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IT業界の事務・サポート職|コードを書かない入口の職種【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月5日 読了 約15分
IT業界の事務・サポート職|コードを書かない入口の職種【2026年版】

IT業界に興味はあるが、プログラミングを学ぶ時間が取れない。あるいは、学んでみたが自分には合わないと分かった。この場合に選択肢から外れるのはエンジニア職だけで、IT業界そのものではありません。

IT企業には、コードを書かない職種が相当数あります。事務、カスタマーサポート、テスター、営業事務、業務推進。これらは未経験からの採用が比較的多く、入社後に社内で職種を変える道も開けています。

この記事では、それぞれの職種の実際の仕事内容と、入りやすさ、その先の道を整理します。

1. 結論:入口は4つある

入口1、IT事務・業務推進。受発注、契約書の管理、請求処理、社内システムの運用補助。一般事務との違いは、扱う対象がITサービスであることです。

入口2、カスタマーサポート。製品の問い合わせ対応。第二新卒の未経験採用が最も多い入口です。

入口3、テスター・QA補助。作られた機能が仕様通りに動くかを確認する仕事。手順に沿って確認する部分から始まります。

入口4、営業事務・インサイドセールス補助。見積作成、提案資料の準備、問い合わせの一次対応。

この4つのうち、入りやすさは2番目と4番目が高く、その先の広がりは2番目と3番目が大きいというのが一般的な傾向です。

2. 4つの職種の比較

職種主な業務未経験の入りやすさその先の道
IT事務・業務推進受発注、契約管理、請求、社内システム運用経理、社内SE、業務改善
カスタマーサポート問い合わせ対応、FAQ整備、エスカレーションカスタマーサクセス、QA、企画
テスター・QA補助テストの実施、不具合の報告、手順書作成QAエンジニア、テスト設計
営業事務・IS補助見積、資料作成、一次対応インサイドセールス、営業、企画

カスタマーサポートの「その先」が広いのには理由があります。製品を最も深く触る職種だからです。どこでユーザーが詰まるかを日々見ているため、企画にもQAにも移りやすくなります。

テスターは技術寄りの入口です。コードは書きませんが、仕様書を読み、期待する動作と実際の動作を比べる仕事なので、開発の考え方が身につきます。QAエンジニアへの道が最も近い職種です。

3. 編集長が相談を受けた話:サポートから3年で企画へ

コールセンターからIT企業のカスタマーサポートに転職した方から、3年後に話を聞きました。

相談者「今、プロダクトの企画チームにいます」

私「サポートから企画に移れたんですか」

相談者「サポートを2年やって、そのあと社内公募で。決め手が変な理由なんですけど」

私「何ですか」

相談者「問い合わせの内容を分類して集計してたんです。多い順に並べて、月1回チームで共有してました。それを見た企画の人が『この分析、誰がやってるの』って」

やっていたのは、問い合わせの分類と集計だけです。エクセルで種類ごとに数えて、多い順に並べる。それを2年続けた結果、社内で「ユーザーがどこで詰まっているかを一番知っている人」になっていました。

コードを書かない職種でも、社内で位置を作ることはできます。そのための材料は、日々の業務の中にあります。

4. 職種別に求められるもの

職種選考で見られることあると強いもの
IT事務正確性、期限の管理、表計算の操作Excelの関数、経理・請求の経験
カスタマーサポート文章力、対応の丁寧さ、対応件数の実績コールセンター、接客、販売の経験
テスター手順を正確に守れること、記録の丁寧さ品質管理、検査、事務の経験
営業事務段取り、複数案件の並行処理営業事務、受発注の経験

共通して見られるのは「正確に、期限内に、記録を残しながら」進められるかです。ITの知識は入社後に覚える前提の求人が多く、選考の段階では前職での仕事の進め方が見られます。

あると強いものの列を見てください。いずれも前職の経験がそのまま材料になります。IT未経験でも、前職で正確な処理を積んでいれば書くことがあります。

5. 職務経歴書の書き方

IT未経験でこれらの職種に応募する場合、書類の作り方に型があります。

ビフォー 「コールセンターにて、お客様からの問い合わせ対応を担当しました。」

アフター 「通信サービスのカスタマーサポートとして2年間、1日平均60件の問い合わせに対応。一次解決率は着任時7割から8割に改善しました。問い合わせ内容を月次で分類・集計し、頻出する10項目についてFAQを作成してチーム10名で共有しています。使用ツールは業務管理システムと表計算ソフト(VLOOKUP、ピボットテーブル)。」

足したのは4つです。

要素内容
件数1日60件
率の変化7割→8割
自分で始めたこと分類・集計・FAQ作成
使ったツール業務管理システム、表計算の具体的な機能

4行目を書き忘れる人が多いです。IT企業への応募では、どんなツールをどのレベルで使えるかが判断材料になります。表計算ソフトなら、使える関数名まで書いてください。

6. 入社後にエンジニアや企画へ移る道

「まずサポートで入って、その後エンジニアに」という道は、実際にあります。ただし条件があります。

条件1、社内公募や職種転換の制度があるか。入社前に確認できます。「社内で職種を変えた方はいらっしゃいますか」と面接で聞いてください。

条件2、業務外で学習を続けられるか。サポート業務そのものではコードを書かないので、移るには別途の学習が要ります。

条件3、今の職種で成果を出しているか。現職種で評価されていない人が職種転換を認められることは、まずありません。

移り先必要なもの期間の目安
カスタマーサクセスサポートでの実績、提案の経験1〜2年
QAエンジニアテストの経験、仕様理解2〜3年
企画・プロダクトユーザーの課題を分析した実績2〜3年
エンジニア業務外での学習と制作物2〜3年

