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業界・職種研究

観光・ホテル業界へ転職する|第二新卒が現場職以外の入口を知る【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約18分
観光・ホテル業界へ転職する|第二新卒が現場職以外の入口を知る【2026年版】

〜「接客が好き」で入ると、3年後に選択肢が残りません〜

観光・ホテル業界は、志望する人が多い一方で、離れる人も多い業界です。その理由の多くは、勤務時間と休日、そして給与の水準にあります。

ただし、この業界にも現場職以外の仕事があります。予約と価格の設計、販売の企画、施設の運営管理、法人向けの営業、そして運営会社の本部職です。

そして、近年は価格を動的に決める仕組みや、予約の経路の設計が事業の中心になってきました。この領域は数字を扱う仕事であり、現場とは性質が違います。

この記事では、業界を分解して、現場職以外の入口を整理します。

1. 結論:押さえるべきは3点

この業界を考えるときの3つの前提

収益は「客室をいくらで、どれだけ埋めたか」で決まる

現場職と本部職では、働き方も評価も違う

予約経路と価格の設計が、事業の中心になってきた

①を数字で説明できると、面接での理解が伝わります。

客室の稼働率と、1室あたりの平均単価。この2つの掛け算が収益の基本です。どちらを上げるかで打つ手が変わります。

この理解があると、「おもてなしがしたい」以外の志望動機が作れます。

2. 業態の違い

業態特徴
シティホテル・リゾート客室に加えて宴会・飲食の比重がある
ビジネスホテル稼働率と回転が中心。運営の効率が要
旅館食事と接客の比重が大きい
旅行会社手配と企画。仕入れと販売の両面
観光施設・テーマパーク入場者数と施設内の消費
運営受託・管理会社複数の施設の運営を請け負う
宿泊予約のプラットフォーム予約の仲介。IT寄り

最後の2つが、見落とされている入口です。

運営受託の会社は、複数の施設を運営するため本部機能を持っています。予約の設計、価格の設定、人員の配置を本部で担当する職種があります。

宿泊予約のプラットフォームは、実質的にIT企業です。施設側との折衝、掲載の企画、データの分析といった職種があり、業界知識が活きます。

出る側の視点はホテル・ブライダルから異業種へ転職|第二新卒が接客経験を業務の言葉に直す5ステップ、旅行会社側は旅行業界から転職|第二新卒が手配と調整の経験を翻訳する5ステップにまとめています。

3. 収益の仕組み

指標中身
稼働率客室のうち、どれだけ埋まったか
平均単価1室あたり、いくらで売れたか
客室以外の収益飲食、宴会、施設利用
予約経路ごとの費用仲介を通すと手数料がかかる

4行目が、近年の事業の焦点です。

予約の仲介サイト経由の予約は手数料が発生するため、自社のサイトからの予約を増やすことが収益に直結します。

この文脈を知っていると、面接で「販売の経路をどう設計しているか」を聞けます。業界を調べている応募者だと伝わります。

4. 職種の全体像

職種仕事の中身未経験の可否
客室・フロント接客、案内、手続き可能
予約・販売の管理価格の設定、在庫の調整経験により可
販売企画・マーケティング集客、プランの設計可能
法人営業企業や旅行会社への営業可能
施設の運営管理人員、設備、コストの管理経験により可
本部の管理部門人事、経理、店舗開発経験により可
予約サイト側の職種施設との折衝、掲載の企画可能

予約・販売の管理は、この業界で最も専門性が身につく職種の一つです。

需要を読んで価格を動かす仕事で、数字を扱う力が求められます。現場を知っている人がこの領域へ移ると、判断の質が上がります。

5. 話を聞いた例:フロントから予約管理へ移った人

知人に、ビジネスホテルのフロントから、運営会社の予約・販売の管理部門へ移った人がいます。

その人が書類に書いたのは、次のような内容でした。

前職から出した材料

・担当施設の稼働率と単価を、日次で把握していた

・満室になる曜日と、埋まらない曜日のパターンを記録していた

・予約の経路ごとの比率を見ていた

・繁忙期に、限られた人数で回す段取りを作った

2つ目と3つ目が効きました。

フロントにいながら数字を見ていた、という事実が、本部職への適性の証明になります。接客の話しかできない応募者との差はここです。

面接では「お客様と接するのが好き」ではなく、「埋まらない日のパターンが見えていた。価格と販売の設計で、そこを変える側に回りたい」という形で話しました。

この業界で現場から本部へ移りたいなら、今日から数字を見る習慣をつけてください。

6. 待遇と働き方の実態

項目現場職本部職
勤務時間交替制、夜勤がある場合も平日日中が中心
休日シフト制、繁忙期は取りにくい土日祝が中心のことが多い
繁忙期連休、観光の時期同様だが現場ほどではない
給与業界全体として高い水準ではない職種による
転勤施設間の異動拠点による

