技術広報という職種|第二新卒がエンジニアと発信の間に立つ【2026年版】
〜作る人と、外の世界をつなぐ仕事です〜
「技術広報」
求人でこの職種名を見る機会が増えました。ただ、仕事の中身はイメージしにくいところがあります。
ひとことで言えば、会社の技術的な取り組みを外に伝える職種です。相手は、採用候補者、技術者のコミュニティ、既存の顧客まで幅があります。
この記事では、隣接する職種との違いと、第二新卒が近づく順番を整理します。
1. 結論:押さえるのは3つ
技術広報を理解する3点
① 伝える相手は、主にエンジニア
② 成果は、採用と技術的な認知の両方で測られる
③ 求人数は多くない。隣接職種からの移動が中心
①が、一般の広報との最も大きな違いです。
相手が技術者なので、内容の正確さが重視されます。
2. 隣接する職種との違い
似た職種と並べると、輪郭が見えます。
| 職種 | 主な相手 | 目的 |
|---|---|---|
| 広報・PR | 報道関係者、一般 | 会社の認知、信頼 |
| 採用広報 | 求職者全般 | 採用の母集団形成 |
| 技術広報 | エンジニア | 技術的な認知、採用 |
| マーケティング | 見込み顧客 | 売上への貢献 |
会社によって、境界は大きく異なります。
採用広報の一部として技術広報を置く会社もあれば、独立した職種として置く会社もあります。
求人票で見分ける
- 「エンジニア採用」が中心 → 採用広報寄り
- 「技術ブログ、登壇支援」が中心 → 技術広報
- 「イベント運営」が中心 → コミュニティ運営寄り
職種名より、業務内容の記載を読んでください。
3. 担当する4つの領域
具体的な仕事の中身です。
| 領域 | やること |
|---|---|
| 技術ブログの運営 | 執筆の依頼、編集、公開の管理 |
| 登壇の支援 | 社内のエンジニアが外で話す機会を作る |
| イベントの主催 | 勉強会、技術カンファレンスの運営 |
| 発信の設計 | 何を、どこで、誰に伝えるかを決める |
1つめと2つめが、業務の中心になります。
自分が書くのではなく、社内のエンジニアに書いてもらう・話してもらうための段取りが仕事です。
実際の日常
- エンジニアに執筆を依頼し、締切を管理する
- 書かれた記事を読み、構成と表現を整える
- 公開後の反応を見て、次の企画を考える
- 外部のイベントに登壇の枠を確保する
調整と編集の比重が大きい職種です。
なぜこの職種が生まれたか
背景を知っておくと、志望動機が書きやすくなります。
| 変化 | 生まれた課題 |
|---|---|
| エンジニアの採用が難しくなった | 求人票だけでは応募が集まらない |
| 技術者が会社選びに情報を求める | 中で何をしているかを知りたい |
| 発信の量が増えた | 続けるための体制が必要になった |
| 属人的な発信に限界が出た | 一部の人だけが書く状態が続かない |
4つめが、この職種を専任で置く直接の理由になることが多くあります。
書ける人が辞めると発信が止まる、という状態を避けるために、仕組みを持つ人が必要になります。
4. 成果の測り方
数字で示せる職種です。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 発信の量 | 記事数、登壇数、イベント開催数 |
| 反応 | 閲覧数、共有数、参加者数 |
| 採用への影響 | 応募の経路、面接での言及 |
| 社内の巻き込み | 発信に関わったエンジニアの人数 |
4つめが、実は最も難しく、最も価値のある指標です。
書きたがるエンジニアばかりではないため、巻き込む力が問われます。
職務経歴書に書ける形
「年間◯本の技術記事を公開し、執筆に関わったエンジニアを△名から□名に増やした」
量と、巻き込んだ人数の両方を書けると、材料になります。
5. 求められるスキル
技術と発信の両方が必要です。
| スキル | どの程度必要か |
|---|---|
| 技術の理解 | 内容を読んで正確さを判断できる程度 |
| 文章を編集する力 | 必須。構成を整える |
| 調整の力 | 必須。社内のエンジニアを動かす |
| イベント運営 | あると強い |
| 発信の設計 | 誰に何を届けるかを考える |
1つめは、自分で書ける必要はありません。
ただし、内容の正確さを判断できないと、編集ができません。
エンジニア経験は必要か
必須ではありませんが、あると仕事が楽になります。
相手の言葉が分かることと、信頼を得やすいことの2点で有利です。
エンジニア経験がない場合は、技術の勉強を続ける姿勢が求められます。
6. 第二新卒が近づく順番
直接応募が難しい職種です。
| 経路 | 進み方 |
|---|---|
| エンジニアから | 開発を経験し、発信に関わる中で移る |
| 広報・PRから | 一般広報を経験し、技術領域へ |
| 編集・ライターから | 技術メディアの経験を積む |
| 採用担当から | エンジニア採用を担当し、発信へ広げる |
4つめが、第二新卒にとって現実的な経路です。
エンジニア採用の担当は、未経験からでも入口があります。
現職でできること
いま社内にいるなら、次を意識してください。
- 社内の技術ブログに関わる(編集でも運営でも)
- 勉強会の運営を手伝う
- エンジニアに話を聞き、記事にする
3つめができると、この職種への移動が現実的になります。
社外でできること
- 技術の勉強会に参加し、運営を手伝う
- 技術系の記事を自分で書いてみる
- 技術のイベントに参加し、傾向を知る
2つめは、応募のときに実物を見せられる材料になります。
社内での立ち位置
エンジニアと非エンジニアの間に立つため、独特の難しさがあります。
- 技術の話は、エンジニアほど詳しくない