最下行が最も時間がかかります。「サポートで入ってからエンジニアに」を狙う場合、結局は業務外での学習が必要になります。エンジニアが本命なら、最初からエンジニア職を目指すほうが早い場合もあります。

一方、2〜4行目は業務の延長線上にあります。日々の仕事の中で材料を作れるぶん、現実的な道です。

会社の種類によって仕事の中身が変わる

同じ「カスタマーサポート」でも、会社の種類によって業務がまったく違います。

会社の種類サポートの業務の性質
法人向けSaaS企業の担当者からの問い合わせ。設定や運用の相談が中心
個人向けサービス件数が多く、1件あたりの時間は短い
受託開発・SIer納品したシステムの保守窓口。顧客が固定
SES客先常駐。配属先により業務が変わる

1行目と2行目の差が大きいです。法人向けは1件あたりの対応が長く、相手の業務を理解する必要があります。個人向けは件数が多く、テンプレートを使った素早い対応が求められます。

「その先の道」を考えるなら、法人向けのほうが広がります。顧客の業務を理解する経験が、カスタマーサクセスや企画につながるためです。一方、件数を裁く経験は、業務改善やオペレーション設計につながります。

4行目のSES企業は、配属先の確認が必須です。応募前に「配属先はどのように決まりますか」「どのような案件が多いですか」を聞いてください。ここを確認せずに入ると、想定と違う業務になる場合があります。

7. 面接で聞かれる3問と答え方

Q1「なぜIT業界を選んだのですか」

回答例:「前職で業務管理システムを毎日使っていました。使いにくい部分を社内の担当者に伝えたことがあったのですが、その後の改修で実際に直っていて、こういう仕事があるのかと思ったのがきっかけです。作る側ではなく、使う人の声を集める側から入りたいと考えています。」

「成長産業だから」で終わらせないのがコツです。前職での具体的な接点を1つ出してください。

Q2「エンジニアを目指しているのですか」

正直に答えて構いませんが、答え方に注意します。

回答例:「将来的な選択肢の一つとして考えていますが、まずはサポートの仕事で製品を深く理解したいと思っています。ユーザーがどこで詰まるかを知ってからのほうが、その先どの方向に進むにしても材料になると考えています。」

「腰掛け」に聞こえないよう、今の職種でやりたいことを先に言う形にします。

Q3「ITの知識はどの程度ありますか」

回答例:「専門的な知識はありません。前職では業務管理システムを日常的に使っており、表計算ソフトはVLOOKUPとピボットテーブルを業務で使っていました。製品の仕組みについては入社後に学ぶ前提でいますが、現在は貴社のサービスの無料プランを触って、機能を確認しています。」

「勉強中です」より、実際に触った話のほうが説得力があります。応募先が無料プランを提供していれば、面接前に触っておいてください。

8. 進め方と時間配分

手順やること目安時間
14つの職種のうち、前職の経験に近いものを選ぶ20分
2職務経歴書に「使用ツール」欄を追加20分
3前職での件数・率・自分で始めたことを書き出す40分
4応募先のサービスの無料プランを触る30分
5面接で社内の職種転換の実績を聞く面接内で3分

手順4が、この表で最も差がつきます。IT企業の面接で「サービスを触ってみました」と言える応募者は、未経験枠では多くありません。無料プランやデモがあれば、必ず触ってから面接に臨んでください。

9. よくある質問

IT事務は一般事務と何が違いますか

扱う対象がITサービスであることと、社内システムの運用に関わる場面がある点です。基本的な業務の性質は一般事務と近いです。

未経験でも年収は下がりませんか

職種と会社によります。カスタマーサポートは前職が接客・コールセンターなら横ばいか微増の場合が多く、事務職では下がることもあります。

プログラミングの知識はまったく不要ですか

不要な求人が多いですが、あると業務理解が早くなります。基本的な用語(サーバー、データベース、API など)を知っておくと、面接でも入社後も楽です。

テスターは「誰でもできる仕事」ですか

そう言われることがありますが、実際には仕様を正確に読む力と、再現手順を書く力が必要です。この2つができる人は現場で重宝されます。

派遣や契約社員での募集が多い印象があります

職種によってはあります。正社員の求人を探す場合、募集要項の雇用形態を必ず確認してください。

SES企業のサポート職はどうですか

配属先によって業務内容が大きく変わります。応募前に、配属先の決まり方と、どのような案件が多いかを確認してください。

何歳まで未経験で入れますか

これらの職種は、エンジニア職より年齢の制約が緩い傾向があります。ただし20代のほうが選択肢は多いです。

資格は必要ですか

必須ではありません。IT パスポートや基本情報技術者があれば学習の証拠にはなりますが、前職の実績のほうが重く見られます。

10. まとめ:今週やる3つのこと

IT業界に入る道は、エンジニア職だけではありません。コードを書かない入口が4つあります。

1つめ、4つの職種のうち、前職の経験に一番近いものを選ぶ。接客・電話対応ならサポート、事務処理ならIT事務、検査・確認業務ならテスター。所要20分。

2つめ、職務経歴書に「使用ツール」欄を作る。使った業務システムの名前と、表計算ソフトで使える関数名。IT企業への応募では、この欄が判断材料になります。所要20分。

3つめ、応募先のサービスの無料プランを触る。アカウントを作って15分触るだけで、面接で話せることが1つ増えます。所要30分。

エンジニアを目指すかどうかは、入ってから決めても遅くありません。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。