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会計事務所から事業会社の経理へ|第二新卒が繁忙期の経験を実績に変える【2026年版】

木戸 悠介 なぜキャリア? 編集長 公開 2026年9月6日 読了 約15分
会計事務所から事業会社の経理へ|第二新卒が繁忙期の経験を実績に変える【2026年版】

会計事務所や税理士法人で働いていて、こう考える人は多い。

「事業会社の経理に移りたい」

この転職は、実際に成立しやすい。

理由は明確です。会計事務所の経験者は、事業会社の経理で必要な知識をひと通り持っているからです。

仕訳、決算、税務申告。事業会社の経理担当者が数年かけて覚えることを、会計事務所では複数社分を短期間で経験します。

ただし、書類の書き方を間違えると評価されません。

最も多い失敗が、「担当社数だけを書くこと」です。

「約30社を担当していました」だけでは、何ができるかが伝わりません。規模、業種、担当した範囲まで書かないと、判断材料になりません。

この記事では、書類の書き方、事業会社との業務の違い、志望動機、面接での質問、狙える職種を整理します。

1. 結論:やることは3つ

1. 担当した会社を、規模と業種で分類して書く。社数だけでは伝わりません。

2. 担当した業務の範囲を明記する。記帳だけか、決算まで見たかで評価が変わります。

3. 事業会社を選ぶ理由を、職務の方向で作る。「繁忙期がきつい」だけでは弱い。

1番目が最も差がつきます。

書き方伝わること
「約30社を担当」業務量のみ
「年商1億〜50億円の30社、製造業と小売が中心」扱える規模と業種
「うち10社は月次から決算、20社は記帳中心」担当した深さ

3行目まで書くと、事業会社の採用担当が判断できる書類になります。

2. 事業会社の経理との違い

同じ会計でも、仕事の構造が違います。

項目会計事務所事業会社の経理
対象複数社1社
深さ広く浅い場合が多い1社を深く
業務の範囲記帳、決算、申告日次処理、支払、決算、開示
期限顧問先ごとの決算月月次と年次で固定
相手顧問先の経営者社内の各部署

最後の行が、最も大きな違いです。

事業会社の経理では、社内の各部署とやり取りします。

営業から出てくる伝票の不備、購買からの支払依頼、現場からの経費精算。これらを回すのが日常業務です。

会計事務所では、この「社内の調整」の経験が積みにくい。

だから、面接ではこの点を必ず問われます。

社内調整の経験をどう補うか

顧問先とのやり取りを、この形に翻訳してください。

「顧問先の担当者から資料が期日までに届かないことが多く、必要な書類を一覧にして事前に送る運用に変えました。結果として、資料の到着が平均5日早くなり、月次の締めが安定しています」

これは、事業会社での社内調整と構造が同じです。

「相手が動いてくれない状況を、仕組みで変えた」経験があれば書いてください。

3. 職務経歴書の書き方

次の5項目を、この順で書いてください。

  1. 事務所の規模(職員数、顧問先数)
  2. 担当した顧問先(社数、規模、業種)
  3. 担当した業務の範囲
  4. 使用したソフト
  5. 工夫したこと

4番目を必ず書いてください。

会計ソフトの経験は、事業会社の選考で直接の判断材料になります。使ったソフトの名称を、全部書いてください。

記載の型

税理士法人○○ 20○○年4月〜現在 職員約20名、顧問先約300社の税理士法人。

・担当顧問先:約30社(年商1億〜50億円、製造業・小売業・建設業が中心) ・うち10社は月次試算表の作成から決算・申告書の作成まで担当。20社は記帳代行および月次の確認を担当。 ・年末調整、償却資産申告、消費税申告の実務を担当。 ・使用ソフト:○○(会計)、○○(申告)、表計算ソフト(関数・ピボット) ・顧問先からの資料到着の遅れが常態化していたため、必要書類の一覧を事前送付する運用に変更。到着日を平均5日早め、月次の締めを安定させた。

最後の行が、社内調整の経験として読まれます。

この1行があるかどうかで、書類の印象が変わります。

4. 志望動機の作り方

「繁忙期がきつい」を理由の中心に置かないでください。

事業会社の経理にも、決算期の繁忙はあります。「楽になりたい」が理由だと、同じ理由で辞めると見られます。

使える型は3つです。

中身
1社を深く見たい数字の背景まで理解したい
事業に関わりたい記録するだけでなく使う側に
継続して改善したい単発ではなく積み上げたい

1番目が最も自然です。

「会計事務所では複数社を担当し、業種ごとの数字の特徴を見てきました。ただ、数字の背景にある事業の動きまでは見えにくく、記録した数字がどう使われるかを知る機会がありませんでした。1社の中で、数字の背景を理解した上で経理を担当したいと考えています」

これで、前職を否定せずに志望動機が成立します。

そして、複数社を見た経験が強みとして読めます。

5. 狙える職種

経理以外にも選択肢があります。

職種相性
事業会社の経理最も直結する
経営企画・財務数字の分析が中心
内部監査記録と確認の経験が活きる
会計システムの導入支援会計知識+顧客対応
会計事務所向けの営業・サポート業界知識が武器になる