給与の水準は、業界として高い方ではないのが実情です。

これを理解したうえで応募するかどうかが分かれ目になります。年収を優先するなら、他の業界と比較したうえで判断してください。

年収の考え方は年収が下がる転職の判断基準|第二新卒が3年で戻せるかを見る、年間休日の読み方は年間休日日数の読み方|105日と125日で何が違うのかを参照してください。

7. 確認する7項目

確認する7項目

現場配属か、本部配属か

現場配属の場合、本部への異動の実績

業態(宿泊/旅行/施設/運営受託/予約サイト)

勤務形態(交替制、夜勤の有無)

繁忙期に休みが取れるか

自社サイトからの予約の比率

運営する施設の数と、直近の推移

⑥は面接で聞くと業界理解が伝わる質問です。

⑦は企業の状態を示します。運営受託の会社では、受託している施設の数の推移が事業の勢いを表します。

企業の見方は企業の将来性をどう見るか|公開情報から読む手順を参照してください。

8. 面接で聞かれることと答え方

質問見られていること答え方の軸
なぜこの業界か理解の深さ稼働率と単価の話に触れる
現場配属でも構わないか認識の確認期間と道筋を確認して答える
夜勤・シフトは可能か条件の合致曖昧にしない
数字を見た経験本部職の適性稼働率や客数で話す
給与の水準は理解しているか定着の見込み理解していると示す

「接客が好きだから」だけの志望動機は、この業界では最も多く、最も弱いです。

代わりに、「客室をいくらで、どれだけ埋めるかで収益が決まる。その設計に関わりたい」という形にすると、他の応募者と明確に差がつきます。

志望動機の組み立て方は未経験職種の志望動機の書き方|第二新卒が3ブロックで作る型と例文6パターンを参照してください。

9. よくある質問

未経験でも入れますか

入れます。現場職は入口が広く、販売企画や予約サイト側の職種も未経験可の求人があります。

語学は必要ですか

施設と職種によります。海外からの利用者が多い施設では評価されますが、必須でない求人も多くあります。水準の考え方は英語を使う仕事の選び方|第二新卒が入れる職種と必要な水準を参照してください。

給与は低いですか

業界全体として高い水準ではないのが実情です。本部職や運営受託の会社では、職種によって差があります。

夜勤はありますか

宿泊施設の現場職では、交替制で夜勤が発生する場合があります。本部職では通常ありません。

繁忙期に休めますか

連休や観光の時期は、現場職では休みが取りにくくなります。この点は、生活の形として理解しておく必要があります。

旅行会社とホテル、どちらがいいですか

仕事の性質が違います。旅行会社は手配と企画、ホテルは施設の運営が中心です。出る側の視点は旅行業界から転職|第二新卒が手配と調整の経験を翻訳する5ステップを参照してください。

予約サイト側の会社はどうですか

実質的にIT企業であり、働き方が現場とは大きく違います。業界知識を持ったままIT寄りに移りたい人には、有力な選択肢です。

3年後の選択肢はどうなりますか

現場職だけを続けると、他業界へ移る際の材料が作りにくくなります。在籍中に数字を扱う経験を作っておくことを勧めます。

10. まとめ:今週やる3つのこと

観光・ホテル業界は、現場職以外を見るかどうかで、3年後の選択肢が変わります。

今週やる3つのこと

求人を「現場配属」と「本部配属」に分けて読む

稼働率と平均単価の関係を、自分の言葉で説明できるようにする

前職で数字を見ていた場面を書き出す(現場職の人ほど効きます)

②ができるだけで、面接での立ち位置が変わります。「接客が好き」から始めない応募者は、この業界では目立ちます。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。