがよい場合

使ってよい避けたほうがよい
退職を認めてもらえない単に気まずい
ハラスメントがあり接触したくない引き止めが少しあるだけ
心身の状態が限界にある円満に辞めたい
連絡が取れない・話が進まない同じ業界で転職する
引き止めが執拗で、何度も撤回を迫られる引き継ぎをしたい相手がいる

5-1. 同じ業界で転職する場合は慎重に

業界が狭い場合、代行を使ったことが伝わる可能性があります。

  • 人材業界、介護・保育、医療、建設など、地域内で顔が合う業界
  • 取引先が転職先と重なる場合
  • 前職の同僚が転職先にいる場合

これらに該当する場合は、可能なら直接伝えることを検討してください。ただし、ハラスメントがある場合は例外です。安全が優先されます。

6. 費用と、確認すべき契約条件

確認することなぜ
追加費用が発生する条件「一律◯万円」でも例外がある場合がある
返金保証の条件辞められなかった場合に返金されるか
対応範囲(交渉が含まれるか)民間なら交渉は含まれない
連絡がつく時間帯依頼後に連絡が取れないケースがある
退職後のフォロー(書類の受け取り支援)離職票が届かないトラブルが多い
運営元(法人名・所在地)実態が確認できない業者は避ける

費用が極端に安い業者は、対応範囲が狭い可能性があります。2万円を切る場合は、何が含まれているかを必ず確認してください。

7. 使った後の、次の選考への影響

結論から言うと、代行を使ったこと自体が次の選考に伝わることは通常ありません。

前職が転職先に情報を伝えることは、個人情報保護の観点から通常ありません。リファレンスチェック(前職への確認)がある場合を除きます。

7-1. 面接で聞かれるのは「退職理由」

代行を使ったかどうかは聞かれません。聞かれるのは退職理由です。

「◯ヶ月で退職しました。短いことは重く受け止めています。◯◯という状況があり、◯ヶ月は相談しながら続けましたが、変わる見込みがないと判断しました」

「代行を使いました」と自分から言う必要はありません。聞かれてもいないことを言うと、そこが論点になります。

変換の型は退職理由の伝え方にまとめています。

7-2. リファレンスチェックがある場合

外資系や一部の企業では、前職への確認が行われることがあります。その場合は、事前に本人の同意が必要です。同意を求められた段階で、退職の経緯を先に説明しておくほうが安全です。

8. 代行を使わずに済ませる方法

代行を検討する前に、次の順で試す価値があります。

順番やること
1直属の上司に、期日を明示して口頭で伝える(「◯月末で退職します」)
2受け取ってもらえなければ、さらに上の責任者か人事に伝える
3それでも進まなければ、退職届を内容証明郵便で送る(意思表示の証拠になる)
4労働基準監督署または労働局の相談窓口に相談(無料)
5それでも解決しなければ、代行(労働組合または弁護士)を使う

3の内容証明だけで解決するケースは多くあります。費用は数千円で済みます。

9. よくある質問

退職代行を使うと、次の転職に不利になりますか

通常は伝わりません。面接で聞かれるのは退職理由であって、辞め方ではありません。ただし業界が狭い場合は、噂として伝わる可能性はあります。

費用の相場はいくらですか

民間2〜3万円、労働組合2.5〜3万円、弁護士5〜10万円が目安です。極端に安い業者は対応範囲を確認してください。

即日で辞められますか

「即日で出社しなくてよくなる」ことは可能です。ただし法的な退職日は、申し入れから2週間後になります。その間は有給や欠勤で対応するのが一般的です。

有給を消化したい場合は

労働組合または弁護士に依頼してください。有給の交渉は民間業者にはできません。退職時の有給消化については退職時の有給消化を参照してください。

会社から損害賠償を請求されませんか

実務上、ほぼありません。退職の自由は法律で認められています。示唆された場合は、弁護士の代行を使うか、労働局に相談してください。

離職票が届きません

代行を通じて催促してもらってください。それでも届かない場合は、ハローワークに相談すると、会社に発行を促してもらえます。

貸与物はどう返しますか

郵送で返却するのが一般的です。追跡できる方法(レターパック・宅配便)を使い、送付記録を残してください。健康保険証も忘れずに返却します。

引き継ぎをしなくても大丈夫ですか

法的な義務はありません。ただし可能な範囲で資料を残しておくと、後のトラブルを減らせます。テンプレートは退職の引き継ぎ資料の作り方にあります。

10. まとめ

退職代行は選択肢の1つです。ただし、使う前に業者の種類と対応範囲を確認してください。

今日やる3つのこと

① 自分の状況が「伝えてもらうだけでよい」のか「交渉が必要」なのかを分ける

交渉(有給・退職日・未払い賃金)が必要なら、労働組合か弁護士の代行に絞る。民間業者では扱えません

③ 依頼する前に、私物を回収し、貸与物のリストを作る

②が最も間違えやすい部分です。「有給を使って辞めたい」時点で、それは交渉です。

この先、読むべき記事

この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。