4行目と5行目は見落とされがちですが、有力です。

会計ソフトを提供する企業では、会計事務所の実務経験者が強く求められます。

利用者の業務を理解している人が、導入支援や営業を担当するほうが成果が出るためです。営業に抵抗がなければ、有力な選択肢です。

事業会社の経理の中でも規模を選ぶ

会社の規模経理の仕事
小規模経理全般を1〜2名で担当
中規模担当が分かれ始める
大企業業務が細分化される

会計事務所出身者には、小規模〜中規模が合いやすい。

幅広く担当する経験があるため、業務が細分化されていない環境で力を発揮しやすいからです。

大企業では、担当する範囲が狭くなる場合があります。これを物足りなく感じる人もいます。

6. 資格の扱い

この転職では、資格が判断材料になります。

資格位置づけ
日商簿記2級事業会社の経理では基準になりやすい
日商簿記1級明確に評価される
税理士試験の科目合格評価される
税理士(有資格)事業会社では扱いが分かれる

4行目に補足します。

税理士資格を持っていることが、事業会社で必ず有利になるとは限りません。

「いずれ独立するのでは」と見られる場合があるためです。

資格を持っている場合は、なぜ事業会社を選ぶのかを明確に説明できるようにしてください。

科目合格をどう書くか

科目合格は必ず書いてください。

ただし、受験を続けるかどうかは面接で聞かれます。

続ける場合は、「業務に支障のない範囲で継続する」ことを明示してください。受験のために繁忙期に休むのではないか、という懸念を先に潰せます。

7. 面接で聞かれる3問

質問1:「なぜ事業会社なのですか」

必ず聞かれます。

「複数社を担当する中で、業種ごとの数字の特徴は見えるようになりました。ただ、その数字が事業のどんな判断に使われているかまでは見えにくい立場でした。1社の中で、数字の背景を理解した上で担当したいと考えています」

「繁忙期がきついから」は避けてください。

質問2:「社内の他部署とのやり取りは経験がありますか」

この質問は、会計事務所出身者に必ず来ます。

「社内での経験はありませんが、顧問先の担当者とのやり取りは日常的に行っていました。資料が期日までに届かないことが多かったため、必要書類の一覧を事前に送る運用に変え、到着日を平均5日早めています。相手に動いてもらう工夫という点では、近い経験だと考えています」

「経験がありません」で終わらせず、近い構造の経験を出してください。

質問3:「独立するつもりはありますか」

税理士試験を受けている場合、必ず聞かれます。

正直に答えつつ、当面の意思を明確にしてください。

「現時点では考えていません。事業会社の中で数字を扱う経験を積みたいと考えており、その中で自分がどこまでできるかを見ていきたい段階です」

曖昧に濁すと、かえって疑われます。

8. 進め方と時間配分

時期やること
応募の2ヶ月前担当顧問先の規模・業種を整理
2ヶ月前使用ソフトの名称を全部書き出す
1ヶ月前職務経歴書を作成
応募繁忙期を避けて開始

最後の行が実務的に重要です。

会計事務所の繁忙期に転職活動を始めると、面接の日程が組めません。

繁忙期を避けた時期に活動を始めるほうが、確実に進みます。

また、退職の時期も繁忙期を外すほうが、引き継ぎが円滑に進みます。顧問先に迷惑がかかると、後の評判にも関わります。

顧問先の情報は持ち出さない

当然ですが、顧問先の名称や財務情報を持ち出さないでください。

職務経歴書に書くのは、規模の範囲と業種だけです。「年商1億〜50億円」「製造業・小売業」といった書き方に留めてください。

顧問先名を書くと、守秘義務の意識がない人だと判断されます。

9. よくある質問

Q. 会計事務所の経験は事業会社で評価されますか

評価されます。

仕訳、決算、税務の知識をひと通り持っている点は、事業会社の経理で強みになります。複数社を見た経験も、業種の違いを理解している証拠として読まれます。

Q. 実務経験は何年必要ですか

1年以上あれば、応募の対象になります。

ただし、決算まで担当した経験があるかで評価が変わります。記帳のみの場合は、その旨を正直に書いてください。

Q. 簿記2級は必要ですか

事業会社の経理では、基準として求められる場合が多い。

実務経験があれば必須ではない場合もありますが、持っていると応募先の幅が広がります。

Q. 年収は上がりますか

会社と規模によりますが、上がる場合があります。

会計事務所の給与水準は幅が大きく、一律には言えません。求人票の給与レンジと、現在の年間支給額を比較して判断してください。

Q. 税理士試験を続けながら働けますか

会社によります。

面接で、受験を継続する意思があることを伝えて反応を見てください。理解のある会社と、そうでない会社があります。

Q. 繁忙期は事業会社でもありますか

あります。決算期と、月次の締めの時期です。

ただし、会計事務所のように複数社の決算が重なる構造ではありません。時期が予測しやすい点は違います。

Q. 事業会社から会計事務所に戻れますか

戻れます。

むしろ、事業会社の経理を経験した人は、顧問先の実務を理解している点で評価されます。選択肢は残ります。

Q. 会計事務所内での転職はどうですか

選択肢の一つです。

規模の大きい法人では、担当する顧問先の規模や業務の範囲が変わります。事業会社に移る前に、事務所内での環境の違いも検討する価値があります。

10. まとめ:今週やる3つのこと

1. 担当した顧問先を、規模と業種で分類して書き出す。社数だけでは伝わりません。

2. 担当した業務の範囲を、記帳・月次・決算・申告に分けて整理する。

3. 使用した会計ソフトの名称を全部書き出す。選考での照合に直結します。

「繁忙期がきつい」を志望動機の中心に置かないでください。複数社を見た経験を、強みとして書いてください。

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この記事を書いた人

木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。

23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。