- 広報の話は、専任の広報ほど詳しくない
- どちらの部門にも属しきらない
この位置に居心地の良さを感じられるかが、続くかどうかの分かれ目になります。
「間に立つこと」自体を仕事だと捉えられる人に向いています。
7. 求人票の読み方
同じ職種名でも、中身が違います。
| 見るところ | 読み取れること |
|---|---|
| チームの人数 | 1名なら、実質1人で回すことになる |
| 上長 | 広報部門か、開発部門か、人事か |
| 業務の比重 | 執筆、イベント、採用のどれが中心か |
| 既存の資産 | 技術ブログが既にあるか、ゼロからか |
| 求める経験 | エンジニア経験の要否 |
2つめが、仕事の性質を決めます。
人事の下にあると採用寄り、開発部門の下にあると技術寄りになります。
ゼロから立ち上げる場合
技術ブログがまだない会社では、仕組み作りから始まります。
成果が出るまで時間がかかりますが、経験としては大きくなります。
その場合は、経営層の理解があるかを確認してください。
8. 志望動機の作り方
未経験からの応募では、3つを組み立てます。
| 要素 | 書く内容 |
|---|---|
| なぜ発信か | 伝えることに関わりたい理由 |
| なぜ技術領域か | エンジニアを相手にする理由 |
| なぜこの会社か | 技術的な取り組み、発信の現状 |
3つめで差がつきます。
その会社の技術ブログや登壇資料を読み、現状をどう見ているかを話せると、関心の深さが伝わります。
例文の骨組み
「前職では採用担当として、エンジニアの募集を担当していました。求人票を書く中で、技術的な取り組みが応募者に伝わっていないことが課題だと感じました。御社の技術ブログを拝見し、◯◯についての記事が具体的で、書き手の考えが伝わる形になっていると感じています。この発信を、より多くのエンジニアに届ける役割を担いたいと考えています。」
その会社の発信を実際に読んでいることが伝わる形にしてください。
9. よくある質問
技術広報と採用広報は何が違いますか
技術広報は主にエンジニアを相手にし、技術的な認知と採用の両方を目的とします。採用広報は求職者全般が相手で、採用の母集団形成が中心です。ただし会社によって境界は曖昧で、採用広報の一部として技術広報を置いている場合もあります。求人票の業務内容で判断してください。
エンジニア経験がなくてもなれますか
必須ではありませんが、あると有利です。相手の言葉が分かることと、信頼を得やすいことの2点で違いが出ます。経験がない場合は、技術を理解しようとする姿勢が求められます。内容の正確さを判断できる程度の理解は、業務上必要になります。
未経験からの入口はありますか
エンジニア採用の担当から入る経路が、第二新卒にとって現実的です。採用を担当する中で、技術的な発信に関わる機会が生まれます。他にも、広報から技術領域へ広げる道、編集やライターから技術メディアの経験を積む道があります。
いまの職場でできる準備はありますか
社内の技術ブログの運営や編集に関わることから始めてください。エンジニアに話を聞き、記事の形にする経験ができれば、この職種への移動が現実的になります。社外では、技術の勉強会の運営を手伝う、自分で技術系の記事を書いてみるといった方法があります。
成果はどう測られますか
発信の量(記事数、登壇数)、反応(閲覧数、参加者数)、採用への影響、社内の巻き込み(発信に関わったエンジニアの人数)の4つです。特に4つめは難しく、価値のある指標です。書きたがるエンジニアばかりではないため、巻き込む力が問われます。
求人数は多いですか
多くありません。独立した職種として置いている会社は限られており、採用広報や一般広報の中に含まれていることもあります。求人を探すときは、職種名だけでなく「技術ブログ」「登壇支援」といった業務内容の記載で検索すると、見つかりやすくなります。
1人で担当することになる場合、どうですか
技術ブログがまだない会社では、仕組み作りから始まります。成果が出るまで時間がかかりますが、経験としては大きくなります。ただし、経営層の理解があるかを必ず確認してください。理解がないと、発信の優先順位が下がり、業務が進みません。
志望動機は何を書けばいいですか
その会社の技術ブログや登壇資料を実際に読み、現状をどう見ているかを話してください。「◯◯についての記事が具体的で、書き手の考えが伝わる形になっている」といった形で、読んでいることが伝わると、関心の深さが評価されます。
10. まとめ:作る人と、外をつなぐ職種
今週やる3つのこと
① 気になる会社の技術ブログを、3社分読んでみる
② いまの職場で、発信に関われる場がないか探す
③ 技術系の記事を1本、自分で書いてみる
技術広報は、自分が書く職種ではなく、社内のエンジニアに書いてもらう職種です。
調整と編集が業務の中心で、成果は巻き込んだ人数で測られます。求人数は多くありませんが、採用や広報からの経路があります。
この先、読むべき記事
- エンジニアの発信の使い方|書類に書ける形にする(発信を経歴にする)
- 広報・PRの志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(広報の志望動機)
- 人事・採用の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(採用担当という経路)
- Webライター・編集への転職|未経験からの入口(編集からの経路)
- IT業界の事務・サポート職|コードを書かない入口の職種(コードを書かない職種)
- テクニカルライターという職種|第二新卒が知る仕事の実際(同じく書く職種)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。